約二桁増の半導体販売高、新市場のIoT、wearableなど、2014年締め
2014年も終わりに近づき、新年、2015年を迎えるタイミングにて、この1年の本欄のタイトルを分類する形で動きを振り返っていく。次の6つに分けて示しており、数字は項目数である。
【世界半導体販売高】12
【新市場への期待…IoT、wearable】 8
【各国・地域の動き】 4
【最先端新製品・新技術】11
【注目の各社の動き】 4
【グローバル市場の波動】12
史上最高を塗り替える販売高の伸びと相次ぐグローバル市場の波動、波紋が特に印象に残る推移となっている。
≪2014年の動きを振り返る≫
【世界半導体販売高】
まずは、恒例、米SIAからの発表に基づく月ごとの世界半導体販売高である。本年は以下の≪市場実態PickUp≫に示す通り、9.4%増、$353.2 billionの販売高という最新の見込みが表されており、$300 billion台に大きく踏み込む勢いを示している。モバイル機器の活況が引き続き大きく引っ張っており、一端が台湾のファウンドリー勢の秋にかけての最高業績に表れている。
「新年の力強いスタートへ加勢:11月世界半導体販売高が9ヶ月連続増加」(1月)
「2013年半導体グローバル販売高、やっとのこと$300 billionの壁突破」(2月)
「1月として史上最高の世界半導体販売高、目立つ米国の主導性」(3月)
「1月、2月と出だし好調、米国の伸びが目立つ世界半導体販売高」(4月)
「史上最高が続く世界半導体販売高、こんどは第一四半期販売高」(5月)
「4月も増加基調の世界半導体販売高、2015年へと続く伸びの予測」(6月)
「全地域で増加の5月世界半導体販売高、一方、各地域各様の激動」(7月)
「世界半導体販売高、6月は過去最高、前半を最高ペース折り返し」(8月)
「最高更新に向かう世界半導体販売高、月次塗りかえ、累計10.4%増」(9月)
「増加基調が続く8月世界半導体販売高、史上最高ペース」(10月)
「2014年7-9月、史上最高の四半期販売高を記録、1-9月累計9.8%増」(11月)
「世界半導体販売高、18ヶ月連続の前年比増、我が国の一層奮起を!」(12月)
【新市場への期待…IoT、wearable】
モバイル機器が引っ張る市場のなか、スマートフォン、タブレットに続く大物、スター探しが喧しさを増してきており、特に押し迫ってのInternet of Things(IoT)を巡る熱気は、2015年に大きく波及していくものと思われる。
製造面、技術面そしてビジネス展開と、最先端一辺倒ではない色合いもあり、多彩なアプローチとまとめ方に注目と思われる。
「飛躍を期待の新年スタート、Wearables/IoT/クルマに焦点のCES」(1月)
「Wearable、ヘルスケアに向けた相次ぐ取り組みの動き」(3月)
「モバイル機器Update: 新技術、戦略、wearable、新製品対応」(4月)
「新市場拡大に向けて、SSDの多様化、wearableの課題」(5月)
「クルマ、IoTに軸足を置いた様々な展開、アプローチ」(5月)
「直近アップデート:IoT & wearable、IBM半導体、450-mm」(6月)
「一気に高まるInternet of Things(IoT)への熱気、戦略的取り組み」(12月)
「鳴り止まないInternet of Things(IoT)の熱気、取り組み」(12月)
【各国・地域の動き】
半導体の自立化を図る中国、そして半導体業界最先端を主導する米国にやはり注目が集まる現時点である。駆け引き、攻防の局面がしばらく続くものと思われる。
「改めて知る中国サプライズ …モバイル機器市場、地場メーカー」(8月)
「半導体強化、自立化を図る中国、アプローチ/対抗の動き」(11月)
「米国および中国、両国が引っ張る業界懸案、それぞれの動き」(11月)
「激動の中国市場と台湾半導体ベンダーを巡って憶測を呼ぶ動き」(12月)
【最先端新製品・新技術】
