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SIA:2月世界半導体販売高 & Factbookに今なお残る恨み節

米Semiconductor Industry Association(SIA)から恒例の月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの2月分、旧正月があって短い2月ということで、1月との比較では2.7%減少であるが、前年同月比では6.7%の増加と22ヶ月連続の増加基調が続いている。モバイル機器はじめ旺盛な半導体需要を引き続き映し出しているが、SIAはこのほど「SIA Factbook」を発行、1980年代から現在に至る世界半導体業界の推移を表しており、特に日米半導体摩擦、DRAM市場を巡る当時の攻防を思い起こすところである。

≪2月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表内容は、次の通りである。最後には、自由公平な貿易を求める米国側の一貫した主張が改めて表わされている。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○2月のグローバル半導体販売高が前年比増加−この2月でグローバル市場22ヶ月連続の前年比増加;市場地域別ではAmericasが最も力強い伸び …4月6日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年2月の世界半導体販売高が$27.8 billionに達し、2014年2月の$26.0 billionから6.7%の増加と発表した。2015年2月のグローバル販売高は、2015年1月の$28.5 billionを2.7%下回り、季節的な流れを反映している。地域別では、Americasの販売高が前年同月比17.1%の増加、すべての市場地域を引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「2月のグローバル半導体業界は、マクロ経済の逆風にも拘らず22ヶ月連続の前年比増加を示して勢いを維持している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「DRAMおよびアナログ製品の販売高が特に力強く、昨年2月から二ケタ増となっており、そしてAmericas市場がここ12ヶ月で最大の前年比販売高増加を達成している。」

地域別では、販売高の前年同月比でAmericas(17.1%)およびAsia Pacific(7.6%)は増加したが、Europe(-2.0%)およびJapan(-8.8%)では減少した。販売高の前月比では、Europe(-1.6%), Asia Pacific(-2.2%), Japan(-2.3%) およびAmericas(-4.4%)と減少している。

                    【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Feb 2014
Jan 2015
Feb 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
5.32
6.51
6.23
17.1
-4.4
Europe
2.96
2.95
2.90
-2.0
-1.6
Japan
2.81
2.62
2.56
-8.8
-2.3
Asia Pacific
14.96
16.47
16.10
7.6
-2.2
$26.04 B
$28.55 B
$27.79 B
6.7 %
-2.7 %
--------------------------------------
市場地域
9-11月平均
12- 2月平均
change
Americas
6.53
6.23
-4.6
Europe
3.19
2.90
-9.2
Japan
2.93
2.56
-12.7
Asia Pacific
17.12
16.10
-6.0
$29.77 B
$27.79 B
-6.7 %
--------------------------------------


「ここ2年にわたる半導体市場の成長持続で元気づけられる一方、我々の業界の成功継続を大きく引っ張るのは自由貿易である。」とNeuffer氏は続ける。「Trade Promotion Authority(TPA)(貿易促進権限:[注]1990年代まではファスト・トラック権限[fast track negotiating authority、早期一括採決 方式]と呼ばれていたもの)という法制initiativeが、何10年もの間アメリカの製品&サービスへの市場開放に道を開いて、現存するほとんどどの米国自由貿易合意にも活気づける支えになったが、2007年に期限切れしている。現在交渉中のいくつかの重要な自由貿易合意があり、議会は敏速にTPAを行動で示すべきである。」

※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/February%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf

★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けた業界各紙の反応である。

◇Global semiconductor sales increase in February compared to last year (4月6日付け ELECTROIQ)

◇After Record Year, Global Chip Sales Are Still Climbing-SIA: Feb. chip sales totaled $28B (4月6日付け Re/code)

◇February chip sales up 6.7% (4月7日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇Global semiconductor sales increase in February 2015, says SIA (4月7日付け DIGITIMES)

このほどSIAでは、「SIA Factbook」を次の通り発表している。

◎The SIA Factbook: Your Source for the Latest Semiconductor Industry and Market Data (2015年4月1日付け SIA Blog)

現在に至る半導体業界の推移、そして現在の業界状況について以下に示されている。

http://blog.semiconductors.org/blog/the-sia-factbook-your-source-for-the-latest-semiconductor-industry-and-market-data

