4月の世界半導体販売高、前月比2.5%増;各社最先端の取り組みに注目
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高データが発表され、この4月について$56.96 billion、前月比2.5%増、前年同月比22.7%増である。昨年11月の月次最高、$57.82 billionに迫る水準で、AI(人工知能)分野需要が大きく引っ張る見え方が続いている。パソコン、スマホ、産業など従来の主要応用分野の立ち上がりが依然待たれる見え方である。市場特性の見極めが難しい状況が続く中、今後の有望な応用分野に向けた各社のさまざまな最先端の取り組みが目に入ってきている。微細化も2-nmの製品化を迎え、消費電力削減を狙ったAIメモリ、世界初の高速スイッチ、などそれぞれの推移&展開に期待をもって注目である。
≪4月の世界半導体販売高≫
米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓○4月のグローバル半導体販売高が、前月比2.5%増 …6月5日付け SIA/Latest News
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2025年4月のグローバル半導体販売高が$57.0 billionで、前月、2025年3月の$55.6 billionと比べて2.5%増、前年同月、2024年4月の$46.4 billionを22.7%上回った、と発表した。
月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「4月の世界半導体売上高は2025年に入って初めて前月比で増加した。世界市場は、南北アメリカとアジア太平洋地域への売上増加に牽引され、引き続き前年比で成長を続けている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「一方、WSTSの新たな業界予測では、AI、クラウドインフラ、そして先進的なコンシューマーエレクトロニクスへの需要が牽引し、2025年には世界市場が堅調に成長すると予測されている。」
地域別では、前年同月比で、the Americas (44.4%), Asia Pacific/All Other (23.1%), China (14.4%), Japan (4.3%), およびEurope (0.1%)と、すべてで増加した。4月の販売高前月比では、China (5.5%), Asia Pacific/All Other (5.3%), およびEurope (0.5%)で増加したが、Japan (-0.6%)およびthe Americas (-1.1%)では減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Apr 2024 | Mar 2025 | Apr 2025 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 12.64 | 18.45 | 18.25 | 44.4 | -1.1 |
Europe | 4.25 | 4.23 | 4.26 | 0.1 | 0.5 |
Japan | 3.59 | 3.77 | 3.74 | 4.3 | -0.6 |
China | 14.17 | 15.36 | 16.20 | 14.4 | 5.5 |
Asia Pacific/All Other | 11.79 | 13.77 | 14.50 | 23.1 | 5.3 |
計 | $46.43 B | $55.58 B | $56.96 B | 22.7 % | 2.5 % |
--------------------------------------
市場地域 | 11- 1月平均 | 2- 4月平均 | change |
Americas | 19.54 | 18.25 | -6.6 |
Europe | 4.11 | 4.26 | 3.7 |
Japan | 3.90 | 3.74 | -4.1 |
China | 15.54 | 16.20 | 4.3 |
Asia Pacific/All Other | 13.44 | 14.50 | 8.0 |
$56.53 B | $56.96 B | 0.8 % |
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さらに、SIAは本日、WSTSの2025年春季世界半導体販売高予測を承認した。この予測では、2025年の世界販売高は前年比11.2%増の$700.9 billionに達すると予測されている。2026年には、世界販売高は$760.7 billionに達すると予測されている。WSTSは、半導体トレンドに関する正確かつタイムリーな指標を提供する、世界中の半導体企業からの広範な情報収集に基づき、半期ごとの業界予測を作成している。
※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/06/April-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
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2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。3月は若干持ち直して、前月比減に歯止めを施す見え方となっている。四半期の締めで集中駆け込みの可能性もあり、引き続き推移に注視を要する。4月も引き続き盛り返して、2024年11月の最高に迫る水準である。今後も増勢が維持されるかどうか、注目である。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % | |
2024年 9月 | $55.32 B | 23.2 % | 4.1 % | |
2024年10月 | $56.88 B | 22.1 % | 2.8 % | |
