史上最高の月次そして年間販売高、$300 billion突破見込み
本年も押し迫ってきたが、米Semiconductor Industry Association(SIA)からの恒例、月次世界半導体販売高の発表は、この10月分とともにWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationからの本年および中期にわたる予測を受けて行われている。10月の$27.06 billionは史上最高になるとともに、今年の販売高予測は$304.3 billionと、SIA発表では史上初の$300 billion大台突破になる。モバイル機器活況によるメモリ、そしてプロセッサなどの伸びが大きく引っ張る内容となっている。
≪10月の世界半導体販売高≫
米SIAからの発表内容は次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓
○グローバル半導体販売高、10月も増加:2013年年間販売高は市場最高の軌道上
−世界販売高は8ヶ月連続の増加、10月は史上初めて$27 billionを上回る
;WSTS予測見通しは、2013年4.4%増および2014年4.1%増
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2013年10月世界半導体販売高が$27.06 billionに達して、前年同月$25.24 billionから7.2%増、前月総計を0.8%上回っている。10月はこれで8ヶ月連続の販売高増加となり、業界史上初の$27 billionを超える販売高である。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいWSTS業界予測見通しでは、2013年は史上最高の年間販売高となり、2014年および2015年と伸びが続くとされている。
「8ヶ月連続の伸びおよび10月の月次販売高新記録をもって、2013年のグローバル半導体業界は史上初めてのこと、年間販売高が$300 billionを超える軌道上にある。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「該業界は、残す2013年そして2014年にかけて堅調な伸びを維持する見通しであり、昨年のペースを大きく上回っているAmericas地域が大方引っ張っている。議会および政権は、財政不安を解消、科学研究に投資して、伸びを維持・強化する支えが行える。」
地域別には、前月比でAmericas(+3.3%), Europe(+1.7%)およびAsia Pacific(+0.1%)と増加したが、Japan(-1.4%)は減少した。2012年10月の比べると、Americas(+20.1%), Europe(+8.6%)および Asia Pacific(+7.4%)では増加したが、大方は日本円安が1つにあってJapan(-12.1%)では減少となっている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Oct 2012 |
Sep 2013 |
Oct 2013 |
前年同月比 |
前月比 |
======== |
|||||
Americas | 4.77 |
5.55 |
5.74 |
20.1 |
3.3 |
Europe | 2.79 |
2.98 |
3.03 |
8.6 |
1.7 |
Japan | 3.53 |
3.15 |
3.10 |
-12.1 |
-1.4 |
Asia Pacific | 14.14 |
15.17 |
15.18 |
7.4 |
0.1 |
計 | $25.24 B |
$26.85 B |
$27.06 B |
7.2 % |
0.8 % |
--------------------------------------
市場地域 | 5- 7月平均 |
8-10月平均 |
change |
Americas | 5.02 |
5.74 |
14.2 |
Europe | 2.85 |
3.03 |
6.5 |
Japan | 2.93 |
3.10 |
5.8 |
Asia Pacific | 14.73 |
15.18 |
3.1 |
$25.53 B |
$27.06 B |
6.0 % |
SIAはまた本日、WSTS Autumn 2013グローバル半導体販売高予測を是認した。WSTSは、2013年の業界世界販売高が$304.3 billionに達すると見ており、これは業界史上最高の全体販売高となり、2012年総計からは4.4%増である。WSTSの予測では、Americas(+10.3%), Asia Pacific(+7.2%)およびEurope(+4.3%)が前年比増加しているが、Japan(-14.5%)は急激な減少となっている。
