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シリコンシーベルトサミット福岡2008レポート(5)

シリコンシーベルトサミット福岡2008レポート(5)

福田悦生

東芝 セミコンダクター社
システムLSI事業部先端SoC応用技術部

セッション1 A Strategic Roadmap for the Next Generation Car Electronics
ESG Eleltroniksysytem-und Logistik-GmbH
Senior Vice President, Wolfgang Scyzgiol

【ESGとは】
 ESGとは、エレクトロニクスの専門会社で、長い歴史がある。1963年に航空業界のサプライヤが起業し、エレクトロニクスのコンポーネントを新しい世代に向けて開発することが、その企業方針であった。1967年にESGが設立され、航空業界及び、軍事向けの戦闘機トルネードの開発を行い、1997年までトルネード開発を継続した。1992年に合体し、従業員数が1,200人となった。ESGは、エンジニアリングサービスの会社であり、ハードウエアの製造はせず、ソフトウエア開発会社である。
 ESGの当初の市場は、航空業界、車載エレクトロニクスにおける軍事市場であったが、現在は、商業用にも拡大している。1996年に車載用のエレクトロニクス開発も開始し、今までに数多くの技術移転を様々な分野で促進してきた。また、分野間でのノウハウの移転も行ってきた。
 世界における自動車市場は、年間6,500〜8,000万台、6,500億〜9,000億ユーロに増加しており、現在は東欧アジアにまで地域を拡大している。さらにその市場は、中国やインドも増加傾向にある。これらの市場は、小型車がメインだが、北米や西欧、日本での売上げの総額は、付加価値を高めることで売上げを増やしている。しかしながら、非常に競争の厳しい市場であり、新興市場や競合他社もITやソフトウエア側から、企業が増加している。
 環境と安全を考慮すると、規制の強化が不可欠となっている。そして、色々な目標が対立している。つまり、客、人口、材料費の高騰、市場、金融、通貨、安全性、排気ガス低減等、様々な課題が存在する。
 では、どのような技術があるのか?それらは、ネットワーク、パワー管理、制御ユニットの量の削減、ハードウエアコストの削減、ネットワークのトポロジ標準化、バッテリの管理技術、新材料、メカトロニクス等である。
 これらの技術は、安全性を確保するためには必要である。ソフトウエアをモジュール化することや、パワー制御ソフトウエアの標準化や、ハイブリットは、日本の技術が高い。今後5〜7年を見ると、目前の技術を考えなければない。特にハイブリットを考慮すると、バスシステムの要件が高まって来ている。ボデーシャーシにおいては、適正な集積が必要になり、システムのステアリングやブレーキが必要になる。快適なエレクトロニクスは複雑度を軽減すべき。高級車はこの様な機能が搭載されており、BMWはそれらが満載されている。
 一方、安全性のシステムでは、ECUの相互コネクトがさらに進むと予想され、アシスタントシステムも進であろう。
 さらに、共通のマルチメディアプラットフォームが必要になると予想する。エンターテイメントと快適(コンフォート)の2つに焦点を絞ると、ワイヤレスでの接続、テレマテッック等の技術が重要になる。GMの会長が、次世代の車では家電との統合が進むと言っている。
E SGでは、OEMとサプライヤ、プロバイダを比較して来た。1,000人の社員がいる場合、研究開発への投資では、1社のサプライヤに集中している。2015年頃には、OEMも研究投資をさらに増やす事が予想され、この投資の中にはソフトウエア開発も入って来ると予想される。
 現状と今後の傾向を見ると、車種も多くなり、ますますECU(電子制御ユニット)も増加する傾向にある。現在BMWでは88個のECUが使われている。また、多くの機能も増え、それによって情報量も増える。物理的に統合する場合にでも、複雑度が避けられない。エンジンやシャーシの開発も重要だが、ソフトウエアの開発はもっと重要となって来る。
 新しいアーキテクチャが実現される時には、ソフトウエアとハードウエアを分離する。今後は、ソフトウエアがどんどん自動車の中に入ってくることが予想されている。

【プラットフォーム&システムアーキテクチャ】
 自動車のイノベーション領域には、次の4項目が存在する。

  1. Engine & power train
    Integrated motor management
    Power train management
    High voltage power supply
    Energy management
  2. Chassis & Performance
    Adaptive cruise control
    Driving performance control
    Steering by wire
    Braking by wire
    Forward collision recognition
  3. Information & Communication
    Navigation
    Entertainment
    Internet
    Phone, fax, email
  4. 4) Comfort & Safety
    Safety System
    Comfort access
    Adaptive airbag control
    Driver assistance system ( Autonomous collision mitigation braking, Lane keeping, Night vision)

 AUOTSARとは、自動車オープンシステムの略であり、使命は、ハードウエアとソフトウエアを分離して標準化することである。また、ASAACやIMA等の団体も存在し、システム開発をカバーしている。
 現在の課題は、専用システムのプラットフォームをどうするのかである。例えば、欧州では、ISO標準があり、ASAM ODXを用いてコミュニケーション+FlexRayでソフトウエアの診断を行っている。将来、ますます、FlexRayが登場すると考えられる。BMWは、既に2007年に、X5に搭載した。機能の記述としては、ハードウエア in the loop、HIL, SILがある。全てのコンポーネントが搭載されたテストの標準である。