2024年11月 | $57.82 B | 20.7 % | 1.6 % | |
2024年12月 | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % | $616.70 B |
年間最高更新 | ||||
2025年 1月 | $56.52 B | 17.9 % | -1.7 % | |
2025年 2月 | $54.92 B | 17.1 % | -2.9 % | |
2025年 3月 | $55.90 B | 18.8 % | 1.8 % | |
2025年 4月 | $56.96 B | 22.7 % | 2.5 % |
現下の半導体市場の動き関連を取り出して、以下の通りである。旺盛なAI需要で好調なTSMCおよびSK Hynixが目立つ一方、従来の応用分野の本格的に立ち上がる気配が依然捉え難い雰囲気を感じている。
◇SSD3四半期ぶり上昇、PC・サーバー用 メモリー逼迫 (6月3日付け 日経)
→パソコンに組み込む記憶装置、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の大口取引価格が3四半期ぶりに上昇に転じた。4〜6月期の価格は前四半期比で6%高い。主要部材であるメモリーの世界大手が減産したことで需給が逼迫し、値上がりで決着した。
◇[News] TSMC Reportedly Reaffirms 2025 Sales Growth of 24〜26%, Warns Tariffs May Push Up Prices (6月3日付け TrendForce)
→TSMCのCEO、C.C. Wei氏は6月3日の株主総会で、AI需要の堅調な伸びに支えられ、2025年の売上高は24〜26%増加すると予測した。Wei氏は関税リスクを軽視し、中東への事業拡大計画はないと明言し、そしてIntelへの投資に関する噂を否定した。
◇TSMC reiterates strong growth from AI (6月4日付け Taipei Times)
→1)半導体関税:TSMCは、米国商務省に対し、関税に関する懸念を表明し、競争力を守るために「公正な扱い」を求めると表明した。
2)TSMCは、米国の関税懸念にもかかわらず、NVIDIAをはじめとするAIチップの需要急増により、2025年の売上高が25%増加すると予測している。CEOのC.C. Wei氏は、米国におけるコスト上昇を警告し、UAEにおけるファブ建設計画の報道を否定した。
◇Apple and Samsung smartphone growth to take hit from tariff uncertainty: Counterpoint Research (6月4日付け CNBC)
→1)*調査会社カウンターポイント・リサーチは、「米国の関税をめぐる不確実性が再燃している」ことを理由に、2025年の世界スマートフォン出荷台数の成長率予測を前年比4.2%から1.9%に下方修正したと発表した。
*アップルの出荷台数は2025年に前年比2.5%増と予想されている一方、サムスンの出荷台数は横ばいと見込まれている。
*カウンターポイント・リサーチのAssociated Director、Liz Lee氏は、「関税は予測修正に影響を与えているものの、北米だけでなく欧州やアジアの一部地域における需要の低迷も考慮に入れている。」と述べた。
2)カウンターポイント・リサーチは、関税をめぐる不確実性と世界的な需要の低迷を受け、アップルとサムスンの2025年の出荷台数予測を引き下げた。アップルは2.5%増、サムスンは0%増と予想されている一方、ファーウェイは11%増と、トレンドに逆行する見通しとなっている。
◇SEMI Reports Global Semiconductor Equipment Billings Increased 21% Year-Over-Year in Q1 2025 (6月5日付け SEMI)
→SEMIは、前四半期から季節的に5%減少したにもかかわらず、AIによる工場拡張が牽引し、2025年第1四半期の世界の半導体装置販売額が前年同期比21%増の$32.05 billionに達したと報告した。
◇SK hynix overtakes Samsung in global DRAM market for 1st time in Q1: report (6月5日付け Yonhap News Agency)
→SKハイニックスは、HBMの急速な成長に牽引され、1992年以来初めて世界のDRAM市場シェアでサムスンを上回った。市場全体の落ち込みにもかかわらず、SKハイニックスは第1四半期に36.9%のシェアを獲得し、サムスンの34.4%を上回った。
◇DRAM、韓国SK首位 1〜3月世界売上高 サムスン抜く (6月6日付け 日経)
→台湾の調査会社トレンドフォースは、半導体メモリーの一つであるDRAMの2025年1〜3月期の世界シェア(売上高ベース)で、韓国SKハイニックスが初の首位になったと発表した。SKは生成AI向けに高性能品「HBM」の量産を広げ、これまでトップだった韓国サムスン電子を抜いた。
関税や規制を巡る米国政府の動きには注目せざるを得ないなか、半導体は新技術&新製品の日進月歩の展開がなにより魅力と改めて強まる思い&感じ方となる。そんな気分に相応するように、各社のさまざまな最先端の取り組みが目に入ってきて、以下の通りである。
[インテル]
◇AI用新型メモリー開発 消費電力半分に ソフトバンクやインテル、新会社設立 (5月31日付け 日経)
→ソフトバンクと米インテルがAIに使う新型の大容量メモリーを開発する。東京大学なども参加し、2020年代の実用化を目指す。AIの計算過程で大量のデータを瞬時に処理するメモリーの消費電力を現行製品の半分に減らす。日本での高効率なAIインフラ構築に生かす。
AI半導体のなかで一時記憶の役割を担う半導体メモリーのDRAMで新しい構造の製品を開発する。基板にメモリーを積み上げる際にメモリー同士をつなぐ配線などの構造を変える。現在最先端の「広帯域メモリー(HBM)」と比べ消費電力を半分程度に減らす。