注目した、あるいはさせられた内容をまとめて、以下のとおりである。

〓〓〓〓〓

≪業界概観≫

□グローバル半導体業界は、グローバル経済の重要な成長分野
 …世界半導体販売高は、1994年の$101.9 billionから2014年には$335.8 billionに増大、平均年率11.5%の増加となる。WSTS Fall 2014 Semiconductor Industry Forecastによると、2015年に$345 billion、2016年に$355 billionに達すると予測されている。
□米国半導体業界は、グローバル市場で半分以上のシェア
 …headquartersがある国・地域での2014年半導体販売高シェア
  →米国 51%、韓国 17%、日本 12%、EU 8%、台湾 7%、中国 4%
  ※Americasの半導体メーカーは、1982年から1988年の間、日本メーカーからの激しい競合圧力から市場シェアの大きな低下を経験している。
□米国の半導体メーカーは、ほとんどの主要地域半導体市場でシェア優位を維持
 …2014年に、Americasが本拠の半導体メーカーは半導体市場全体の50%超を占めている。日本以外の主要市場すべてで米国にheadquartersがある
  メーカーが市場の約半分を占めている。世界最大の単一国家市場の1つ、日本では、米国メーカーのシェアは36%に留まっている。歴史的に日本市場では、海外メーカーのシェアが他のすべての市場においてよりも低くなっている。
□米国で行われる半導体製造のほとんどが米国メーカーによるもの
 …Americas本拠が87.1%、Asia Pacific本拠が10.3%
□米国半導体業界は製造のほとんどを米国で実施
 …米国本拠メーカーのウェーハcapacityの地域別比率:
  →Americas 52.2%、Asia Pacific 30.1%、Europe 9.1%、Japan 8.7%
□半導体は米国のトップ輸出カテゴリーの1つ
 …航空機 $113 Billion、自動車 $61 Billion、半導体 $43 Billion

≪グローバル市場 −多様化&消費者牽引≫

□グローバル半導体販売高は、結局は消費者が購入する製品が牽引
 …2014年グローバル半導体市場$336 Billionの内訳
  →通信 34.3%、PC/コンピュータ 30.6%、consumer 12.9%、産業/政府 11.7%、車載 10.4%
□グローバル半導体販売、製品の多様化
 …2014年の製品分野別分布と2013年からの伸び率
   ロジック     $92B   +6.6%
   メモリ      $79B   +18.2%
   アナログ     $44B   +7.9%
   MPU        $44B   +9.8%
   光        $30B   +8.3%
   ディスクリート  $20B   +10.8%
   MCU        $15B  +4.4%
   センサ      $9B   +5.8%
   DSP        $3B   -6.2%
□今日、Asia Pacificが圧倒的な最大地域半導体市場
 …Asia Pacific市場は、2001年以降$39.8 billionから2014年の$194 billion超と規模が4倍になっている。1980年代の始めの世界最大半導体市場はAmericasであった。しかしながら、世界消費のAmericasシェアは1980年代の半ばから後半に浸食され、日本が1986年に最大地域市場になった。Americas市場の大きさは1993年に、computerおよびテレコム分野の力強さから、日本を上回った。2001年に、電子機器生産の移行から、Asia Pacific市場が販売高で他のすべての地域市場を上回った。

〓〓〓〓〓

日本勢が世界市場を席巻した1980年代の業界摩擦の下りでは、the effect of illegal "dumping"という表現が残っている。上記の2月販売高発表にある通り、我が国は世界4地域では最も低い販売高という状況が続いている現時点ではある。"世界をリードする半導体最先端技術の優位性"の原点に立ち返る重みをいままた一層感じるところである。

現在は拡大する中国に注目せざるを得ないが、日米とは違った米中の丁々発止の応酬の兆しを以下の動きからも感じ取っている。

◇More deals ahead? China fund buys Silicon Valley chip maker-Analysis: China shows interest in U.S. chip firms (4月5日付け San Jose Mercury News (Calif.))
→中国が、OmniVisionを買収する中国投資家グループの提示などの契約提案で明らかなように、米国市場でのその半導体存在感を高めるよう動き回っている旨。また、北京および上海に拠点を置く投資ファンドがIntegrated Silicon Solution買収を試みるグループを引っ張っている旨。「中国政府は、アメリカとの間で段差をなくして同じ条件で競えるよう文字通りbillions of dollarsを充てることを決めている」(Asia Societyの米中関係director、Orville Schell氏)旨。
≪図面≫ 中国半導体業界の拡大経緯&予測:2001〜2020年、下記参照。
http://extras.mnginteractive.com/live/media/site568/2015/0405/20150405_042723_SJM-CHINABUY-0403-90-01_400.jpg


