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製品化相次ぐハードウエアのプログラマブルIC〜EuroAsia2013から(1)

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10月中旬、米国カリフォルニア州サンノゼで、Globalpress Connection主催のEuroAsia 2013が開かれた。中堅企業が集まるこのイベントでは、プログラマブルロジック、組み込みシステムとIP、パワーマネジメントなどの半導体IC技術が登場したが、いずれも特定のシステムとしっかり結びついた製品が増加している。3回に渡ってレポートするが、第1回はプログラマブルロジックの動きを紹介する。

表1 EuroAsia 2013で発表された内容 主催:Globalpress Connection

表1 EuroAsia 2013で発表された内容 主催:Globalpress Connection


半導体チップにプログラム能力を持たせようとすると、マイクロプロセッサのようにソフトウエアでプログラムする方法と、FPGAのようにハードウエアでプログラムする方法とがある。プログラマブルロジックは、ハードウエアでプログラムする典型的なデバイスだ。この10月、ハードウエアでプログラムするロジックの製品化が相次いでいる。もともと、アンチヒューズ方式のプログラム素子を集積したICを提供してきたQuickLogicは、スマートフォン用のセンサ信号処理回路をハードワイヤード処理で高速・低消費電力にできるコプロセッサ(図1)を開発した。またハイエンドクロック用のICを手掛けているIDTは、8kHzから1GHzまでの任意の周波数のクロックを出力できる、プログラマブルなクロックICを製品化した。すでに報告したが、Silego社はちょっとした低集積の回路を1チップで構成できるFPGAを開発している(参考資料1)。


図1 QucikLogicのセンサ信号処理用のコプロセッサ 消費電力がMCU方式の1/30と低い 出典:QuickLogic

図1 QucikLogicのセンサ信号処理用のコプロセッサ 消費電力がMCU方式の1/30と低い 出典:QuickLogic


QuickLogicは、iPhone 5sに使われたセンサ信号処理コプロセッサM7と同様の9軸センサ処理回路をプログラマブルロジックで実現した。チップはコプロセッサであるためアプリケーションプロセッサと協調しながら動作する。回転を検出する3軸ジャイロと、直線的な動きを検出する3軸加速度センサ、そして地磁気を検出する3軸磁気センサからの9個のセンサ信号を処理するICである。同社はこれを「センサハブ」と呼び、スマホやタブレットでは欠かせないコプロセッサとして力を入れる。同社はスマホを持つ人間の動きを認識することをContext Awareness(状況把握)と呼ぶ。例えば、歩数計に使う場合、スマホを手で持っていてもポケットに入れていてもどのような場合でも、歩数だけではなく、歩幅も検出する。歩行、ランニング、停止、自転車乗りなど状況を把握できる。一人暮らしの高齢者が家の中で倒れた場合でもプロセッサとこのチップを搭載していれば、外部からも認識できる。

常時接続され、常時状況を把握するという動作をICで実現するためには、このICの消費電力を1mW以下に抑えたい。そして、センサ信号の組み合わせを状況として把握するアルゴリズムをこのセンサハブにプログラムする。これまでは9軸センサと信号処理IC(MCUベース)の消費電力はほぼ同じ程度(10mW)だった(図2)。信号処理部分は今回のチップにより1/30に減ったため、合計の消費電力はほぼ半減した。センサの中でも消費電力の大きなジャイロのそれを減らすことで、センサ+ICの消費電力を1/3程度に減らすことができる。


図2 マイコンよりも低く専用ASSPよりも低い消費電力を狙う 出典:QuickLogic

図2 マイコンよりも低く専用ASSPよりも低い消費電力を狙う 出典:QuickLogic


IDT社のクロック周波数をプログラムできるクロックジェネレータは、「UFT(Universal Frequency Translator)」(図3)と呼ばれ、8kHz〜875MHzの周波数を入力すると、8kHzから1GHzまでの最大8種類のクロック周波数を出力する。しかも周波数を任意に選ぶことができる。PLLの倍数や分割数ではない。出力のジッターは0.3ps(12kHz〜20MHz)と小さい。


図3 任意の周波数を選択できるクロック発生器 製品回路は8T49N282i 出典:IDT

図3 任意の周波数を選択できるクロック発生器 製品回路は8T49N282i 出典:IDT


1個のICパッケージ内に最大4個のPLLを内蔵できる。例えば、基準となる水晶発振器を安価な製品で揃え、8種類のクロック周波数を用意するという設計だと、消費電力を下げるときには低い周波数を選び、性能を上げたい場合には高い周波数を選ぶ。主力クロックのジッターが小さいため、光ファイバネットワークや、10/40/100Gビット/秒のEthernetルーター、無線ベースステーションなどでの応用をIDTは考えている。


図4 クロック周波数を自由に選ぶためのソフトウエアツール 出典:IDT

図4 クロック周波数を自由に選ぶためのソフトウエアツール 出典:IDT


簡単に周波数をプログラムできるようにするため、タイミングコマンダー(Timing Commander)と呼ぶソフトウエアツール(図4)も提供する。

参考資料
1. 大手顧客から注文を打ち切られても、新製品で成長を伸ばすSilego社 (2013/10/18)
2. 組み込みシステムになびくAMD/IPextreme/Mentor〜EuroAsia2013から(2) (2013/11/06)
3. PoE・急速充電・デジタル化・POLと多様化するPMIC〜EuroAsia 2013から(3) (2013/12/18)

(2013/10/29)

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