◇Intel and SoftBank collaborate on power-efficient HBM substitute for AI data centers, says report―Aiming for viable demos in 2027, commercialization before 2030 (6月1日付け Tom's Hardware)
→米チップ大手、インテルは、日本の技術・投資大手、ソフトバンクと提携し、HBMに代わる積層型DRAMを開発した。日経アジアによると、業界の巨人である両社は、インテルの技術と東京大学を含む日本の学術機関の特許に基づき、試作品を作るためにSaimemory(サイメモリー)を設立した。同社は、2027年までにプロトタイプを完成させ、量産可能性を評価することを目標としており、10年以内の商業化を最終目標としている。
◇Intel and Softbank explore alternative to HBM―Reports: Intel, SoftBank eyeing a DRAM alternative to HBM (6月2日付け Electronics Weekly (UK))
→1)ソフトバンクとインテルが設立した新会社「Saimemory」が、HBMの半分の消費電力でHBMに代わる積層型DRAMを開発中であると、日本経済新聞が報じている。
2)日経の報道によると、インテルとソフトバンクは、HBMに代わる積層型DRAMを開発するためにサイメモリーを設立し、2029年までの商業化を目指しているという。この構想には最大$70 millionが投じられる見込みで、HBMと比較して消費電力を半減させることが課題となる。
◇Intel leak confirms new CPUs: Bartlett Lake and Wildcat Lake―Reports: Intel's next CPUs revealed―An "official" reference should give these two chips a little more credibility. (6月3日付け PCWorld)
→インテルの次期中央演算処理装置(CPUs)の計画がリーク文書で明らかになり、Bartlett LakeおよびWildcat Lakeといったコードネームが紹介された。Bartlett Lakeは、最大24コアを搭載するモバイル向けのIntel Core Series 2チップとして記載されている。Wildcat Lakeは、薄型軽量PCs向けに18Aプロセスで製造される可能性がある。今回のリークは、QualcommおよびAdvanced Micro Devices(AMD)に対抗するインテルの取り組みを浮き彫りにしている。
◇Next-gen Intel CPUs break cover - Nova Lake-S/U and LGA 1700 Bartlett Lake-S appear in official docs―Don't mistake a reference for official confirmation. (6月3日付け Tom's Hardware)
→熱心なハードウェア愛好家、InstLatX64がXで明らかにしたように、Intelの公式文書には、Intelの今後の製品ラインの詳細がいくつか記載されている。ロードマップには、デスクトップ(S)および低消費電力モバイル(U)向けのNova Lake、そして噂されているLGA 1700プラットフォーム向けのPコアのみのBartlett Lake-Sファミリーなど、いくつかの新製品が概説されている。とはいえ、この文書の性質上、単なる参考資料を決定的な確認と誤解しないことが重要。
[Broadcom]
◇Targeting AI Workloads, Broadcom Reveals ‘World’s First 102.4 Tbps Switch’ (6月3日付け All About Circuits)
→*本日発表されたこの高性能スイッチ IC は、AI ネットワークのスケルアップとスケールアウトを可能にし、コ・パッケージド・オプティクス(CPO)をサポートする。
*ブロードコムは本日、「世界初の102.4Tbps スイッチ」と呼ぶ Tomahawk 6シリーズスイッチの出荷を発表した。All About Circuitsは、ブロードコムのデータセンター・スイッチ製品ライン・マネージャーであるPete Del Vecchio氏にインタビューする機会を得て、この製品の詳細を直接聞いた。
◇Broadcom ships Tomahawk 6, world’s first 102.4 Tbps switch in a single chip―Broadcom's Tomahawk 6 ships with 102.4 Tbps capacity (6月4日付け New Electronics (UK))
→1)Broadcom は、世界で初めてシングルチップで毎秒102.4テラビットのスイッチング容量を実現した Tomahawk 6 スイッチシリーズの出荷を開始した。
2)Broadcom は、シングルチップで毎秒102.4テラビットのスイッチング容量を提供し、既存のイーサネットスイッチの帯域幅を2倍にする世界初の Tomahawk 6 スイッチシリーズの出荷を開始した。AIネットワーク向けに設計されたこのスイッチは、100G/200G SerDesとco-packaged optics(CPO:コ・パッケージ光学系)をサポートする。電力効率の向上とコスト削減を目指し、動的な輻輳[フクソウ]制御(通信ネットワークに許容量を超える伝送要求が殺到して混雑状態になる[輻輳]を回避、緩和するために行われる通信制御)、高度な遠隔測定および迅速な障害検出機能を備えており、Mixture of Experts (MoE:複数の専門家モデル[expert]とゲーティング機構を組み合わせることで、大規模なモデルを効率的に学習・推論するための手法)や強化学習などのAIワークロードに適している。
