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日本NI、iPadで操作する総合測定器を発売

AppleのiPadやWindowsパソコンで、設定やデータ解析ができるワイヤレス測定器、VirtualBenchを日本National Instrumentsが発売した。このワイヤレス測定器には、サンプリング周波数1GHzのオシロスコープとファンクションジェネレータ、デジタルマルチメータ(DMM)、プログラマブル電源、デジタルI/Oの5種類の機能を搭載している。

図1 iPadで電圧出力波形を観測する、日本NIの新しい測定器(下の箱のみ)

図1 iPadで電圧出力波形を観測する、日本NIの新しい測定器(下の箱のみ)

「Y世代(1980年〜2000年生まれ)の計測器」と同社が呼ぶこの計測器には、ハードウエア機能が全て、A4サイズよりも小さな190.5mm×254mmの面積(iPadのサイズ並み)、高さ73.66mmと小さな「箱」に収まっている(図1)。その前のX世代(1960〜1980年生まれ)では、計測器がアナログからデジタルに替わり、団塊の世代では純粋なアナログ方式の装置を使っていた。しかもこれら従来の計測器は、オシロスコープ、ファンクションジェネレータ、プログラマブルDC電源、DMMなどは個別の測定器であった。最近でこそ、オシロスコープやファンクションジェネレータやプロトコルアナライザ、DMMなどの機能を統合した測定器が出てくるようになったが、ディスプレイや数々のボタンを設置しており、見かけは従来のオシロスコープなどと変わらなかった。

今回のVirtualBenchは、外見は少なくともコネクタがいくつか付いた箱にすぎない。箱についたWi-Fi用のアンテナを通して、測定器としての操作はiPadなどから行う。コンセプトとしては、テレビおよびインターネットを接続し、有料・無料のさまざまな番組を見ることのできるApple TVとよく似ている。

VirtualBench では、電波がおよそ150m程度も飛ぶWi-Fiアンテナを使い、外部から制御するiPadにつなぎ、測定した電圧波形や入力電圧波形などを観測できる。同社がデモ用に作製したモータドライブ回路での例(図2)では、DCモータを駆動するための電圧のデューティ比や電圧値、時間などを、iPadを操作しながら自由に変えることができる。オシロの縦軸や横軸のズームイン、ズームアウトをピンチイン/ピンチアウト操作で行う。


図2 デモ用電子回路に電源を供給しパルス波形を図1のiPadで観測する

図2 デモ用電子回路に電源を供給しパルス波形を図1のiPadで観測する


その使い勝手は、デジタルネイティブと言われるほどデジタル機器に使い慣れた若い世代はもちろん、団塊の世代まで幅広い層まで浸透できると日本NIは見ている。さまざまな電圧波形を表示するiPadは、幅広い年齢層まで浸透し始めており、直感的な操作が受け入れられている。iPadで測定データ表示するためのアプリケーションは、App Storeから無料でダウンロードできる。このアプリはWindowsパソコン用にも用意する予定だ。

使い勝手が便利なだけではない。測定器の性能も悪くない。オシロスコープは、サンプリングレートは1Gサンプル/秒と細かく、帯域幅は100MHzである。アナログ2チャンネル、デジタル34チャンネルを持ちロジックアナライザとしても使える。DMMは最大入力300V、最大入力電流10Aで、5 1/2桁の分解能を持つ。ファンクションジェネレータは20MHzの帯域幅で1チャンネル分を出力する。デジタルI/Oは8方向チャンネルを使うことができる。これだけの性能機能で価格は19万8000円(税別)。

NIはもともと、ソフトウエアベースの測定器メーカー。ハードウエアとしては、オシロのモジュールやスペアナのモジュールをシャーシに搭載し、パソコンを使って波形を表示するVirtual Instrumentと呼ぶ測定器を世に送り出した。その後、設計とテストを行うソフトウエアツールのLabVIEWをリリース、組み込みシステムや研究開発システムで業績を伸ばしてきた。最近では、ハードウエアモジュールをFPGAでプログラム可能にする製品もある。そして今回、操作ボタンは電源スイッチだけというiPhone/iPadなどのモバイル機器を思わせる。箱には、出力のBNCコネクタやロジアナ用のフラットケーブルなどのコネクタが付いているだけである。新しい形の測定器ともいえる。

(2014/06/20)

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