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Computexより2nm半導体レース、AI工場;米国半導体規制、また波乱?

台湾で開催の世界最大級のテックイベント、Computex Taipei(5月20-23日:Taipei Music Center)、今年のテーマは「AI Next」となっている。2nm半導体レース、AI工場、AIパソコンなどがキーワードの見出しとともに、Nvidia、インテルなど半導体関連各社の今後に向けたプレゼンが行われている。Computexにおいても然り、米国の半導体規制を巡るまた一波乱の様相である。トランプ大統領中東訪問でAI関連の巨額プロジェクト投資が打ち上げられたばかりであるが、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が米国の対中国AI半導体輸出規制は中国がいっそう台頭、米国が大きく損害を被るとして批判し修正を求めたのに対し、米国当局が却下するやりとりとなっている。

≪台湾での様々な注目≫

Computexより、主要なキーワードでの以下、分類&取り出しである。

まず、2nm半導体レース。AMD、MediaTekが特に注目である。

◇AMD Claims TSMC’s 2nm Process Is Superior To All Alternatives Out There; Reveals Possibility of Adopting Samsung As Well―AMD to use TSMC's 2nm process for next-gen Epyc CPUs―AMD Is the First Customers of TSMC's 2nm Process And Will Employ it for Their Next-Gen EPYC Venice CPUs (5月18日付け Wccftech)
→AMDはTSMCの2nmプロセスの最初の顧客の1つであり、同社はこの台湾の巨大企業が2nm競争の勝者であると宣言し、他のファウンドリはこのプロセスに匹敵しないと主張した。
 半導体業界は現在2nmプロセスでしのぎを削っているが、IntelやSamsungのような企業がそれぞれの最先端プロセスで大きな進歩を示していることから、今回の競争はかなり厳しいものとなっている。

◇MediaTek to tape out 2nm chip at TSMC in Sept, MediaTek CEO says (5月19日付け Yahoo/Reuters)
→台湾のチップ設計会社、メディアテックは、2025年9月にTSMCのファウンドリーで2ナノメーターの新型チップをテープアウトする予定だと、メディアテックのRick Tsai CEOが火曜20日に台北で開催されたCOMPUTEXフォーラムで語った。

◇MediaTek Confirms 2nm Chipset Plans - And Qualcomm Should Be Worried―CEO: MediaTek to debut 2nm SoC, challenging Qualcomm (5月20日付け Android Headlines)
→Rick Tsai CEOによると、メディアテックは9月にTSMCのファウンドリーで2ナノメーターのSoCを導入し、2026年のリリースを目指す計画だ。このチップは、前世代と比較して最大15%の性能向上と25%の消費電力削減を実現し、メディアテックがクアルコムとより効果的に競争できるようになると期待されている。

◇MediaTek Announces That It Will Commence Tape-Out Of Its First 2nm Chipset In The Fourth Quarter Of 2025, As It Attempts To Obtain A Lead Against The Competition (5月20日付け Wccftech)
→最初の2nmチップは来年まで期待できず、MediaTekは今年後半にリリースするDimensity 9500ではTSMCの第3世代3nmプロセスにこだわると伝えられている。しかし、この台湾のファブレス半導体メーカーは、2025年第4四半期に2nmシリコンのテープアウトを開始すると発表することで、世界をリードするチップセットプロバイダーになるために減速するつもりはないことを表明したかった。

◇Computex 2025: 2nm race heats up as MediaTek, Qualcomm, and Apple gear up for 2026 launches―2026 already shaping up to be a hot year for 2nm (5月21日付け DigiTimes)
→Computex 2025の基調講演で、メディアテックのRick Tsai CEOは、今年9月のテープアウトを目指す同社初の2nmチップを発表した。

NvidiaとFoxconnの連携によるAI工場、すなわち台湾でのAIスーパーコンピューター構築が、以下の通りである。

◇Foxconn builds AI factory in partnership with Taiwan and Nvidia―Nvidia CEO hails "new industrial revolution" with Foxconn (5月19日付け VentureBeat)
→Nvidiaは、Foxconnおよび台湾政府との提携を深め、10,000台のBlackwell GPUsを搭載したAI工場用スーパーコンピュータを構築する。Foxconnの子会社であるBig Innovation Co.がNvidia Cloud Partnerとしてインフラを提供する。国家科学技術委員会はクラウドコンピューティングに該スーパーコンピューターを用い、TSMCがR&Dに向けて用いる。「AIは新たな産業革命に火をつけた 」と、NvidiaのJensen Huang CEOがComputexにて。
 「台湾のAIインフラ構築を支援するためにFoxconnと台湾と提携し、AIとロボティクスの時代におけるイノベーションを推進するためにTSMCと他の大手企業を支援できることを嬉しく思う」と付け加えた。

◇Nvidia teams up with Foxconn to build an AI supercomputer in Taiwan―This AI supercomputer could help TSMC build the next generation of AI chips. (5月19日付け Tom's Hardware)
→NvidiaのJensen Huang CEOは、Computex 2025の基調講演で、Foxconnと協力して台湾にAIスーパーコンピューターを構築すると述べた。Nvidiaによると、Foxconnの子会社であるBig Innovation CompanyとNvidia Cloud Partnerとして協力し、同社が該プロジェクトに導入する1万個のNvidia Blackwell GPUsに必要なインフラを提供するという。これは、現在20万個のGPUsを搭載しているマスク氏のMemphis Superclusterほどの規模ではないが、それでも数億米ドル相当の相当な投資だ。

◇NVIDIAファンCEO「台湾にAIスパコン」 鴻海・TSMCと (5月19日付け 日経 電子版 18:54)
→米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは19日、台北市内で講演し、AI向けの大規模スーパーコンピューターを台湾につくると発表した。主要サプライヤーでもある鴻海精密工業やTSMC、台湾の科学技術当局と協力する。

以下、各社などキーワード分類で概要&動きの取り出しである。

[Nvidia関連]

