メモリの供給不足でスマホの出荷にブレーキ、だが15億台を突破
2017年のスマートフォンの出荷台数は決してマイナスではないが、成長率がわずか2.7%にとどまったものの、15億3654万台と初めて15億台を突破した。これは2月22日にGartnerが発表したもの。メモリをはじめとする電子部品の供給不足と生産能力の限界によるところも多かった。
表1 2017年世界のスマホ出荷台数 出典:Gartner

いくつかの半導体商社の話によると、昨年の電子部品は半導体だけではなく受動部品の供給も間に合わず、顧客の要望に応えられない状態が続いていた、という。スマホに限れば、これまでの「ガラケー」からスマホへの切り替え速度が遅くなってきており、さらに低価格スマホに飽きて高機能なスマホへのシフトが進んできており、出荷台数の成長が見込めなくなったこともある。加えて、スマホのユーザーは高機能製品を好む方向は変わらないが、一つのモデルを長期間持つ傾向が出てきており、買い替えサイクルが伸びている、とGartnerは見る。
2017年のスマホそのものに大きな驚きが少なかったことも出荷台数が減った理由になっている。特にiPhone Xの出荷遅れと高価格、期待よりも低かった機能、などの影響が大きかった。SamsungのGalaxy S8およびS8+の出荷数量が2017年第4四半期に大きく、Samsungスマホ出荷台数は前年同期比で3.6%減少した(表2)。
表2 2017年第4四半期のスマホの出荷台数 出典:Gartner
またスマホ全体では、2017年の第4四半期に前年同期比5.6%減少したが、これは世界全体で2004年にGartnerがスマホの出荷台数を調査して以来、四半期の出荷台数が前年同期と比べて減少したのは今回が初めてだという。
だからと言って、スマホの成長が止まったとみるのは早計。部品不足の影響はスマホメーカーにとって大きく、2重発注も多くみられるようだ。このため、モノを作れない状態が続いており、ポストスマホやスマホの次になるけん引力はないことから、スマホの次は当分スマホになる。
第4四半期にスマホ市場全体は縮小したものの、プラス成長したスマホメーカーもある。中国の華為科技は7.6%成長、小米は79%成長となった。小米はここ1〜2年、VivoやOppoなどに押され低迷していたが、見事に回復してきた。同社は中国以外の市場にも伸ばし、インドやインドネシアで販売を伸ばしたことが大きい、とGartnerは見ている。