一層の引き締め強化の米国、自立化に向かう中国、その流れの現時点
米国政府の対中国規制強化がさらに強まる動きが見られており、半導体については、中国からの輸入に対する関税が2025年までに25%から50%に引き上げられ、これまでの最先端半導体技術の輸出規制に加えて成熟プロセス世代製品の貿易も制限がかかることになる。これに対して中国では、外国製半導体から中国製に切り替える要請が行われる一方、PC向けプロセッサーおよびAI半導体向けの高帯域幅メモリ(HBM)を国内で開発するという自立化に向けた強化を図る動きである。こんな中、恒例のスーパーコンピュータTOP500ランキング・トップ10では今回も中国勢が見られなくなっている。マイクロソフトが中国の従業員の一部に国外転勤の検討を求める動きも見られている。
≪世界主導の地位確保に向けて≫
米国政府の中国に対する最先端半導体技術の輸出規制に加えて、こんどは中国製半導体の輸入に対する関税引き上げの動きが以下の通りである。
◇Next U.S.-China chip battle will require more than export controls―Washington could seek to ban import of common products with 'legacy' semiconductors (5月10日付け Nikkei Asia)
→ジョー・バイデン米大統領政権は、対中技術政策において静かだが重大な転換点を迎えようとしているようだ。
当初は先端半導体技術の中国への移転を制限することに重点を置いていた政府高官は、今では古い技術で作られた「レガシー」半導体の貿易も制限する考えに前向きであることを示している。
◇Chips from China will see 2x tariff hike, Biden says (5月14日付け FierceElectronics)
→バイデン大統領は火曜14日、中国の不公正な貿易慣行をめぐる攻防が続く中、EVやEV用バッテリーを含む多くの製品の中国からの輸入に対し、高額の関税引き上げを発表した。
半導体の関税は2025年までに25%から50%に、EVの関税は2024年に25%から100%に跳ね上がる。その他の関税引き上げは、鉄鋼とアルミニウム、太陽電池、医療製品および船舶対陸上クレーンに影響する。 バイデンは米通商代表部に対し、1974年通商法に基づき、中国からのこれらの分野の輸入品$18 billionに対する関税を引き上げるよう指示した。
◇Biden announces new tariffs on Chinese EVs, semiconductors, solar cells and more (5月14日付け CBS News)
→バイデン大統領は火曜14日、中国の電気自動車(EVs)、半導体、バッテリー、太陽電池、鉄鋼およびアルミニウムに対する新たな関税を発表した。中国製電気自動車への関税は100%に引き上げられ、現在の25%の4倍になる。
これを推進する主張が、次の通りあらわされている。
◇Biden Imposes Tariffs on Chinese Chips, Critical Minerals, EVs―US tightens import restrictions on Chinese products (5月14日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国は、国内製造を促進するため、半導体、重要鉱物およびバッテリーなどの中国からの輸入品に関税を課している。この変更は、年間の輸入において約$18 billionに対して見込まれる。National Economic Council(国家経済会議)のLael Brainard(ラエル・ブレイナード)理事は、「中国は自国のルールに従うには単に大きすぎる」と述べた。
◇Brainard Says Tariffs Needed to Avoid New ‘China Shock’ in US―Top US economic adviser calls tariffs on China necessary (5月16日付け BNN Bloomberg (Canada))
→米国National Economic Council(国家経済会議:NEC)のLael Brainard(レール・ブレイナード)理事は、バイデン政権による中国からの輸入品に対する最近の関税措置は、米国企業を保護し、不公正な貿易慣行を避けるために必要なものだとして支持している。ブレイナード氏は、「中国は以前と同じ手法で、大幅な産業過剰設備に投資し、人為的に安価な輸出品で世界市場を氾濫させることで、他国を犠牲にして自国の成長に力を注いでいる」と述べた。
AI(人工知能)産業政策についても、最先端半導体と同様、輸出規制が検討されている。
◇AI Industrial Policy Takes Shape In Washington―Washington is developing AI industrial policy―I explain how tech and crypto policies impact the markets. (5月16日付け Forbes)
→米国のAI産業政策はワシントンD.C.で策定されており、AIイノベーションの促進を推進するためのロードマップが今週発表され、保護政策面では輸出規制が検討されている。法案は、CHIPS and Science Actの半導体政策を踏襲する見込みである。