◇Broadcom shipping Tomahawk 6 (6月4日付け Electronics Weekly (UK))
→ブロードコムはこのほど、Tomahawk 6 スイッチシリーズの出荷を開始しており、1つのチップで102.4テラビット/秒のスイッチング容量を実現し、これは、市販されているイーサネットスイッチの2倍の帯域幅に相当する。
[Micron]
◇Micron shipping world’s first 1-Gamma-based LPDDR5X―Micron ships LPDDR5X memory for AI on smartphones (6月4日付け New Electronics (UK))
→1)マイクロン テクノロジーは、世界初となる1γノードベースの低消費電力ダブルデータレート5倍速(LPDDR5X)メモリの認定サンプル出荷を開始した。
2)マイクロン テクノロジーは、1γノードをベースとした世界初となる低消費電力ダブルデータレート5倍速メモリのサンプル出荷を開始した。このメモリはスマートフォン向けに設計されており、10.7Gbpsのスピードグレードと最大20%の省電力性能を誇る。
◇Micron takes lead in LPDDR5X race with early 1γ-based mobile memory shipment―Micron rolls out 1γ-based LPDDR5X memory for AI smartphones (6月5日付け DigiTimes)
→マイクロンテクノロジーは、1γベースのLPDDR5Xメモリの量産を開始し、AI搭載スマートフォン向けに高速・低消費電力DRAMを供給する競争において、サムスン電子やSKハイニックスといったライバルを凌駕する。
[Nvidia]
中国市場向けの対応である。
◇Nvidia reportedly developing new AI chip for China that meets export controls - B30 could include NVLink for creation of high-performance clusters―Nvidia's B30 chip could be headed to China, reports say―NVLink or PCIe-based ConnectX-8 SuperNICs? (6月2日付け Tom's Hardware)
→1)The Informationによると、H20チップの中国への輸出禁止を受けて、NvidiaはマルチGPUスケーリング対応機能を備えたB30と名付けられたBlackwellベースの代替品を設計していると報じられている。複数のリーク情報では、このアクセラレータの名称が「RTX Pro 6000D」から「B40」、そして今回の「B30」へと変化しており、おそらく近々登場するBXXファミリーの中で異なるバリエーションを示しているものと思われる。
2)Nvidiaは、米国の輸出規制を遵守するため、中国市場向けにBlackwellベースのAIチップを開発していると伝えられている。B30はマルチGPUスケーリングを特徴とし、コンシューマーグレードのRTX 50グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)と同様にGDDR7メモリを使用すると予想されている。
◇Nvidia builds new AI chip for China with powerful computing cluster capabilities: report―Company plans to produce more than 1 million units of its new China-tailored B30 chip this year, according to The Information (6月2日付け South China Morning Post)
→Nvidiaは、米国の輸出規制強化を回避し市場シェアを守るため、中国専用のAIチップ「B30」を開発している。7月に登場予定のこのチップは、高性能クラスタリングを可能にし、急速に進歩するファーウェイのAIプロセッサーに対抗することを目指している。
[TSMC]
2-nm、1.6-nmウェーハの価格設定があらわされている。
◇[News] TSMC’s 2nm Wafers Rumored to Soar to $30K Per Unit, Yet CSP Giants Reportedly Rush to Adopt by 2027 (6月2日付け TrendForce)
→TSMCの2nmチップは、ウェーハ1枚当たり$30,000と高騰しており、$725Mの開発費にもかかわらず、主要プレーヤーを引きつけている。AMD、アップル、クアルコム、そしてマイクロソフトやAWSのようなトップCSPsは、性能と独立性を高めるために2027年までの採用を計画している。
◇TSMC could charge up to $45,000 for 1.6nm wafers - rumors allege a 50% increase in pricing over prior-gen wafers―TSMC may stick a $45K price tag on 1.6nm wafers, reports say ―That's a lot. (6月4日付け Tom's Hardware)
→TSMCが今年後半にN2(2nmクラス)プロセス技術によるチップ製造開始に向けて準備を進める中、N2ウェハの価格設定、そしてそれ以降のノードの価格設定に関する噂が浮上している。TSMCがN2技術を用いたウェハ1枚あたり最大$30,000の料金設定を計画していることは既に報じられているが、台湾のChina Timesは、同社が「より高度なノード」、つまりA16(1.6nmクラス)ノードについて、ウェハ1枚あたり最大$45,000の料金設定を計画していると報じている。