≪市場実態PickUp≫

【早くも決裂の報】

インテルが先端プロセスの開放を発表して2年、Alteraを買収するという噂が出てきて両社の株価が上昇、市場の期待感を醸し出したばかりであるが、金額が合わないということで早くも話し合い中止と相成っている。インテルにとって最大規模の買収となり、会社の価値金額を巡る応酬が市場でも取り沙汰されており、今後の動き如何に依然注目である。

◇Intel, Altera end takeover talks due to price disagreement: source-Sources: Intel-Altera merger talks have halted (4月9日付け Reuters)
→IntelとAlteraが、買収価格の不一致の渦中、合併の話し合いの中止を宣言の旨。両社はコメントを控えている旨。Alteraのboardはこの決裂を説明するよう圧力を受ける、とRBC Capital MarketsのDoug Freedman氏。

◇Intel Said to End Talks to Buy Chip Designer Altera (4月9日付け The New York Times /DealBook blog)

◇Intel, Altera End Acquisition Talks (4月10日付け EE Times)
→金額の不一致という報道、IntelとFPGAメーカー、Alteraの間で噂された取引が今はなくなっている旨。

【2014年の半導体市場関連データ】

昨年の半導体市場データが最終的にまとめられて、以下相続く発表である。
まずは、CMOSイメージセンサ市場。今後に向けて注目の分野であるが、ベンダーランキングが以下の通りである。この後にも追加投資について示しているが、首位のソニーの急伸ぶりが目立っている。

◇Omnivision Loses Ground in CMOS Image Sensor Ranking (4月7日付け EE Times)
→Yole Developpement発。CMOSイメージセンサ市場が、2014年から2020年にかけてcompound annual growth rate(CAGR) 10.6%で伸びる見込み、市場金額では2014年約$8.85 billion、2015年は$9.8 billionとなる旨。2014年の市場シェアベンダーランキングを、2012年と比べて次の通り。

2014年順位ベンダー
2012年シェア
2014年シェア
1Sony
21%
27%
2Samsung
18%
19%
3Omnivision
19%
17%
4Canon
9%
7%
5On Semi (Aptina)
8%
6%
6Toshiba
6%
4%
7STMicroelectronics
4%
4%
8Nikon
4%
3%
9GalaxyCore
4%
3%
10SiliconFile
2%
2%
PixelPlus
2%
Pixart
2%
Other
5%
4%

Gartner社からの昨年の世界半導体売上げ総計、そしてベンダーランキング・トップ10が更新された形で、それぞれ以下の通りとなっている。

◇Worldwide Semiconductor Revenue Grew 7.9 Percent in 2014, According to Final Results by Gartner-Booming DRAM Market Sees Revenue Increase 32 Percent During 2014 (4月7日付け Gartner)
→Gartner社による最終集計。2014年の世界半導体売上げ総計は$340.3 billion、2013年の$315.4 billionから7.9%増。トップ25半導体ベンダーの売上げ合計は11.7%増、業界全体の伸びを上回った旨。トップ25ベンダーは市場売上げ全体の72.4%を占め、2013年の69.9%から上昇の旨。

◇Intel leads the charge in burgeoning semiconductor market-Firm was top ranking chip maker in 2014 due to PC market recovery (4月7日付け The Inquirer)
→Gartner発。2014年の半導体販売高は8%増の$340bn、ASICs、ディスクリートおよびmicro-componentsが減少した2013年と違ってすべてのデバイス分類で伸びが見られた旨。2014年のメーカー別ではIntelが首位、2年の売上げ減少を経て増加に戻し、市場シェア15%で23年連続のNo.1確保の旨。

◇Global semiconductor market hit $340 billion in 2014: Gartner-Gartner: Semiconductor revenue was up 7.9% last year (4月8日付け ZDNet)

◇Global 2014 semiconductor revenues rise 7.9%, says Gartner (4月8日付け DIGITIMES)

◇Intel, Samsung Up, Qualcomm, Toshiba Down in Chip Vendor Ranking (4月10日付け EE Times)
→Gartner社が、各社の最終的な業績に基づいて2014年半導体ベンダーランキング・トップ10を更新、以下参照。
http://img.deusm.com/eetimes/2015/04/1326333/Gartner_2014_Semi_vendor_randing.png

