熱いAI市況の渦中での、セミコン・台湾&インド、そしてiPhone 17発表
AI(人工知能)需要が大きく引っ張って、半導体市場の先行きが従来の見方では見通しにくくなっているなか、半導体関連のイベントでの動きに注目している。世界に向けて先端半導体の製造をリードしている台湾、そしてこれから本格的な半導体製造国産化を図っていくインド、それぞれでのSEMICON Taiwan(9月10-12日)、そして2回目のSEMICON India(9月2-4日)である。AI半導体の展開に向けて、設計および製造、とりわけ後工程における対応が問われていく流れであり、それぞれの関連する動きが見られている。
アップルの新製品、iPhone 17が発表され、AI対応はじめいろいろな切り口からの見方&評価が続いている。AI視点が中心となる現時点ではある。
≪各イベントでの動きから≫
まずは、SEMICON Taiwanについて、以下に続いて示す。
◇SEMICON Taiwan 2025 Set to Open, Spotlighting Global Collaboration (9月8日付け SEMI)
→SEMICON Taiwan 2025は、「Leading with Collaboration. Innovating with the World.(協働でリード。世界と共に革新する)」というテーマで開幕する。本イベントでは、AI主導の成長、記録的な設備投資、新たな提携、そして世界の半導体イノベーションとレジリエンスの推進における台湾の重要な役割に焦点を当てる。
AI応用に向けて、先端実装への重点化である。
◇Advanced packaging in focus at Semicon Taiwan (9月8日付け Taipei Times)
→1)水曜10日に開幕するセミコン台湾では、AI、HPC、およびHBMの需要急増を受け、先進的なパッケージング技術と生産能力の拡大にスポットライトが当てられる。TSMC、ASEをはじめとする台湾企業は、CoWoS、InFO、およびFOPLPの生産能力を増強しており、グローバル企業は次世代チップ向けにパネルレベルパッケージングを採用している。
2)台湾の半導体業界は、AIとHPCの需要の急増を背景に、今年のセミコン台湾見本市において先進的なパッケージングに注目している。TSMC、ASE、そしてパートナー企業は、供給不足に対応するため、台湾と米国でCoWoS、InFO、およびFOPLPの生産能力を急速に拡大している。
◇Semicon expo to see record exhibitors (9月8日付け Taipei Times)
→1)初登場:この見本市には、カナダ、コスタリカ、リトアニア、スウェーデンおよびベトナムを含む17カ国が初めて出展し、過去最多となる17カ国がパビリオンを出展する。
2)Semicon Taiwan 2025は、56カ国から過去最高の1,200社の出展者と17カ国がパビリオンを構えて開幕する。SEMIは、AI、自動車、ロボティクス、および半導体のイノベーションに加え、技術協力やサプライチェーンのレジリエンスに関するグローバルフォーラムを開催するため、10万人の来場者を見込んでいる。
◇Globalwafers chief warns materials, not process nodes, will decide chip industry's future (9月9日付け DigiTimes)
→グローバルウェーハズの会長、Doris Hsu氏は、SEMICON Taiwan 2025において、半導体産業の競争は技術から材料とサプライチェーンのレジリエンスへと移行していると警告した。スー氏は、台湾の優位性を守るため、政府と産業界に対し、原材料の確保、生産の現地化、そして供給源の多様化を強く求めた。
◇Semiconductor equipment billings to double this year: SEMI (9月9日付け Taipei Times)
→台湾の半導体装置売上高は、世界的なAI需要の急増に対応するためメーカーが生産を増強していることから、2025年には倍増すると予想されている。SEMIはGPUと高帯域幅メモリ(HBM)の力強い成長を指摘しており、台湾は2〜3年の技術リードを維持している。
◇SEMI announces energy platform plan (9月9日付け Taipei Times)
→1)ボトルネック:レアアースなどの主要材料の入手性、そして1nmまたは2nmの先端チップ生産能力は、供給回復力にとって極めて重要になると、GlobalWafers会長は述べた。
2)SEMIは、AIの急増する電力と熱需要に対処するため、台湾で新たなエネルギー管理アライアンスを立ち上げる。リーダーたちは、CoWoS、シリコンフォトニクス、自動化、そして材料への投資を呼びかけ、台湾のAIにおける優位性を強調するとともに、サプライチェーンのボトルネックが迫っていることを警告した。
◇Camtek to Exhibit Latest Inspection Solutions, Technologies at SEMICON TAIWAN 2025 (9月10日付け EE Times India)
→計測・検査装置メーカーであり、ソフトウェアソリューションを提供するCamtek Ltdは、半導体業界の先端パッケージング、メモリ、CMOSイメージセンサー、MEMS、RFなどの分野をターゲットとした最新技術を展示している。
Camtekは、SEMICON TAIWAN 2025で最新の検査および計測ソリューションを展示する。
後工程技術の競い合いが、生成AIに向けて謳われている。
◇半導体、組み立て工程競う 「セミコン台湾」開幕 生成AI向け、性能向上「先端パッケージング」に期待 (9月11日付け 日経)
