米国政府、インテルへの助成支給決定、対中国HBM輸出新規制の動き
トランプ政権への移行を来年1月20日に控えて、バイデン政権の半導体関連駆け込みの動きが見られている。バイデン政権肝いりの米国国内の半導体製造強化に向けたCHIPS and Science Actによる助成金の支給の最終決定が各社待たれているが、このほど米国半導体長年の盟主であるインテルに対して行われている。金額も最高であるが、経営状況が現在非常に厳しい同社ということで注目される措置である。もう1つ、さらなる対中国半導体輸出規制が取り沙汰されており、AI応用向けのHigh Bandwidth Memory(HBM)が対象とのこと。規制する範囲など関係者の応酬模様がうかがえており、現下の重要製品だけに落ち着き具合に注目するところである。
≪土壇場に向けた駆け込み≫
苦境が多々伝えられるインテルであるが、Qualcommによる買収の可能性も挙げられていた。現時点の取り上げが次の通りである。
◇Qualcomm’s Takeover Interest in Intel Is Said to Cool―Sources: Qualcomm's interest in Intel acquisition wanes (11月25日付け BNN Bloomberg (Canada))
→情報筋によると、クアルコムのインテル買収への関心は低下しており、インテルが抱える$50 billionの負債や潜在的な規制上のハードルなど、買収の複雑さを指摘している。情報筋によると、クアルコムは当初、インテルの期待外れの決算報告とリストラ努力を受けて買収を検討していたという。両社ともこの報道についてコメントしていない。
◇Qualcomm’s interest in Intel cools, sources say (11月27日付け Taipei Times)
→クアルコムのインテル社買収への関心が冷え込み、史上最大級のテクノロジー取引となる可能性があったはずのクアルコム買収が暗礁に乗り上げたと、この件に詳しい関係者が語った。
インテル社の全株式取得に伴う複雑さが、クアルコム社にとって買収の魅力を減退させたと、機密事項のため特定されることを避けている関係者は語った。
インテル自身の不動産売却も取り沙汰されている。
◇Intel plans sale and leaseback of its 150-acre Folsom, California campus ― releasing capital but maintaining operations and staff―Intel to sell Calif. campus, maintain operations in leaseback, reports say ―Intel Folsom employees mostly work on software. (11月25日付け Tom's Hardware)
→企業が経営難に陥ると、不動産を売却して資金を作ることがよくある。多くの場合、企業は施設を移転させないために、その不動産をリースバックする。カリフォルニア州フォルソム(Folsom, California)にあるインテルのキャンパスは、どうやらこうなりそうだと『OregonLive』は報じている。
このような中、インテルに対するCHIPS and Science Actによる助成金の支給最終決定が以下の通り行われている。
◇Intel and Commerce Department finalize $7.9 billion CHIPS Act grant―Intel close to $8B CHIPS Act grant for factory projects (11月26日付け CNBC)
→1)*インテルと商務省は、$7.86 billionの助成金を最終決定した。
*この助成金はインテルのチップ製造拡大を支援するものである。
*ここ数四半期、インテルは資産を売却して資金を調達しようとしており、クアルコムからの買収提案に直面していた。
2)インテルは、4つの州での工場建設を促進するため、$8 billionの助成金について米国政府と合意間近である。以前発表された助成金から$500 millionほど減額されたと報じられているが、これはインテルが米軍や情報機関向けのマイクロチップを生産するために設計された安全な施設に対して、最大$3 billionを授与されたためである。資金は様々な節目でインテル社に支払われ、少なくとも$1 billionは今年中に支払われる予定である。
◇Intel Gets Up to $7.9 Billion Award for U.S. Chip-Plant Construction―Government grant is less than originally expected because the chip giant is also receiving separate funding for defense (11月26日付け The Wall Street Journal)