以下の通り、それぞれそのときの新技術、新製品の打ち上げや動きを思い起こされる内容である。2014年もまた、アップルの新製品が大きな取り上げ方になるとともに、インテルが引っ張る最先端プロセス技術の発表となっている。IoT、wearableへの対応が加わって、どう変わるか、2015年の1つの注目点と感じている。
「早々注目の動き:cloud技術、指紋センサ、インテル最先端fab」(1月)
「ビジネス最前線、最先端技術の凌ぎ合い −スマホ市場、ISSCC」(2月)
「最先端半導体技術に立ちはだかる様々な試練、軋轢」(3月)
「Update:最先端微細化を競う動き …3D NAND、FD-SOI、各社戦略」(5月)
「最先端高性能化の取り組みの一方、停滞感および問題意識」(6月)
「岐路に立つ半導体業界…Moore則、シリコンscaling」(7月)
「新技術の両雄ここに、インテルの14-nm、IBMの"TrueNorth"」(8月)
「待ち望んだハイテク有頂天、アップルとインテルの新製品&技術発表」(9月)
「アップルiPhone新モデルと続く低コストAndroid One発表の波紋」(9月)
「Apple iPhone 6 & 6 Plusの明かされる中身と市場インパクト」(9月)
「覇権、威信をかけた凌ぎ合い…半導体業界、スーパーコン」(11月)
【注目の各社の動き】
中国、インドの地場プレーヤーの台頭があって、従来の大手もなかなか平坦ではなかったエレクトロニクス業界の2014年であるが、特にスマートフォンでシェアダウンに見舞われたSamsung、そして半導体製造売却の事態に至っているIBMを巡る動きは年中通して注目させられた感覚である。時代の入れ替わりの感じ方もあって、様々な思いにかられる経緯ともなっている。
「インテル、SamsungおよびTSMC、それぞれの業況、戦略的な動き」(4月)
「大手プレーヤーを巡る連日の激しい変化、衝撃」(7月)
「Samsung、HP、他に見る、事業環境激変を受けたそれぞれの動き」(10月)
「革新の巨人、IBMの半導体製造売却提案への見方、思い」(10月)
【グローバル市場の波動】
世代、時代、いろいろ入れ替わりを感じさせ、引き起こしている根源としてグローバル市場の波動が、以下の通り容赦なく相次いでいる。新しい局面に向けたmerger-and-acquisition(M&A)も活発に続いており、IoT、wearableそしてセンサ、MEMSと今後も続く展開が見込まれる。技術、ビジネスの展開と相まって、グローバルな市場のうねりが引き続き、大きな注目点である。
「グローバル市場の現実を映し出す事業売却、人員削減の動き」(1月)
「モバイル機器、特許、データセンターを軸に相次ぐ戦略的動き」(2月)
「中国、インドを巡る市場、通商の気になる波風」(2月)
「昔の汎用品、今の新興経済圏移行、低価格製品&市場の伸び」(3月)
「Update: モバイル機器インパクト、世界を巻き込む凌ぎ合い」(3月)
「陣営間の様々な駆け引きの様相:綱引き、ためらい、働きかけ」(4月)
「市場拡大、体質強化に向けて、戦略的連携、買収の相次ぐ動き」(6月)
「安定化、台頭、など見えてくる今風の市場分野模様」(6月)
「市況連鎖のキーワード:アップル、中国、アジア経済圏」(7月)
「業界地図の激変を促す、相次ぐグローバルな動き」(8月)
「アップル、中国を巡って、グローバル・インパクトの拍車」(9月)
「業界を揺るがす波紋と現実...業績発表:新iPad」(10月)
≪市場実態PickUp≫
【4年ぶりの力強い伸び】
本年のグローバル半導体販売高が、リーマンショックの後戻した2010年以来最も良い9.4%増の見込み、とIHS Technologyが発表している。$300 billion台に大きく入って$353.2 billionの販売高を読んでいる。
◇Best Year Since 2010, says IHS-IHS: Chip business has had a strong year (12月22日付け Electronics Weekly (U.K.))
