アドバンテスト、テスト時間短縮を狙ったテスターを続々リリース
メモリや汎用製品以外の半導体製品が多品種少量に向かい、対応するテスターにもそれに準拠するシステムが求められるが、アドバンテストは新しい半導体製品に対応するテスターを続々セミコンジャパン2021で発表した。いずれもテスト時間を短縮する技術を導入している。
図1 汎用テストプラットフォームT2000 今回CMOSイメージセンサ用モジュールカードを追加 出典:アドバンテスト
アドバンテストは今回のセミコンジャパンの中で3種類のテスターを発表した。V9300 EXA Scale用のモジュールカードと、汎用テストプラットフォームT2000用(図1)のCMOSイメージセンサ用の4.8GICAP(4.8Gbpsのイメージキャプチャー)イメージキャプチャーモジュールと従来同社の製品よりも10倍高速の画像処理モジュールカードIP Engine 4、そしてDRAMおよびNAND/NVM用メモリテスターT5835とNAND用テスターのT5221である。
マルチコア向けSoCテスター
V93000は、汎用プラットフォームのT2000と同様、モジュールカードを交換するだけでさまざまなSoCに対応できるテスターである。3D/2.5D-IC向けあるいはハイエンドの高集積SoCに対応したV93000 EXA Scaleシリーズ(参考資料1)は、昨年よりもさらに広い製品に対応するため、これまでのモジュールに加え、今回さらに多くの製品に対応するためのモジュールカード「Link Scale」を発表した。
このカードを使えば、マルチコアSoCのように多数のCPUコアがあるような高集積SoCでは、CPUコア間の機能テストをファームウェアでできる。いわばシステムテストに代わる機能テストをSoCのCPU間や、ホストのCPUとのやり取りで行う。さらに、CPUコア以外のロジック部分のテストはDFT(Design for Test:テスト容易化設計)をSoCに搭載することでスキャニングテストを行う。
今回発表したLink Scaleカードには1レーンあたり5GbpsのUSB3.1インターフェイス用と同8GbpsのPCIeインターフェイス用の2種類ある。高集積SoCの多くはUCB 3.1やPCIe(PCI Express)の規格に準拠した高速インターフェイスを集積しているから、そのバスを通してスキャンニングテストすることができる。
T2000に高速・高解像度イメージセンサ用を追加
CMOSイメージセンサ用のT2000モジュール2製品の内、4.8GICAPのイメージキャプチャーモジュールでは、MIPIのC-PHY規格ver. 1.2をサポートし、従来のD-PHYに追加した。これからの規格のC-PHY ver. 1.2(従来規格は1.0)とD-PHY ver. 2.1(従来規格は1.2)に対応しており、高速対応が可能になった。モジュール1枚当たり4個のセンサを測定でき、テスターにはモジュールを16枚搭載できるため、合計64個のセンサを同時に測定できる。
イメージセンサのテストでは、センサに光を当て画素ごとのデータを検出し画像をキャプチャーする。キャプチャーしたデータをメモリに蓄積し、そのデータを見て色性能を判断する。色むらやシミなどだけではなく、カラーフィルタも検査する。画像処理専用のプロセッサを複数台搭載し、画像の色むらを専用の画像処理エンジンで判定する。
そのイメージ処理エンジンの新製品「T2000 ISS IP Engine 4」も発表した。T2000 ISS IP Engine 4は従来のEngine 3と比べ、テスト内容にもよるが、画像処理の時間を短縮し10倍高速になった。これはGPGPU(汎用のGPU)アクセラレータを搭載し、画像処理のアルゴリズムを工夫することによって高速化した。
汎用メモリテスターと12枚NANDウェーハ同時測定
メモリでは、パッケージレベルのDRAMやNANDフラッシュ、次世代不揮発性メモリ(NVM)を測定するT5835オールインワン高速メモリシステムの量産機と、NANDフラッシュのウェーハテスターT5221を発表した。
T5835は、最高5.4Gbpsで最大512個のメモリを測定できるテスター。DRAMだとDDR4メモリを最大512個、LPDDR4だと最大128個(x32)あるいは64個(x64)、NANDフラッシュでも512個同時に測定できる。メモリインターフェイスがDRAMと同じならMRAMやOptaneメモリ等も測定できる。従来のベストセラーだったT5833の後継機で、データレートが従来機の2.4Gbpsから2倍以上に上げ高速化した。
T5221は、ウェーハレベルのNANDフラッシュのテスター。大量生産が必要なNANDフラッシュはウェーハのテスト時間をいかに短縮するかが課題だった。T5221は12枚同時に測定できる。300mmウェーハ1枚上に最大1152個集積されたメモリを測定でき、ウェーハレベルでのバーンインテストも可能だという。12枚のウェーハ測定器の内部は、3階建てで4連のプローバ12個からなる。
参考資料
1. 「アドバンテスト、テスターの販売からクラウドによるテスト分析業務へ拡大」、セミコンポータル (2021/01/05)