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ロームがなぜ今オリジナルマイコンコアを開発したか〜CEATECで実演

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これぞ逆転の発想だ。ロームは、アナログ回路内にマイコン用のCPUコアを集積するという新しいモータ制御ICを開発した。これまでマイコンIC内にアナログ回路IPを集積したpSoCなどはあったが、ロームのICはその全く逆だ。主要機能はモータ制御。ここにソフトウエアで制御命令を備えたマイコンコアを載せたのだ。これをCEATECで示した。

アナログICの柔軟な仕様変更に対応可能

図1 CPUを搭載したことにより、ファームウエアの修正で仕様変更できる 出典:ローム


ロームが「MatisseCORE」と呼ぶ、8ビット命令のこの独自コアを開発したのは、モータ制御ICのプラットフォーム化にあった。従来、モータドライブ回路にシーケンス回路など制御のための回路をロジックで組めばフレキシビリティが全くなく、制御方法を変えようとすれば、作り直しになってしまった。このため、制御方法を変えたい場合は、ホストコンピュータに任せざるを得なかった。しかし、ホスト側の負担は増えていく。

CPUをアナログのモータ制御ICに集積したことで、モータ駆動方式やシーケンスの変更はソフトウエアを書き換えるだけで簡単にできるようになる。また、このCPUコアを別のアナログICチップに搭載しても同じ命令セットで簡単な仕様変更にソフトウエアで対応できる。

では、市販のマイコンは使えないのか。Armマイコンには8ビット品がない。無料のRISC-Vも32ビットが基本だ。昔からの8ビットマイコンの8051コアはどうか。ロームは、これも検討した。ところが、汎用の8ビット品であるため、使いそうもない余計な命令が入っており消費電力や性能の点で無駄になる。そこで、8ビットコアと命令セットを見直し、独自でコアを開発することにした。

ロームのオリジナルCPUコアは、軽くて小さなコアにすることを心掛けた。しかもプログラムサイズが小さい命令セットにした。この結果、小さいため動作は速くなり、8051コアの2倍以上となった(図2)。またプログラムサイズも半分以下になり、動作速度が増した。


図2 CPUの命令セットやプログラムを最適化した結果、性能も消費電力も改善された

図2 CPUの命令セットやプログラムを最適化した結果、性能も消費電力も改善された


また、C言語でプログラムしたコードはコンパイラ変換しなければならないが、一般的なLLVMをベースにしてコンパイラを作り直した。C言語で書いても自動的に圧縮してくれる機能も加えたという。

このCPUコア付きモータ制御ICは、ASIL-D対応しており、デュアルコア構成によって冗長構成が可能である。もし不具合が発生したら警告してくれるという機能を付けることができる。またコンパイラもASIL-Dで機能補償しているという。

(2019/10/17)

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