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不況から脱出する、日本にはないネタを求めて、再び英国へ

再び、英国を訪れる機会を得た。今回はスコットランドを中心に、エレクトロニクスと航空機産業、そしてエンターテインメントの街、ブリストルも昨年の積み残しも含めて回る計画だ。英国の半導体産業に対する思い入れは極めて熱い。電子機器の中に占める半導体の割合がますます高まり右肩上がりの成長を続けているからだ。その電子機器と言われる、いわばエレクトロニクス製品が強い勢いで拡がっており、電子機器を使っている業種の定義はもはや困難な状況になりつつある。

エディンバラの街並み
エディンバラの街並み


民生機器だけではなくコンピュータ、通信、計測、医療機器、自動車、工場内を動かすオートメーション機器、プロセス制御機器をはじめとして、流通業、鉄道・運輸業、通信サービス業、オフィス業界、エンターテインメント業界など、電子産業という範疇から業種・機種を飛び越えて電子機器は果てしなく拡がっている。その心臓部が半導体であるからこそ、半導体の重要性を英国政府がしっかりと認識しているのである。

今回の旅は、スコットランドの知られていない企業や地方政府の取材をはじめ、ブリストルでは日本の半導体産業についての講演もさせていただくことになっている。昨年同様、英国特集第2弾も掲載するつもりだ。この金融危機でロンドンのシティが傷んでおり、英国通貨であるステアリング・ポンドが下落しているという現実を踏まえたうえで、未来の半導体の開発やその活性化のための仕組みが各地で進んでいる様子を紹介する。前回同様、とてつもない技術が出てくる可能性に期待している。


エディンバラ城

エディンバラ城


日本のエレクトロニクス業界、半導体業界はここ数年、カーエレクトロニクスに異常なまでにシフトしてきた。カーエレは従来型の日本の半導体ビジネスの延長で行ける応用分野だったからである。すなわち、商品のライフサイクルを10年と考え、その製品を維持する部品も15年は続けなければならず、さらに日本の得意な高信頼性・高品質製品を提供するという要求に応えられる分野である。昨今のような、短納期・短い商品ライフ、高品質よりも低価格、といった日本の不得意な要求とは全く異なっていた。国内半導体企業の誰しもが従来の延長思想でいけるカーエレに没入した。カーエレに行き過ぎたと、後悔している企業トップもいる。そのカーエレの動きが2008年春ごろからぴたりと止まった。リーマンショックが追い打ちを掛けた。この3月期の決算予想では全社惨敗だ。

海外は自動車一辺倒ではない。むしろワイヤレス技術がこれからの社会に波及するとみる。ワイヤレス技術、RFとベースバンド技術を中心にさまざまな機能に磨きをかける企業が多い。昨年伝えた英国特集では、ワイヤレス技術を利用するファブレス製品が半分以上を占めていた。もちろん、世界最大の携帯電話メーカーのノキアが今年の出荷見通しを5~10%マイナスだとして、世界恐慌の影響を受けないわけではない。しかし、ワイヤレス技術は通信分野だけではなく、民生、産業、コンピュータを問わず、ありとあらゆる分野に浸透しつつある。だからこそ、大きな成長が見込めるのである。海外のある市場調査会社の予測(1年半前)では、2012年までワイヤレス分野は年率平均14%で成長するとしている。ちなみにカーエレは平均8%とみていた。

半導体産業の復活を狙う英国が仕掛ける、さまざまな仕掛けや考え方は日本とはいろいろ違う。日本の参考になるところは企業ごとにどしどし取り上げるべきだと思うからこそ、日本にはない技術、ビジネスモデル、製品、考え方、産業界地図など、日本の半導体読者に役に立つと思われそうなネタをいっぱい集めてきて、セミコンポータルの読者に紹介するつもりである。記事を読んでみたいと思われる方は、ぜひセミコンポータル会員になって購読してほしい。連絡先は、sales@semiconportal.com。今回の英国特集も、セミコンポータルの会員読者が自社を変え再び成長するためのヒントになれば幸いである。

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