◇Biden-Harris Administration Announces CHIPS Incentives Award with Intel (11月26日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、米国商務省がインテル コーポレーションに対し、CHIPS Incentives Programの商業用製造施設に対する資金提供機会(Funding Opportunity for Commercial Fabrication Facilities)に基づき、最大$7.865 billionの直接資金を提供したことを発表した。今回の授与は、2024年3月20日に発表された予備的覚書(preliminary memorandum of terms:PMT)への署名と、同省によるデューデリジェンスの完了を受けたものである。この授与は、インテルが10年後までに$90 billion近くを米国に投資することを直接支援するもので、同社の$100+ billion(1000億ドルを超える)拡張計画の一部である。同省は、インテルがプロジェクトのマイルストーンを達成した場合、資金を支給する。
◇Intel and Commerce Department finalize $7.9 billion CHIPS Act grant (11月26日付け CNBC)
→*インテルと商務省は、$7.86 billionの助成金を最終決定した、と米国政府が火曜26日発表。
*この助成金はインテルのチップ製造拡大を支援するものである。
*ここ数四半期、インテルは資産を売却して資金を調達しようとしており、クアルコムからの買収提案に直面していた。
◇米政権、インテルに補助金1.2兆円 半導体工場へ投資 (11月27日付け 日経 電子版 06:57)
→バイデン米政権は26日、米インテルが米国の複数の州で投資する半導体工場への補助金が最終決定したと発表した。支給額は最大$7.865 billion(約1兆2000億円)で、当初想定していた最大85億ドルから減額した。インテルは業績低迷からの立て直しに向けて早期に補助金を受ける重要性が高まっていた。
以下の減額の意味合いは、上にあらわされているように、国防総省の仕事に振り分けられている模様である。
◇Semiconductor giant grapples with reduced support (11月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→報告された削減計画は、国防総省の仕事に対する資金授与と、「インテルの技術ロードマップと顧客需要」に対する懸念を反映している。
電気自動車(EV)についても、バイデン政権からの補助金支給が、次の通り決定されている。
◇バイデン米政権、新興EVリヴィアンへの1兆円補助金決定 (11月27日付け 日経 電子版 05:45)
→バイデン米政権は25日、新興電気自動車(EV)メーカーのRivian Automotive(リヴィアン・オートモーティブ)が米南部ジョージア州に建設を計画している新工場に$6.6 billion(約1兆円)の補助金支給を決定したと発表した。米国のEV産業を支援するインフレ抑制法(IRA)に基づくもので政権交代に伴う駆け込みの思惑もありそうだ。
半導体関連では、補助金の最終決定がさらに次の通り行われている。
◇US finalizes awards to BAE Systems, Rocket Lab for semiconductor chips―BAE, Rocket Lab secure $60M in US subsidies (11月25日付け Reuters)
→米商務省は、「Chips and Science 」プログラムの下、BAE SystemsおよびRocket Labに約$60 millionの補助金を決定した。BAEシステムズは、ニューハンプシャー州でのF-35ジェット機や人工衛星用半導体チップ生産増強のために$35.5 million、ロケット・ラボは、3年間で太陽電池生産を50%増加させるために$23.9 millionを受け取る。
◇Biden-Harris Administration Announces CHIPS Incentives Awards with BAE Systems, Inc., and Rocket Lab (11月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、米国商務省がCHIPSインセンティブ・プログラムの商業用製造施設に対する資金提供の機会(Funding Opportunity for Commercial Fabrication Facilities)の下で、2つの別々の授与を最終決定したことを発表した。米国商務省は、BAEシステムズ社の事業部門であるBAE Systems Electronic Systems社に最大$35.5 millionの直接資金を供与し、宇宙電力供給会社であるSolAero Technologies社の親会社であるロケット・ラボ社に最大$23.9 millionの直接資金を供与した。
バイデン政権では中国に対する半導体輸出規制が繰り返され、来るトランプ政権では大幅な関税の発動がすでに世界を揺るがしている。政権変われど、米中摩擦は不変という雲行きであるが、現下の関連する内容&動きを取り出している。
◇トランプ関税警戒、米に駆け込み出荷 輸送量24年最高へ (11月24日付け 日経 電子版 02:00)
→・「トランプ関税」の発動を見越した世界の企業が先回りで対策
・商品確保へ米国向け海上輸送量が増加、リコーは中国の事務機生産を移管