これに対する中国では、外国製半導体から中国製に切り替える要請が行われる一方、中国国内で自己完結での開発を図る動きが見られており、以下の通りである。
◇Huawei denies plans for Kirin X-series PC processors after losing access to Intel chips―Huawei says it isn't launching HiSilicon Kirin X-series processors ―No such plans, for now. (5月13日付け Tom's Hardware)
→米国は最近、ファーウェイの自社製品向けインテル・プロセッサーへのアクセス権を剥奪したが、その直後、中国メディアが共有したファーウェイのリーク文書から、同社がPC向けプロセッサーで「Taishan Battle(泰山戦)」と呼ばれる新たな計画を持っていることが明らかになった、とCailian News Agencyが報じた。しかし、ファーウェイは珍しくこの報道を否定し、「フェイク・ニュース」と呼んでいる。この想定される計画には、ファーウェイのHiSilicon Kirin Xシリーズ・プロセッサーとそれをサポートするプラットフォームを今年発売することが含まれており、ファーウェイの珍しい反論は、同社の実際の計画についていくつかの洞察を与えてくれる。
◇Nvidia chip orders curtailed by Chinese authorities (5月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→バイトダンス、テンセント、アリババ、およびバイドゥはすべて、外国製AI半導体の数を減らし、国内サプライヤーから購入するよう求められた。
◇Chinese firms make headway in producing high bandwidth memory for AI chipsets―Chinese chipmakers make progress on HBM chips for AI, sources say (5月14日付け Reuters)
→情報筋および文書によると、中国のチップメーカー2社が、人工知能チップセットで使用される高帯域幅メモリ(HBM)半導体の生産の初期段階にあるという。
HBMの進展は、たとえHBMの旧バージョンだけであっても、中国企業への先端チップセットの米国輸出制限につながったワシントンとの緊張の中、外国サプライヤーへの依存を減らす中国の努力の大きな前進を意味する。
◇Chinese chipmakers gear up to produce HBM for AI chips ― China is a decade behind in HBM tech as US sanctions force action―CXMT, Wuhan Xinxin move forward with HBM tech for AI as China lags ―China is reportedly at least a decade behind the rest of the world in HBM technology (5月16日付け Tom's Hardware)
→AIチップ向けの高帯域幅メモリ(HBM)のニーズは急速に加速しており、中国のチップメーカー2社がそのニーズを満たすために大きく前進している。CXMTはすでにサンプルHBMチップを開発し、Wuhan Xinxin(武漢新新)はメモーモジュールの生産を開始するための工場を建設中だ。
◇中国政府、車載半導体で現地調達25%要請;EV供給網強化 (5月16日付け 日経 電子版 16:23)
→中国政府は国内の自動車大手に対し、2025年に調達する半導体の最大25%を現地製にするよう求めた。政府はガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトをテコに「自動車強国」を目指すが、車載半導体の現地調達率は10%程度にとどまる。中国製半導体の採用を促し、独自の半導体サプライチェーン(供給網)の強化を急ぐ。
このような米中摩擦の状況の中、今週発表された年2回のスーパーコンピュータTOP500ランキングデータの概要が次の通りである。今回もトップ10に中国勢が見られないなど、後退の様相となっている。
◇Frontier keeps top spot, but Aurora officially becomes the second exascale machine (5月13日付け TOP500)
→スーパーコンピュータTOP500の第63版では、もはや唯一のエクサスケールマシンではないにもかかわらず、Frontierが再び首位の座を獲得したことが明らかになった。さらに、新たなシステムがトップ10入りを果たした。
※HPL benchmarkスコアTOP10
1 | Frontier | 米国 | 1.206 Exaflop/s | |
2 | Aurora | 米国 | 1.012 Exaflop/s | |
3 | Eagle | 米国 | 561 Pflop/s | |
4 | Fugaku | 日本 | 442 Pflop/s | |
5 | LUMI | フィンランド | 380 Pflop/s | |
6 | Alps | スイス | 270 Pflops/s | TOP10唯一の新顔 |
