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Intel、3D-Xpoint技術によるパーシステントメモリを提案、階層構成を見直し

Intelは、データセンターのメモリとストレージの階層構造を見直すべき、新型メモリをサンプル出荷すると発表した。彼らは、CPUに最も近い層では従来のDRAM、次に3D-Xpointメモリを用いたOptaneパーシステントメモリ(図1)、その次に3D-Xpointメモリを用いたSSD、そして3D-NANDのSSDという構成を提案した。サンプル出荷を始めたばかりのパーシステントメモリは、最大512Gバイトのメモリモジュール。

図1 Intel VPでXeon製品担当ジェネラルマネージャー兼データセンターグループのマーケティング担当のLisa Spelman氏 手に持っているのがOptaneパーシステントメモリ


パーシステント(Persistent)とは「永続的な」という意味であり、DRAMとは違って電源を切っても記憶内容は消えずに保持される。Intel社のVPでXeon製品担当ジェネラルマネージャー兼データセンターグループのマーケティング担当Lisa Spelman氏(図1)によると、25年の寿命はあると言う。3D-Xpointメモリは、不揮発性メモリながら、高速でRAM的な動作ができるようだ。半導体ストレージのSSDだとデータを読み出す場合のレイテンシが極めて大きく、システム動作が遅れてしまうが、ここにパーシステントメモリを置くことでレイテンシを最小に抑え、DRAMに近い速度を提供する(参考資料1)。

このOptaneパーシステントメモリの限定顧客への出荷は今年の後半、一般市場での入手は2019年になる見込みである。幅広いソフトウエア開発をすぐに始めるため、Intelはソフトウエア開発者に向け、Optaneパーシステントメモリを備えたシステムにリモートでアクセスできるようにするという。Intel Builders Construction Zoneを通してソフト開発とテストが可能になる。

このOptane パーシステントメモリの特長は高密度であり、PCIeバス上でストレージからデータをアクセスする場合のレイテンシ(遅延)ペナルティを受けなくて済むようになる。開発者がソフトウエアを適切になるように調整すると、この新型メモリは低コストで大容量のインメモリデータベースソリューションが得られるように設計されている。DRAMメモリモジュールのようにCPU当たり3Tバイト以上のシステムメモリに拡張することによって、コンピュータシステムのエンドユーザはこの新型メモリを使えば計算負荷を最適化できるようになる。つまり、大きなデータ量をプロセッサに近づけることによって、システムストレージに近いデータをフェッチする時間遅れを最小にできるからだとしている。

Intelは、このOptaneメモリを、CPUから最も近いDRAMやHBM-2のすぐ後に置くことで、上に述べたようなレイテンシを最小にでき、システムを高速化できるとする。さらにこれまではDRAMのストレージとしてSSDが位置していたが、このOptaneパーシステントメモリとSSDとの間にOptane SSDを置くという構成を提案している(図2)。


REIMAGINING THE DATA CENTER / MEMORY AND STORAGE HIERARCHY

図2 Intelが提案する新しいメモリとストレージの構成 DRAMとSSDとの間をOptaneパーシステントメモリとOptane SSDが埋め、さらにSSDとHDDやテープのストレージの間を3D-NANDのSSDが埋める 出典:Intel


この構成では、Optaneパーシステントメモリがメモリの大容量化を補い、Optane SSDがSSDの速度を改善する。3D-NAND構成のSSDは高密度ではあるが、速度はSSDよりも遅いため、HDDとの間の速度差を埋めることができるようになる。Intelの3D-NANDのSSDは、4ビット/セル構成で、96層のNANDフラッシュを用いるもので(参考資料2)、速度としては従来の平面NANDや1ビット/セル方式よりは遅くなる。このため、SSDとHDDなどのストレージとして位置付けている。

Optaneはパーシステント、SSDとも同じ3D-Xpointメモリセル構造を用いながら、パーシステントメモリとSSDでどのようにして速度差や容量差を実現しているのか、Intelは明らかにしていない。


参考資料
1. Reimaging the Data Center Memory and Storage Hierarchy (2018/05/30)
2. Intel/MicronがNAND関係を再強化、4ビット/セルの64層を製品認定 (2018/05/23)

(2018/06/01)

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