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アドバンテスト、次世代IC製品向けのテスターを続々発表

アドバンテストが次世代IC製品に向けたテスターをセミコンジャパン2022で相次いで発表した。メモリテスター「inteXcell」(図1)や、VR/ARなどのディスプレイや車載用高精度ディスプライドライバICテスター向けのモジュール「LCD HP」、USB-Type CのパワーデリバリーICテスター向けモジュールなど未来志向の製品向けのテスターやモジュールなどである。

図1 セミコンジャパン2022で実機を展示したアドバンテストの「inteXcell」

図1 セミコンジャパン2022で実機を展示したアドバンテストの「inteXcell」


メモリのような大量生産品では、一度に大量に測定できるようにするため並列度を上げてきた。2009年に512個のメモリを一度に測定できるテスターを出した後、2019年に768個並列のテスターができるようになった。とはいえ、並列度を上げるたびに床面積が大きくなるようでは、工場を広くせざるを得なくなる。そこで床面積の効率を上げたテスターが求められる。

昨年、DRAMもNANDフラッシュも、NVRAM(不揮発性RAM)もテストできるメモリテスター「T5835」をセミコンジャパンで発表したが(参考資料1)、このテスターは1台で最大512個の並列度であった。この製品はテスターとハンドラーが別々に配置されていたが、今回の新製品では、ハンドラーの上にテスターを置くという構成にして、床面積の増大を抑えた。加えて、テストヘッドを設けたテスターとハンドラーのセットを付け足すだけで並列度を増すことができるようにしたため、拡張性が高くなった。

新製品では、T5835テスターで最大384個の並列度で構成した1セルを基本構成として、768個の2セル構成では床面積は19.5m2だが、4セル構成で並列度を2倍に上げた最大1536個のテスターが27m2にしか広がっていない。


DDIC向けのテストモジュール
ディスプレイドライバーICといってもテレビやパソコンモニターのような仕様ではなく、AR/VRに使える高性能なDDICや、±40Vの高電圧試験にも対応したDDICをテストできるテスターが求められ、LCD HPモジュールはこれに対応したもの。AR/VR用途ではきれいな画像を見せるため、高い諧調が要求され、このため出力電圧は細かいステップが求められる。 諧調ステップ1段はLSB(Least Significant Bit)と呼ばれ、±1mV程度がICには要求される。

そうすると実力値としては数百μVになる。テスターはそれよりもさらに小さな電圧の分解能が求められる。AR/VRではDDICの出力電圧は1V程度であり、これを10ビット、すなわち1024分の1で分別しなければならない。そこで、このモジュールでは±200μV(平均32回)、±400μV(同4回)のスペックでよいのかどうかをユーザー(DDICメーカー)に評価してもらっている段階だという。2023年4月には発売する予定である。


USB-CパワーデリバリーIC向けテストモジュール
パワーマネジメントIC(PMIC)などの高電圧ICを測定するためのボード(カード)「XPS128+HV」は、アドバンテストのSoCや先端パッケージICなどのテスター「V93000」向けに開発された。最大24Vで、最大128チャンネルのカードであり、USB-Type C仕様のパワーデリバリーICやPMICに対応したもの。V93000は、カードを入れ替えるだけでいろいろなICのテストができるようなテスターのプラットフォームである。

今回、V93000向けの新電源カード「XPS128+HV」は、USB-Type Cのパワーデリバリー仕様において、最大電圧20V、最大電流3Aプロファイル4と、最大20Vで最大電流5Aのプロファイル5に対応するモジュールで、-10Vから+24Vまでの高い電圧と電流を128個のICを並列にテストできる。

他にもアドバンテストは、EUV向けのフォトマスクの欠陥を検査するSEM(走査型電子顕微鏡)「E5620」や、テストデータをクラウド上で歩留まり分析したり、パラメトリックテストを自動化したりするサービス製品も紹介している。同社は2020年のセミコンジャパンでクラウドサービスに力を入れることを発表したが(参考資料2)、すでにACS(AdvantestCloudSolutions)と呼ぶサービス商品が出ている。テストプログラムの開発やデバッグの作業性を上げる「ACS TE-Cloud」や「ACS DPT」、「ACS Edge」、「ACS Nexus」などの商品がある。

参考資料
1. 「アドバンテスト、テスト時間短縮を狙ったテスターを続々リリース」、セミコンポータル (2021/12/122)
2. 「アドバンテスト、テスターの販売からクラウドによるテスト分析業務へ拡大」、セミコンポータル (2021/01/05)

(2022/12/27)

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