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ReRAM・RCM・STT-MRAMの成長が急に見えてきた

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フランスの市場調査会社Yole Developpementは、ReRAMやPCM、STT-MRAMなどの新型メモリ単体の市場は、2018年の2億7300万ドルから22倍の61億ドルに成長するという予測(図1)を発表した(参考資料1)。成長率の点では、実はメモリ単体よりも組み込み系(マイコンなど)の方が172倍にも成長すると見ている。

Evolution

図1 不揮発性RAM市場の急拡大 出典:Yole Developpement


2011年くらいから新型メモリとして、抵抗変化型のReRAMと位相変化メモリPCM、そしてスピン転送トルク型磁気メモリSTT-MRAMなどが期待された。加えて、IBMはこれらをストレージクラスメモリと呼び、DRAMとSSDとの中間にくるメモリと期待してきた。しかし、数年間は鳴かず飛ばずで、モノになるかどうかさえ、はっきりしなかった。

ところが、2017年にIntelが3D-Xpointメモリを発表し、2018年そこからパーシステントメモリ(Persistent memory)と呼ぶDIMM(Dual Inline Memory Module)と、高速SSDという二つのジャンルを作り上げた(参考資料2)。さらにDRAMメモリカードDIMMに実装したパーシステントメモリと高速SSDを発売し、コンピュータシステムに組み込んだ実績を示すと、新型メモリががぜん、現実味を帯びてくるようになった。Intelがパーシステントメモリと呼ぶメモリはIBMがストレージクラスメモリと呼ぶものとほぼ同じ、と考えてよい。Optaneシリーズと名付けられたこのメモリシステムの中に入っている3D-Xpointメモリは、Intelは公表していないがPCMの原理を使っているとYoleは述べている(業界筋でもPCMだと言われている)。

IntelのOptane DIMMは、DRAMよりも大容量でNANDフラッシュよりも高速、というはっきりした位置づけを持つため、Samsungや東芝メモリ、Western Digitalなどの3D-NANDメモリとは全く競合しない。NANDフラッシュは書き換え回数の制限があるため、プログラムやデータを保存するストレージメモリである。これに対して、Optane DIMMはDRAMメモリモジュールとして扱われている。Intelが新型メモリの実用化の先鞭をつけたことで、この市場の成長が期待できるようになった。

組み込みメモリで威力を発揮

さらに、集積度をNANDフラッシュに近づけることが難しい場合の組み込み用途も現実味を帯びてきている。フラッシュメモリを搭載したマイコンの代わりに、MRAMを使い、NANDフラッシュの部分だけではなく、SRAM部分もMRAMに置き換えると、これまでよりもぐっと低い消費電力のマイコンが実現する。

この組み込みマイコンやプロセッサの部分では、キャッシュだけではなく、レジスタやバッファなどにもSRAMを使っているため、このSRAMを全面的に新型メモリに置き替えるのである。高集積が難しいMRAMをSRAMの代用に使えば、低消費電力だけではなく、面積の小型化も可能になる。

低消費電力だけではなく性能的にも優れていそうだ。例えばフラッシュではディープスリープのように動作を非常に緩慢にして消費電力を抑えすぎると、次の立ち上がりの時のレイテンシが増えることがある。不揮発性のRAMだと、即立ち上がることができるため、レイテンシはさほど遅れない。IoT用のマイコンや消費電力を抑えたい用途には、こういった新型メモリをプロセッサに集積すれば、エネルギーハーベスティングのわずかな電力でも使えるプロセッサができそうだ。

パナソニックは低集積のReRAMを搭載したマイコンを発売しており、Samsungは28nmプロセスの組み込みSTT-MRAMの生産をはじめ、今年中に1GビットのSTT-MRAMテストチップを計画している。Intelも組み込みSTT-MRAMの量産が可能であることを発表し、STMicroelectronicsはPCMベースのマイコンを自動車産業向けに開発中だ、とYoleは述べている。こういった動きから、Yoleは組み込み系のメモリが2018年の640万ドルから、2023年には11億ドルに成長すると見込んでいる。実に172倍にもなる。

参考資料
1. The Time is now for Emerging Non-Volatile Memory (2019/04/25)
2. Intel、3D-Xpoint技術によるパーシステントメモリを提案、階層構成を見直し (2019/03/07)
3. MRAMはマイコンやプロセッサへの集積化で超低消費電力の威力を発揮 (2019/04/03)

(2019/04/26)

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