→2014年の半導体業界売上げが9.4%増の見込み、2010年以来最も良い伸びとなっている旨。28の業界subsegmentsのうち22が本年伸びる見込み、2013年は12に留まった旨。
◇Diversified growth gives semiconductor industry its best year since 2010 (12月22日付け TechSpot.com)
◇Global semiconductor market set for strongest growth in four years in 2014 (12月23日付け ELECTROIQ)
→IHS Technology発。2014年世界半導体売上げサプライヤ別ランキングトップ20の現時点の見方、下記参照。
⇒http://electroiq.com/wp-content/uploads/2014/12/2014-12-18_Semi_Ranking_Final.jpg
◇Global semiconductor market set for strongest growth in four years in 2014, says IHS (12月23日付け DIGITIMES)
→IHS発。2014年の世界半導体市場売上げは9.4%増を達成する軌道にあり、複数の半導体分野にわたる広範な伸びが2010年(33%増)以来最も良い業界業況を引っ張っている旨。近年のグローバル売上げ:
2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
1%増 | 2%以上減 | 6.4%増 | 9.4%増 |
$322.8 billion | $353.2 billion |
【産業用IoTが引っ張るMEMS】
consumer応用が大半のInternet of Things(IoT)であるが、どっこい産業用(Industrial IoT:IIoT)も大きく伸びるとともに、今後に向けた課題が10点と、以下の通り表わされている。
◇MEMS Spurred by Industrial IoT-Consumer still leads, but industrial IoT growing, too-Study: Industrial IoT to drive growth in MEMS (12月22日付け EE Times)
→MEMSのconsumer応用が今日よく取り上げられているが、産業用応用も急速に伸びてきている旨。MEMSを用いる産業用Internet of Things(IoT)製品の新カテゴリーは、asset-trackingシステムからsmart grids、smartビル自動化まで定義されてきており、大きな市場インパクトがある旨。IHSの予測によると、2018年のconsumerおよびモバイル応用MEMS市場は$5.7 billionに上り、産業応用IoTが生み出すMEMSの売上げ追加分、$334 millionよりずっと大きい旨。産業用IoTに用いられるMEMSは、2013年の1.8 billion個から2025年までに7.3 billion個に増える見込みの旨。
◇Internet of Things stimulates MEMS market (12月23日付け ELECTROIQ)
→Internet of things(IoT)の爆発的拡大が、asset-trackingシステム, smart gridsおよびbuilding automationなどの領域でmicroelectromechanical systems(MEMS)デバイスについての急速な需要の伸びを引っ張っている旨。IHS Technologyによると、産業用IoT機器に直接使われるMEMSの世界市場は2013年の$16 millionから2018年には$120 millionに増大、データセンターで用いられるデバイスなどさらにMEMSはIoTの運用サポートに使われ、この産業用IoT MEMS間接市場が2013年の$43 millionから2018年には$214 millionに増大すると見る旨。
◇10 Top Challenges Industrial IoT Must Overcome in 2015 (12月24日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)を巡る取り沙汰&報道は、home automation, wearable electronicsなどconsumer応用が中心であるが、supply chainの予知保全&統合などIoTの産業応用が、少なくともROIの点から一層抑えられない使用ケースとなる様相の旨。Industrial IoT(IIoT)がその可能性を発揮するためには、いくつか本質的な課題を克服しなければならない旨。
IIoTの来る年への課題、業界の見方10点:
Security
Standardization
Breaking down silos
Adopting data-centric design
Developing hybrid business models