7 | Leonardo | イタリア | 241.2 Pflop/s | |
8 | Summit | スペイン | 175.3 Pflop/s | |
9 | Summit | 米国 | 148.6 Pflop/s | |
10 | Eos | 米国 | 121.4 Pflop/s |
今回もまた、中国と米国が、TOP500リスト全体において国別で最も多くのエントリーを獲得した。米国は前回より7システム追加し、合計168システムとなった。中国は、今回も代表的なマシンの数を104台から80台に減らした。実際、中国は今回のリストで新しいマシンを1台も報告していない。
AIについては、米中での協議の場が初めて持たれている。
◇米中がAIで初協議、軍事リスクなど議論へ;14日に (5月13日付け 日経 電子版 18:00)
→米政府は13日、人工知能(AI)を巡り中国と初めての2国間協議を開くと明らかにした。AIは先端軍事品の優劣を左右するため、米中は激しい開発競争を繰り広げる。AIの誤作動などで人間の意図しない形の衝突に発展しないよう、リスク管理のあり方を話し合う。
14日にスイスのジュネーブで開催する。
米国の今回の輸入関税引き上げについては、中国は対抗措置を取るとしている。
◇China Vows to Take Measure to Defend Rights as US Adds Tariffs―China reacts to US tariffs on imports, vowing "resolute measures" (5月14日付け BNN Bloomberg (Canada))
→中国は、バイデン政権が中国からの幅広い輸入品に対するアメリカの関税を引き上げる動きを非難し、具体的な内容は明かさなかったが、独自の措置を取るとしている。
「中国は自国の権利と利益を守るために断固とした措置を取る」と商務部は火曜14日の声明で述べた。「米国は直ちに誤った行動を正し、中国に対する追加関税措置を中止すべきである。」
マイクロソフトは、中国の従業員の一部に国外転勤の検討を求める以下の動きである。
◇Microsoft、中国の700人超に国外転勤を提示;WSJ報道 (5月16日付け 日経 電子版 18:45)
→米マイクロソフトが中国の従業員の一部に国外転勤の検討を求めたことが16日分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は同日、国外転勤の対象は700〜800人規模に達すると報じた。人工知能(AI)などハイテクを巡る米中対立が影響したとの見方がある。
◇Microsoft offers China-based engineers an option to relocate―Microsoft invites 800 China-based employees to relocate―Office could be decimated with around 800 offers reportedly made (5月17日付け The Register (UK))
→マイクロソフトは、中国を拠点とする最大800人の従業員に対し、米国、アイルランド、ニュージーランドあるいはオーストラリアへの転勤オプションを提供する。このオファーは、クラウドと機械学習(ML)の経験を持つ従業員に焦点を当てている。
以上、応酬を繰り返して何年になるか、地政学的インパクトが多々加わる中での米中摩擦、半導体関連の現時点である。引き続き注目するところである。
コロナ「5類」移行とはいえ、依然用心怠りなくの現状と思われ、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□5月13日(月)
AI普及拡大の中での電力不足の問題意識の浮上である。
◇政府が恐れる「デジタル敗戦」;脱炭素電源の不足に懸念 (日経 電子版 22:20)
→政府は2040年を見据えて脱炭素社会に向けた「グリーントランスフォーメーション(GX)推進戦略」を見直す。人工知能(AI)の普及などで電力需要が想定よりも増えるのに対応するためだ。再生可能エネルギーや原子力で電源不足を補えなければ、デジタル時代の日本の競争力を毀損しかねない。
□5月14日(火)
米国の消費者はインフレの長期化への懸念が深まる一方、4月の消費者物価指数(CPI)は物価の過熱感の後退を映し出して、利下げ観測の期待から初の終値4万ドル超で締めた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ、9営業日ぶり反落81ドル安;物価指標控え様子見 (日経 電子版 05:56)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は9営業日ぶりに反落し、前週末比81ドル33セント(0.20%)安の3万9431ドル51セントで終えた。前週末までの8営業日で1700ドル近く上昇した後で、主力株の一部に持ち高調整や利益確定目的の売りが出た。週内に重要な物価指標の発表を控え、様子見の雰囲気もあった。
◇米消費者のインフレ予想、3.3%上昇;5カ月ぶり高水準 (日経 電子版 06:28)
→ニューヨーク連銀が13日発表した4月の消費者調査によると、短期的な見通しを示す1年先の予想物価上昇率(中央値)は3.3%だった。2カ月ぶりに伸びが加速し、2023年11月以来、5カ月ぶりの高水準となった。物価指標の高止まりが続く中、家計はインフレの長期化に懸念を深めている。
□5月15日(水)