◇Nvidia announces new tech to keep it at the center of AI development (5月19日付け CNBC)
→1)*Nvidiaの新しい 「NVLink Fusion」プログラムは、顧客やパートナーがNvidia以外のCPUsやGPUsをNvidiaの製品やNVLinkと組み合わせて使用できるようにするものだ。
  *「NV link fusionは、セミカスタムチップだけでなく、セミカスタムAIインフラを構築できるようにするものだ」と、Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは台湾で開催されたComputex 2025で述べた。
  *「柔軟性が加わることで、NvidiaのGPUベースのソリューションの競争力が、代替の新興アーキテクチャに対して向上する」と、あるアナリストは述べている。
 2)NvidiaのCEOであるJensen Huang氏は、Computex 2025でNVLink Fusionを発表し、顧客がNvidia以外のCPUsやASICsをNvidia GPUsと統合できるようにした。この動きは、多様化が進むデータセンター・アーキテクチャにおけるGPUの優位性を維持しながら、NvidiaのAIフットプリントを拡大する。

◇Onward and upward for Nvidia―More from Computex: Nvidia unveils chip, forecasts next-gen architecture (5月19日付け Electronics Weekly (UK))
→本日未明、台湾で開催されたComputexで、NvidiaのJensen Huang CEOは、Grace BlackwellチップをアップグレードしたGB300 Blackwell Ultraを第3四半期に出荷すると発表した。

◇Nvidia opens its tech for custom AI infrastructure (5月20日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、NVLink Fusionを発表し、高速AIインターコネクト技術をMediaTekやAlchipなどのパートナーに開放した。この動きにより、ハイパースケーラはNvidiaチップとサードパーティのCPUsを使ってカスタムAIインフラを構築できるようになり、台湾のAIエコシステム開発が加速する。

◇Nvidia CEO Huang makes surprise visit to SK hynix booth at Computex 2025 (5月20日付け The Korea Times)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は、Computex 2025の期間中にSK hynixのブースにサプライズで立ち寄り、同社の次期HBM4メモリを賞賛した。SK hynixのAI責任者の案内で、Huang氏は該チップメーカーのイノベーションを賞賛し、台湾における技術的な強い絆を再確認した。

◇NVIDIA’s CEO Claims That They Have No Option Other Than TSMC For Chips, Rules Out Partnership With Intel & Samsung Foundry In The US―Nvidia CEO: TSMC is only choice for advanced packaging (5月22日付け Wccftech)
→NvidiaのJensen Huang CEOは、台北での記者会見で、半導体供給、特にChip-on-Wafer-on-Substrate(CoWoS)技術について、TSMCへの依存を強調した。 Huang氏は、IntelやSamsungからの代替は実行不可能であると指摘した。

[Foxconn関連]

◇Smart computing demand to remain, Hon Hai says (5月21日付け Taipei Times)
→FoxconnのYoung Liu会長はComputexで、NvidiaのOmniverseを使用したAI搭載ロボットで工場を変革し、生産性を高めて人間の作業負荷を軽減する計画を発表した。フォックスコンはまた、スマートEVsと都市技術を進化させ、AIを活用して産業の専門知識を拡大する。

[Qualcomm関連]

◇Qualcomm to launch data center processors that link to Nvidia chips―Qualcomm teases AI-focused data center CPUs (5月19日付け CNBC)
→1)*クアルコムは、NvidiaのGPUsとソフトウェアに接続できるデータセンター向けのカスタムCPUを発表する予定だと述べた。
  *Nvidiaのインフラへの接続は、この米国の大手チップメーカーの半導体がAIに関連することを考えると、データセンターへの参入を望むプレーヤーにとって鍵となる。
  *データセンターへの参入は、事業を多角化するクアルコムの広範な戦略の一環である。
 2)クアルコムは、Nvidia社のGPUsおよびソフトウェアと互換性のあるデータセンター向けカスタムCPUsを発表する計画を発表した。クアルコムは以前、プロセッサの設計能力を強化するためにNuvia社を買収しており、この構想はクアルコムのデータセンター市場への再参入を示すものである。
  「今後数十年にわたり、この分野で多くの成長が見込まれると思っており、そして、我々は真の付加価値を高めることができる技術をいくつか持っている。」と、CNBCの取材に対しクアルコムのCEOであるCristiano Amon氏。「だから我々は非常に破壊的なCPUを持っていると思う。」
 3)クアルコムは、AIワークロード向けにNvidia GPUsと連携するように設計されたカスタムCPUで、データセンター市場への再参入を計画している。インテルとAMDをターゲットとするクアルコムは、この分野を破壊し、スマートフォン用チップ以外の多様化を目指している。

◇Qualcomm CEO highlights ties with TSMC, Taiwan ODMs (5月20日付け Taipei Times)
→クアルコムは、TSMCおよび台湾のODMsとの関係を深め、AI PCの事業拡大を図っている、とCEOのクリスチアーノ・アモン氏はComputexで述べている。同氏は、Snapdragon Xを搭載したラップトップが急成長を遂げ、米国では9%の市場シェアを獲得し、ヨーロッパではトップ5の地位を獲得していることを強調した。

[インテル]

◇Intel eyes enhanced Taiwanese partnerships (5月20日付け Taipei Times)
→1)インテル コーポレーションは昨日、鴻海精密工業やチップメーカーのUMCなどのOEM(相手先ブランドによる電子機器製造)企業を含む台湾のエコシステム・パートナーとのパートナーシップを強化する決意を固めた。
  「今夜は新たな始まり。私たちは台湾のエコシステムと新たなパートナーシップを結ぶ」と、インテルの新CEOであるTan Lip-bu氏は、米国の該大手チップメーカーが台湾に進出してから40周年を記念して開催された、現地パートナー代表との夕食会で語った。
 2)インテルのタン・リップブーCEOは、台湾のエコシステムへのコミットメントを再確認し、インテル復活のための文化改革、人材再建、および顧客第一の戦略を誓った。40周年記念イベントでは、ホンハイやUMCといった主要パートナーとの協力関係を強調した。