→生成AIの需要拡大を受け、半導体の開発競争が熱を帯びている。半導体の国際展示会「セミコン台湾」が10日、台北で開幕した。
来場者の関心を集めたのが半導体の組み立て工程(後工程)の技術だ。これまで脚光を浴びることが多くなかった工程だが、半導体の性能を高める上で重要だとして各社は最新技術を競う。
◇セミコン台湾 商機創る 福岡や熊本 15社出展 ウエハー再生や新樹脂素材 技術・サービスPR(新生シリコンアイランド) (9月12日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→九州に拠点を持つ半導体関連企業が台湾で、新技術やサービスの販売攻勢をかけている。台北市で10日に開幕した半導体の国際展示会「セミコン台湾」では、福岡県や熊本県のブースに過去最多となる計15社が出展。シリコンウエハーの再生・加工や新たな樹脂素材などの技術を持つ企業が、台湾で商機をつかもうとしている。
◇SEMICON Taiwan 2025: AMD pushes panel-level, 3D, and optical packaging as AI demands soar―AMD highlights packaging tech to meet AI energy demands (9月12日付け DigiTimes)
→SEMICON Taiwan 2025において、AMDフェローで同社のOSAT技術開発を率いるDaniel Ng氏は、半導体業界の次なるボトルネックとなるAIの拡張に伴うエネルギーコストについて、厳しい評価を下した。
次に、時間軸が少し戻って、SEMICON Indiaについて、以下の通りである。
モディ首相も登場、半導体国産化に向けた意気込みが改めて伺える内容である。
◇インド半導体国産化、日本企業が支援 東京エレクトロンなどが供給網―【イブニングスクープ】 (8月27日付け 日経 電子版 18:00)
→日本とインドが半導体を核に経済安全保障分野の協力を強める。両政府は29日の首脳会談で打ち出す。日本が強みを持つ装置や素材の関連企業がインドに進出し、供給網づくりを後押しする。東京エレクトロンは9月、同国初となる製造装置の開発拠点を稼働させる。エア・ウォーターは洗浄・乾燥工程などに使う産業ガス工場を複数新設する。
◇Semicon India 2025: World ready to build semiconductor future with India, says PM Modi―The PM said that the power of 21st century has been condensed into a small chip. (9月2日付け The Statesman)
→Narendra Modi首相は、セミコン・インディア2025サミット(9月2−4日:New Dehli)において、40〜50カ国から専門家が出席していることは、半導体の未来を形作るインドへの世界的な信頼の表れだと述べた。首相は$80B規模のプロジェクトを挙げ、$1T(1兆ドル)規模の市場においてインドが大きなシェアを確保することを誓った。
◇India gets first fully indigenous 32-bit chip ‘Vikram’ built by ISRO lab―India unveils first indigenous 32-bit microprocessor―The first fully indigenous 32-bit microprocessor, called ‘Vikram,’ has been developed by ISRO’s Semi-conductor Laboratory (SCL). (9月2日付け The Statesman (India))
→インドは、インド宇宙研究機関(ISRO)半導体研究所が開発した、初の完全国産32ビットマイクロプロセッサを導入した。過酷な環境に耐えられるよう設計された「Vikram」マイクロプロセッサは、インドの輸入チップへの依存を軽減すると期待されている。
◇Semicon India 2025: PM Modi Maps Vision To Target Global Chip Industry―India eyes global semiconductor leadership―Semicon India 2025 marked the signing of twelve MoUs between startups, government bodies, and multinationals. (9月10日付け EE Times)
→セミコン・インディア2025は、インドが世界の半導体産業における主要プレーヤーとなるという野心を示し、Narendra Modi首相が自国発のイノベーションへの注力を強調した。同イベントでは、設計とIP創出が成長の重要な原動力として浮上し、リーダーたちは、設計は製造のみよりも高い利益率と戦略的価値をもたらすと強調した。タタ・エレクトロニクスとC-DACの覚書、そして国立2Dイノベーションハブの設立といった新たな連携は、イノベーションの促進、人材育成、そして次世代チップの開発加速につながる可能性がある。
◇ジャパンマテリアル、インド半導体国産化に商機 洗浄ガスで進出検討 (9月12日付け 日経 電子版 05:00)
→半導体工場向けのガス供給を手掛けるジャパンマテリアルはインドなど海外進出を検討する。現地に進出する企業に出資するなどで事業参入する。インドは政府が半導体の国産化など製造業振興に力を入れている。日系企業の進出も相次いでいる。現地の産業インフラ構築に先手を打つことで、日本国内向けが中心だった収益の多角化につなげる。
