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二転三転する東芝経営陣への不満噴出

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東芝経営陣が迷走を続ける中、恐れたことが起きつつある。人材紹介サービスが東芝メモリのプロセスエンジニアのスカウトに動いていると、9月14日の日経産業新聞が報じた。米国時間12日にはAppleが新しいiPhoneを発表し、NANDフラッシュの品薄感を加速することになろう。東芝メモリの現場は「もういい加減に」という本音を漏らす。

東芝経営陣の迷走が止まらない。2ヵ月前は韓国SK Hynixを含めた日韓米連合で行くと決めたはずが、8月25日にはWestern Digitalを優先交渉に選んだという日本経済新聞の報道が出たかと思うと、9月13日には、日韓米連合が新たな提案したので再検討に入るというプレスリリースも出た。要は二転三転したまま、何も決められない東芝経営陣であることが世の中に暴露された状態になっている。

このような中、9月14日の日経産業は、人材紹介会社の営業担当者が東芝メモリのある四日市工場の南門で見られるようになったと報じている。NANDフラッシュメモリで今活発な投資をしているのは、中国紫光集団傘下の長江ストレージ社。巨大な工場を建設中で、中国国外のエンジニアを集めている。かつての韓国Samsungと同じだ。2018年までに数千人規模のエンジニアを集めようとしており、年功序列の東芝の若いエンジニアには高額のオファーに見え、中国側からは東芝のエンジニアは安価で優秀な人材に映る。まさに需要と供給がマッチした市場になっている。これでは人材が引き抜かれても文句は言えない。決められない経営陣のゴタゴタによってモチベーションが明らかに下がっているからだ。

東芝の経営陣の迷走は、現場である東芝メモリを無視して議論しているため、現場のイラつく声も新聞で報じられるようになった。四日市工場では東芝のエンジニアはこれまでずっとWDと一緒に仕事をしてきた。経営陣が子供じみた「情報遮断」を行っても、現場の業務に支障が出るため、「WDの人はいません。San Diskの人間だけです」という会話をしてから電話会議に入るという。

「交渉事だから期限を決めている訳ではない」と答えてきた東芝経営陣。少なくとも半導体ビジネスでは交渉を急がないことは受け入れられない。ソフトバンクの孫正義氏はARMを3.3兆円で買収するのに交渉から2週間で合意にこぎつけた。しかも水面下で行い、事前には誰一人外部の者は知ることができなかった。世界の買収交渉では、孫氏のやり方が常識である。リークなどはとんでもない。ITや半導体ビジネスとは無縁の東芝経営陣には、このスピード感は理解できないのであろう。

東芝が安穏としていられるのは、NANDフラッシュの需要が旺盛という市場背景がある。Appleが発表したiPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusは、最低64Gバイトのストレージ容量を持つ。さらに、AppleはNANDフラッシュのトップメーカーであるSamsungと訴訟問題で争ってきた。このためAppleにはSamsung以外の部品を使いたい、という想いが強い。さらにサーバーより上のハイエンドコンピュータの分野では、金融市場向けにHDDからSSDあるいはフラッシュストレージへの転換の動きがある。つまり、市場全体が東芝のNANDフラッシュを求めているという「幸運さ」がある。だから経営陣はのん気でいられた。

しかし、NANDフラッシュの需要は、「のん気さ」を吹き飛ばす勢いで進んでいる。2位だった東芝は1位のSamsungから引き離され、3位のWDに追いつかれ、4位のMicronからは差を詰められている。東芝の設備投資が遅れれば遅れるほど、2位の座から転落しかねない。気が付くとアッという間に追い越され、企業価値が大きく下がってしまう、という事態になりかねない。東芝メモリの現場を無視した東芝経営陣にイラつくのは現場のエンジニアだけではない。日本の半導体産業を憂う者、全てである。

(2017/09/19)

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