・在庫積み増しや生産見直しは企業の負担に、世界経済の先行きに影
ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任を控え、世界の企業が先回りで米中貿易戦争に備えている。
◇Nvidia meets Chinese trade negotiator as fresh US chip sanctions loom (11月25日付け South China Morning Post)
→*中国のトップ通商交渉官、そしてTrump大統領第一期の重要人物が、米国の新たな輸出規制が報じられる中、Nvidiaのグローバル事業責任者と面会
*北京のトップ通商交渉担当者が月曜25日、Nvidiaのグローバル事業責任者と面会、米国による中国半導体業界への規制強化が予想され、早ければ今週にも行われる可能性があるとのこと。
同省が発表した声明によると、Wang Shouwen商務副大臣は、Donald Trump氏が米国大統領に就任した最初の任期中、中国の通商交渉チームの主要メンバーであり、Nvidiaのworldwide field operations担当executive vice-president、Jay Puri氏と会談した。
◇リコーの米国向け事務機、中国外で生産 関税強化にらみ―【イブニングスクープ】 (11月25日付け 日経 電子版 18:00)
→リコーは米国向けに輸出する事務機の生産地を、中国からタイに移す。トランプ米次期政権では中国製品への関税強化が見込まれる。中国は同国内や日欧など米国以外向けの生産拠点に変える。リコーの米国売上高は全体の2割を占める。政権発足を控え、前倒しで対策を進める。
◇トランプ氏の対中強硬、日本身構え 半導体市場失う懸念―トランプ2.0 ビジネス大転換 11月25日付け 日経 電子版 11:30)
→米国の次期大統領トランプ氏による対中国政策の行方に、日本の半導体企業が身構えている。日本が強みを持つ半導体製造装置の中国への輸出規制が強まるとの観測が広がっているためだ。中国も関連産業の国産化投資を進めており、現地企業の台頭も日本勢のリスクとなる。
◇Chinese firms react to TSMC chip supplies halt and escalating US tension (11月26日付け DigiTimes)
→TSMCは、7ナノメートル以降の先端AIチップを中国の顧客に提供することを停止しており、中国の半導体業界にとって課題が山積していることを浮き彫りにしている。この停止は、TSMCが製造したチップがHuaweiデバイスで発見されたことを受けたものであり、次期Trump政権が制裁強化の可能性を示唆している中でのことである。北京で開催されたIC China 2024では、業界リーダーが警戒と決意の両方を表明、中国の広大な市場ポテンシャルを活用するためにgenerative AIおよび半導体技術への取り組み強化を呼びかけている。
このようになかなか落ち着かない中、AI応用向けのHigh Bandwidth Memory(HBM)についての輸出規制の動きが以下の通り取り上げられている。AIが圧倒的に引っ張る現在の市況であるだけに、成り行きに敏感になるところである。
◇US to reportedly sanction 200 more Chinese chip firms - high bandwidth memory might also see export bans―Report: US to sanction 200 Chinese chipmakers, limit HBM exports ―The US is not looking to ease its stringent trade policies anytime soon. (11月26日付け Tom's Hardware)
→ロイター通信の報道によると、米国政府は、少なくとも200社の中国国内チップメーカーに影響を与える新たな制裁措置を導入する可能性があるという。この新たな規制は、米国最大のロビー団体である米国商工会議所が会員に宛てた電子メールで明らかになったもので、高帯域幅メモリー(HBM)の輸出禁止ハンマーが近々導入されることも示唆している。
◇Impending chip moves expose US hypocrisy again (11月26日付け China Daily.com.cn)
→ジョー・バイデン政権は、早ければ今週中にも中国に対する新たな輸出規制を発表する予定であると、米国商工会議所が木曜日の電子メールで会員に伝えた。
ロイターの報道によると、ワシントンに本拠を置くこのロビー団体のEメールによると、新たな規制によって、最大200の中国チップ企業が貿易制限リストに追加され、ほとんどのアメリカのサプライヤーが、対象となる企業への商品の出荷を禁じられる可能性があるという。
政権の移行期の中、半導体市場の先行きもすっきり見通せないところも多々あり、今後の関連する個々の動きに引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□11月24日(日)
気候変動、追加関税はじめ、トランプ・インパクトが以下引き続いている。
◇暖まる地球、冷める協調 「またトラ」でCOP停滞の4年へ (日経 電子版 11:30)