最後に、アップルからのiPhone 17発表である。5.6ミリの薄さが印象に残る一方、AI対応については厳しめの評価となっている。半導体の従来の応用分野の本格回復が待たれるなか、スマホ需要を如何に焚きつけられるかに注目である。
◇10日 アップルが新iPhone発表か、革新余地狭まる基幹製品(NewsForecast) (9月7日付け 日経)
→米アップルが日本時間10日午前2時(米西部時間9日午前10時)に、米カリフォルニア州の本社で特別イベントを開く。「iPhone17」シリーズとされる次期スマートフォンを発表する見通しだ。同社はAI対応の遅れと、トランプ関税に伴うコスト増という2つの難題に直面する。新製品によって苦境を打開できるか注目される。今回のイベントのキャッチコピーは「Awe dropping.」。日本語では「言葉にできない。」と訳される。
◇Apple debuts A19 and A19 Pro processors for iPhone 17, iPhone Air, and iPhone 17 Pro―TSMC process expected to power Apple's A19, A19 Pro chips―New phones, new chips, more cooling. (9月9日付け Tom's Hardware)
→Appleは、最新iPhonesに搭載されるA19およびA19 Proチップを発表した。A19は6コアCPUと5コアGPUを搭載し、効率性とパフォーマンスに重点を置いている。ハイエンドモデル向けに用意されたA19 Proは、強化されたbranch prediction(分岐予測)、大容量キャッシュ、そしてより高度なGPUを誇る。TSMCのN3Pプロセスを採用すると予想される両チップは、mesh shading, hardware-accelerated ray tracingおよびMetalFX upscalingをサポートしている。
◇iPhone17発表、厚さ5.6ミリの「Air」も品ぞろえ 日本では15万9800円から (9月10日付け 日経 電子版 07:55)
→米アップルは9日、新型スマートフォン「iPhone17」シリーズを19日に発売すると発表した。17シリーズの発売にあわせて薄型の「Air」もラインアップに加えた。全く新しい設計の新機種を投入するのは数年ぶりで、デザイン刷新により需要の底上げを目指す。
◇iPhone17、上位機種の価格据え置き 関税コスト増でもトランプ氏に配慮―ビジネスTODAY (9月10日付け 日経 電子版 13:51)
→米アップルは新型スマートフォン「iPhone17」シリーズの米国での販売価格を上位機種で据え置くことにした。中国で生産した製品の関税コストが重荷となっているが、関税を理由とする値上げを許容しないトランプ米大統領への配慮が透けて見える。
9日の「iPhone」の新製品発表会で注目されていたのが新シリーズの価格設定だ。
◇iPhone17「AIスマホ」アピール消える Google・サムスンに先行許す (9月10日付け 日経 電子版 15:00)
→米アップルが9日発表したiPhone17シリーズでは、生成AIで目立った新しい機能がなかった。8月発売の新機種で音声通訳や写真修正機能などのAI機能をアピールした米グーグルや、韓国サムスン電子とは対照的だ。AI進化の停滞が日本国内のユーザーのiPhone離れを招く可能性がある。
◇iPhone17、AI訴求せず アップル、競合に先行許す かすむ「革新」シェアに影(ビジネスTODAY) (9月11日付け 日経)
→米アップルが9日発表したiPhone17シリーズでは、生成AIで目立った新しい機能がなかった。8月発売の新機種で音声通訳や写真修正機能などのAI機能をアピールした米グーグルや、韓国サムスン電子とは対照的だ。AI進化の停滞が日本国内のユーザーのiPhone離れを招く可能性がある。
「本日紹介した製品・技術は、アップルインテリジェンスとともに人々の生活を豊かにするでしょう」。日本時間10日の発表イベントで、アップル独自のAI機能を示す言葉がティム・クックCEOの口から出たのは、最終盤の1度きりだった。
◇iPhone17、国内携帯キャリア4社が販売開始 楽天が最安14万円台 (9月12日付け 日経 電子版 22:03)
→国内携帯キャリア4社が米アップルの新型スマートフォン「iPhone17」シリーズの販売価格を発表し予約受け付けを始めた。12日、楽天モバイルが発表した256ギガバイトのiPhone17の端末価格は14万6800円と4社で最も安かった。ソフトバンクなども相次いで明らかにし各社の価格が出そろった。アップル公式ストアも含めて消費者の選択肢が広がっている。
AI、地政学そして関税が、当面の半導体業界の対応のキーワードとのあらわし方の現況のなか、先行きの不安定性の払拭に向けて、いろいろな切り口の動きの推移に注視して明るさを見い出さざるを得ないところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□9月6日(土)
米国政府の我が国に対する関税について、半導体関連が次の通りである。
◇80兆円投資、くすぶる火種――最恵国待遇、半導体と薬に適用 (日経)
→日米共同声明は医薬品と半導体分野について最も低い国の関税率を適用する「最恵国待遇」を日本に適用すると明記した。航空機と航空機部品についても「米国はいかなる関税も課さない意図を有する」と盛り込んだ。米商務省は新たな分野別関税として医薬品と半導体分野について今春から発動に向けた調査を続けている。共同声明は半導体の中に半導体製造装置を含むと記載した。
□9月7日(日)
◇石破茂首相が辞意、各国メディアが速報 「辞任圧力に耐えられず」 (日経 電子版 18:27)