◇NYダウ、反発し126ドル高;ナスダックは最高値を更新 (日経 電子版 06:17)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比126ドル60セント(0.32%)高の3万9558ドル11セントで終えた。朝発表の4月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回ったものの、同時に3月分が下方修正された。物価の上振れへの過度な警戒が薄れたことが買い安心感となり、午後に上げ幅を広げた。
□5月16日(木)
◇ひさびさ無風の米CPI、過熱の後退映す;9月利下げへ一歩 (日経 電子版 04:51)
→米労働省が15日発表した4月の消費者物価指数(CPI)はここ数カ月続いていたサプライズの上振れが起きず、久々に市場予想通りの結果となった。物価の過熱感の後退を映しており、米連邦準備理事会(FRB)の9月利下げに向けて一歩前進と受け止める市場参加者が多い。
◇15日の海外市場 NYダウ最高値、利下げ観測強まる (日経 電子版 06:59)
→米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比349ドル89セント(0.88%)高の3万9908ドル00セントで終えた。3月28日以来、約1カ月半ぶりに最高値を更新した。15日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまった。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを先送りするとの懸念が後退し、主力株に買いが入った。
◇Stock market today: Stocks pull back from records after Dow touches 40,000 for first time―Dow reaches 40,000 for the first time (Yahoo)
→木曜16日、ダウ工業株30種平均は初めて40,000ドルを突破した。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始後、多くのエコノミストが景気後退を予想していたことを考えれば、この節目は市場にとって象徴的な意味を持つ。
Northern Trust Wealth ManagementのKatie Nixon(ケイティ・ニクソン)氏は、「不況に陥らなかっただけでなく、労働市場が逼迫し、消費者が健全で、経済が堅調だった」と語った。
□5月17日(金)
◇16日の海外市場 NYダウ反落、短期的な過熱感強く (日経 電子版 07:00)
→米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比38ドル62セント(0.09%)安の3万9869ドル38セントで終えた。取引時間中には初めて4万ドル台に乗せたものの、短期的な相場の過熱感が意識され、主力銘柄の一部に持ち高調整の売りが出た。米長期金利の上昇(債券価格の下落)も株式相場の重荷となった。
□5月18日(土)
◇NYダウ、終値で史上初4万ドル テックと金融がけん引 (日経 電子版 07:18)
→17日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比0.3%高の4万0003ドルで取引を終えた。終値として初めて、4万ドル台に乗せた。米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ観測の高まりや経済の軟着期待からテック株や金融株などが上昇し、初の大台突破につながった。
≪市場実態PickUp≫
【スーパーコンピューター性能ランキング】
今週発表された年2回のTOP500の概要は、上に示した通り。関連する内容を以下示している。
◇ISC: Nvidia powers supercomputers, sovereign AI, quantum collabs―Nvidia: Grace Hopper Superchip power 9 supercomputers (5月13日付け FierceElectronics)
→1)NvidiaのGrace Hopper Superchipの発表から9カ月が経過、同社は今週ドイツのハンブルグで開催されたISC High Performanceイベントで、該Superchipが世界中で新たに9台のスーパーコンピュータにどのように電力を供給しているかを紹介している。
2)Nvidiaによると、同社のGrace Hopper Superchipは、フランスのEXA1-HEやポーランドのHeliosを含む世界9台のスーパーコンピューターに搭載されているという。Nvidiaはまた、AIデータ、インフラおよび労働力を所有し、ホストするよう各国を説得することを目的とした「sovereign AI」プログラムも進展させている。
◇スパコン「富岳」計算速度4位維持;米国勢トップ3独占 (5月14日付け 日経)
→世界のスーパーコンピューターの計算速度を競う最新のランキングで、米国の「フロンティア」が5期連続で首位となった。上位1〜3位は米国勢が独占した。理化学研究所と富士通が開発した「富岳(ふがく)」は前回と同じ4位だった。
【インテル関連】
アイルランド拠点に向けた$11 billionの資金確保向けてプライベート・エクイティ投資家のApollo Global Managementとの交渉の動きが1つ、もう1つは、インテルのファウンドリー部門責任者交代人事について、以下の通りである。
