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シリコンシーベルトサミット福岡2008レポート(2)

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シリコンシーベルトサミット福岡2008レポート(2)

福田悦生

東芝 セミコンダクター社
システムLSI事業部先端SoC応用技術部


 では、九州地域の半導体生産高はどうか。


IC Production Value in Kyushu


 上に九州の半導体生産額の推移を示す。折れ線グラフは、日本の中の九州地区生産額のシェアを示しており、26%である。


Average IC Production Price


 上の図に平均的なIC単価の推移を示す。日本全体では、平均100円前後の金額を示しているが、九州の平均のそれは、主に高付加価値ICの生産行われているため140円程度の金額になっている。


Number of Semiconductor-Related Companies in Kyushu


 この表は、九州における半導体に関連した企業数を示した表である。九州トータルで832社が集中しており、設計、製造、装置など幅広い種類の企業が集結していることが、九州の特徴となっている。


Share of Kyushu vs. Japan's Total


 上の図に九州地域における各産業の生産シェアを示す。半導体は26%であるのに対し、車は8.8%となっている。この車のシェアは、150万台計画をきっかけに、今後上がると予想される。


Car Production in Kyushu and Share of Japan's Total


 上に九州における車の生産台数推移及び日本の中のシェアを示す。このグラフによると、2006年には、100万台を越え、2009年には160万台の生産を予定しており、これによって、九州の生産台数シェアは、15%になると予想されている。


Number of Factories for Automobiles, Semiconductors, & Displays in Kyushu


 上に半導体と自動車の工場拠点の数の推移を示す。半導体及び自動車の関連企業の立地は年々増加している。ピンクのグラフは、自動車関連の立地数を示すが、2003年以降増え続け、2006年には45拠点を数える。


Number of Days with Temperture at or Above 35℃


 ここで少々、環境の問題つまり、地球温暖化問題に触れる。上の図は、最高気温が35度以上の東京、福岡、大阪における猛暑日の数の推移を示す。大阪が群を抜いて高いことが分かる。福岡だけが、1988-1997年に比べると、1997-2000年は減っているが、全体としては、猛暑日が増加傾向にあり、このグラフから温暖化が進んでいることが分かる。


Estimated Greenhouse Gas Emissions in 2010


 京都議定書の温室効果ガス排出の2010年における目標達成数値が、2月8日に政府から発表された。上の図のエネルギー関係は、全体として6%の低減を図ることが規定された。


Estimated CO2 Emissions by Sector


 そのような中で、運輸部門のCO2の排出量の伸びを抑えていくことが、今後重要にある。上の図に車の分野における排出ガスの削減が記述されている。


Measures in Transport Sector


 この図には、運輸部門における実施項目が記述されている。

 ・燃費の良い車
 ・電気自動車のようなクリーンエネルギー車
 ・ハイウエイでの大型車のスピード制御
 ・アイドリング制限機構
等である。これらの実現のために、半導体の役割は大きいと考えられる。


Semiconductor Technology Contributing to Automotive Efficiency & Safety


 上の図には自動車における半導体の貢献度のイメージを示している。エンジン制御、電子制御パワーステアリング、ボディ制御、エアバッグなどに、マルチコアプロセッサや電力デバイスなどの半導体が搭載されている。これらが、安全性の等重要な役割になる。


Image Processor with Advanced Parallel Processing for Automotive Safety Systems


 上の図では、自動車の安全性の制御における並列処理プロセッサ技術の例を示す。トヨタのミリ波レーダと、ステレオカメラなど複数の情報により、衝突回避をする例である。
 大規模な組込ICには、現在1,000万行のソフトウエアが入っている。この大きさは、航空機の制御のソフトウエアと同じ量であり、高いソフトウエア技術力が必要になる。


<イノベーション協議会の現状>
 最後に、イノベーション協議会の現状について報告する。昨年の5月9日の総会において、会費制を導入することを決定した。現在、234メンバー、会費は1,780万円になった。成長期の2年目のため、関係ネットの構築からアライアンス構築へ活動が広がっている。
 今回で、サミットは6回目を迎える。目に見える成果が必要だが、今後も種種の施策を講じることにより、九州地区の半導体産業のさらなる向上を図っていく。

(続く)


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