→石破茂首相が7日、辞任の意向を固めたとの報道を受け、各国のメディアは一斉に速報した。
中国国営新華社は日本での報道を引用し、石破氏が辞任の意向を明らかにしたと速報で伝えた。辞任理由について自民党内の分裂を避ける狙いと報じた。
□9月9日(火)
利下げ観測で上げて最高値の後の確定売りを繰り返し、初の$46,000突破も見られた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ反発114ドル高、利下げ観測が支え ナスダックは最高値 (日経 電子版 06:09)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前週末比114ドル09セント(0.25%)高の4万5514ドル95セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が来週にも利下げをするとの観測が投資家心理を支え、ハイテク株や消費関連株の一角に買いが入った。半面、週内発表の物価統計を見極めたいとの雰囲気が強かった。ダウ平均は下げる場面もあった。
□9月10日(水)
◇NYダウ196ドル高で最高値 雇用統計の改定、利下げ期待を後押し (日経 電子版 06:13)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比196ドル(0.4%)高の4万5711ドルで終え、約2週間ぶりに最高値を更新した。米雇用統計の年次改定で労働市場の減速が示されたことを受け、市場ではFRBの利下げ観測が強まった。
□9月11日(木)
◇NYダウ反落、220ドル安 物価指数の発表前に利益確定売り (日経 電子版 06:39)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比220ドル42セント(0.48%)安の4万5490ドル92セントで終えた。11日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)を見極めたい雰囲気が強いなか、前日に主要株価指数がそろって過去最高値を付けた後で主力株の一角に利益確定の売りが優勢になった。
□9月12日(金)
米国の人口自然減の見方が、次の通りである。
◇米国「2031年から人口自然減」、移民減少で2年早まる 当局予測 (日経 電子版 06:32)
→米議会予算局(CBO)は11日までに、米国の新たな人口予測を発表し、死亡数が出生数を上回る「自然減」が始める時期が従来予想より2年早まると指摘した。移民流入数の減少に伴い米国内の出生数が減ることが、予測時期を早めた最大の要因だと説明した。
CBOは報告書で、2031年に米国人口は死亡数が出生数を上回る自然減となると指摘した。
◇NYダウ初の4万6000ドル台、強まる金融相場色 景気警戒も見え隠れ (日経 電子版 08:14)
→11日の米株式市場で米ダウ工業株30種平均は初めて4万6000ドル台の大台を超えた。朝方発表された8月のCPIの伸び率が市場予想並みとなった。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ再開が決定的になったとの見方が広がり、相場を押し上げた。景気減速懸念が残る中、米株市場は金利低下期待に頼った金融相場の様相を呈してきた。
我が国のAIへの取り組みが策定されていく。
◇国産AI開発支援、年内に基本計画策定へ 政府本部が初会合開催 (日経 電子版 11:18)
→政府は12日、AIの開発や活用方針を議論する「AI戦略本部」の初会合を開いた。「信頼できる国産AI」の開発支援や規制見直しなどを盛り込んだAI基本計画の骨子を提示した。
石破茂首相(本部長)は会議で「国家戦略として省庁横断でAIによるイノベーションを本格的に推進していく」と述べた。担当の城内実AI戦略相を中心にAI基本計画の策定を始めるよう指示した。AI活用に障壁となる規制や制度を洗い出すよう求めた。
□9月13日(土)
◇NYダウ反落273ドル安、利益確定の売り優勢 ナスダックは最高値 (日経 電子版 07:21)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比273ドル78セント(0.59%)安の4万5834ドル22セントで終えた。前日に大幅に上昇し、最高値を更新した後で、主力株に利益確定の売りが出やすかった。一方、FRBが来週の会合で利下げに動くとの観測は根強く、相場の支えとなった。
ダウ平均は11日に617ドル上昇し、初めて4万6000ドル台に乗せた。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
新技術&新製品、今後の体制はじめ、厳しい内容含めて、以下の通り見い出してる。
◇Intel shuffles executive deckchairs, tosses 30-year veteran chief overboard―Intel undergoes executive shake-up; Holthaus steps down―Michelle Johnston Holthaus' tenure as Intel Products CEO lasted just ten months (9月8日付け The Register (UK))
→インテルは、製品担当CEOのMichelle Johnston Holthaus氏の退任に伴い、新たな幹部人事を控えている。ホルトハウス氏は約30年前にインテルに入社し、わずか10ヶ月前に製品担当CEOに就任したばかりだ。その他の幹部人事としては、元ArmのKevork Kechichian氏がインテルのデータセンターグループを率い、Jim Johnson氏がクライアントコンピューティンググループを率いる。
