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Micron、1β nmノードの64GビットのDDR5x-DRAMをサンプル出荷

米Micron Technologyが1β nmプロセスノードで製造した64GビットのDDR5x-DRAMのサンプル出荷を開始した。Micronが述べる1β nmプロセスノードは、13nm以下のプロセスノードだという。12〜13nmとの見方もある。リソグラフィパターニングの実現には、液浸マルチパターンニングを用いており、EUVは用いていない。製造はまず東広島工場で行う。

図1 Micron、1β nmノードの64GビットDDR5x-DRAMをサンプル出荷 出典:Micron Technology

図1 Micron、1β nmノードの64GビットDDR5x-DRAMをサンプル出荷 出典:Micron Technology


これまでDRAMやNANDフラッシュなどのメモリは、ファウンドリとは異なるデザインルールを用いている。20nm以下になると、19nmから15〜16nmに渡り、1x nm、1y nm、1z nmと少しずつ刻みながら微細化を進めてきた。その先は、1α nm、1β nm、1ɤ nmとさらに刻んできたため、Micronのオンライン会見で質問してみたところ、13nm以下だと答えていた。ただし、このプロセスノードの寸法はどこの寸法を指しているのかは明らかにしていない。

また、NANDフラッシュがセル部分を3次元(3D)化によって、縦方向に積み増すことによって記憶容量を増やしてきた。これに対して、DRAMもNANDフラッシュと同様、メモリセルを3D化することで実現している。DRAMセルは、スイッチング用の一つのトランジスタにキャパシタセルを設けているが、このセルの作り方が円筒型のシリンダーとなっているようだ。この結果、図2で見るように、CMOS under Capacitorとなっている。


1Β: The world's most advanced DRAM / Micron Technology

図2 1β nmプロセスの16Gb LPDDR5X DRAM 出典:Micron Technology


このほど開発した1β nmプロセスノードのDRAMは、日本の東広島工場で生産し、次に台湾で量産するという。何がMicronの特長かという質問に対しては、コスト削減法や集積度、メモリセルのシュリンクなどの技術でリードしていること、と同社DRAMプロセスインテグレーション担当バイスプレジデントのThy Tran氏は答えている。新開発のDRAMは、1世代前の1α nmプロセスノードの製品と比べ、電力効率は15%向上し、ビット密度は35%以上増えた。電力効率を上げるため、動的に電圧と周波数をスケーリングする方法(Dynamic Voltage Frequency Scaling)を用いた。この結果、3200Mbpsまでサポートするという。

これまで液浸のArFマルチパターニングを使ったリソグラフィ技術を進めてきたが、EUVの使用に対しては、EUV技術が成熟する時期だろうと見ており、恐らく1ɤ nm以下のプロセスノードになる頃だと思う、と見ている。

また、この先1α nmプロセス製品に対して1β nm製品はいつ頃主流になるかという質問に対して、需給状況によって変わるだろうと述べている。つまり、短期的にはDRAMのユーザーや流通の在庫が増えているため、それらの調整が行われた後に、1β nm製品は競争力を持つことになり、1α nmプロセス製品と交代することになると見ている。

これほど大容量のDRAMの用途は従来のモバイル用途やパソコン、自動車に加え、データセンター用途だろうと述べている。データセンター用途では、CPUの周りに配置するHBM(High Bandwidth Memory)やグラフィックス用のメモリとしても使う。

(2022/11/08)
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