Future System Architecture and Communication Systems


 上の図に自動車のエレクトロニクスシステムを示す。ECUやエレクトロニクスシステムの数が増えており、非常に複雑になっている。この複雑さを解消するためには、何らかの標準システムが必要である。
 下の図に示すように自動車メーカ、サプライヤ、ベンダー、シリコンベンダ、ソフトウエアベンダーなどの各社がAUTOSARで標準化を進めている。


Future System Architecture and Communication Systems


 この図は、AUTOSARの概要を示している。RTEは、欧州の自動車メーカが標準化を行っており、自動車メーカがアプリのインターフェースを取っている。また、ハードウエアとソフトウエアのインターフェースも必要であり、センサーもその1つだ。しかし、センサーなどは、OEMそれぞれの中身が異なるため、RTEレベルの標準化が必要となる。
 AUTOSARの使命は、ビルディングブロックを確保し、相互接続のポイントを下げ、複雑度を下げることである。標準化されたアーキテクチャを使うことで、より多くの技術革新を期待することができる。また、新しいシステム統合の生産性を向上することも可能である。この標準化の特徴は、モジュールになっていることと、拡張性もあることである。この標準アーキテクチャのモジュールを用いることで、異なるプラットフォームで機能を作ることができ、信頼性も挙げられ、コストも下げることができる。このようなインターフェースがあれば、メーカ、サプライヤの間で異なるソフトウエアが使えるようになる。

 CO2の排出量を1凖たり140グラムまで下げなければならない。さらに、2015年までに125グラム下げる予定である。フランスとオーストリアでは、車でCO2排出量が高い車は、1km辺り200グラム以上の場合、2600ユーロを支払うことが義務づけられる。一方、エコフレンドリーな車を購入する人に対しては、お金が返ってくる仕組みである。目標は、CO2排出量の削減のために、ハイブリット車や電気自動車を開発することである。
 ESGは、AKASOLとのジョイントベンチャーで、電気自動車「OSCAR II」プロジェクトが進行している。6キロW時間で100キロ走ることができる。これは、1リットルのガソリンと同じ効率である。1回の充電で100〜300kmを走ることができ、スピードは時速130kmまで可能である。
 OSCAR IIは、2速ギア、リチウムイオンバッテリ、空リング冷却を搭載している。モーターの重さは約23kgであり、水冷エンジンは25,000ROM、車の出力は20kW、電力は、50V〜200V、電力は100kAである。非同期モーターとバッテリーを最適化している。AKASOLとESGの役割分担は、AKASOLでは、バッテリの管理など研究、ESGでは、エレクトロニクスを開発している。車の公開は、今年3月15日に、GMがドイツで行う予定である。
 OSCAR IIは、エネルギー管理をソフトウエアで行っている。このソフトウエアでは、バッテリや、コンフォトシャーシへのエネルギー供給をどのように提供するか等の管理を行う。さらに、エネルギー管理システムは、車載のネットワークで制御されている。最適化の戦略に基づき、パワートレインを確実し、必要な時にエネルギーを供給している。

【ドライバ支援機能】
 ドライバ支援機能について説明する(下の図)。


The Future of Driver Assistance Systems


 実際の活動と行動とを管理するマネージャー機能がある。中央で環境を解釈し、調整され実行される。
 下の図は、2015年のドライバ支援機能の機能ブロック図である。


The Future of Driver Assistance Systems

 標準化されたシステムの各パーツは、新しい情報を元にさらなる追加機能を、ソフトウエアでアップデートされ、各のシステムに加えられて行く。
 航空機とそのコックピットで用いられた認知型の技術を車に応用した。


Cognitive Information Processing


 上の図は、ダイナミックな認知ルートの計画を示す。ドイツの状況では、環境の配慮から、車のウインドシールドには、例えばケルンに行く場合のCO2の排出レベルが示されており、ナビゲーションは、CO2排出を最小限にする様な最適なルートを選ぶ。ベンツのSクラス以上に搭載された。

 将来は、今以上に車に対する安全性、快適性は高まって行く。車に対する快適性が、益々求められ、ハイクラスの車では、ECUは70以上に増加する。
 2つのソフトウエアがあるとすると、10の21乗の複雑性が存在する事になる。将来は、エレクトリファインドであり、オルタナチティブ・ドライブして生む高まる。複雑性が高まる。相互接続性が高まる、だから標準化だ。将来にイノベーションを生むためには、この接続性と複雑性が高まったシステムに順応しなければならない
 沢山のバリエーションができている。
 エレクトロニクスは、車にとってイノベーションだ。機能は高まっている。自動車は、標準化が必要だ、コンポーネントから機能重視に移る。ヒューマンインターフェイスと安全性が高まっている。

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