◇Intel reportedly seeking $11B to finance facility in Ireland―Another huge investment for chip giant despite losses (5月13日付け The Register (UK))
→インテルはアイルランドでの製造拠点のために$11 billionの資金を確保するため、プライベート・エクイティ投資家のApollo Global Managementと交渉を行っている。
サンタクララの巨人は合意まであと数週間と見られている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙はこの件に詳しい関係者の話を引用している。
◇Intel Shakes Up Leadership of Its Push Into Chip Foundry Market (5月13日付け BNN Bloomberg (Canada))
→インテルが、受託製造事業における新たなリーダー交代を発表、Marvell Technology社のexecutive、Kevin O’Buckley(ケビン・オバックリー)氏をファウンドリー部門のトップに任命した。
O'Buckley氏は上級副社長兼ファウンドリー・サービス・ジェネラル・マネージャーに任命され、外部顧客向けの半導体製造を担当する部門である。
◇Intel Nears Deal With Apollo for $11 Billion Ireland Partnership―Intel seeks $11B for facility in Ireland, sources say―Investment firm is in exclusive talks to supply the chip giant with cash for new plant (5月14日付け The Wall Street Journal)
→インテル社はアイルランドにおける拠点に$11 billionの資金を求めており、関係筋によると、同社はプライベート・エクイティ投資家のApollo Global Managementと交渉を行っているという。インテル社はまた、ファウンドリー部門の責任者にMarvell Technology社のexecutive、Kevin O'Buckley(ケビン・オバックリー)氏を指名した。
◇Intel names new head for foundry services (5月14日付け DIGITIMES)
→インテルは、Kevin O'Buckley(ケビン・オバックリー)氏をインテル・ファウンドリーのカスタマーサービスおよびエコシステム事業部門であるファウンドリー・サービスの上級副社長兼GMに任命したことを発表した。オバックリー氏は直ちにインテルのエグゼクティブ・リーダーシップ・チームに加わり、パット・ゲルシンガーCEOの直属となる。
O'Buckley氏は、5月末で35年間勤めたインテルから引退するStuart Pann氏の後任となるが、Pann氏は円滑な移行を確実にするためにアドバイザーとして残る。
◇Intel, Apollo near US$11 billion Ireland plant deal, WSJ says (5月14日付け Taipei Times)
→インテル社は、投資会社Apollo Global Management社と、アイルランドにある半導体製造工場に$11 billion以上の資金を提供する取引について、協議を進めている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が昨日報じた。両社は独占交渉中で、数週間以内に合意に達する可能性がある、と同紙は、特定には至らないこの協議に詳しい関係者の話を引用している。
【TSMC関連】
AI需要で伸びて、TSMCの4月売上高が同社史上2番目の高水準となっている。
◇TSMC revenue soars 60% on AI demand―INSATIABLE: Almost all AI innovators are working with the chipmaker to address the rapidly growing AI-related demand for energy-efficient computing power, the CEO said (5月11日付け Taipei Times)
→TSMCは昨日、人工知能(AI)およびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーションの需要急拡大の恩恵を受け、先月の売上高が約60%増加したと発表した。
TSMCの声明によると、先月の売上高は2,360億2,000万台湾ドル($7.28 billion)と、昨年4月の1,479億台湾ドルに比べての拡大、同社史上2番目の高水準となった。月次ベースでは、売上高は3月の1,952億1,000万台湾ドルから20.9%急増した。
ASMLの高NA極端紫外線(EUV)露光装置の価格が高過ぎる、と不満の空気が伝わる以下の内容である。
◇TSMC Says ASML’s Most-Advanced Chip Machines Are Too Expensive―TSMC points out high cost of ASML's high-NA extreme ultraviolet machines (5月14日付け BNN Bloomberg (Canada))