◇Intel's quiet charm offensive contrasts Nvidia's exuberant touch at Computex 2025―Intel's strategic vision for AI leadership unveiled at Computex (5月22日付け DigiTimes)
→Computex 2025では、ハイテク業界で最もパワフルなCEOsたちは、単にチップを展示しただけではない。彼らは自分自身を誇示していたのだ。Computex 2025では、次世代AIシステムや大胆な戦略ロードマップが注目を集めたが、このイベントで最も注目を集めたインテルのLip-Bu Tan CEOとNvidiaのJensen Huang CEOからは、対照的な2つのリーダーシップ・スタイルが登場し、両者とも独自の方法で台湾のテック・エリートを魅了した。

[今回の概要関連]

◇[News] Four Themes to Watch at Computex 2025 - Beyond Just NVIDIA (5月19日付け TrendForce)
→Computex 2025では、エヌビディアのJensen Huang氏が中国およびサウジアラビアでのAIチップ取引でヘッドラインを独占する一方、フォックスコンがスポットライトを浴びる。貿易摩擦とAI投資の減速は、ハイテク業界の世界的なロードマップに警戒感をもたらす。

◇AI reshapes Taiwan's industrial landscape: Structural reforms must transcend rhetoric―Computex 2025: AI took center stage (5月22日付け DigiTimes)
→5月20日から5月23日まで開催されるComputex 2025は、「AI Next」と「AI in Action」を中心テーマとしている。今年の展示会では、AIロボティクス、エッジ・コンピューティング・アプリケーション、次世代技術、ドローン、未来のモビリティなどが強調されている。

Computexに合わせたタイミングでのITRI主催イベントである。

◇Global Semiconductor Forum Highlights Democratic Cooperation to Strengthen Supply Chain Resilience (5月23日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→地政学的リスクの高まりと世界的なサプライチェーンの変化に対応するため、台湾・工業技術研究院(ITRI)は5月23日、台北で世界半導体サプライチェーン・パートナーシップ・フォーラムを開催した。世界民主主義諸国のための半導体サプライチェーン・パートナーシップに関する政府の取り組みに沿って、フォーラムでは「イノベーション」「セキュリティ」「レジリエンス」および「繁栄」というテーマの下、サプライチェーンのセキュリティ、グローバルな連携、そして技術の補完性について議論した。このイベントには、台湾の外国貿易事務所の代表者を含む、700名を超える業界リーダーと政府関係者が参加した。

さて、米国半導体規制を巡る波乱の動きであるが、Computexを控えるタイミングでの関連する動きから、以下の通りである。

◇Nvidia says it is not sending GPU designs to China after reports of new Shanghai operation (5月16日付け CNBC)
→1)*Nvidiaは、上海にR&Dセンターを建設中との報道を受けて、GPUの設計図を中国に送ることはないと述べた。
  *「輸出規制を遵守するために修正するGPU設計を中国に送ることはない」と広報担当者はCNBCに声明を出した。
  *Jensen Huang CEOは先月、上海のGong Zheng市長と新センターの可能性について話し合った、と『フィナンシャル・タイムズ』紙はこの件に詳しい情報筋の話を引用して報じている。
 2)Nvidiaは、上海に研究開発センターを計画しているにもかかわらず、GPU設計を中国に送らないことを確認した。ジェンセン・フアンCEOは、規制が強化される中での機敏さを強調し、$50 billion規模に成長する中国のAI市場を強調した。

◇China’s lack of advanced chips hinders broad adoption of AI models: Tencent executive (5月16日付け South China Morning Post)
→1)ワシントンの最新チップ輸出規制は中米間のAI導入格差を拡大しかねない、とTencent CloudのWang Qi氏が指摘
 2)Tencentは、先進的なGPUsに対する米国の輸出規制が中国のAI成長を妨げ、米国との技術格差を広げると警告している。企業が国産チップに適応する一方で、小規模クラスタによるブレークスルーは希望を与えるものの、スケーリング法には限界がある。

◇Tech war: US curbs on global use of Huawei chips add uncertainty to China’s AI investment (5月16日付け South China Morning Post)
→1)米国の輸出規則に関する新たな指針は、世界的な野心を持つ中国企業がファーウェイのプロセッサを使用することを抑止する可能性があるとアナリストは指摘する。
 2)ファーウェイのAscendチップの使用を輸出違反の可能性があるとする米国の新しいガイドラインは、中国のAIへの野心を揺さぶった。中国企業は今、米国の罰則とNvidiaチップへのアクセス制限の間で厳しい選択を迫られており、インフラ投資が滞っている。

◇Nvidia CEO sees ‘no evidence’ of AI chip diversion into China (5月17日付け South China Morning Post)
→1)ドナルド・トランプ大統領率いる米国の中東訪問団に合流後、フアン氏が講演、エヌビディアのハードウェアの貿易開放を称賛
 2)エヌビディアのジェンセン・フアンCEOは、厳格な顧客コンプライアンスと大規模なハードウェアを理由に、AIチップの中国への横流しに関する懸念を否定した。同氏は、トランプ大統領がバイデン政権時代の輸出規制を撤廃したことを称賛し、アメリカのイノベーション・リーダーシップにはグローバルな技術アクセスが不可欠だと訴えた。

◇Nvidia plans to build a research center in China (5月17日付け Taipei Times)
→米国の輸出規制強化に直面しているNvidiaは、中国のAI市場向けのソリューションを調整するため、上海にR&Dセンターを開設する予定である。中核となる設計と生産は、米国の規制とIP移転制限を遵守するために海外に残す。

