Intelの投資計画に85億ドルのCHIPs支援が確定、TSMCの日本パッケージ工場
米バイデン政権はIntelに対して85億ドル(1.3兆円)の補助金を出すことをようやく正式に発表した。この補助金は、米商務省がCHIPS & 科学法案に基づき支援するもの。さらに連邦政府のローンとして110億ドルを借りることも決まった。台湾のTSMCが日本に先端パッケージング工場建設を検討中という噂も流れた。
図1 Intelが建設中のオハイオ工場 出典:Intel
Intelはこれまで、オレゴン州、アリゾナ州、ニューメキシコ州に工場をすでに持っているが、オハイオ州にも200億ドルを投資してメガファブを設立することを2022年1月に発表した。すでに工場を建設中で、図1の写真は2024年2月に空から撮影したもの。この「Ohio One」工場では、オハイオ州リッキング郡に1000エイカーの土地を入手し、ここに建設を進めている。
3月21日の日本経済新聞でも報じられており、バイデン米大統領は20日、アリゾナのインテル施設を訪問する、としている。米政府がここまで支援する理由は、Intelへの投資による波及効果であり、新しいスタートアップ企業が生まれ、工場建設雇用が生まれ、米国中心の研究開発を育て、米国のサプライチェーンを強化するためであり、米国のリーダーシップを確保するためと同社のニュースリリース(参考資料1)に述べられている。
Intelがここまで工場建設にこだわる理由は、ファウンドリビジネスでトップクラスになることを中心に据えている。掲げる目標は、プロセス技術のトップになり、リジリエント(回復力の高い)でサステイナブルなグローバルなサプライチェーンを作ること、も挙げている。このことが、米国の半導体製造力と技術力を高めるというCHIPs法案と同じ方向を向いているという。
Intelは、2025年までに4つのプロセスノード(Intel 7、Intel 4、Intel 3、Intel 20A)を実現することをすでに述べていたが、2月にはさらにもう一つIntel 14A(1.4nmノード)もロードマップに加えた。ここまで明確な道筋をつけた理由は、AIドリブンなコンピューティングに向けたAIチップの設計と製造の需要が高まっているためだ。顧客に対してプロセス技術とパッケージ設計を準備するとともに、エコシステムのパートナーからも幅広いIPとEDAツールのサポートも用意する。
もう一つのニュースは、まだロイターしか報じていないが、3月18日「独占ニュース(Exclusive)」と称して、TSMCが日本にパッケージ工場の建設を検討している、と報じた(参考資料2)。ロイターによると、これは2か所の情報源から聞いたとしている。さらに日本半導体の復活に向け取り組んでいる日本政府の補助も加わるだろうと見ている。情報源の一人は、CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)基板パッケージ工場ではないかと述べている。ただし、投資のタイミングなど具体的なことはまだ決まっていないという。TSMCはノーコメントとしている。
参考資料
1. "Intel and Biden-Harris Administration Announce Preliminary Terms for up to $8.5 Billion in Direct Funding Under CHIPS and Science Act", Intel (2024/03/20)
2. "Exclusive: TSMC considering advanced chip packaging capacity in Japan, sources say", Reuters (2024/03/18)