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単体、ICからフュージョン、アルゴリズムまでのセンサ全てを提供するams

オーストリアのアナログ半導体メーカーamsは、機械的なセンサから光を利用するイメージセンサ、化学センサに至るまでさまざまなセンサとその応用に特化することに舵を切り替えた。センサ単体だけではなく、センサとのインタフェースICやアルゴリズムなどソリューションまで手を広げている。工業用イメージセンサの責任者であるDIV Image Sensor SolutionsのシニアVP兼GMのStephane Curral氏が最近来日、その狙いを聞いた。

図1 ams社 DIV Image Sensor SolutionsのシニアVP兼GMのStephane Curral氏


イメージセンサはスマートフォンやデジカメのカメラ部分の市場が圧倒的に大きいが、工業用や医療用、スマホ以外の民生など、その応用範囲は広い。センサはデジタルトランスフォーメーションや、IoTシステム、自動運転車、インダストリ4.0など、様々な機器を賢く(Smart)にするために欠かせない。それもアルゴリズムやソリューション提案もユーザーを広げるのに役立つ。

Currel氏が紹介したいくつかの未来を見てみよう。まずams社では、イメージセンサをはじめとする光センサから環境センサ、オーディオセンサなどを中心に扱っている(図2)。特長は、これまでにない小型、高精度などの性能を持っていることで、スマートフォンのカメラのようなコモディティ製品は狙っていない。例えば、イメージセンサの国際会議であるImage Sensor Europe 2018において、4800万画素で8K動画を30fpsで提供できるCMOSイメージセンサで最大ブレークスルー開発賞を受賞している。


戦略的フォーカスと優れたポートフォリオ

図2 オーストリアams社が扱っているセンサ 出典:ams


狙う市場は産業向けや医療向けなどが中心だが、急成長は期待できない。スマートフォンなどの民生機器でも、コモディティではなく差別化された市場を狙う。例えば、今後のスマホでは視線を追跡するアイトラッキング機能や3次元の顔認証のユーザーインタフェース、おもちゃやコミュニケーションロボットにも搭載してこれまでにない機能を実現するようなイメージを持っている。

同社が最も得意とするマシンビジョンでは、広いダイナミックレンジや最高70Gbpsという高解像度の画像を高速で処理する性能を持つ。工場のオートメーションだけではなく、書類のスキャンやITS(高度道路交通システム)、さらに近赤外線(NIR)センサも搭載して分光分析(IRスペクトロスコピー)も同時に行えるようにする。NIRセンサは波長940nmを中心とする赤外線を利用し、その波長を走査していきながらスペクトロスコピーを得る。工場のラインではイメージセンサで通常の製品以外の異物を即座に発見・同定できるようになる。

医療用では、内視鏡に可視光のイメージセンサにNIRセンサを集積することによって、分光分析を行い、異常を見分けることができるようになる(図3)。これは、1カラー画素内に通常RBGの3画素分が含まれているが、ここにNIRセンサの分を加えて4画素分をカラー・分光の1画素として配置する。NIRセンサによる分光分析は、波長10nmの狭い幅でフィルタをかけ走査しながら光強度を見ていく技術を使い、スペクトロスコピーを得ることができる、とCurrel氏はいう。


医療用ではあらゆるスペクトルを検出

図3 医療では組織の分光分析もできるようになる 出典:ams


内視鏡応用では、サイズ1mm角のチップをカテーテルに入れることができるため、比較的太い血管内や臓器内を観察できる。次世代デバイスはさらに微細化し、0.7mm角のチップでさらに細い血管まで入れられるようにするという。

AppleのiPhone Xで使われた顔認証システムには面発光レーザーVCSELが利用されているが、この発光レーザーと受光センサを使うことで、顔認証システムをもっと広げられるとしている(図4)。例えばクルマのキーやスマホを見てエンジンを始動できるようにすることも可能だ。iPhone Xの顔認証システムは、平面の顔の特徴を抽出するだけではなく、3次元的な深さ方向の情報も加えることで行うため、同様のシステムだと比較的安価な民生向けモバイル機器にも顔認証によるIDを取り入れることができる。


ストラクチャードライトシステムアーキテクチャ

図4 2次元と深さ方向のデータを加えることでより高精度な顔認証システムが安価にできる 出典:ams


加えて、顔だけではなくモノの認証についてもNIRと3次元発光・受光システムを組み合わせることで検出できるようになる。ジェスチャー制御はもとより、例えばある部屋に座っている人が何人、立っている人が何人と数えることもできる。

分光分析では、時間・空間分解能を上げ、対象物のコンテンツを分析できるため、例えば、農業応用では、ドローンにセンサを取り付け、作物の成熟度がわかることで、収穫すべきかどうかの判断ができるようになる。また医療に使えば、皮膚の静脈をもっと鮮明に見ることができるようになり、組織の解析が可能になる。

センサは小型、高精度でありながら、ソリューションまで提供する(図5)。センサといった単なるハードウエアだけではなく、ソフトウエアやアルゴリズムまでも一緒にしてソリューションとして提案する。


戦略的バリューチェーン

図5 センサICからセンサフュージョン、さらにはアルゴリズムまでカバーして、検出・測定のソリューションを提供する 出典:ams


こういったソリューション提案までカバーするために同社はセンサ周りの様々な企業を買収してきた。例えば、顔認証ではKeyLemon社、CMOSイメージセンサではCMOSIS社、レンズ設計ではHeptgon社などを買収してきた。だからこそ、ソリューション提案が可能となったのである。加えて実際の組み立て作業となるとサプライチェーンとして中国のモジュールメーカーSunny Opotech社とパートナーシップを組んでいる。

(2018/06/06)

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