◇AI半導体ファーウェイ台頭、エヌビディアに危機感、7兆円中国市場で後手 (5月18日付け 日経)
→米エヌビディアが中国通信機器大手、華為技術の台頭に危機感を強めている。米政府がAI半導体の対中輸出規制を強化したあおりで7兆円規模になると見込む中国市場に技術を投入できていない。中国でファーウェイ製が主流になれば、世界での競争でも後手に回りかねない。

◇China Semiconductor Ambition and Adversity―Building a fortress amidst global headwinds (5月19日付け EE Times)
→中国は、世界的な輸出規制の中で自給自足を目指し、積極的な国家主導の投資によって半導体産業を急速に拡大させている。最先端のEUV技術はないものの、成熟したノード、パッケージング、そしてDUV技術を使った7nmチップ生産が進んでいる。

◇[News] NVIDIA Ditches Hopper, Reportedly Turns to Blackwell for China-Specific AI Chip (5月19日付け TrendForce)
→NVIDIAはBlackwellアーキテクチャをベースとした中国向けカスタムAIチップを開発中で、米国の規制に対応するためH20に置き換えていく。このチップはTSMCの4nm需要を押し上げ、強力なAI能力を持つ中国の大手企業をターゲットにしている。

中国のAI分野での台頭が意識される中、Computexが開かれているが、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が米国のAI半導体輸出禁止措置を批判しており、以下の通りである。

◇Nvidia CEO Jensen Huang says U.S. ban on AI chip exports "a failure," says spread of U.S. chips vital to competitive advantage―Nvidia CEO: US AI chip export bans are counterproductive―Jensen Huang believes that the U.S. should diffuse its AI tech across the globe instead of stopping its rivals from getting it. (5月20日付け Tom's Hardware)
→エヌビディアのJensen Huang CEOは、米国が課したAIチップの輸出禁止措置を批判し、中国企業に技術革新と競争力のあるAIハードウェアの生産を促したとして「失敗」とレッテルを貼った。フアン氏は、米国のチップ輸出禁止と制裁措置が、Nvidiaの中国における市場シェアを低下させたと指摘し、バイデン政権発足以降、市場シェアは95%から50%に低下したと述べた。

◇This is why Nvidia’s CEO thinks U.S. export controls on chips haven’t worked―Nvidia CEO Jensen Huang said U.S. export controls have only encouraged Chinese chip competitors, while locking his company out of the market (5月21日付け MarketWatch)
→エヌビディア・コーポレーションは、米国の貿易規制下で中国事業への挑戦が増す中、この規制が実際には中国企業をさらに前進させていると警告している。
 Wall Street Journalが報じたところによると、ジェンセン・フアンCEOは、欧米企業から中国のハイテク企業への最先端チップの販売を制限することで、中国の技術進歩を抑制することを目的とした米国の輸出規制は、中国におけるAIのイノベーションを後押ししているだけだと述べた。同時に、この規則がNvidiaを市場から締め出し、自国の競合他社にシェアを譲っている、と同氏は付け加えた。

◇[News] Jensen Huang: NVIDIA’s China Market Share Plummets from 95% to 50% amid U.S. Export Curbs (5月21日付け Trend Force)
→Computex 2025で、NVIDIAのCEO、Jensen Huang氏は、米国チップ輸出管理を非難、NVIDIAの中国市場占有率を半分にし、アクセスをハイエンドのAIチップに制限することによって売上げを大幅削減したとしている。

◇Jensen Huang says U.S. chip restrictions have cut Nvidia’s China market share nearly in half (5月22日付け CNBC)
→1)*エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは昨夜、米国の半導体輸出規制は「失敗」だと述べた。
  *台湾で開催されたAI見本市「COMPUTEX」で、フアンCEOは、これらの政策によって同社の中国市場シェアが95%から50%に低下したと述べた。
  *フアンCEOの警告は明確だ。米国がアプローチを見直さなければ、中国市場と世界のAI競争における優位性を失う可能性がある。
 2)エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、米国の半導体輸出規制を「失敗」と非難し、中国よりも米国企業に悪影響を及ぼしていると警告した。フアンCEOは、中国の急速なAI技術の進歩と、エヌビディアが両国の間で微妙なバランスを取っていることを強調し、政策の見直しを促した。

◇Nvidia’s boss slams US’ policies (5月22日付け Taipei Times)
→1)「輸出規制の失敗」:Jensen Huang氏は、ワシントンはAIの普及スピードを最大化すべきであり、なぜなら、そうしなければ競合他社が有利になるからだ、と語った。
 2)Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは、米国の対中AIチップ輸出規制は失敗だと非難し、Nvidiaの市場シェアを削り、中国のAI成長に拍車をかけ、そして在庫評価損$5.5 billionを出したと述べた。同氏は米国の新たな政策を促した。

◇NVIDIAファンCEO、米国の対中AI半導体規制は「失敗」 (5月21日付け 日経 電子版 13:39)
→米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは21日、台北市内で記者会見し、米国によるAI半導体の対中輸出規制について「全体として失敗だった」と話した。米政府は半導体規制を段階的に強化し、4月にはエヌビディア製の「H20」を対象に加えた。

さらに半導体規制に関係する動き、内容を以下に示す。

◇Tech war: Xiaomi’s new 3-nanometre chip takes on rival products from Apple, Qualcomm (5月20日付け South China Morning Post)
→1)このチップは、先端半導体に対する米国の輸出規制が強化される中、中国の技術自給推進にとって新たなマイルストーンとなる。
 2)Xiaomiが、3-nanometre XRing O1チップの量産を開始、次期スマートフォンおよびタブレットに搭載する。このSoCは、Appleのトップチップに匹敵し、米国の半導体規制がエスカレートする中、Xiaomiの技術自給の推進を浮き彫りにしている。