→第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)は24日、温暖化対策で先進国から途上国向けに拠出する「気候資金」を3倍に増やすことで合意した。年明けには温暖化対策に消極的なトランプ氏が米大統領に復帰する。国際協調は停滞する恐れがある。
□11月26日(火)
米国経済活況の一端である。
◇米感謝祭休暇、旅行者数は最多更新へ 8000万人弱が移動 (日経 電子版 05:40)
→米国で11月の感謝祭(28日)から始まるホリデーシーズンの旅行者数が過去最多を更新する見通しだ。米自動車協会(AAA)の予測によれば11月26日〜12月2日の期間の旅行者数はおよそ7986万人と2023年実績より2.1%増える。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前の19年を2年連続で上回りそうだ。
感謝祭で4日の取引の今週、1日下げたもののあと3日は堅調な景気を好感、最高値更新で締めた米国株式市場である。
◇NYダウ続伸、440ドル高で高値更新 財務長官人事を好感 (日経 電子版 07:29)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比440ドル06セント(1%)高の4万4736ドル57セントで終えた。22日に付けた最高値を更新した。トランプ前大統領が次期財務長官にスコット・ベッセント氏を指名したことで、米政府債務が過度に膨張することへの懸念が和らいだ。
◇トランプ氏、中国に10%追加関税 メキシコ・カナダは25% (日経 電子版 10:04)
→トランプ次期米大統領は25日、中国からのほぼ全ての輸入品に対して追加で10%の関税をかけると表明した。自身のSNSに投稿した。中国からメキシコなどを経由し、合成麻薬「フェンタニル」が米国に流入していることへの対抗措置と位置づけた。
トランプ氏は同日、カナダやメキシコについても2025年1月20日の就任初日に25%の関税を課すための大統領令に署名すると宣言した。
□11月27日(水)
◇米ファンド、動き出す400兆円 トランプ勝利で買収回帰 (日経 電子版 05:00)
→米国の投資ファンドがこれまで抑えていた未公開株(プライベート・エクイティ=PE)投資に再び動き始めた。堅調な景気、米連邦準備理事会(FRB)の利下げに加え、トランプ次期政権の規制緩和が追い風となる。世界の投資ファンドは約400兆円の待機資金を抱えており、エネルギーや米国内の製造業を中心に投資を増やす構えだ。
◇NYダウ5日続伸、123ドル高 関税警戒も堅調景気が支え (日経 電子版 07:30)
→26日の米株式市場でS&P500種株価指数は7日続伸し、前日比34.26(0.6%)高の6021.63で終えた。2週間ぶりに最高値を更新した。同日にイスラエルとレバノンの両政府が停戦で合意し、中東の緊張緩和が投資家のリスク資産投資を後押しした。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ継続期待も株高を支えた。
ダウ工業株30種平均も5日続伸し、123ドル(0.3%)高の4万4860ドルと最高値を更新した。
□11月28日(木)
◇NYダウ反落、138ドル安 利益確定売り目立つ (日経 電子版 07:09)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比138ドル25セント(0.3%)安の4万4722ドル06セントで終えた。感謝祭の祝日をひかえた持ち高調整の売りや、連日高値を付けた後で主力株に利益確定売りが出た。米経済の底堅さを示す指標の発表を受けて取引時間中としては初めて4万5000ドルを上回る場面もあり、方向感を探る展開となった。
EUでも、「トランプ対策」で新たな始動である。
◇EU新執行部、安保・貿易で「トランプ対策」12月1日発足 (日経 電子版 08:49)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の新執行部が12月1日に始動することが27日決まった。2025年1月の第2次トランプ米政権発足をにらみ、安全保障や貿易の分野で対策を練る。
EUの立法機関である欧州議会が同日、2029年までの5年間の新執行部の人事案を承認した。
□11月29日(金)
◇トランプ氏VS「青い州」早くも火花 環境規制や不法移民 (日経 電子版 02:00)
→米国の政治は2025年1月から大統領職と上下両院の多数派を共和党が占める「トリプルレッド」になる。トランプ次期大統領は選挙戦で掲げた保守的な政策を進めやすくなった。連邦制の米国では州の権限も大きく、民主党知事らが主導権を握る「青い州」との攻防が早くも始まった。
□11月30日(土)
◇NYダウ反発、188ドル高で最高値 半導体関連株に買い (日経 電子版 04:29)
→29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前営業日の27日に比べ188ドル59セント(0.42%)高の4万4910ドル65セントで終えた。26日以来となる最高値を更新した。米長期金利の低下が米株相場の追い風となった。半導体関連株が買われたことも、投資家心理の改善につながった。
≪市場実態PickUp≫
【TSMC関連】
米国を半導体生産世界第2位に押し上げる、という表わし方が見られるが、最先端微細化を引っ張る台湾を、改めて感じさせる以下の内容である。