[ASE]
先端実装対応である。
◇ASE bets on new chip tech to handle AI’s rising power and speed needs―ASE unveils packaging innovation for AI, HPC applications (6月3日付け DigiTimes)
→ASEは、AIおよび高性能コンピューティング (HPC)アプリケーションの増大する電力と帯域幅のニーズに対応するために設計された、シリコン貫通ビア(TSV)統合によるFOCoSブリッジ(FOCoS-Bridge:Fan Out Chip on the Substrate-Bridge)という新しいパッケージングイノベーションを発表した。
[Xiaomi]
中国・XiaomiのモバイルSoCについて、以下の通りである。
◇Xiaomi's XRing O1 stirs 'self-developed' chip debate with Arm DNA and custom AI engines―Xiaomi debuts XRing O1 SoC with TSMC's 3nm tech (6月2日付け DigiTimes)
→シャオミのLei Jun会長は5月22日、同社初の自社製モバイルSoC「XRing O1」を発表し、半導体設計におけるシャオミの「first answer sheet」と称した。TSMCの第2世代3nm(N3E)ノードで製造されたこのチップは、190億トランジスタを搭載している。
◇Xiaomi’s chip design is a PR stunt (6月3日付け Taipei Times)
→シャオミは3nmのXring O1チップを中国のチップ設計における画期的なものとして発表したが、批評家は政治的な演出だと主張している。国内製造能力を持たないシャオミは依然としてTSMCに依存しており、米中が緊張する中、技術の独立性を主張する根拠となっている。
以上それぞれの今後の推移、そして引き続く新たなエントリーに注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□6月2日(月)
米中の応酬から首脳電話協議に続いていく今週である。
◇米中、貿易協議停滞で非難の応酬 レアアース規制・学生ビザ取り消し (日経 電子版 17:27)
→米中による貿易協議の停滞を巡り両国が非難を強めている。中国商務省は2日、トランプ米大統領が「中国が5月の米中合意を破った」と批判したことに反発した。米国による留学生ビザ取り消しなどが合意に反すると強調した。
□6月3日(火)
前2日は上げ、続く2日は下げ、そして締めは雇用統計を受けて上げる推移の今週の米国株式市場である。景気見通しに揺れる見え方である。
◇NYダウ、3日続伸 米中首脳協議への期待が支え (日経 電子版 06:26)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比35ドル41セント(0.08%)高の4万2305ドル48セントで取引を終えた。ハイテク株の一角に買いが入ったほか、貿易交渉の進展期待が投資家心理の支えとなった。半面、トランプ米政権の貿易政策の不透明感は根強く、ダウ平均は400ドル余り下げる場面があった。
OECDが、今年の世界経済成長率見通しを引き下げている。
◇25年世界成長2.9%に下げ OECD経済見通し、米関税負担重く (日経 電子版 16:00)
→経済協力開発機構(OECD)は3日発表した経済見通しで、2025年の世界の成長率を2.9%と予測した。3月時点より0.2ポイント引き下げた。トランプ米政権による関税引き上げを受けた貿易や投資の伸び悩みが深刻で、特に米国では成長鈍化とインフレが同時進行する不安定な状況が続くとみる。
□6月4日(水)
◇NYダウ、続伸し214ドル高 半導体株中心に買い (日経 電子版 07:07)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比214ドル16セント(0.50%)高の4万2519ドル64セントで終えた。米企業によるAI開発の加速が意識され、半導体株を中心に買いが入った。トランプ米政権が中国を含む貿易相手国・地域と交渉を進めるとの期待も相場の支えとなった。
ダウ平均の構成銘柄ではエヌビディアが2.7%高となった。QUICK・ファクトセットによると、時価総額が3兆4501億ドルとマイクロソフトを抜き米市場で1位となった。
□6月5日(木)
◇NYダウ小幅反落、91ドル安 景気懸念が重荷 (日経 電子版 06:08)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比91ドル90セント(0.21%)安の4万2427ドル74セントで終えた。高い関税率が米景気に悪影響を及ぼすとの懸念を強める経済指標の発表を受け、景気敏感株の一角を中心に売りが優勢になった。ダウ平均はこの日の安値で取引を終えた。米国と貿易相手との交渉が進むとの楽観も根強く、ダウ平均は高く推移する場面もあった。
□6月6日(金)
◇米中首脳、関税協議の継続と相互訪問で合意 レアアース規制も議論 (日経 電子版 05:05)
→トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が5日、電話で協議した。中国によるレアアースの輸出規制などを話し合い、関税政策を巡る2度目の米中閣僚級協議を早期に開くと確認した。両首脳が互いに訪問し合うことでも一致した。トランプ氏や中国外務省が明らかにした。
◇NYダウ続落、労働市場の減速懸念で テスラ急落も重荷 (日経 電子版 06:08)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比108ドル00セント(0.25%)安の4万2319ドル74セントで終えた。米国の労働市場が減速しているとの懸念が相場の重荷となった。トランプ米大統領とテスラのCEOを務めるイーロン・マスク氏の関係悪化が表面化したことでテスラ株が急落し、投資家心理が悪化した。