◇TSMC to White House: You Want US-Made Chips? Knock It Off With the Tariffs―TSMC joins tech industry voices against chip tariffs―Plans to tariff foreign-made semiconductors could derail TSMC's plans to spend $165 billion on semiconductor factories in Arizona. (5月21日付け PC Magazine)
→TSMCは、商務省の輸入半導体への関税賦課案に対して強い反発を示し、関税賦課は同社の顧客製品に対する需要を減少させ、アリゾナ州への$165 billionの投資のスケジュールに影響を与える可能性があると警告した。デルとHPも国内インフラが不十分であるとして関税に懸念を表明しているが、インテルはより微妙なスタンスをとっており、米国製ウェハーと外国製装置の免除を主張している。

◇China warns of legal consequences to those involved in US chip measures (5月21日付け Reuters)
→中国は、中国からの先端半導体を使用しないよう企業に助言する米国の措置を支援または実施するいかなる個人または組織に対しても法的措置を取る可能性があると述べた。米国は先週、深センに本社を置くファーウェイのAscend AIチップを企業が使用した場合、輸出規制に違反するリスクがあるとするガイダンスを発表した。

◇TSMC calls on Washington to drop tariffs on semiconductors made outside the U.S.―TSMC, Dell, and HP all say it’s bad for business. (5月22日付け Tom's Hardware)
→米商務省は、米国に到着した半導体に関税を適用する計画について一般に意見を求め、ハイテク企業数社が文書で抗議した。PC Magによると、TSMCは、より強い言葉で回答しており、チップに輸入関税を適用すれば、顧客の電子製品の需要が大幅に減少すると警告している。これは収益の大幅な減少につながり、アリゾナへの$165 billionの投資のスケジュールにも影響する。

米国政府当局は、NvidiaのCEO、Huang氏の上記の警告を却下している。

◇US to keep curbs on chips to China (5月23日付け Taipei Times)
→トランプ政権は、中国へのAIチップ輸出を制限する強硬姿勢を再確認し、NvidiaのJensen Huang CEOの警告を退けた。同盟国のためのルール緩和には前向きだが、当局者は中国からのアクセスに絡む安全保障上のリスクに対する超党派の懸念を挙げた。

なお波乱含みの様相のAI半導体規制、そして半導体関税について、米中はじめ世界各国・地域の反応&対応に引き続き注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□5月17日(土)

ムーディーズの米国格付けランクの引き下げである。

◇Moody’s downgrades United States credit rating, citing growth in government debt―Moody's downgrades US credit rating amid debt concerns (CNBC)
→1)*ムーディーズは米国の国債を最高格付けに維持することに固執しており、116年の歴史を持つ同機関はライバルと肩を並べることになる。
  *米国の信用度を引き下げる決定は、投資家が米国債を購入する際に要求する利回りを引き上げ、より多くのリスクを反映したものになると予想され、株式を含む米国資産を保有するセンチメントを低下させる可能性がある。
 2)Moody's Ratingsは、米国の政府債務負担の増大と金利コストの上昇を指摘し、米国の格付けを最高ランクのAaaからAa1に引き下げた。格下げによって米国債の利回りは上昇すると予想され、米国資産に対する投資家心理に悪影響を及ぼす可能性がある。ムーディーズの今回の動きは、S&PやFitch Ratingsによる過去の格下げと並ぶものである。

□5月19日(月)

◇米中摩擦緩和も世界景気は減速 欧州やタイ下振れ、日系企業も逆風 (日経 電子版 19:25)
→トランプ関税が世界経済の先行きに影を落としている。タイ政府は19日、2025年の経済成長率予想を下方修正した。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会も域内の見通しを引き下げた。米中の貿易摩擦を巡る懸念は和らいだが、景気の下押し圧力が残る。

□5月20日(火)

下げが優勢、4万1,603.07ドルで締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸137ドル高 米国債格下げも、金利上昇一服 (日経 電子版 07:32)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前週末比137ドル(0.3%)高の4万2792ドルで終えた。前週末に米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国債の格下げを発表した。一時300ドル超下げたものの、市場の想定を上回る懸念材料は示されていないとして3日続伸で終えた。

トランプ大統領の税制改革案推進である。

◇Trump’s Economic Agenda Hinges on Tax Bill That Divides His Own Party―Trump pushes tax bill as GOP remains divided―President puts pressure on Republicans to pass the legislation, move past policy disagreements (The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ大統領は、共和党内の分裂にもかかわらず、数兆ドル規模の税制改革案を推進しており、中間選挙前の議会勝利を目指している。この法案には、チップ、残業代および社会保障給付に対する減税と、子ども税額控除の引き上げが含まれているが、民主党はMedicaidや食糧援助の削減を挙げ、富裕層への恩恵というレッテルを貼って反対している。

□5月21日(水)

◇NYダウ4日ぶり反落、114ドル安 利益確定売り広がる (日経 電子版 05:58)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比114ドル83セント(0.26%)安の4万2677ドル24セントで終えた。前日に3月上旬以来の高値を付けた後で、主力株に持ち高調整や利益確定の売りが広がった。米長期金利が上昇したことも、株式の相対的な割高感が意識された。

□5月22日(木)

中東関係国の実情があらわされている。

◇湾岸アラブ、米国に「290兆円」投資 原油安で懐事情は厳しく (日経 電子版 02:29)
→サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦の湾岸アラブ3カ国は、13〜16日のトランプ米大統領の訪問中に巨額の対米投資を決めた。米国の発表によると総額は2兆ドル(約290兆円)にのぼるが、各国の財政は原油安や歳出拡大を背景に悪化しており懐事情は厳しい。

◇NYダウ続落、816ドル安 米長期金利が一時4.6%に上昇 (日経 電子版 06:05)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比816ドル80セント(1.91%)安の4万1860ドル44セントで終えた。財政悪化を巡る懸念から米長期金利が一段と上昇した。金利上昇が株式の相対的な割高感を高めるとの見方から株売りが膨らんだ。ダウ平均の下げ幅は一時890ドルを超えた。