◇Intel CFO confirms that 14A will be more expensive than 18A due to High-NA EUV tool - Intel expects 14A process to offer 15-20% better performance-per-watt or 25-35% lower power consumption than 18A―Intel's 14A process costlier than 18A, CFO confirms―Intel CFO Zinser made the comment at Citi’s 2025 Global TMT Conference (9月8日付け Tom's Hardware)
→インテルの最高財務責任者(CFO)であるDavid Zinsner氏によると、インテルの14A製造技術は、主にASMLのTwinscan EXE:5200B高開口数(high-numerical-aperture)リソグラフィー装置の使用により、次期18Aノードよりもコストが高くなると予想されている。14Aプロセスは、18Aと比較して、ワット当たりの性能が15%〜20%向上し、消費電力が25%〜35%削減されると予想されている。
◇Intel ‘not good enough’ for Qualcomm (9月8日付け Taipei Times)
→クアルコムのCEO、Cristiano Amon氏は、生産技術の弱さを理由にインテルをチップサプライヤーとして断念し、TSMCとサムスンへの依存を改めて強調した。自動車分野への進出を進めるクアルコムは、BMW車にスケーラブルなSnapdragon Ride Pilotシステムを搭載する。
◇Intel confirms Arrow Lake refresh set for 2026, Nova Lake later that year - company admits there are 'holes to fill on the desktop front,' says it is 'confident in the roadmap'―Intel's Arrow Lake refresh due in 2026; Nova Lake to follow―Though the next-generation chip launch looks set to extend into 2027, too. (9月10日付け Tom's Hardware)
インテルは、Arrow Lakeプロセッサのreboot版を2026年にリリースし、その後、同年後半に次世代Nova Lakeチップをリリースする計画を発表した。投資家向け広報担当コーポレートバイスプレジデントのJohn Pitzer氏は、インテルのデスクトップ製品ラインナップに不足があることを認めつつも、同社の戦略に自信を示した。
【TSMC関連】
AI対応はじめ世界の先端製造を引っ張っているTSMCについて、幅広くいろいろな切り口で現状を取り出している。
◇TSMC to see near-term ‘operational risk’ after US revokes China chip equipment waiver (9月7日付け South China Morning Post)
→1)TSMCの南京工場は総生産能力に占める割合はわずかのため、米国の措置による長期的な影響は限定的だろう。
2)米国がTSMCの南京工場のファストトラック輸出資格を剥奪し、12月31日から米国製装置への輸出許可取得を義務付けたことを受け、アナリストらはTSMCの南京工場がリスクに直面すると警告している。この動きは、トランプ大統領による中国への半導体輸出に対するより広範な取り締まりを浮き彫りにしている。
◇TSMC increases Arizona internships to feed its Phoenix fabs - CHIPS-fueled supply chain begins to take shape―TSMC expands Ariz. internships to support fab staffing―A wave of homegrown talent arrives just as TSMC’s 4nm ramp-up in Arizona turns into a three-fab silicon supercluster. (9月8日付け Tom's Hardware)
→TSMCはアリゾナ州でのインターンシッププログラムを拡大し、フェニックス近郊の先端ノードファブの人員配置を支援するため、約60の大学から200人以上の学生を受け入れた。これは、昨年の130人、そして2023年にはわずか16人から大幅に増加したことになる。TSMCは今年初めにフェニックス初のファブで4ナノメートルチップの生産を開始し、2ナノメートルプロセスに対応するために3番目のファブを建設する予定である。
◇[News] TSMC Eyes Breakthroughs in SiC Thermal Management (9月9日付け TrendForce)
→TSMCは、機器および化合物半導体のパートナーと提携し、3D ICパッケージングおよびARデバイス向けの12インチシリコンカーバイド(SiC)放熱基板を開発している。最大500W/mKの熱伝導率を誇るSiCは、AIやデータセンターの冷却においてセラミックよりも優れた性能を発揮する。