□6月7日(土)
◇S&P500、3カ月半ぶり6000台回復 「M7」が上昇4割超けん引―市場関係者、「現時点で関税は雇用に悪影響なし」 (日経 電子版 06:26)
→6日の米株式相場は反発し、多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数は前日比1%高の6000で引けた。3カ月半ぶりに大台を回復し、1月のトランプ米政権発足直前を上回った。テック大手が相場をけん引し、4月以降の指数上昇分の4割超が主要7社「マグニフィセントセブン」によるものだった。
別の主要な指数、ダウ工業株30種平均も前日比443ドル(1%)高の4万2762ドルで終えた。S&P500の構成銘柄の約8割の銘柄が上昇し、ほぼ全面高の展開となった。エネルギーや通信、一般消費財などの上昇が目立つ。
≪市場実態PickUp≫
【CHIPS法関連】
バイデン政権での2022年CHIPS and Science Actはいまどうなっているのか。本法による取引協定の再交渉が行われるとのこと。関連評論ととともに、以下の通りである。
◇US is reworking subsidy awards to chipmakers: Lutnick (6月6日付け Taipei Times)
→ハワード・ラトニック米国商務長官は、納税者への追加負担なしに国内投資を促進するため、CHIPS法に基づく協定の再交渉を行うことを確認した。同長官はTSMCの$100B規模の事業拡大を称賛し、同盟国に対し、ファーウェイのAscendのような中国製AIチップの使用に警告を発した。
◇Assessing CHIPS Acts Value, Tariffs and Semi Equipment Growth―We reflect on some of the highlights of the week in the electronics industry. (6月6日付け EE Times)
→私は読書家の一人です。ただし、小説は読みません。仕事中であろうとなかろうと、自分の周りの世界についてたくさん読みます。最新のトレンドを追いかけ、興味深い研究論文を読み、誰が何を言っているのかを確かめます。
後者に関して、今週私の目に留まったのは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載されたT.J. Rodgers氏の意見記事です。同氏は半導体補助金を福祉に例え、1987年に試みられて失敗した経緯を説明し、2022年のCHIPS and Science Actはその繰り返しだと提言しています。
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【GlobalFoundries関連】
トランプ政権の支持のもと、米国における半導体製造強化に向けて、GlobalFoundriesが$16 billionの投資計画を発表している。バイデン政権時でもこの種の発表があった覚えである。
◇GlobalFoundries announces $16 billion U.S. chip production spend - striking spending boom follows demand from domestic customers―GlobalFoundries to spend $16B on chip production in US―GF's announcement outpaces its annual construction spend by 10x (6月4日付け Tom's Hardware)
→グローバルファウンドリーズは、米国における半導体製造能力の拡大に$16 billionを投資する計画だ。内訳は、バーモント州とニューヨーク州の工場拡張に$13 billion、シリコンフォトニクスや窒化ガリウム(GaN)といった先端パッケージング技術と新技術に$3 billion。同社は、米国製半導体の生産を支えるため、アップル、AMD、クアルコム、NXPセミコンダクターズなどと提携している。
◇GF to invest $16B for reshoring chip manufacturing, praising Trump (6月4日付け Fierce Electronics)
→グローバルファウンドリーズは、国内製造業の促進に数十億ドル規模の資本を投じる企業のリストに加わった。今回のケースでは、アップルを含む大手企業と提携し、バーモント州とニューヨーク州に拡張された自社工場でチップを製造していく。
◇GlobalFoundries Announces $16B U.S. Investment to Reshore Essential Chip Manufacturing and Accelerate AI Growth (6月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→グローバルファウンドリーズは本日、トランプ政権と協力し、サプライチェーンの重要部品の国内化を目指す大手テクノロジー企業の支援を受け、ニューヨーク州とバーモント州の施設における半導体製造および先進パッケージング能力の拡大に$16 billionを投資する計画を発表した。グローバルファウンドリーズのこの投資は、データセンター、通信インフラおよびAI対応デバイス全体にわたる電力効率と高帯域幅性能を実現する次世代半導体の需要を加速させているAIの爆発的な成長に対する戦略的な対応である。
◇GlobalFoundries Pledges $16 Billion U.S. Investment with Trump’s Help ―GlobalFoundries pledges a significant chip investment with backing from Trump, Apple and SpaceX. (6月5日付け EE Times)