≪市場実態PickUp≫

【中国の設計対応】

上にもAI分野での台頭が示されているが、半導体はじめ中国主要各社の設計対応関連が以下の通りである。

◇ファーウェイが初の独自OSパソコン キーボード部分も全面有機EL (5月19日付け 日経 電子版 20:19)
→中国通信機器大手の華為技術は19日、独自開発のOSを搭載するノート型パソコン2機種を発売すると発表した。同社のパソコンはOSに米マイクロソフトの「ウィンドウズ」を採用してきたが、初めて自社製のOSを搭載する。6月6日に発売する。

◇Xiaomi to invest 50 billion yuan in chip development (5月20日付け Taipei Times)
→Xiaomiは今後10年間で500億元を投資し、ハイエンドスマートフォンチップを開発する、と創業者のLei Jun氏が発表した。この動きは、米中ハイテク摩擦の高まりと国家的自給自足目標の中で、半導体への新たなプッシュを示すものである。

◇3ナノ半導体、小米が開発 スマホ用、米社製依存減らす (5月20日付け 日経)
→中国スマートフォン大手の小米は19日、スマホ用の半導体を独自開発したと発表した。回路線幅は3ナノメートルと、「iPhone」の最新機種に搭載される先端品と同等。供給を受けている米クアルコムなどへの依存を減らす狙いだ。
 小米の雷軍CEOがSNSの公式アカウントで明らかにした。半導体の名称は「玄戒O1」。複数機能を1つのチップに集約したSoCで、開発に4年以上かけ、研究開発に135億元(約2700億円)を投じたという。

◇Xiaomi cracks the 3nm barrier with XRing O1: Qualcomm faces a new reality―Xiaomi's XRing O1 challenges Qualcomm with 3nm tech (5月21日付け DigiTimes)
→5月22日夜、Xiaomiは自社開発の3nmモバイルSoCであるXRing O1を発表する予定だ。これは同社の技術的成熟度と、中国の半導体独立に向けた幅広い取り組みを強調する動きとなるだろう。

◇自前半導体で脱インテル ファーウェイ 独自OSのPC搭載か (5月22日付け 日経)
→中国通信機器大手の華為技術が、6月6日に発売するノート型パソコン2機種に独自開発の半導体を搭載するとの見方が強まっている。独自開発のOSを初めて採用するのに加え、コア部品の半導体も米インテル製から自前に切り替える見通し。

◇Xiaomi stands as one of China’s biggest semiconductor investors, founder Lei Jun says―Lei said Xiaomi has allocated US$6.9 billion for semiconductor development in China over a 10-year period (5月22日付け South China Morning Post)
→スマートフォン大手のシャオミは、10年間で500億元($6.9 billion)の支出計画を背景に、半導体開発における中国トップ3の投資家の1つであると、同社の創業者で会長兼CEOのレイ・ジュン氏は述べた。 中国のマイクロブログサイト、Weiboへの月曜19日の投稿で、レイ氏は、シャオミが135億元を支出し、XRing O1 SoCの開発に2500人のR&Dスタッフを配置した後、4月の時点で該マイルストーンを達成したと記した。

◇小米、「Apple並み」半導体披露 開発費は5年で4兆円に倍増へ (5月23日付け 日経 電子版 00:26)
→中国スマートフォン大手の小米は22日、2026年から5年間で研究開発費として2000億元(約4兆円)を投じると発表した。25年までの5年間に比べ2倍に増やす。スマホなどに搭載する先端半導体やEVなどの競争力を引き上げる。自社で設計した回路線幅3ナノメートルの半導体「玄戒O1」を開発したとも発表した。

◇ファーウェイ、自前でAI基盤 新型サーバーや高性能モデル 米輸出規制で開発着々 (5月23日付け 日経)
→中国通信機器大手の華為技術が自前でAIの基盤を築いている。自社開発の半導体を使った新型サーバー群を稼働させ、同社製半導体で開発した高性能AIモデルも発表した。米国による半導体の輸出規制で技術へのアクセスが限られる中で、AIを開発、運用するための能力を着実に高めつつある。

◇Xiaomi Corp founder touts new chip (5月23日付け Taipei Times)
→シャオミの創業者Lei Jun氏は大胆な技術ロードマップを発表し、3nmのXring O1チップをデビューさせ、電気SUVのYU7を予告した。R&Dとチップ開発に$35 billionを投じるシャオミは、アップル、テスラ、およびファーウェイに匹敵する企業を目指している。


【IMEC ITF】

Imecのイベント、ITF World 2025にて、プログラマブルAI半導体の提唱はじめ、以下の関連内容である。

◇Programmable AI Silicon Would Help Meet AI Workload Demand (5月19日付け EE Times)
→1)Imec ITF World 2025で、imecのCEOは、AIワークロードのペースに追いつくためには、シリコンハードウェアがソフトウェアとほぼ同等のコーディングが可能になる必要があると語る。
 2)AIが、ハードウェア、ソフトウェア、オートメーションなど、あらゆる課題を推進していることは間違いない。このことは、先週カリフォルニア州マウンテンビューのコンピュータ歴史博物館で開催された「Silicon Catalyst Spring 2025 Portfolio Company Update」の最後に行われた「AI Chrysalis Chronicles」パネルディスカッションで明らかになり、パネリストたちは、AIがもたらすエネルギー需要について議論したが、シリコンの技術革新がそれを救うだろうと楽観視していた。しかし、その救済はどのような形でもたらされるのだろうか?今週、ここベルギーのアントワープで開催されるITF World 2025カンファレンスで、imecのLuc Van den hove(ルック・ヴァン・デン・ホーヴ)CEOは、AIの未来はハードウェアの革新にかかっており、それはプログラマブルなAIシリコンという形でもたらされる可能性が非常に高いと語る予定だ。
 3)ITFワールド2025で、imecのルック・ヴァン・デン・ホーヴCEOは、AIの爆発的な成長にはハードウェアの抜本的な転換が必要だと警告した。同氏は、急速に変化するAIのワークロードに合わせて進化するプログラマブルでリコンフィギュラブルなシリコンを提唱し、エネルギーの浪費や資産の座礁を防ぐ。
 4)ITFワールド2025で、imecのルック・ヴァン・デン・ホーヴCEOは、AIの未来はリコンフィギュラブルでプログラマブルなシリコンにかかっていると宣言した。同氏は、現在のハードウェアはAIソフトウェアの需要に遅れをとっていると警告し、エネルギー使用量の増加と座礁資産を防ぐために柔軟なアーキテクチャへの移行を促した。