この半導体デバイスの売上げに呼応する製造装置および材料市場の2014年の状況が以下の通りである。2年のマイナスを経ての伸びとなっている。

◇2014: A year in review - Semiconductor equipment and materials market and outlook (4月9日付け ELECTROIQ)
→WSTSによると、2014年は半導体デバイス売上げで2年連続の記録更新、10%増の$336 billion、このデバイス市場の力強い勢いが装置および材料市場両方の伸びを引っ張るに十分、2年連続の売上げ減少を経て、装置および材料市場両方ともに2014年はそれぞれ18%および3%伸びた旨。

◇SEMI reports 2014 global semiconductor materials sales of $44.3B (4月7日付け ELECTROIQ)

◇SEMI reports 2014 semiconductor materials sales of US$44.3 billion (4月7日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2014年のグローバル半導体材料市場が3%増の$44.3 billion、2011年以来はじめての増加、2014年の世界半導体売上げは10%増の旨。

最後に、2014年DRAM市場での韓国勢のシェアの躍進である。史上最高の結果を示している。

◇S. Korea's share in DRAM market hits all-time high in 2014-IHS: South Korea boosts share of global DRAM market(The Korea Herald (Seoul)/Yonhap News Agency (4月9日付け South Korea))
→IHS発。韓国メーカー、主にはSamsung ElectronicsとSK Hynixが、2014年の世界DRAM市場の67.7%を占め、2012年の65.5%を上回る最高を記録の旨。
Samsungが2013年の36.2%から昨年は40.4%に市場シェアを高める一方、SK Hynixはシェア27.4%で世界第2位であった旨。

【Moore's Law50周年およびベル研90年】

Moore's Lawの50周年に対する称賛の声が続いている。

◇50 Years of Moore's Law: A Lesson in (R)Evolution (4月7日付け SEMI)
→今月は、半導体業界のすばらしいmilestone、Moore's Lawの50周年。我々の業界の歴史をふりかえると、computer用半導体がここ数10年もたらしてきている速度、伸び、技術的洗練度および変革に驚嘆させられる。この何物も半導体装置&材料なくして可能なものではない。

◇Moore's Law at 50 and the Rice-and-Chessboard Fable (4月7日付け SEMI)
→50年前、1965年4月19日に、Gordon Moore氏が、今ではMoore's Lawと呼ばれるものの起源となるElectronics Magazineでの論文を出している旨。

さらに10年は続く、とインテル社内からの見方である。

◇Intel predicts Moore's Law to last another 10 years-Intel: Here's to another decade of Moore's Law (4月8日付け V3.co.uk (U.K.))
→Intelのtechnologistsが、50年を迎えようとしているMoore's Lawにはさらに先の10年があると力説の旨。「約10年先が見えており、我々のリサーチグループは7-nmおよび5-nmについていくつか有望なoptionsを同定、まだ完全には開発していないが、Moore's Lawは少なくともさらに10年は続けられると思う。」(Intelのsenior fellow、Mark Bohr氏)

そして、もう1つ、ベル研90年の祝賀会が行われている。

◇Bell Labs Opens New Doors-Celebrating its future-looking research (4月8日付け EE Times)
→Bell Labsが本日、90年の歴史および世界を変える電子および光の進展への基本的科学ブレイクスルーを行う根元への回帰を祝った旨。この1日の祝賀には、connectivityおよび通信の今後を探求する名高いMurray Hill, N.J.リサーチ拠点に同研究所のノーベル賞受賞者および現地高官が参加の旨。

【中国でのIntel Developer Forum】

Intel Developer Forumが中国・深センで開催され、中国市場に向けた顧客サービスそしてスマホ向けプロセッサが、以下の通り披露されている。

◇Intel courts China's hardware startups to popularize its mobile, IoT chips-Intel seeks China chip business for mobile, connected devices (4月8日付け PCWorld/IDG News Service)
→Intelが水曜8日、Intel Developer Forum(Shenzhen, China)にて、モバイル機器およびInternet of Things(IoT)応用に特化するメーカーへのequity投資を含むMass Makerspace Acceleratorプログラムを発表、中国の顧客の支持を得ようとしている旨。中国市場への関わり30年を刻む該conferenceにて、スマートフォン向け低電力Atom x3プロセッサを披露の旨。

◇Intel's 'Plans' for Atom x3 in IoT/Wearables, Bargain Smartphones (4月9日付け EE Times)
→Intel Developer Forum(Shenzhen, China)にて、Intel社は、スマートフォン、wearablesおよびInternet of Things(IoT)における今後の活動に向けた戦略の一環として、中国メーカーおよび開発者に対して最先端技術の供給はじめ大きな役割を強調の旨。IoTデバイスへの搭載を狙う「Atom x3」(コード名SoFIA)の製品ラインアップ拡大など発表の旨。

◇Intel details Atom plans for IoT, smartphones and tablets at IDF in China (4月9日付け V3.co.uk (U.K.))