2013年より先についてWSTS予測では、すべての地域にわたって着実な伸びが見込まれている。WSTSは、2014年についてグローバルに4.1%の伸び(総販売高$316.6 billion)、2015年は3.4%の伸び(同$327.3 billion)を予想している。WSTSは、ワイヤレスおよび車載end市場が全体市場より早く伸びると見ている。
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/October%202013%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
※WSTS秋季予測総括表、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/WSTS%20autumn%20forecast%20summary.pdf
★★★↑↑↑↑↑
これを受けた各紙の反応、以下の通りである。史上最高の販売高とともに$300 billion突破にかかるここ何年かの時間の長さが謳われている。市場の変貌、そしてプレーヤーの入れ替わりが、特にここ数年、そしてdecadeの時間軸でも多々蘇ってくるところである。
◇Breaking the $300B Barrier: State of Semiconductor Industry (12月4日付け EE Times)
→本年を振り返って、良いニュースとして、半導体業界が$300Bの壁をたぶん打ち破ること。悪いニュースとしては、この水準に辿り着くのに10年かかり、主要プレーヤーのいくつかがマージンの叩き合いを続けていること。
◇Industry on track for highest-ever annual sales in 2013 (12月5日付け ELECTROIQ)
◇Global chip sales up 7% in October 2013, says SIA (12月5日付け DIGITIMES)
≪市場実態PickUp≫
本年の半導体販売高$300 billion突破は、米SIAに加えて各調査機関からの見方も揃って以下の通り発表されている。まず、IHSからのデータ内容が次の通り、モバイルそしてメモリが伸びのキーワードとなっているトップ10ベンダーに注目である。
【2013年半導体トップ10ベンダー暫定速報】
◇Semiconductor Sales Recover in 2013; Micron Surges to Fourth Place in Global Chip Market (12月3日付け IHS)
→2013年半導体トップ10ベンダー、暫定速報:
・2013年世界半導体売上げトップ10ベンダー (Millions of Dollars)
Rank 2012 |
Rank 2013 |
Vendor | 2012 売上げ |
2013 売上げ 見込み |
2012-2013 Growth (%) |
2013 シェア(%) |
1 | 1 | Intel | 47,420 |
46,960 |
-1.0 |
14.8 |
2 | 2 | Samsung Electronics | 31,264 |
33,456 |
7.0 |
10.5 |
3 | 3 | Qualcomm | 13,177 |
17,341 |
31.6 |
5.5 |
10 | 4 | Micron Technology | 6,772 |
14,168 |
109.2 |
4.5 |
7 | 5 | SK Hynix | 8,970 |
13,335 |
48.7 |
4.2 |
5 | 6 | Toshiba | 11,131 |
12,459 |
11.9 |
3.9 |
4 | 7 | Texas Instruments | 12,035 |
11,379 |
-5.5 |
3.6 |
9 | 8 | Broadcom | 7,843 |
8,121 |
3.5 |
2.6 |
8 | 9 | STMicroelectronics | 8,493 |
8,076 |
-4.9 |
2.5 |
6 | 10 | Renesas Electronics | 9,236 |
7,822 |
-15.3 |
2.5 |
Total | 302,925 |
317,876 |
4.9 |
100 |
[Source: IHS Electronics & Media November 2013]
◇Semiconductor sales recover in 2013, says IHS (12月4日付け DIGITIMES)
→IHS発。グローバル半導体市場が、2012年の2.5%減少の後、2013年は2012年の$302.9 billionから4.9%増、$317.9 billionに足場を回復、メモリ分野の力強さが効いている旨。
◇Growth in Memory Sector Spurs 2013 Rebound for Semiconductors (12月6日付け EE Times)