◇TSMC to push US to No. 2 in IC production in 2027 (11月25日付け Taipei Times)
→*TECH BOOST:Arizonaの新しいTSMCウェーハfabsが、米国の先端チップ生産を劇的に向上させる、と市場調査会社TrendForceのレポート。
*Taiwan Semiconductor Manufacturing Co(TSMC、台積電)がArizonaに巨額の資金を注ぎ込んでいることから、米国は2027年に先端半導体の製造第2位になるべく地位が向上する見込みである、と台北に本拠を置く市場調査会社、TrendForce Corp(集邦科技)が先週のレポートで述べている。
◇TSMC starts equipment installation for 2nm fab (11月27日付け Taipei Times)
→高雄市長のChen Chi-mai(陳其邁)氏は、世界最大の受託チップメーカーであるTSMCは昨日、予定より6ヶ月早く、高雄で最初の2ナノメートル工場の装置据付式を行ったと述べた。
◇TSMC expands apprenticeship program in Phoenix, Arizona (11月27日付け Taipei Times)
→TSMCは、アリゾナ州の子会社が見習いプログラムを拡大し、製造工程のより多くの側面を含めると発表した。
TSMCアリゾナ工場は、もともと設備技術者向けの見習い制度を開設していたが、世界最大の受託チップメーカーによると、設備技術者、工程技術者および製造技術スペシャリストの見習い募集を開始する。
【Samsung関連】
High Bandwidth Memory(HBM)に続いてNANDフラッシュでも最先端をアピールしているライバルのSK Hynixに対して、旗色が悪くなりがちなこのところのSamsungであるが、事業運営体制固めはじめ現下の動きである。
◇Samsung ordered to pay $118 mil. for infringing Netlist patents―Jury: Samsung owes Netlist $118M for patent infringement (11月25日付け The Korea Times (Seoul))
→サムスン電子は、高性能メモリー技術に関する特許を侵害したとして、テキサス州の連邦陪審団からネットリストに$118 millionの支払いを命じられた。サムスンとネットリストの関係者はこの結果についてコメントしていない。
◇サムスン電子が社長級人事発表 半導体の競争力強化に焦点 (11月27日付け 朝鮮日報)
→韓国のサムスン電子は27日、社長級人事を発表した。半導体の競争力強化を図るため、メモリー事業部を代表取締役の直轄とし、ファウンドリー(受託生産)事業部のトップを交代した。半導体事業を担うデバイスソリューション(DS)部門長(副会長)の全永鉉(チョン・ヨンヒョン)氏を代表取締役に内定し、韓宗熙(ハン・ジョンヒ)DX(デバイスエクスペリエンス、モバイル・家電)部門長(副会長)との2人代表取締役体制とした。
今回の人事は半導体の競争力回復に焦点が当てられた。代表取締役に内定した全氏はメモリー事業部長とSAIT(旧サムスン総合技術院)の院長も兼任する。メモリーの競争力回復に総力を傾ける狙いとみられる。
◇サムスン、CEOがメモリートップ兼任 不振の半導体、直接指揮 (11月28日付け 日経)
→韓国サムスン電子は27日、主力のメモリー事業部のトップを最高経営責任者(CEO)が兼務する人事を発表した。不振が続くメモリー部門を立て直し、技術力を高める狙いだ。経営の中枢が開発や製造の現場を直接指揮することで判断を速める。
半導体部門全体を統括してきた全永鉉(ジョン・ヨンヒョン)氏が27日付でメモリー事業部長に就任した。2025年春の株主総会を経てCEOに昇格する。同氏は半導体技術者としてメモリー畑を長年歩み、現場に明るい人物として知られる。
◇SK Hynix's NAND production reportedly accelerates, increasing competitive pressure on Samsung (11月28日付け DigiTimes)
→SKハイニックスが321層1Tb TLC 3D NANDフラッシュの量産を開始したと報じられ、サムスン電子(Samsung)の主導的地位を脅かす可能性が出てきた。この動向は市場から大きな注目を集めている。
【中国関連】
米国の規制を受けるHuawei、そしてスマホの大手、Xiaomi。それぞれに自前設計の製品量産化を目指す取り組みである。
◇Huawei aims to mass-produce newest AI chip (11月23日付け Taipei Times)
→中国の華為技術有限公司(Huawei Technologies Co.)は、米国の規制により十分なチップを作るのに苦労しているが、来年第1四半期に最先端の人工知能(AI)チップの量産を開始する予定だと、この問題に詳しい2人の人物が語った。
この通信コングロマリットは、最新チップで米国半導体メーカー、Nvidia社製に対抗することになる、Ascend 910Cのサンプルをいくつかのテクノロジー企業に送り、注文を受け始めた、とその筋がロイター通信に語った。