◇TSMC and ASE form 3D IC alliance with 34 members to overcome advanced packaging bottlenecks―TSMC, ASE form 3DIC Advanced Manufacturing Alliance (9月9日付け DigiTimes)
→3D ICやCoWoSといった先端パッケージングプロセスにおける技術、量産、および歩留まりの課題を克服するため、SEMIはTSMCおよびASE Holdingsと共同で「3DIC Advanced Manufacturing Alliance」を設立した。
◇Local ecosystem key to meeting AI demand: TSMC (9月10日付け Taipei Times)
→1)輸出の拡大:AIブームによりチップサイクルはわずか1年に短縮され、チップメーカーは開発の加速とパッケージング能力の拡大を迫られている。
2)TSMCは、AIチップサイクルの短縮に対応するため、現地化された先進的なパッケージングサプライチェーンの構築を推進している。同社は新たに設立した3D IC先進製造アライアンス(AMA)を通じて、CoWoS(Co-WoS)の生産能力を拡大し、現地サプライヤーと提携することで歩留まり向上と生産加速を目指している。
3)TSMCは、CoWoSの能力を拡大し、高い歩留まりを維持し、地元の装置サプライヤーとの関係を深めるために、3D IC先進製造アライアンスを立ち上げ、AI主導の開発サイクルの短縮に対応するには、現地化された先進パッケージングサプライチェーンが不可欠であることを強調した。
◇TSMC reports 33.8% revenue increase in August, outlook shaped by AI demand and margin pressures (9月10日付け Digitimes)
→TSMCは、2025年8月の収益が3,357億7,000万台湾ドル($11.03 billion)と好調だったと報告した。これは7月から3.9%増加し、前年比では33.8%の急上昇であり、世界有数の半導体ファウンドリーにおける旺盛な需要と堅調な成長の勢いを反映している。
◇TSMC、売上高最高 8月、前年比33.8%増 AI向け好調 (9月11日付け 日経)
→半導体世界大手のTSMCが10日発表した2025年8月の売上高(速報値)は同月として過去最高の3357億台湾ドル(約1兆6000億円)だった。前年同月比で33.8%増えた。売上高が前年同月比でプラスとなるのは20カ月連続。生成AIを動かすサーバー向けなどに先端半導体の販売が好調だ。大口顧客の米アップルに新型スマートフォン「iPhone17」向けの半導体供給も進んだとみられる。
8月の売上高は月次でみると4月に続く過去2番目の高水準で、前月比では3.9%増だった。
◇Taiwan economic minister says TSMC leak probe will proceed despite concerns about relations with Japan (9月11日付け Digitimes)
→台湾のKung Ming-hsin経済部長は、TSMCの2nmプロセス技術に関する企業秘密の窃盗疑惑についてコメントを控え、証拠に基づいて捜査を進めるよう求めた。また、この事件が台湾と日本の関係に悪影響を及ぼす懸念がある中、経済部長は司法の判断を尊重すると強調した。
◇TSMC touts plans for Pingtung center (9月12日付け Taipei Times)
→1)半導体サービス:同社幹部は、台湾企業はグローバルサプライチェーンへの参加方法を検討し、競争力を高める必要があると述べた。
2)TSMCは、2027年半ばまでにPingtungに台湾初の多機能「エコシステムパーク」を開設する計画で、地元のハイテク施設建設の強化、世界の半導体メーカーへの支援、パートナー企業の能力強化、そして半導体サプライチェーンの発展加速を目指している。
【Nvidia関連】
新世代AI半導体はじめ、注目すべき動きが矢継ぎ早の様相、今週は以下の通りである。
◇Nvidia unveils AI chips for video, software generation―Nvidia announces next-gen AI chips: Rubin CPX (9月9日付け Reuters)
→NVIDIAは、動画やソフトウェア生成といった高負荷タスクの処理に特化した新世代AIチップ「Rubin CPX」を2026年末までに発表する予定である。AIワークロードの複雑さに対応するため、NVIDIAの新チップは、動画のデコード、エンコードおよび推論といった複数の処理ステップを1つのチップに統合する。
今後登場するRubin CPXチップは、現在のBlackwellテクノロジーの後継となるNVIDIAのRubinアーキテクチャを基盤としている。
◇Nvidia Specializes GPU for First Stage of Transformer Inference―Nvidia disaggregates prefill and decode stages with separate hardware in large scale inference clusters (9月10日付け EE Times)
→AIインフラ サミット(9月9−11日:Santa Clara)で、Nvidia の HPCおよびハイパースケール担当VPであるIan Buck氏は、次世代のNvidia GPUには、トランスフォーマー推論ワークロードの初期部分向けに特別に設計された特殊なファミリー メンバーが含まれることを発表した。