→IHSのSemiconductor Value Chain Service暫定速報。今年の世界半導体販売高総計は約$317.9 billion、2012年の$302.9 billionから4.9%増、特に、DRAMの35%増およびNANDフラッシュメモリの27.7%増が戻しを引っ張っている旨。
次に、Gartner社からの同様のトップ10データである。順位含め多少の差異があるが、モバイル、メモリの伸びのキーワードに変わりはない。
◇Worldwide semiconductor revenue grew 5.2 percent in 2013 (12月4日付け ELECTROIQ)
→Gartner社速報データ。2013年の世界半導体売上げは$315.4 billion、2012年の$299.9 billionから5.2%増、トップ25半導体ベンダーの売上げ合計が6.2%増、残りのベンダーの売上げの伸び2.9%増をかなり上回っている旨。1つにはメモリベンダーの集中があり、トップランキングで次の通り大きな伸びを見せている旨。
・2013年世界半導体売上げトップ10ベンダー (Millions of Dollars)
Rank 2012 |
Rank 2013 |
Vendor | 2012 売上げ |
2013 売上げ 見込み |
2012-2013 Growth (%) |
2013 シェア(%) |
1 | 1 | Intel | 49,089 |
48,030 |
-2.2 |
15.2 |
2 | 2 | Samsung Electronics | 28,622 |
29,644 |
3.6 |
9.4 |
3 | 3 | Qualcomm | 13,177 |
17,276 |
31.1 |
5.5 |
7 | 4 | SK Hynix | 8,965 |
12,836 |
43.2 |
4.1 |
10 | 5 | Micron Technology | 6,917 |
11,814 |
70.8 |
3.7 |
5 | 6 | Toshiba | 10,610 |
11,467 |
8.1 |
3.6 |
4 | 7 | Texas Instruments | 11,111 |
10,561 |
-5.0 |
3.3 |
8 | 8 | STMicroelectronics | 8,415 |
8,060 |
-4.2 |
2.6 |
9 | 9 | Broadcom | 7,846 |
8,011 |
2.1 |
2.5 |
6 | 10 | Renesas Electronics | 9,152 |
7,761 |
-15.2 |
2.5 |
Others | 146,008 |
149,930 |
2.7 |
47.5 |
||
Total | 299,912 |
315,390 |
5.2 |
100 |
[Source: Gartner (December 2013)]
◇Global 2013 semiconductor revenues to rise 5.2%, says Gartner (12月5日付け DIGITIMES)
◇世界半導体売上高、今年5.2%増見通し (12月6日付け 日経産業)
→米調査会社、ガートナーが2013年の半導体の世界売上高が前年比5.2%増の3154億ドルになるとの見通しを発表、DRAMを中心としたメモリが市場拡大を牽引、メモリを柱としている半導体メーカーの売り上げ増が目立った旨。
セミコン・ジャパン2013(12月4-6日:幕張メッセ)のタイミングであり、SEMIから半導体製造装置市場の推移&予測データが発表されている。今年は低下するが、来年は30%強の戻しを予想している。
【半導体製造fab equipment spending】
◇Equipment Spending Down 2013; Expect 33% Growth in 2014-Fab construction projects boom in 2013 but slow in 2014 (12月3日付け SEMI)
→SEMIの11月発行World Fab Forecastレポートから以下のデータ:
・≪グラフ≫ Fab equipment spending:前工程:2010〜2014年 推移&予測
⇒http://www.semi.org/en/sites/semi.org/files/images/Fab-Equip-Spending.jpg
・≪グラフ≫ Fab equipment spending:1999〜2015年 推移&予測
⇒http://www.semi.org/en/sites/semi.org/files/images/Fab-Equip-Spending2.jpg
◇Semiconductor equipment sales to contract 13% in 2013, says SEMI-SEMI: IC gear sales to decline 13.3% this year (12月3日付け DIGITIMES)
→SEMIの最新予測。2013年のグローバル半導体装置販売高が、13.3%減の$32 billionの旨。