◇Xiaomi readies mobile chip design for 2025 mass production to cut reliance on Qualcomm―Xiaomi sets sights on 2025 for in-house mobile chip (11月26日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Bloomberg)
→1)シャオミの動きは中国の技術自立の目標に貢献するかもしれないが、自社設計シリコンに完全に移行しているのはアップルとグーグルだけである。
2)シャオミは、中国の技術自立の目標に沿って、クアルコムとメディアテックへの依存を減らすため、自社設計のモバイル・プロセッサーの生産を計画している。情報筋によると、量産は来年開始される予定だという。
【AI関連】
ChatGPT公開からこの11月30日で2年、半導体市場でもかくも大きく引っ張るAIという改めての感じ方である。一方では、倫理、規制など問題意識が付きまとい、以下それぞれにあらわされている。
◇Jensen says solving AI hallucination problems is 'several years away,' requires increasing computation―Nvidia's CEO: AI hallucinations will persist for years―The CEO also talked about how much AI computing power increased in the past 10 years and Nvidia’s single greatest contribution to AI. (11月24日付け Tom's Hardware)
→エヌビディアのJensen Huang(ジェンセン・フアン)CEOは、AIの幻覚という現在進行中の課題について語り、解決にはまだ数年かかり、計算能力の向上が必要だと述べた。フアン氏は、AIの開発プロセスと、コンピューティング・コストの削減におけるNvidiaの役割について詳述した。
◇GenAI + Semiconductors + Humanity―AI is transforming semiconductor startups, experts say―AI will change the semiconductor startup ecosystem in myriad ways. (11月25日付け Semiconductor Engineering)
→最近のフォーラムでの専門家によると、AIは半導体業界を再構築しており、AIは置き換えられるよりも多くの機会を生み出すという点で意見が一致した。Mayfield社のmanaging partner、Navin Chaddha氏は、AIが生産性とイノベーションを強化し、半導体の 「黄金時代 」が到来すると指摘した。ArmのVP of IoT Line of Business / GTM China、Chloe Ma氏は、NvidiaのGrace Hopperスーパーチップなどの進歩について語り、Lemurian LabsのCEO and co-founder、Jay Dawani氏は、個別化医療やロボット工学におけるAIの可能性を強調した。
◇AI検索、新興が攻勢 グーグル分割案で商機 (11月25日付け 日経)
→生成AI(人工知能)を使った検索など、米グーグルの牙城に挑むスタートアップ企業に資金が集まっている。米司法省がウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」事業の売却によるグーグルの分割を求めるなか、AIをてこに新興勢が独占・寡占に穴を開けようとしている。
米オープンAIは10月、ChatGPTにウェブ検索の機能を加えた。利用者が文章で質問や指示を入力すると、AIがウェブから最新情報を集め、要約を表示する。検索市場で世界シェア9割のグーグルに挑戦する試みだ。
◇OpenAIの動画生成AIが一時流出 アーティストの抗議か (11月27日付け 日経 電子版 13:54)
→米オープンAIが開発中の動画生成AI(人工知能)「Sora(ソラ)」が26日、インターネット上で一時公開された。オープンAIはソラの一般提供を始めていない。一部のアーティストらがソラの開発において正当な対価が支払われていないと抗議し、意図的に流出させたと主張している。AIモデルのプログラム共有サイト「ハギングフェイス(Hugging Face)」で、ソラに接続できるプログラムが公開された。
◇ChatGPT利用者2.5億人に 先行投資で「現金燃焼」継続 (11月29日付け 日経 電子版 05:00)
→米オープンAIが対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を公開して30日で2年を迎える。巧みな受け答えで世界を驚かせ、投資マネーが殺到する空前のAIブームをつくりあげた。生産性の向上などに期待が高まる半面、人類の脅威となるリスクを懸念する声もある。産業に与えたインパクトをデータで探った。・・・・・
【半導体市場データ関連】
DRAM価格が低下、AI関連以外の本格回復いまだという見方が優勢な模様、来る年、2025年の半導体市場も一本調子にはいかない現時点のよう。以下、いろいろな切り口での現時点の見方である。