Device management
Power efficiency
Common development environment
Acquiring talent and expertise
Data diversity
【グローバル300-丱薀ぅcapacity】
世界の300-mmウェーハcapacityは、さすがにメモリの韓国、ファウンドリーの台湾が大量生産で引っ張っている、と改めて知らされる以下の内容である。200-舒焚爾魎泙瓩秦軫塾魯櫂謄鵐轡礇襪箸いΠ嫐では我が国が首位に浮上してくるという認識でいる。
◇Korea and Taiwan companies control 56% of global 300mm fab capacity, says IC Insights (12月24日付け DIGITIMES)
→韓国および台湾の半導体メーカーは、非常に大量のICウェーハの効率的製造となるとその実力はよく知られるところ、IC Insightsによると、世界の300-mmウェーハcapacityの内訳が以下の通り。
*韓国のSamsung ElectronicsおよびSK Hynixが35%を占め、Samsungだけで約24%
*台湾メーカーが現在21%、うち85%がファウンドリーサービス向け、残り15%は大方メモリ生産
【中国での半導体投資】
TSMCのchairman、Morris Chang氏が、中国における投資について、考えはあるものの中国政府の出方を伺うニュアンスを感じさせる以下の発言内容となっている。
◇TSMC has to find long-term perspective for China investment, says Chang (12月22日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。最近発表された中国政府主導の業界投資ファンドに反応、TSMCは、中国への投資について長期的に釣り合いの取れた見方を展開しなければならない旨。TSMCは中国へのさらなる投資を行ういくつかの考えを開発しているが、この段階ではまだ未成熟である旨。
中国は国際的メーカーに対して"あめとむち"戦略をとっており、同国の巨大な市場需要から利益を引き出そうとしている旨。中国政府は中国以外のメーカーに優遇策を提示、引き換えに製品を現地で作らせるようにしている旨。
◇TSMC: No Plan for Setting 12-inch Fab in China Next Year (12月22日付け CTimes)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏が最近、中国での生産capacity拡大を検討していると述べているが、今のところ、12-インチfab含め来年中国に工場を設ける明確な投資計画はない旨。
その中国の次期5ヶ年計画が次のように表わされており、特に2020年生産目標$139.78 billionに注目している。
◇Digitimes Research: China to become large predator for IC businesses during 2016-2020 (12月23日付け DIGITIMES)
→Digitimes Research発。中国の2016年から2020年にかけての第13次5ヶ年計画で定義されている中国半導体業界の発展に向けた関連政策および法制化は依然明確ではない一方、中国がその期間のIC事業を大きく占めていく1つになりそうなのは疑いない旨。該5ヶ年計画のもと半導体業界の展開を促進する国家投資基金設置に加えて、中国政府はまた2020年までに半導体業界の生産valueをCNY870 billion($139.78 billion)にもっていく狙いの旨。
【2014年のM&A】
アナログ, MEMS, およびセンサ事業分野について、今年その景観を変えたとするmerger-and-acquisition(M&A)取引10点が以下のように表わされている。それぞれにインパクトを振り返るところがある。
◇Ten Deals That Shaped Analog, MEMS & Sensors in 2014 (12月24日付け EE Times)
→2013年を特徴づけたmerger-and-acquisition(M&A)の流れは依然健在、アナログ, MEMS, およびセンサ事業の格好を変えた10の主要取引:
1) Qualcomm grabs CSR plc.
2) ADI acquires Hittite Microwave Corp.
3) Murata acquires Peregrine.
4) On Semi snaps up Aptina Imaging.
5) Exar buys Integrated Memory Logic.
6) Megachips buys SiTime.
7) On Semi again.
8) InvenSense moves on Movea.
9) Audience buys SensorPlatforms.
10) AMS buys sensor companies.