→グローバルファウンドリーズは、アップルやスペースXなどのテクノロジー大手やドナルド・トランプ米大統領の支持を得て、米国の半導体製造に$16 billionを投資することを約束した。
◇GlobalFoundries plans to spend US$16 billion to boost US chip production (6月5日付け Taipei Times)
→グローバルファウンドリーズは、米国での半導体生産拡大に$16 billionを投資する計画で、ニューヨーク州とバーモント州の工場、および先進パッケージングの研究開発に注力する。この動きは、AI主導の需要と、国内供給の安全安定性に対する顧客の高まる要望をターゲットとしている。
【Huawei関連】
米国の制裁を受けるなか、Huaweiは、中国国内の半導体企業60社に出資、自立化に向けたサプライチェーンの拡充が行われた経過があらわされている。いままた、同社のAI向けAscend半導体が、米国政府の標的になっている。
◇ファーウェイ、自国で供給網 19年以降、半導体60社に出資 量産へコスト・精度課題 (5月31日付け 日経)
→ファーウェイは米国の制裁が始まった19年に100%出資の投資会社「哈勃(ハッブル:Hubble Technology Investment)」を設立し、半導体関連の中国企業に投資を広げてきた。中国の調査会社IT桔子のデータを基に日本経済新聞社が集計したところ、実績は60社以上に上る。別の中国の企業情報サイト「天眼査」でも、50社以上の株主となっていることを確認した。
◇[News] Huawei Reportedly Invests in 60+ Chinese Chip Firms to Build Homegrown Supply Chain (6月2日付け TrendForce)
→2019年の米国制裁以来、ファーウェイはHubble(ハッブル)部門を通じて60社以上の中国半導体企業に投資し、研究開発コストの上昇と利益減少にもかかわらず、設計、材料、および製造にわたって自立したチップサプライチェーンを積極的に構築してきた。
◇Huawei claims better AI training method than DeepSeek using own Ascend chips (6月4日付け South China Morning Post)
→1)Huaweiは米国技術への依存度低減を目指しており、AIモデルアーキテクチャにおける同社の進歩は大きな成果をもたらす可能性がある。
2)Huaweiの研究者たちは、新たなMixture of Grouped Experts(MoGE)アーキテクチャを用いてAIトレーニングを進化させ、既存モデルよりも効率性と性能を向上させた。Ascend NPUsでテストされたPanguは、米国の技術制裁にもかかわらず、英語と中国語のベンチマークで競合他社を凌駕するパフォーマンスを示した。
◇Huawei Challenges U.S. Sanctions, Aims to Mass-produce 3nm Chips Next Year―Reports: Huawei plans to mass-produce 3nm chips by 2026 ―Partners with SMIC for Semiconductor Independence Despite EUV Equipment Hurdles (6月5日付け BusinessKorea (South Korea))
→中国のIT大手、ファーウェイは、来年から3nmプロセスを採用した半導体チップの量産を開始する計画だと報じられている。業界関係者は、既存のEUVリソグラフィー装置の輸入が不可能な状況を踏まえ、ファーウェイは中国国内の技術を基盤としたサプライチェーンの自立を目指していると指摘している。
◇ファーウェイ新PC、独自半導体搭載か (6月6日付け 日経MJ(流通新聞))
→中国通信機器大手の華為技術が、6日に発売するノート型パソコン2機種に独自開発の半導体を搭載するとの見方が強まっている。独自開発の基本ソフトを初めて採用するのに加え、コア部品の半導体も米インテル製から自前に切り替える見通し。
【Nvidia関連】
Nvidiaの株式時価総額が、4か月ぶりマイクロソフトを抜いて首位に戻る動きとともに、同社のBlackwellチップのベンチマークでの圧倒的に優れるパフォーマンスについて、以下の通りである。AI需要がさらに高まる期待を膨らませている。
◇Nvidia tops Microsoft, regains most valuable company title for first time since January―Nvidia surpasses Microsoft in market value (6月3日付け CNBC)
→1)*エヌビディアは火曜3日に時価総額でマイクロソフトを抜き、再び世界で最も価値のある上場企業となった。
*エヌビディアの成長は、OpenAIをはじめとする企業がChatGPTなどのソフトウェア開発に使用しているAIチップによって牽引されている。
2)エヌビディアは時価総額$3.45 trillionでマイクロソフトを抜き、世界最大の上場企業となった。エヌビディアの株価は、AIチップへの旺盛な需要を背景に、過去1ヶ月で約24%上昇した。同社の第1四半期決算では、売上高が前年同期比69%増加した。
◇Nvidia’s Blackwell Conquers Largest LLM Training Benchmark ―New MLPerf training results put AMD’s MI325X accelerator on par with Nvidia’s H200 (6月4日付け IEEE Spectrum)