→ASMLホールディングNVの新しい先進的なチップ・マシンは、オランダの同社の最大の顧客の1つである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)によると、大変な値札を付けている。
TSMCのKevin Zhang(ケビン・チャン)上級副社長は、火曜14日にアムステルダムで開催された技術シンポジウムで、ASMLの高NA極端紫外線(EUV)と呼ばれる最新システムについて、「コストは非常に高い」と述べた。
「高NA EUVの能力は気に入っているが、価格が高いのが気に入らない。」
◇TSMC Says ASML’s Most-Advanced Chip Machines Are Too Expensive (5月14日付け MSN)
◇ASML’s new machines are too expensive: TSMC (5月16日付け Taipei Times)
→ASMLホールディングNVの新しい先進的なチップ・マシンには大変な値札がついている、と該オランダ企業の最大顧客の1つであるTSMCは語った。
TSMCのアリゾナ工場で事故が発生、運転手が負傷、運営には影響なしとしている。
◇TSMC米工場で事故 1人重傷か 「運営、影響なし」 (5月17日付け 日経)
→半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は16日、米西部アリゾナ州の工場で事故が発生し、外部委託業者の運転手が病院に搬送されたと明らかにした。「工場の運営や建設工事へ影響はない」と説明した。
◇No damage to Arizona plant: TSMC (5月17日付け Taipei Times)
→*爆発:現場から廃棄物を運搬していた運転手が、制御不能の圧力放出の後、鈍器が当たり、トラックから6メートル投げ出された。
*台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC、台積電)は昨日、アリゾナ工場の建設現場で廃棄物処理トラックの運転手が病院に搬送される事故が発生したが、同社施設への被害はなかったと発表した。
【韓国関連】
SK Hynixが、次世代モバイルNANDソリューション製品の開発を発表している。
◇SK Hynix develops next-generation mobile NAND solution ZUFS 4.0―SK Hynix unveils mobile NAND solution for on-device AI applications (5月9日付け DIGITIMES)
→SK Hynix Inc.は本日、オンデバイスAIアプリケーション向けのモバイルNANDソリューション製品であるZoned UFS(ZUFS 4.0)を開発したと発表した。
SKハイニックスは、スマートフォンなどのモバイル機器からのオンデバイスAI向けに最適化されたZUFS 4.0は、この種の製品としては業界最高であると述べている。
(注)
*ZUFS(Zoned Universal Flash Storage)
…データ管理の効率化を実現するNANDフラッシュ製品。デジタルカメラや携帯電話など様々な電子機器向けのフラッシュメモリ製品。
*オンデバイスAI
…物理的に分離されたサーバーで計算するのではなく、デバイス自体にAI機能を実装する技術。スマートフォンが直接情報を収集・計算することで、AI性能の素早い反応が可能になり、カスタマイズされたAIサービスの向上が期待できる。
韓国政府が、半導体産業への支援投資を発表している。Samsungはじめ民間投資を刺激して、世界最大の半導体センターを目指すとしている。
◇S Korea unveils more than US$7bn chip package―KEY TECHNOLOGY: South Korea’s semiconductor exports reached US$11.7 billion in March, and the chip sector accounts for one-fifth of the nation’s total exports (5月13日付け Taipei Times)
→韓国経済財政省が昨日発表したところによると、韓国は半導体産業を支援するため、$7 billion以上の支援策を設けるという。
この構想は、世界最大のメモリー半導体メーカーであるサムスン電子を中心に、$240 billionの民間投資によって世界最大の半導体センターを建設するという昨年の公約に続くものである。
◇Korea to set up over $7.29 bil. program to support chip industry―South Korea looks to boost chip industry with $7.29B (5月13日付け The Korea Times (Seoul))
→韓国は半導体産業の競争力を高めるため、素材、ファブレス企業および研究開発(R&D)に重点を置いて$7.29 billionを投資する。Choi Sang-mok(チェ・サンモク:崔相黙)財務相は、このプログラムでは融資や民間および国家機関が出資する基金を提供する可能性があると述べた。
Samsungについて、なぜか中国市場でのスマホの苦戦、そして高帯域幅メモリ(HBM)技術についての連携である。