◇Top semiconductor lab imec eyes 'programmable' AI chips, CEO says (5月19日付け Reuters)
→*AIのボトルネック回避には再構成可能なチップ・アーキテクチャが必要 - Imec CEOのVan den hove氏
 *ハードウェア開発に時間がかかりすぎ、コストとリスクが高すぎる
 *プログラマブルなネットワーク・オン・チップ(NoC)と3Dスタッキングを使用した将来のチップを予測

◇Imec presents prototype of ingestible sensor for health monitoring―Imec debuts an ingestible sensor for gut health monitoring (5月19日付け New Electronics (UK))
→1)研究・技術革新の拠点であるImecは、今週アントワープで開催されるITF World 2025で、高度に小型化された摂取可能センサーのデモンストレーションを行う予定だ。
 2)アイメックは、現在のカプセル内視鏡よりも3倍小さく、酸化還元バランスを測定する初のデバイスと言われる小型化された摂取可能センサーのプロトタイプを発表した。このセンサーはpHと温度も測定し、20秒ごとに最長1週間測定できる。

◇Imec ITF World 2025: Gut Health, BioSensing and Lead-Free SWIR Camera―Discover imec's advances in gut health sensors, biosensing technology and more at ITF World 2025. Watch the video interviews now! (5月19日付け EE Times)
→Imecの年次ITF World会議が本日ベルギーのアントワープで開幕し、Luc van Den Hove CEOが基調講演の冒頭で、AIモデルの需要に対応するための課題と、AIソフトウェアと同様に迅速に開発できる再構成可能なAIシリコンの必要性について語った。
 約2,000人が参加するこのイベントは、imecとそのエコシステムにおけるマイクロエレクトロニクスの最新研究のショーケースである。
 [摂取可能なセンサーで腸の健康を読み解く]今日のimecでのデモのひとつは、OnePlanet Research Centerで開発された、高度に小型化された摂取可能センサーのプロトタイプであった。

◇Luc Van den hove proposes reconfigurable AI ICs―Imec calls for reconfigurable AI chips to meet demand (5月20日付け Electronics Weekly (UK))
→1)ImecのLuc Van den hove CEOは明日、Imecの年次イベント「ITF」での講演で、リコンフィギュラブルAIチップを提案する予定だ。
 2)Imecのルック・ヴァン・デン・ホーブCEOは、将来のAIの進歩を妨げるリスクを回避するために、チップ分野は再構成可能な設計を採用する必要があると警告している。「というのも、AIハードウェアがようやく完成する頃には、進歩の速いAIソフトウェア・コミュニティは別の方向に進んでいるかもしれないから。」

◇ITF World 2025: A Conversation with Imec CEO, Plus Day 2 Wrap―Discover new tech from ITF World 2025 with insights from imec CEO Luc Van den hove and experts. (5月21日付け EE Times)
→ベルギーのアントワープで開催されたimecのITF World 2025会議が2日目を終え、同研究所のLuc Van den hove社長兼CEOにインタビューし、イベントの内容、主な収穫、そして急成長するAI駆動社会の大きな課題に対処する技術の進歩について、当面の展望を語ってもらった。


【フランスの立ち位置】

台湾・FoxconnがフランスにOSAT半導体工場建設に投資、マクロン大統領が歓迎するとともに、アジアへの接近の様相である。

◇Foxconn to open Europe’s first fan-out wafer level packaging plant―Foxconn to build advanced packaging plant in France (5月20日付け New Electronics (UK))
→1)Foxconnは、フランスでThalesおよびRadiallと合弁会社を設立し、先端半導体パッケージングおよびテスト(OSAT)に注力することを含む欧州への2億5000万ユーロの投資を発表した。
 2)Foxconnは、RadiallおよびThalesとのジョイントベンチャーを通じて、フランスにヨーロッパ初の先進的なファンアウト・ウェハーレベルのパッケージング(FO-WLP)およびテスト施設を建設するために$281 millionを投資すると発表した。この施設は自動車、航空宇宙、防衛および6G通信分野をターゲットとする。

◇French President Macron thanks Hon Hai for semiconductor investment (5月22日付け Taipei Times)
→フランスのEmmanuel Macron大統領は、ThalesおよびRadiallとの合弁事業に2億5000万ユーロを投資し、フランス初のOSAT半導体工場を建設したフォックスコンを称賛した。このプロジェクトは、フランスと台湾の結びつきを強化し、欧州の宇宙・防衛技術の発展に貢献する。

◇マクロン仏大統領、シャングリラで初演説 アジアと連携に活路 (5月24日付け 日経 電子版 05:00)
→フランスのマクロン大統領は30日からシンガポールで開くアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席し、欧州首脳として初めて演説する。トランプ政権下で米国が国際協調と距離を置く現状を踏まえ、米国とも中国とも異なる連携先として欧州を選ぶよう、アジアの国々に呼びかける。


