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Micron、将来見据えた176層NANDフラッシュとDRAM製品を出荷

Micron Technologyは、昨年最大176層のNANDフラッシュメモリの開発を発表していたが(参考資料12)、このほどComputex Taipei 2021にて、そのチップを搭載したPCIe Gen4 SSDの出荷開始を発表した。加えて、DRAMでは最先端の微細化ノードである1α nmのDDR4x LPDRAMを出荷した。

Micron PCIe Gen4 Client SSD Family

図1 Micronの176層SSD製品群 出典:Micron Technology


Micronの最新176層のSSDには、「Micron 3400」と「Micron 2450」の2製品がある(図1)。Micron 3400は512GB〜2TB の容量を持ち、Micron 2450 は256GB〜1TBの容量で、大きさの種類が少し異なる。前者がM.2 22mm×80mmで、後者はこの他に22mm×42mmと22mm×30mmの三サイズを持つ。共に176層のチップは同じで、TLC(3ビット/セル)の方式を使っている。

新型コロナによるテレワーク需要によって「PC市場が戻ってきた」、と表現した同社コーポレートVP(バイスプレジデント)でストレージ事業部門のGM(ジェネラルマネージャー)であるJeremy Werner氏は、PCがオフィスと仮想オフィス(テレワーク)の両方で成長していると述べた。特に毎日百万台のペースでPCは出荷され、年率で2020年は13%成長したが、2021年は18%成長すると市場調査会社IDCが予想している。ノートパソコンやゲーム用のパソコンが好調で、特にクロムブックは100%の伸びを示しているという。

これを受けてPCIe Gen4(第4世代のPCI Express規格)のSSDはクライエントPC市場向けに2021年は2020年の6倍以上に成長する、と市場調査会社Forward Insightsは見ている。今回Micronが出荷するSSDがクライエントPC向けということは、大きな数量が期待されることを表している。176層のTLC NANDフラッシュチップに自信があるのであろう。

DRAMもこれまで最も微細なノードに入る。これまで20nm未満のDRAMのプロセスノードは、1x nm、1y nm、1z nmと1〜2nmずつ刻んできたが、今回はそれよりも微細な1α nmと最も微細なノードになった。メーカー側はノードの正確な寸法を示していないが、1α nmは14〜15nm程度だと思われる。


Memory Innovation from PCto Cloud

図2 最も微細な1α nm DRAM製品 出典:Micron Technology


今回Micronが発表したLPDDR4xのDRAMは8Gビットであり、1z nmノードのモバイルDRAM製品と比べ、15%低い消費電力で、集積度は40%高いとしている(図2)。今回の1α nmのDRAMは6月に出荷し始めた。クライエントPCだけでなくクラウド用途でもデータセンターに出荷する。

さらにMicronは、DDR5の設計も始めている。バンド幅と呼ばれるバイト単位のデータ転送速度は、DDR仕様で最も高速のDDR4-3200が16.8GB/sであるが、DDR5-3200だと22.8GB/sと1.36倍となる。MicronはDDR5仕様を推進しており、同社が2年前から作ってきたDDR5の標準化団体「Micron DDR5 Technical Enablement Program」には100社以上、250名以上の設計リーダーが参加している。これからの熱の問題やAI応用に対するソリューションをみんなでコラボレーションし、カスタマーにいち早く届けるためのプログラムだ、と同社シニアVPで演算とネットワーク技術事業部門のGMでもあるRaj Harzra氏は言う。


Memory Innovations for the Future Data Center

図3 新しいメモリ階層 5年前よりも複雑になっている 出典:Micron Technology

同氏は将来のデータセンターにおけるメモリ階層に関しても触れている(図3)。従来、アーカイブストレージから大容量ストレージ、高速ストレージ(NANDフラッシュ)と、その上のDRAMとの間にギャップがあり、それを埋めるためにストレージクラスメモリをIBMが提案していた。当初は単体の半導体メモリで提供しようとメモリメーカーが開発してきたが、アーキテクチャ上からもこのギャップを埋めるために現れたのがCXLアタッチトメモリである。これは、CPUと、アクセラレータや拡張メモリなどとの間のメモリにコヒーレンシ(同一性)を持たせるための業界標準である。CPUとデバイス間のメモリを共有できるようになる。

一方、DRAM側も、インパッケージメモリ(HBM2Eなど)やCPUに近いダイレクトアタッチメモリなど、バンド幅を広げてより高速にしようという動きがある。Harzra氏は5年前と比べるとメモリ階層構成はとても複雑になったと述べている。これに備え、Micronは、DDR4やDDR5に加え、GDDR5やGDDR6などのグラフィックス用途、バンド幅の広いHBM2E、そしてCXLアッタッチトメモリも揃え始めている。


参考資料
1. Micron、176層という最高層のNANDフラッシュをサンプル出荷 (2020/11/10)
2. Micronが176層NANDフラッシュの設計思想を明らかに (2020/11/19)

(2021/06/03)

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