≪グローバル雑学王−338≫
今回からは、平成元年生まれの若手起業家が著した書、
『ゆとり世代の愛国心 −世界に出て、日本の奇跡が見えてきた』
(税所 篤快[さいしょ あつよし] 著:PHP新書 941) …2014年9月1日 第一版第一刷発行
を読み通していく。小生からは子供と孫の間の世代という、ますますコンタクトの機会が薄れていくばかりの世代の著者による上記のタイトルに目を引かれ、世界を股にかける行動力に我が年代、そして我が国がどう見えているのか、興味深さを感じているところである。
本のカバー部分の内容紹介には、次のように表わされている本書である。
*世界を股にかける平成生まれの若手起業家
*経済的に墜ちゆく1990年、2000年代の日本を少年はどのように見て育ったのか
*世界に出て数々の理不尽に遭遇、リアルな態度を味わって、はじめて客観的に日本の真の姿が見えてきた
はじめに―――「ゆとり世代」は日本を恨んでいるのか?
・(著者の)名前は税所 篤快。平成元年生まれの25才。
・21才のとき、バングラデシュで、貧しい村の子供たちに映像授業を通じた教育の機会、「e-Education」を創業。
→初年度からダッカ大学への合格者
→国内外のメディアから取材殺到、世間の注目
・2012年より世界五大陸での展開
・2013年末、ワシントンの世界銀行本部にこのモデルを提案
→パイロットプロジェクトとして採択に
・自分たちは教育の機会均等という果てなき夢に青春、「平成の過激派」
→草の根レベルで一つひとつ成功例を積み上げ
・「ゆとり世代」…2002年に改訂された学習指導要領に沿って教育を受けた世代−おもに1987年から2003年生まれが該当
→上の世代から「内向き」「草食系」「コミュニケーション能力が低い」「打たれ弱い」
→団塊の世代からは「俺たちの時代はいい時代だった」「いまの若者は閉塞感に覆われた時代に生まれてかわいそう」
(問い)でも、僕たちはそんなに悪い国、悪い時代に生まれたのだろうか?
平成生まれって、そんなにかわいそうな世代なのだろうか?
・(著者が)いまいるアフリカ北東部のソマリランド。日本のパスポートをもっているだけで、若輩者でも簡単にビザ取得可
・自分たちは国境や時間変更線を飛び越えて活動可 →LINE、Facebook
(答え)僕たちは、すばらしい国、すばらしい時代に生まれた。
僕たちほど世界で自由を謳歌できる世代は、いままでの日本にはいなかった。
・海外で活動していると、世界中で感じる日本人であることの恩恵
→戦後の焼け野原から力強く復興した日本は、いまでも驚異の存在
・(著者自身も、)海外にいるときに何度、日本の素晴らしさ、力強さを実感したか
→自分たち平成生まれの、リアルな「愛国心」
→先輩世代の長年にわたる、とてつもない努力と貢献のおかげ
・一方で、輝かしい日本ブランドにも迫る危機
→好敵手・中国の圧倒的な人海戦術
→「中国のアフリカ進出基地」に映るアディスアベバ
…エチオピアの首都、「アフリカの首都」とも言える発展した都市
→アディスアベバには1万人以上の中国人が在住、日本人は僅か200人程度
・これは、世界のあらゆる地域で起きている現象
→自分たち平成生まれは、自分たちらしい戦い方で、世界に日本の存在感を示していかなければならない
・「最近の若い奴らはわからない」と不思議に感じている先輩の方々に、ぜひ読んでいただきたい
第1章 僕たちは「ぶざまな大人たち」を見て育った
◇日本が嫌いになってもおかしくない
・(著者が)子供時代に見聞きしたニュース、大人から聞かされた話をふりかえる
・平成史の1ページを飾る出来事を、子供だった「平成生まれ」当事者がどのような視線で見つめていたのか
◇ニセモノ教祖にすがるエリートたち
・物心ついたときの最初の記憶