【戻し調子のSamsung関連】

Appleの次期iPhone向けプロセッサ製造について、Samsungが受注を取り戻すという記事報道が続いている。

◇Samsung Said to Win Apple A9 Chip Orders for Next IPhone (4月3日付け Bloomberg)
→直接の事情通発。Samsung Electronics Co.が、Apple社の次期iPhoneモデルにおける主半導体を製造、以前TSMCにもっていかれた顧客を取り戻す旨。

◇Samsung Poised to Supply Chips for Apple's Next iPhone (4月3日付け The Wall Street Journal)
→SamsungがQualcomm社のSnapdragon半導体でなく自前開発のExynos microprocessors(MPUs)で主に進めるとした決定が、ロジック半導体部門の今年唯一の大当たりではなく、Samsungは、Apple社の次期iPhone用半導体を製造する運びの旨。

◇Samsung Shows Signs of a Turnaround (4月7日付け The New York Times)
→新しいhigh-endスマートフォン、Galaxy S6の力強い売れ行き、AppleのiPhone向け半導体メーカーとしてQualcommに置き換わること、そして合理化された製品offeringsで中国で市場を席巻しているlow-end機器との競合力が強化されるというSamsungの持ち直す兆しについて。

密接に連携するGlobalFoundriesとの分担が表わされている。

◇Samsung To Share Apple Order With GlobalFoundries (4月6日付け Saratoga)
→ここ2年、Malta(米ニューヨーク州)に拠点をもつ半導体ファウンドリー、GlobalFoundriesは、ビジネス獲得に向けてAppleとの関係強化に取り組んでいる旨。最近SamsungがApple最新のプロセッサ半導体契約を得て、GlobalFoundriesと共有分担する計画との報道、その取り組みがうまくいっている旨。

AMDとのビジネス関係も以下の通りである。

◇AMD Notches Embedded Win With Samsung-Samsung adopts AMD's R-Series embedded chips in digital signs (4月7日付け eWeek)
→Samsungが、digital signage(電子看板)システムでAMDのR-Series embedded APUsを用いており、PCsを超えた事業拡大を図るAMDの活動を強めている旨。

インテルとSamsungがセマテックを離脱すると確認されているが、Samsungの半導体ビジネス好転との関係如何と取り沙汰されている。

◇Samsung leaving chip making group as company sees 'turnaround' (4月7日付け Albany Business Review)
→SamsungがAlbany, New YorkのSematech consortiumを離れようとしているという話は、Appleの次世代iPhones向けcomputer半導体の供給などビジネスに伸びる兆候が出て、来ている旨。

Samsungの14-nmプロセッサを解析した以下の記事であるが、インテルとの時間軸の差が狭まってきているとの見方に注目している。 

◇Samsung Delivers Its 14 nm (4月9日付け EE Times/Blog)
→IPコンサルティング&技術解析のTechInsights、product line manager for Process、Kevin Gibb氏記事。サムスン電子のモバイル向けARM系MPUシリーズ最新版、14-nm finFETプロセス製造のExynos 7420について。
9.2mm x 9.3mm(86 mm2)と大きなdie。Intelが2014年10月に14-nm 5Y70 Broadwellプロセッサをリリースしたのに続く14-nm finFET製品、Exynos 7420の2015年4月リリース、2014年9月に20-nm node Exynos 5420をリリースして僅か7ヶ月後のこと。今までのIntelのTSMCおよびSamsungに対する1年以上の先行は、今や約半年に縮まっており、Samsungにとって著しい成果の旨。

【TSMCの技術シンポジウム】

インテル、Samsungとともに最先端をリードするTSMCが、米国3ヶ所で恒例の技術シンポジウムを開催、16-nmそして10-nmへの取り組みについて以下のプレゼン概要である。