◇Machine Learning Tests Keep Getting Bigger ―And Nvidia keeps beating the competition on them (9月10日付け IEEE Spectrum)
→「AIのオリンピック」とも呼ばれるMLPerfは、急速な機械学習の発展を反映してベンチマークを拡張し、これまでで最大のLLMであるDeepseek R1 671B、最小のLlama3.1-8B、そして新しい音声テキスト変換モデルを導入した。Nvidia、AMD、およびIntelが推論性能競争をリードしている。
◇Nvidia and Kioxia target 100 million IOPS SSD in 2027 - AI server drives aim to deliver 33 times more performance―Nvidia, Kioxia target 100M IOPS SSDs by 2027―Who said HBF? (9月12日付け Tom's Hardware)
→日経新聞の報道によると、キオクシアはNVIDIAと共同で、2027年までにランダムIOPS(ストレージが1秒あたりに処理できるI/Oアクセスの数)1億を実現するソリッドステートドライブ(SSD)の開発を進めていると、今月初めの記者会見で発表した。NVIDIAは、このSSDを複数個(合計2億IOPS)直接GPUsに接続し、AI性能を向上させる計画だと報じられている。
【Arm関連】
Armが、モバイルAI向けに巨大なIP「arm lumex」を提供すると発表、以下の通りあらわされている。
◇Arm Unveils Lumex Platform, Boosting AI Processing at Edge―Shifts AI to mobile devices, for personal, private, and high-performance experience. (9月9日付け EE Times)
→Armは本日、主力スマートフォン、パソコン、その他の民生用電子機器向けオンデバイスAIの急成長トレンドを加速させるために設計された戦略的な動きである、新しいLumex Compute Subsystem(CSS)プラットフォームを発表した。
◇Arm Goes for Rebrand for Mobile CSS, Drops Cortex, Immortalis ―For 2025, Arm has created an official brand for its mobile CSS, and is moving away from its historic Cortex brand for its CPUs. (9月10日付け EE Times)
→今週、Armはモバイルデバイス向けの新しいCSSであるLumexを発表した。このLumexは、新しいCPUs、GPUs、システムIP(Intellectual Property)、そして新しいScalable Matrix Extensions version 2(SME2)とそれに伴うハードウェアアクセラレーションを追加し、Armの一連の新ブランドを牽引する。第6世代では2桁のパフォーマンス向上を実現するだけでなく、LumexプラットフォームはCPUとデータに可能な限り近いAIパフォーマンスに重点を置いている。
◇Arm launches Lumex for inference at the edge―Lumex CSS to boost edge AI inference (9月10日付け Electronics Weekly (UK))
→1)Armは、モバイル市場をターゲットとした新たなCSSシステムレベル・プラットフォームの第一弾として、Lumexを発表した。
2)Armは、モバイルデバイスにおけるAIワークロードの重要性の高まりに対応し、特にエッジ推論に重点を置いたLumexコンピュート・サブシステム・プラットフォームを発表した。個々のIPコンポーネントの提供から、AIファーストの統合型フルスタック・ソリューションの提供へと戦略的に飛躍したLumexは、Armの最上位CPUs、先進的なGPUsおよび最適化されたシステムIPを統合し、統合ソフトウェア・スタックによってオーケストレーションされている。このプラットフォームは、主要なAIフレームワークの「day zero」サポートにより、パートナーの開発サイクルを加速するように設計されている。
【Hot Chipsより】
時間軸が少し戻るが、本年のHot Chips(8月24−26日:Palo Alto, CA)について現時点までに目に入った内容が、以下の通りである。
◇Intel reveals 288-core Clearwater Forest Xeon at Hot Chips - 18A process' first outing promises big efficiency and performance gains―Intel's 288-core Xeon targets data center efficiency―Built on Intel’s 18A node, the all-E-core Xeon packs 288 cores per socket and promises big efficiency gains. (8月26日付け Tom's Hardware)
→インテルは、1ソケットあたり288個の高効率コアを搭載し、18Aプロセスで製造されるClearwater Forest Xeonプロセッサを発表した。来年出荷開始予定のこのプロセッサは、データセンターにおけるワット当たり性能の差を埋め、AMDのEpycシリーズに挑むことを目指している。