→Nvidiaは最新のMLPerfトレーニングベンチマークで圧倒的なパフォーマンスを発揮し、特にMetaの大型Llama 3.1 403Bモデルの事前トレーニングにおいて、すべてのライバルを凌駕した。AMDの新型MI325Xは、微調整においてNvidiaのH200に匹敵する性能を示したが、依然として1世代遅れをとっている。
◇Nvidia says its Blackwell chips lead benchmarks in training AI LLMs―Nvidia touts Blackwell chips in MLPerf AI benchmarks (6月4日付け VentureBeat)
→NVIDIAによると、同社のBlackwellチップは、最近のMLPerfトレーニングベンチマークにおいて、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングや画像生成といったタスクにおいて前世代のチップを上回る優れたパフォーマンスを示したという。TycheやNyxといったスーパーコンピュータに搭載されているBlackwellアーキテクチャは、Llama 3.1 405B事前トレーニングベンチマークにおいて、従来のHopperアーキテクチャと比較して2.2倍のパフォーマンスを実現した。
◇NVIDIA、時価総額4カ月ぶり世界首位に 成長期待再び高まる (6月4日付け 日経 電子版 09:08)
→米エヌビディアの時価総額が3日、約3兆4500億ドル(約500兆円)と終値ベースで米マイクロソフトを上回り世界首位になった。QUICK・ファクトセットによると、終値で世界首位になるのは約4カ月ぶり。AI半導体の需要が縮小する懸念が後退し、成長期待が再び高まっている。
【TSMC関連】
TSMCの半導体工場建設について、中東・UAEの憶測が否定されている。
熊本第2工場の着工時期についての現時点とともに、以下の通りである。
◇TSMC evaluates advanced fab in UAE (6月2日付け Taipei Times)
→1)高まる懸念:一部のトランプ政権高官は、TSMCの別のプロジェクトが米国での投資を危うくする恐れがあるとして、UAE進出に反対した。
2)TSMCは、米国の承認を条件として、UAEに大規模なチップ製造施設を建設する計画を模索している。このプロジェクトは湾岸のAIの野心に沿ったものだが、米国政府高官は国家安全保障と国内投資の優先順位を脅かす可能性があると警告している。
◇TSMC denies UAE plant rumors (6月3日付け Tech in Asia)
→TSMCのCEOであるC.C. Wei氏は、UAEでの半導体工場建設に関する憶測をきっぱりと否定し、報道は根拠がないとし、インテルへの出資の可能性に関する過去の誤った噂と比較した。
◇Start of TSMC’s 2nd fab construction in Kumamoto postponed (6月4日付け Taipei Times)
→TSMCは、熊本県における第2ウェハ工場の建設を、最初の工場の建設に伴う交通渋滞の影響で延期した。CEOのC.C. Wei氏は、建設開始前にインフラ問題の解決に向けて日本当局と協議中だと述べた。
◇TSMCが熊本の渋滞に苦言 第2工場着工時期巡り地元で波紋―新生シリコンアイランド (6月5日付け 日経 電子版 12:49)
→TSMCの定時株主総会での発言を巡り、熊本県で波紋が広がっている。同社は3日、熊本県の第2工場の着工時期を遅らせた理由について、交通渋滞への影響を避けるためだと説明した。県などは渋滞対策を急ぎ、建設へ向けた支援を続ける考えだが、半導体業界の一部では投資を先送りする動きもあるだけにTSMCの動向が注目される。
◇TSMCの「渋滞」発言 熊本で波紋 改善への道筋描けるか 地元、第2工場建設へ支援継続(新生シリコンアイランド) (6月6日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→TSMCの定時株主総会での発言を巡り、熊本県で波紋が広がっている。同社は3日、熊本県の第2工場の着工時期を遅らせた理由について、交通渋滞への影響を避けるためだと説明した。県などは渋滞対策を急ぎ、建設へ向けた支援を続ける考えだが、半導体業界の一部では投資を先送りする動きもあるだけにTSMCの動向が注目される。
【ECTC 2025】
半導体製造の後工程分野における世界最大の国際イベントとされるECTC 2025が、5月27〜30日、テキサス州Dallasにて開催。先端実装の重みが高まるなか、一層の注目であるが、以下今回の概要関連である。
◇On The Ground At ECTC 2025―Inside Chips Podcast: Much more efficient computing, faster interconnects, and panel-level packaging. (6月2日付け Semiconductor Engineering)
→上級編集長のLaura Peters氏がIEEEのECTCの主要なトレンドを解説し、ハードウェアとソフトウェアの統合によって消費電力が削減される仕組みや、co-packaged optics(CPO:共パッケージ化された光学系)、ハイブリッド ボンディング、およびファンアウト パネル レベル パッケージング(FOPLP)の進歩によって電子機器製造が大きく変化していることに焦点を当てている。
◇ECTC 2025 Celebrates Seventy-five Years of Pushing the Connectivity Scale (6月2日付け 3DInCites)
→ECTC 2025は、75周年を記念してドローンショーを開催し、記録的な2,500人の参加者を集め、AIのための持続可能なパッケージングソリューションにスポットライトを当てた。基調講演とセッションでは、ハイブリッドボンディング、熱管理、およびフォトニクスが、コンピュートパワーにおける将来のブレークスルーとして取り上げられた。