◇Investors await TSMC symposium, conference-TSMC investors are waiting to hear from management at U.S. conferences (4月6日付け The Taipei Times (Taiwan)/CNA)
→TSMCが明日San Jose, California、来週Boston, MassachusettsおよびAustin, Texasで開催する技術シンポジウムについて。グローバル半導体業界の雲行きをより良く理解するよう、基調講演に注目が集まる旨。

◇TSMC on Target for Production Advances to Fend Off Samsung-TSMC exec sees 10nm fabrication by end of 2016 (4月7日付け Bloomberg)
→TSMCのco-CEO、Mark Liu氏。同社は、来年末までに10-nm dimensionsの半導体を出す生産capabilityをもつ旨。TSMCは、Appleなどの顧客に向けたcustom半導体製造でSamsung Electronicsと競い合っている旨。

◇TSMC Outlines 16nm, 10nm Plans (4月8日付け EE Times)
→TSMCが、16-nm FinFETプロセスの小型、低電力版を展開する計画、さらに先の微細プロセスノードに向けたロードマップを披露の旨。同社は、20-nm半導体の量産から1年、16-nm FinFET Plus(16FF+)の量産を今年半ばに開始、来年新しい10-nm fabの起工を行う旨。FinFET Plusにより作った半導体は、競合するsiliconより10%上回る性能、20-nm SoCより50%少ない消費電力、そして20-nm半導体の2倍のcycle timeの旨。年末までに50以上の50 tape-outsを控えており、applicationsプロセッサ, GPUs, 車載用およびネットワークプロセッサに及ぶ、とTSMC 2015 Technology Symposiumにて火曜7日、TSMCのPresident and Co-CEO、Mark Liu氏。

【ソニーのCMOSイメージセンサ生産増強】

CMOSイメージセンサを首位で大きく引っ張っているソニーについて、上記の通りであるが、一層のリードを取るべく追加投資が以下の通り行われようとしている。

◇Sony to Spend 45 Billion Yen to Boost Sensor Capacity-Sony budgets $376M for sensor-capacity expansion (4月7日付け Bloomberg)

◇Sony to further boost production of imaging sensors (4月7日付け Reuters)

◇ソニー、画像センサ投資1500億円に拡充、2016年9月に月産8万7000枚 (4月7日付け 日経 電子版)
→ソニーが7日、スマートフォンなどに搭載する画像センサ、「積層型CMOSイメージセンサ」の生産能力を当初目標よりも約1割引き上げると発表、2016年6月末までに国内の月間生産能力を現在よりも約3割多い8万枚にする予定だったが、生産ラインを追加導入して同年9月末までにさらに7000枚上積みする旨。生産増強に伴う投資額も当初見込みの1050億円から1500億円に増加、当初予想よりもスマホやタブレット端末向けの需要が高まると判断して、投資拡大を決めた旨。

◇Sony Tips Billion-Dollar Capex for Stacked Image Sensors (4月9日付け EE Times)


≪グローバル雑学王−353≫

二度の世界大戦、その後の東西冷戦、そして現在に至るまでの中国と北朝鮮について、

『大局を読むための世界の近現代史』
 (長谷川 慶太郎 著:SB新書 276) …2014年11月25日 初版第1刷発行

より、近現代史の大きな流れを本著者ならではの経緯および実態把握により辿ってきたが、最終章、東アジアと日本の未来、を2回にわたって読み進めていって締めとなる。中国と北朝鮮の関係、そして中国経済の先行きが、現下の赤裸々な事態の経緯、それに基づく今後の率直な視点の展望をもとに表わされている。


第4章 東アジアと日本の未来 =2分の1=

◇日本にすり寄る北朝鮮
・本章では、私たちの前に広がる「いま」と、そして近くやってくる「未来」について
・2014年3月、中国の瀋陽で2回にわたって日本と北朝鮮による赤十字会談の開催
 →北朝鮮の態度が明らかな変化
 →日本の外務省関係者には大いに驚き
・北朝鮮はいまや、リスクを覚悟してでも日本との交渉を進めようとしている
 →背景に、これまで北朝鮮を支援していた中国の変化