◇Equipment spending down 2013; expect 33% growth in 2014 (12月6日付け ELECTROIQ)
→SEMIの11月発行World Fab Forecastレポート。2013年のfab equipment spendingが、約9%減の$32.5 billion、GlobalFoundriesが2013年始めにPromosから買収した中古300mm装置(NT$20-30 billion)を除くと、さらに11%減となる旨。8月時点では、年間1%減(中古Promos 300mm装置なしでは3%減)と予測していた旨。
上記のIHSの2013年トップ10ベンダーにて、3位のQualcommが、中国の独占禁止法による調査を受けているとされるが、早速に、IHSデータでは14位と昨年の18位から上昇している台湾のMediaTekにはこの事態を受けて有利になるのでは、と以下の見方である。
【Qualcomm調査の波紋】
◇Qualcomm probe may be good for MediaTek: analyst-Analyst: MediaTek could benefit from China's Qualcomm probe (12月2日付け The Taipei Times (Taiwan)/Chinese News Agency)
→中国のNational Development and Reform Commission(NDRC:中華人民共和国国家発展改革委員会)が、中国のAnti-Monopoly Law遵守についてQualcommの調査を始めている件、該調査の結果発表がまもなくリリースされるとは見込めないが、その結果が業界全体に有利に働けばMediaTekのスマートフォンIC顧客にはなんらか利点があると思われる旨。
人間の脳の素晴らしさ、奥深さを改めて知るような、次のアプローチである。前回、人間の五感をコンピュータ独特の方法で模倣する取り組みに触れたが、頭脳となるとさらにずうっと果てしない遠大さが伝わってくる。
【100万個のARMプロセッサ】
◇One Million Chips Mimic One Percent Of The Brain: A Robot's Neural Network-Project aims to model the human brain (12月5日付け Forbes)
→10年Human Brain Projectの一環として、ARM-ベースプロセッサ100万個を用いるparallel computingシステム、SpiNNaker Machineが開発されている旨。「人間の脳は信じられないほど複雑、100万個の半導体で脳scaleの1%にやっと達するのみ。」(ARM microprocessor開発で中心的な役割を果たしているUniversity of Manchesterのcomputer engineering、Steve Furber教授)
≪グローバル雑学王−283≫
中国、韓国そして台湾と近隣諸国との外交問題が延々と続く中、いま、日本人が選ぶべき外交とは?という問いかけを取り上げた
『歴史認識を問い直す −−−靖国、慰安婦、領土問題』
(東郷 和彦 著:角川oneテーマ21 A-168) …2013年5月10日 再版発行
を読み進めていく。著者は、外務省で局長、大使を歴任、現在は京都産業大学教授ほかを務めている方。さらに、著者の祖父が東京裁判でA級戦犯として判決を受け、服役中に病死という経緯があり、著者の諸問題に対する立場、考え方の描写表現に臨場切迫感が高まるとともに、グローバル化の流れの中で避けて通れない諸問題の認識をいろいろな立場の角度から深める意味は大きいものと思っている。
≪プロローグ≫
・中国の台頭を中心とする東アジア政治の地殻変動
→東シナ海から南シナ海に至る海域を自国海軍の制海権の下に置こうという中国の戦略
・尖閣諸島周辺を巡る緊張
→2012年9月11日に尖閣諸島を日本政府が購入、緊張のオクターブは一挙に
・かねてから、集団的自衛権の行使を始めとして日本の防衛力強化を一貫して主張してきた安倍氏
・世界史の先例
→挑発を意図する方ほど、相手が挑発してきたという状況をつくる可能性が高い
・北方四島
→尖閣、竹島と違うのは、プーチンによって開けられた窓がまだ閉まっていない
・外交敗北の年を経て、安倍政権に日本の命運が託されることに
・現下の日本を取り巻く領土問題
→2012年を振り返り、それを探っていくことが、本書を書く最初の動機に
・自分に見える世界についてできるだけ明確なメッセージを出しておきたい
→いくつかの論考を発表、それをとりまとめるのが本書を書く二番目の動機
・領土問題を解決し、歴史問題を乗り越え、東アジアと世界の中で日本が最終的に尊敬とリーダーシップを得る国になるかどうか
→日本という国にどういう魅力と尊敬すべき要因があるかという問題によって決まる