→1995年3月、オウム真理教による「地下鉄サリン事件」
→「経済大国ニッポン」の秩序が崩壊、社会が混沌と停迷の20年に突入するプロローグ
・新興宗教の教祖が醸し出す圧倒的な「ニセモノ感」
→「大人たちは、なんでこんな人を信じるのか」
→当時は、漠とした不思議な感覚だけ
◇山一、雪印、そしてデフレ
・日本を覆う漠然とした不安感が、あるニュースによって確固たるものに
→1997年、証券業界最大手、山一證券の破綻
→小学生の著者が率直に抱いた感想は「ダサイ」
・2000年、著者が小学6年生のとき、雪印乳業の集団食中毒事件が発生
→『大企業は安泰』という神話が崩壊
→平成生まれのなかで急速に失われていく「大人の重量感」
◇学校の先生なんてなめていい
・長期にわたるテレビ視聴によって鍛えた選球眼
→「なめていい先生、いけない先生」を冷徹に見極め
・平成生まれが「学級崩壊」という言葉でワイドショーを騒がせた、(著者が)小学高学年から中学のころ
◇ほんとうは「特別なオンリーワン」を大人たちは望んでいない
・2001年の夏休み明け、「9・11」テロ
→平成生まれの心に、人間の生の儚さや人間の営みのもろさを深く植えつけ
・2003年、SMAPの『世界に一つだけの花』が大ヒット
→でも、実際に求められていたのは、誰もが客観的に評価するオンリーワン
→「親の言うとおりに」、と注文ばかり、「矛盾してるよな」、と子供心に
◇出る杭は絶対に許されない
・はじめて、正真正銘も「オンリーワン」の姿
→ライブドア社長(当時)の堀江貴文氏
→一躍、時代の寵児に、「ホリエモン」
・多くの若者が「世の中が変わるかもしれない。若者でも何かできるかもしれない。」と思ったことは確か
→「新時代の到来」の象徴に思えたホリエモン
・2006年1月、粉飾決算の容疑、「堀江バッシング」の始まり
→一夜にして「新時代のシンボル」が墜落した印象
・(著者たち)平成世代に「出る杭は許さない」という日本社会の掟を嫌というほど知らしめられる
◇「正解主義」が蔓延する社会
・(著者は)両国高校で鬱屈した日々
→「下町の名門校」「授業至上主義」「正解主義」
→勉強のおもしろさをまったく見い出せず、落ちこぼれに
◇運命の出会い
・高校の授業だけで早稲田合格まで挽回するのは不可能と(著者は)判断、予備校に通う決意
→東進ハイスクールの映像授業
→授業というよりプレゼン、何より「目の前の生徒の成績を必ず上げてみせる」というパッション
→(著者は)教育学部に現役で合格
◇「クレイジーなヤツが世界を変える」
・2005年、高校2年生の著者、「日経エデュケーションチャレンジ」というイベントに参加
→世界中のイノベーション事例をプレゼンする一橋大学教授、米倉先生
→参加者数100名の中から7名、米倉先生と行く中国のスタディツアー参加権
→7人に選ばれて、生まれてはじめての海外へ
・2006年、北京へ。現地のエリート高校の生徒との交流会も
→なんと、すべての授業が英語で
・移動中に、参加者たちに感想を求める米倉先生
→求められているのは「自分なりの考え」
→日本の高校の教育とは正反対
・先生の根底には、多様性を認め、いいところを見つけあってチームとしてイノベーションをつくっていく思想
◇最悪のリーマン・ショック
・2007年、早稲田大学に入学した著者
→無味乾燥な授業、いきなり失望、1年生の7月には大学に行かず
・2007年11月、「史上最年少社会起業チーム」を結成 →断念する結果に
・2008年、「六本木ヒルズNGO」 →リーマン・ショックで破綻
◇気がついたら世界に来ていた
・(著者の)人生を変えた一冊、『グラミン銀行を知っていますか』
→バングラデシュの銀行、「マイクロクレジット」という手法
→農村部の貧しい人々を自立させる活動
・二人の友人と、勢いだけでバングラデシュの地を踏むことに