◇張成沢氏の粛清事件が意味するもの
・2013年12月、金正恩体制のナンバー2といわれた張成沢氏が死刑判決を受け、粛清された
 →張氏は、「瀋陽軍区と北朝鮮のパイプ役」
・張氏の粛清がなにを意味するのか
 →北朝鮮の支配者が瀋陽軍区から中国共産党、つまり習近平国家主席に移行したということ
 →「中国がいつでも北朝鮮を見捨てることができるようになった」
・自国だけではとても成り立たない北朝鮮の経済
 →日本のおよそ145分の1程度の経済規模
 →1953年の朝鮮戦争休戦以降、中国が無煙炭・原油・穀物を無償で援助
・北朝鮮の切り捨てをすでに実行に移し始めている
 →中国と北朝鮮を結ぶ橋を渡る貨物列車やトラックの数が減っている
・一番気になるのはいつ中国からの援助が終わり、北朝鮮が崩壊するか――ということ

◇シャドーバンキングの債務不履行が張成沢氏の粛清事件につながる
・人民解放軍が数年前から経営に乗り出していたシャドーバンキング(影の銀行)
 →中国の中小企業に20%という高金利でカネを貸しつけ
 →ここに来て中小企業からの返済が焦げつき、理財商品の償還が不可能(デフォルト)になる危機
・中国の国有銀行は民間の中小企業にまったく融資を行わない背景
 →持ち逃げリスクのない国有の大企業だけが対象
・理財商品の償還に応じるためには、シャドーバンキングから普通の銀行に変わる必要
 →その決定を行うのが中国共産党率いる中央政府
・瀋陽軍区は中国共産党のコントロール下に入り、北朝鮮に対する影響力を完全に奪われた
 →かつては十分可能性があった「瀋陽軍区を発端とする中国崩壊」というシナリオは実現しなくなった

◇中国の不動産バブルはすでに崩壊している
・北朝鮮は日本との距離を縮めつつあるのが現状
 →中国にも北朝鮮へ援助するだけの余裕がない
・中国では経済成長にともなって不動産価格の上昇、そのバブルはすでに崩壊
 →事例の1つが、日本の本マグロの値段
  →築地市場での初競り価格:2011年…3200万円
                   2012年…5600万円
                   2013年…1億5540万円
                   2014年…736万円
 →この乱高下には、香港の寿司チェーン「板前寿司」の参加が関係
  →2014年は同社が参加しなかった
  →香港で高級マグロを食べるのは中国の富裕層
・売れないマンション、それまでが実態にそぐわないほど高かったの一言
 →中身がバブル(泡)
・中国の富裕層は、中国の不動産から手を引き、資金を国外へ退避させつつある
 →バンクーバーはあまりに中国人が増えたため、「チャイナクーバー」などとの呼ばれ方も
・自国の経済がこんな状況、中国共産党も北朝鮮への援助を減らそうとしている

◇理財商品のデフォルトで中国の金融市場は壊滅する
・2014年3月、全国人民代表大会(全人代)の財政経済委員会の委員を務めている人物
 →中国政府が必ずしもすべての理財商品のデフォルト(債務不履行)リスクを保障するわけではないことを表明
 →人々が理財商品に手を出した背景には、「最終的には国がなんとかしてくれるだろう」というモラルハザード(論理の欠如)も
・おそらく実際には30兆元(約500兆円)もの理財商品の残高、すべて不良債権と化す可能性
 →日本も20年近くかけて償却、「失われた20年」ですら100〜200兆円
・習国家主席も、簡単にデフォルトした理財商品を救済することができない
 →世界中の金融機関、どの国もわざわざリスキーな中国の理財商品に資金を流入させるという愚かなマネはしない
 →デフォルトを回避する現実的な方法は皆無
・すでに中国共産党は八方塞がりの状況に陥りつつある

◇国際金融面でも中国経済は危機に陥る
・人民元と米ドルのレート推移
 →人民元安が起きている:人民元が売られ、米ドルが買われた
 →アメリカ経済の好調、それと同じくらい中国経済に対する危機感の広まり
・純粋に、中国の資産家たちが外国に資産を移そうとしている
 →中国経済にとってはダメージに
・人民元安の抑制
 →中国政府がとった手段が、安定した資産であるアメリカ国債の売却
 →そんな中国にトドメを刺すのがアメリカの金利引き上げ
・いまやアメリカ経済は完全に回復基調
→FRB(米連邦準備制度)は、金融緩和政策から脱却し、金融引き締めに舵を切る決定
 →実際、市場では2015年半ばには金利引き上げが行われるだろうとの予測
 →中国政府にとって大きな驚き
・止まらない人民元安とアメリカによる金利の引き上げ前倒し
 →中国の崩壊が目前まで迫っていることを示す

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