・(著者は、)2012年12月14−15日、中国・浙江省の省都、杭州にある浙江大学主催の国際セミナーに出席
→日本でも中国でも、人々は、それぞれの生活とそこに生まれる悲哀と希望をもって一生懸命生きてきた
・日本も国益を守り、中国も国益を守り、なおかつ、力の衝突ではない対話による問題の仕切りが可能であるという確信
第一部 領土問題 −−−2012年外交敗北
第一章 尖閣問題 −−新たな戦争と平和の問題
□事態を動かした四つの「経緯」
・2012年外交敗北の最大の問題は、言うまでもなく、尖閣諸島問題
・尖閣諸島問題のこれまでの経緯
(一)まず歴史的経緯の問題
…1895年、日本政府は尖閣諸島の領有を決定
(二)次に国際法上の係争の問題
…1968年、国連機関が尖閣諸島周辺に地下資源が豊富に存在する可能性があるという発表
→1971年から、日本に対する明確に尖閣に限った領有権の主張
(三)そのとき以降の交渉経緯の問題
…1972年の日中国交回復以降、事実上の棚上げとして推移
→今はなによりも、交渉経緯を引き受けて、その上にこれからの政策をたてること
(四)冷戦終了後の尖閣諸島交渉の変化
…世界情勢の激変、1989年の東西冷戦終了、その中から中国の台頭という巨大な影が徐々に
・決定的な転換点となった2008年
→中国の尖閣諸島実効支配の実績づくりが本格化
→もはや、小平のいう「後の世代の知恵を待つ」という考えの片鱗もない
・2010年9月、中国漁船による海上保安庁船舶への体当たり事件
→尖閣領有に対する中国の主張の根深さ
□尖閣諸島の購入がもたらしたもの
・日本政府が尖閣購入を決定した2012年9月11日から、中国の海洋監視船が尖閣の領海に入ってくる回数が増加
→中国側からすれば、2008年に宣言した「実効支配に対する穴を実績によってあけていく」という公式政策の完全実現
→日本にとっての敗北でなくてなんであろう
・少なくとも、近来の中国の行動は、「覇権主義」以外のなにものでもない
・中国政府がつくる一つの物語
→「尖閣諸島は、19世紀、清朝が弱体化したのに乗じて、日本帝国が侵略し、窃取した領土だ」
・(著者も、)国が買うのが一番いいと主張してきた
→石原知事(当時)が「都が買う」と言ったのは2012年4月
→日本政府は9月初めになって、国有化を決定
・三つのNO「日本は尖閣に立ち入らない、建造物を造るなど開発をしない、調査を行わない」(中国側の期待)
→国有化を受けたその結果が、尖閣領海の度重なる侵犯と日本による尖閣窃取の定式化へ
・日本政府の購入のあと、9月13日までは、三つのNO遵守による事態の鎮静化説が一定の影響力をもっていたと見られる発言
・尖閣購入は、中国国内で強烈な反日デモに火をつけた
→経済的被害は、日本側の方がはるかに大きい
□戦後最大の外交敗北
・外務省の事務方にも意見の対立があったが、結局、購入の閣議決定やむなしという方向に
・佐々江外務次官:「中国政府とも意思疎通をしていたが、理解を示さなかった」
・今、尖閣問題に対し、とるべき施策は二つ
→二つの"D" …「抑止」(Deterrence)と「対話」(Dialogue)
・抑止の意味 …相応の力で叩き返すだけの準備を持つ
・この巨大でかつ不安定性を持つ国が、真正面から日本に向かっている
→新しい、軍事力と外交の、抑止と対話の時代に日本は入った
・他方、同時に追求しなくてはいけないのは、「対話」と外交
・抑止と対話は車の両輪、国の政策はどちらが欠けても成り立たない
□「領土問題は存在しない」のか
・外交の本義は、相手の言うことを徹底的に聞くことから
→日本は今こそこの外交の本義を正面から思い起こさねば
・「領土問題は存在しない」という言い方
→冷戦末期、1978年から1986年、グロムイコソ連外相が言い続けていた表現
→8年間、日本とソ連の外相は、1年に1回だけ国連で会うという関係に
・日中間で真剣な対話を開始した後に、まずは合意したい内容は何であろうか?
→日本としては、いまだに継続している「入らない・調査しない・つくらない」という「三つのNO」を遂行
→問題は中国。すでに、尖閣領海侵入の常態化を行っている中国が、これから引き下がるかどうか
□日中関係とアメリカの本音
・アメリカの対尖閣問題への原則は、二つの柱
→安保条約第五条の適用範囲として認め、これに対する攻撃があれば日本側に立つ
→主権に対してはいずれか一方の立場を支持しない
・アメリカの沖縄返還での立場
→「返還は、施政権の返還であって、潜在主権は含まれない」
→「主権中立」の考え
→日本の理解とは一致していない
・あの小さな島、尖閣のために本当に米軍が動くのか、という問題
・安保条約が適用され、第五条に基づいて米軍が実際に行動するには、二つの条件、ないしは「常識」
→万一中国が様々な部隊を動員して尖閣諸島に入り、そこに武力衝突が発生したとき
→日本が中国を絶対に挑発しないこと
・日本としては、最大の抑止への努力とともに、もっとも辛抱強い外交努力が不可欠に
・いま日本の自衛隊は、何日、何週間、何ヶ月もつのか
→すべての日本人に、自分の問題として安全保障の問題を考えていただきたい