◇Mixed outlook for semis in 2025―WSTS: Semiconductors to deliver a mixed bag in 2025 (11月23日付け Electronics Weekly (UK))
→1)WSTS、2024年第三四半期半導体市場売上げ$166 billion、第二四半期比10.7%増を報告
2)World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)によると、半導体市場は第3四半期に力強いパフォーマンスを示し、売上げは$166 billionに達し、第2四半期比10.7%増。AIグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)が牽引したエヌビディアが$35.1 billionの売上げで首位に立ち、サムスン電子そしてブロードコムが続いた。しかし、2025年の見通しはまちまちで、AIが牽引するデータセンターの成長は鈍化し、PCsとスマートフォンは緩やかな成長が見込まれている。
◇Global wafer foundry industry to see over 10% CAGR in revenues from 2024-2029, says DIGITIMES Research―Report: AI, HPC to drive 11.5% CAGR in wafer foundry through 2029 (11月25日付け DigiTimes)
→DIGITIMES Researchの最新レポートによると、世界のウエハファウンドリ産業は2024年から2029年にかけて年平均成長率(CAGR)11.5%で成長、$270 billionに達し、AIとハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーションに牽引され、先端プロセスや先端パッケージングへの需要が高まる。
◇Global notebook shipments rise in 3Q24 before decline in 4Q24, says DIGITIMES Research (11月25日付け DIGITIMES Research)
→DIGITIMES Researchの2024年下半期のノートブック業界に関する最新レポートによると、2024年第3四半期の世界のノートブック出荷台数(デタッチャブルモデルを除く)は予想を上回り、前四半期比5.8%の伸びを示したが、第4四半期には台数が減少する見込みである。
◇半導体9指標分析 好況期2年目、AI依存変わらず (11月25日付け 日経 電子版 02:00)
→半導体市場は10〜12月も好況が続き、前年実績超えは2年目に入っている。生成AI(人工知能)関連の高性能な演算半導体やメモリーの需要は拡大を続けそうだ。一方、スマートフォンやパソコンなど民生品向けは力強さを欠き、産業用や自動車向けの回復も遅れている。中国による製造装置の投資拡大も一服感が出始めている。
◇DRAM大口3%安、PC需要弱く 米中対立に警戒感も (11月26日付け 日経 電子版 02:00)
→半導体メモリーの一つ、DRAMの大口取引価格の下落基調が鮮明だ。中国を中心にPC需要が弱く、10月のメモリーメーカーと需要家の交渉は2カ月連続となる値下がりで決着した。今後に向けては、米中対立による影響も警戒されている。一方、人工知能(AI)サーバー向けの先端品は引き合いが強い状況が続いている。
◇DRAM大口3%安、2カ月連続下落 中国PC需要弱く、10月 (11月26日付け 日経)
→半導体メモリーの一つ、DRAMの大口取引価格の下落基調が鮮明だ。中国を中心にPC需要が弱く、10月のメモリーメーカーと需要家の交渉は2カ月連続となる値下がりで決着した。今後に向けては、米中対立による影響も警戒されている。一方、人工知能(AI)サーバー向けの先端品は引き合いが強い状況が続いている。
10月の大口取引価格は、指標となるDDR4型8ギガ(ギガは10億)ビット品が1個1.98ドル前後だった。容量が小さい4ギガビット品は同1.52ドル前後。いずれも前月比で3%安く、2カ月連続で下落した。
◇半導体10社、純利益の6割が米NVIDIA AI用伸び7社増益 (11月27日付け 日経 電子版 02:00)
→世界の半導体10社の2024年7〜9月期は7社の損益が改善した。生成AI(人工知能)向けが伸び、純利益合計は前年同期比38%増の$30.4 billion(約4兆7000億円)と3年ぶりの高水準だった。エヌビディア1社で全利益の6割を占めた。今後はAI向け需要増がいつまで続くか、車向け汎用品の回復時期がいつかが焦点になる。
◇10月の半導体装置販売、前年同月比33%増 生成AI向け好調 (11月28日付け 日刊工業)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた日本製半導体製造装置の10月の販売高(速報値、8―10月の3カ月移動平均ベース、輸出含む)は、前年同月比33・4%増の3856億7600万円で、10カ月連続のプラスだった。9月に引き続き、生成人工知能(AI)で使われる広帯域メモリー(HBM)や画像処理半導体(GPU)の伸び、中国向けの装置需要が寄与した。