【RISC-V関連】

グローバルなオープンソース・チップアーキテクチャに発展しているRISC-Vも15周年とのこと。自動車はじめさらなる展開に注目である。

◇Automotive Industry Charts New Course with RISC-V―The open-source RISC-V architecture is becoming a preferred choice for the European automotive semiconductor industry. (5月16日付け EE Times)
→1)欧州の自動車産業は、歴史的に長い開発サイクルと複雑でやや隔離されたエコシステムを特徴としてきたが、根本的に変革しつつあり、RISC-Vは重要な技術として台頭している。
  ソフトウェアで定義された自動車、電動化、および高度な自律システムの台頭により、自動車メーカーとそのサプライヤーは、より高度でカスタマイズされた安全な処理能力を求めている。
 2)欧州の自動車業界は、Software-Definedアーキテクチャへの移行が進む中、次世代自動車の動力源としてRISC-Vを採用している。自動車メーカーは、ベンダーのロックインを回避するため、オープンで安全かつ柔軟なプラットフォームを求め、自動車および産業部門全体のイノベーション、標準化、および主権を推進している。

◇The RISC-V World Sees Changes, Milestones, and Innovations―RISC-V turns 15―It’s been a year of change so far for the RISC-V movement, from new leadership to an outpouring of hardware. (5月20日付け All About Circuits)
→RISC-Vは、Andrea Gallo(アンドレア・ガロ)氏をRISC-VインターナショナルのCEOに任命し、15周年を迎える。RISC-Vのリーダーシップによって設立されたSiFive社は、Kinara社と提携し、RISC-Vベクトル・プロセッサの能力を紹介するHiFive Xara X280開発モジュールを発表した。

◇RISC-V Turns 15 With Fast Global Adoption ―Open architecture reshaping the global semiconductor landscape. (5月22日付け EE Times)
→2010年にカリフォルニア大学バークレー校のプロジェクトから生まれたRISC-Vは、グローバルなオープンソース・チップアーキテクチャへと発展した。RISC-Vは、その柔軟性とコスト優位性から受け入れられ、ヨーロッパ、中国、そして商業市場で大きな勢いを見せており、半導体設計を急速に変革している。


【AI関連】

上記のComputexでも色濃いAIであるが、以下それぞれに今後の推移に目が離せないAI関連の動き&内容である。

◇Microsoft、クラウドで「Grok3」提供 マスク氏のAI企業とも連携 (5月20日付け 日経 電子版 06:41)
→米マイクロソフトは19日、米起業家イーロン・マスク氏が率いるAI開発企業の米xAIと連携すると発表した。クラウドサービス大手として初めて、xAIの技術を自社クラウドを通じ顧客に提供する。提携先の米オープンAIへの依存を減らし、複数のAI企業と中立に組む構えだ。

◇Google検索にAI、月3万円のサブスク開始 「ネット=無料」に転機 (5月21日付け 日経 電子版 11:40)
→米グーグルが生成AIを使ってネット検索を刷新する。米オープンAIなど競合のAI検索サービスに対抗策を打ち出した。AI導入は広告事業を下押しするリスクもある。グーグルは収益確保のために月額3万円超のAI機能も提供する方針で、同社が培ってきた無料モデルは転換点を迎えている。

◇米政権、州議会のAI規制「10年禁止」 倫理と実益巡り応酬激しく (5月21日付け 日経 電子版 05:21)
→トランプ米政権が州議会のAI規制を封じる動きに出た。テクノロジーの暴走を懸念する州議会がAI開発を制限しようとするなか、独自の規制導入を10年間禁止する条項を連邦議会で調整中の減税法案に盛り込んだ。AIの倫理と実益のどちらを優先するかという問題を巡り、推進派と慎重派の応酬が激しくなっている。

◇OpenAI, UAE to build massive AI center in Abu Dhabi (5月22日付け Axios)
→OpenAIはアラブ首長国連邦と提携し、Stargate UAEを建設する予定。この巨大な新しい中東データセンターは、同社のOpenAI for Countriesプッシュの一部であり、契約の参加者は木曜22日に発表された。なぜそれが重要なのか: この契約はアラブ首長国連邦による巨大なAIの賭けであり、全人口のためにChatGPT Plusのサブスクリプションを確保することになり、それをする最初の国となる。

◇OpenAI・アルトマン氏が描くスマホの次 iPhoneデザイナーと脱画面 (5月22日付け 日経 電子版 11:52)
→米オープンAIが生成AI専用端末の開発に乗り出した。組んだのはiPhoneのデザインを主導した米アップルの元幹部ジョニー・アイブ氏だ。スマートフォンに代わる次世代端末で、AIがより身近になる未来を描く。画面の操作を不要にする革新技術は、スマホ産業を揺らすことになる。

◇OpenAI、AI端末開発に参入 元Appleデザイナー・アイブ氏企業を買収 (5月22日付け 日経 電子版 09:42)
→米オープンAIは21日、米アップルの元デザイン責任者、ジョニー・アイブ氏が設立した端末開発の新興企業、米io Productsを買収すると発表した。対話型AI「Chat GPT」をより便利に使えるハード開発に参入し、iPhoneなどスマートフォンに対抗する。


【半導体価格関連】

TSMC・アリゾナ、そしてDRAM大口、それぞれの価格の動きである。

◇TSMC mulls 30% price hike on chips made in Arizona―Report: Costs, inflation have TSMC considering price hikes―TSMC reportedly planning to raise prices by 10% on average (5月19日付け Taiwan News)
→TSMCは、製造コストと世界的なインフレを相殺するため、アリゾナで製造される4ナノメートル・チップの価格を30%引き上げることを検討している、と情報筋が伝えている。NvidiaのJensen Huang CEOは、TSMCの高度なプロセス技術の価値を挙げて、このような価格調整を支持している。

◇DRAM大口10%高 4月、11カ月ぶり上昇 供給減少を警戒、関税政策で買い前倒し (5月20日付け 日経)
→DRAMの価格が11カ月ぶりに上昇に転じた。指標品の4月の大口取引価格は前月と比べ10%高で決着し、上昇率は1年5カ月ぶりの大きさとなった。メモリーの世界大手が今年中に指標品を含む品種の生産を終了したり、絞ったりするとみられることが値上がりにつながった。トランプ米政権の関税政策を警戒して一部で前倒し購入する動きもあった。

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