◇Why is Samsung struggling in the Chinese market? (5月15日付け DIGITIMES)
→サムスン電子は、Galaxy S24シリーズの好調に牽引され、2024年第1四半期の世界スマートフォン市場で首位の座を奪還した。しかし、世界的な成功にもかかわらず、韓国の該巨大ハイテク企業は中国市場で苦戦を続けている。
◇Samsung delivers HBM tech to SiPearl―Samsung providing SiPearl with HBM tech for Rhea family (5月15日付け Electronics Weekly (UK))
→1)Euro-processor開発企業であるSiPearl社は、同社のRheaプロセッサー・ファミリーにHBM技術を供給するため、サムスンと契約した。
2)サムスンはSiPearlと協力し、SiPearlのRheaファミリーに高帯域幅メモリ(HBM)技術を提供する。SiPearlのPhilippe Notton(フィリップ・ノットン)最高経営責任者(CEO)は、SiPearlの低消費電力・高性能マイクロプロセッサーにHBMを内蔵することで、AIやスーパーコンピューターのワークロードが可能になると述べている。
【市況持ち直しの事例】
本格的な回復が待たれる状況が続いている中、 各社の業績発表における今後の持ち直しの見方である。
◇ASE expected to accelerate sales growth in 2H24 (5月13日付け DIGITIMES)
→ICパッケージング・テスト大手のASE科技控股有限公司の4月の売上高は458.2億元で、前月比0.3%増、前年同期比5.8%増となった。このうち、パッケージング・テスト・材料(ATM)の売上高は約251.9億元で、前月比2.1%減少したが、前年同期比では8%増加した。
◇Foxconn upbeat on AI demand, stands by Sharp following writedown―Foxconn to stay with Sharp, expects Q2 growth on AI demand (5月14日付け Reuters)
→*第1四半期純利益 220億1,000万Tドル 対 アナリスト予想 293億1,000万Tドル
*フォックスコン、第2四半期は大幅増収を予想
*シャープへのコミットメントを再確認、"最悪は後回し "と発言
フォックスコンは火曜14日、今年もAIサーバーの需要が好調で、売上が増加するとの見通しを示し、昨年多額の利益減を計上した日本のシャープを支援することを約束した。
世界最大の受託電子機器メーカーであり、アップルのiPhoneトップメーカーであるフォックスコンは、決算説明会で家電需要は横ばいを予想していると述べたが、人工知能(AI)アプリケーションのブームから、2024年の売上げは大幅に伸びると改めて述べた。
◇キオクシア6四半期ぶり最終黒字;1〜3月期、市況が回復 (5月15日付け 日経 電子版 16:02)
→半導体大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が15日発表した2024年1〜3月期の連結決算は、最終損益が103億円の黒字(前年同期は1309億円の赤字)と、6四半期ぶりに黒字に転じた。顧客の在庫整理が進み受注が上向いた。市況改善を受け2024年内に東京証券取引所への上場を目指す。
売上高にあたる売上収益は前年同期比31%増の3221億円だった。増収は7四半期ぶり。
半導体製造装置業界でも、本年後半の力強い販売高成長が見込まれている。
◇KEY MEASURES OF GLOBAL SEMICONDUCTOR MANUFACTURING INDUSTRY STRENGTH IMPROVE IN Q1 2024, SEMI REPORTS (5月14日付け SEMI)
→SEMIは本日、TechInsightsと提携して作成したSemiconductor Manufacturing Monitor(SMM)レポート2024年第一四半期発行の中で、2024年第一四半期の世界半導体製造業界は、電子機器販売高の上昇、在庫の安定化およびウェーハ工場設置能力の増加で改善の兆しを示したと発表した。今年後半には、業界はさらに力強い成長が見込まれる。
◇Key Measures of Global Semiconductor Manufacturing Industry Strength Improve in Q1 2024, SEMI Reports (5月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
台湾のITメーカー19社の売上高も、AI関連が引っ張る増加基調に入っている。
◇台湾IT19社、4月19%増収 AI関連サーバー好調 (5月17日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の4月の売上高合計は前年同月比で19.4%増だった。人工知能(AI)関連のサーバーや半導体が好調で2カ月連続のプラスとなった。
日本経済新聞が台湾IT関連の主要19社の売上高を調べたところ、4月の合計額は1兆2662億台湾ドル(約6兆円)だった。売上高合計はパソコンやスマートフォンの世界的な販売不振を受けて23年に低迷したが、AI需要を支えに持ち直している。