◇What Do LLMs Want from Hardware―Simple: More, more, more of everything… (9月8日付け Semiconductor Engineering)
→Hot Chipsで、Googleのvice president of engineering for Gemini, their LLM competitor to ChatGPT、Noam Shazeer氏は、Gemini、ChatGPT、Claude、LlamaなどのLLMがデータセンターのCapExのかつてない増加を促進していることを強調した。コンピューティングと推論の需要の急増により、AIインフラストラクチャの支出は 2030年までに$3〜4 trillionに達すると予測されている。
◇IBM Power Processor, This One Goes to 11―At Hot Chips, focus shifts from sockets to total system performance. (9月8日付け Semiconductor Engineering)
→IBMはHot Chips 25でPower11プロセッサーを発表し、ソケット設計よりもシステムレベルの効率性を重視している。Samsungの強化された7nmノードをベースに構築されたPower11プロセッサーは、コアあたりのパフォーマンス、スケーラビリティ、メモリ帯域幅、そして稼働時間を向上させ、AI主導のエンタープライズおよびクラウドワークロードを強化している。
【SK hynix関連】
HBMでAI対応をリード、HBM4でも先行量産、と現下の勢いを改めて確認させられる以下のそれぞれの内容である。
◇SK hynix retains No. 1 spot in global DRAM market in Q2: report (9月5日付け The Korea Times)
→1)SKハイニックスは第2四半期に世界のDRAM市場における優位性を強化し、シェアを39.5%に伸ばしてサムスンとの差を広げました。DRAM価格の上昇とHBMの堅調な需要により、世界売上高は前四半期比17.3%増の$30.9 billionとなった。
2)サムスン電子の市場シェアは、同期間において34.4%から33.3%に低下した。その結果、両社の差は2.5ポイントから6.2ポイントに拡大した。売上高では、SKハイニックスが第2四半期に$12.2 billionを計上したのに対し、サムスンは$10.3 billionで後れを取った。
◇SK hynix teams up with Naver Cloud for AI products (9月10日付け The Korea Times)
→SK hynixとNAVER Cloudは、AIソリューションの共同開発に関する提携契約を締結した。SK hynixの次世代メモリとストレージをNAVERの大規模データセンターに最適化することで、GPUの効率向上、AIサービスのコスト削減、そしてグローバル競争力の強化を目指す。
◇韓国SK、DRAM製造に高NAEUV露光装置導入 (9月10日付け 日刊工業)
→韓国・SKハイニックスは量産用の高NA(開口数)極端紫外線(EUV)露光装置を利川のM16ファブに導入した。メモリーメーカーでの高NAEUV露光装置の導入は初めてだという。既にSKハイニックスはEUV露光装置をDRAM製造に適用しているが、さらに最先端のDRAMで高NAEUV露光装置を適用する。
◇SK hynix starts supply of new high-performance NAND solution (9月11日付け Yonhap News Agency)
→SKハイニックスは、スマートフォンメーカー向けに新しいZUFS 4.1 NANDソリューションの供給を開始した。これにより、AIアプリの起動速度が47%向上する。このチップはゾーンストレージを活用することでパフォーマンスを向上させ、on-device AI(デバイス内AI)と大規模データ処理の需要増加に対応する。
◇SK hynix Maintains Memory Leadership with First HBM4―Here is what you need to know about the world’s first HBM4 memory device. (9月12日付け EE Times)
→SKハイニックスは、12層HBM4メモリチップの開発を完了し、NVIDIAを含む主要顧客にサンプルを納入してから6か月後、量産体制に入った。SKハイニックスは、初のHBM4デバイスの発売を、AIインフラの限界を克服する象徴的な転換点と位置付けている。
NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、SKハイニックスに対し、当初の2026年初頭の発売予定より6か月早く12層HBM4チップを供給するよう要請していた。その結果、SKハイニックスはHBM4の量産開始目標を2025年後半に前倒しした。
◇Hynix ready for mass production of HBM4―SK Hynix ready to mass produce HBM4 (9月12日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SK Hynixは本日、超高性能AI向け次世代メモリ製品「HBM4」の開発を完了し、世界初となる量産体制を整えたと発表した。
2)SK Hynixは、超高性能AIアプリケーション向けメモリ製品「HBM4」の量産開始の運びである。HBM4は2,048個のI/O端子を備え、前世代の2倍の帯域幅と40%以上の電力効率向上を実現している。また、動作速度はJEDEC規格の8ギガビット/秒を超え、10Gbpsを実現している。