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ON Semi、USB Type-Cチップセットを続々開発

使い勝手の良さを重視しながらもUSB Type-Cソリューションで最大スピード10Gbpsを実現したICチップセットにON Semiconductorが注力している。Type-C規格は100Wの電力まで供給でき、コネクタの上下がリバーシブルという特長がある。現在のスマートフォンの電源は急速充電でさえ12W程度だから、Type-Cは急速充電可能な規格にもなる。

USB Type-C製品は、今後のスマホやタブレットの電源兼データコネクタの役割を果たし、しかも高速データを扱える。反面、パワーとコントローラ、データ変換といった電源や制御信号も内蔵しており、ウェアラブルデバイスからスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップ、モニターに至るUSBの新規格として統一的に使えるようになる。5V電源では最大15Wだが、パソコン向けなどには、18W、36W、60W、100Wという規格まで含む。データレートは5V電源では5Gbpsまでだが、100Wまでの規格では10Gbpsまで対応できる。


図1 ON SemiconductorのType-C製品群 出典:ON Semiconductor

図1 ON SemiconductorのType-C製品群 出典:ON Semiconductor


同社が力を入れている製品は、USB Type-Cコネクタからスマホのアプリケーションプロセッサやバッテリパックをつなぐための回路群に必要なICチップだ。制御端子からプロセッサへは、ポート保護回路とType-Cコントローラが必要で、データ端子とAPUの間にはリドライバと高速スイッチ回路が必要となる(図1)。例えば、現在出荷中の製品としてFUSB203/B/Tは最大100WまでパワーデリバリーできるType-Cコントローラで、制御信号インターフェースはI2Cを使う。図2にわずか1.2mm×1.3mmのFUSB302チップを搭載した開発キットを示す。


図2 開発キット やや真ん中右に二つある黒いICがON SemiのFUSB302

図2 開発キット やや真ん中右に二つある黒いICがON SemiのFUSB302


Type-Cの電源端子とバッテリパックとの間にはパワースイッチと充電回路/昇圧回路が必要で、データ線はGbpsの単位になると、配線が少し長くなるだけでも信号品質は劣化する。このため、リドライバが中継器の役割を果たし、超高速スイッチでAPUのUSB3.1 XCVRに入力する。特に、ON Semiconductor Analog Solutions Group, Marketing DirectorのMatthew Tyler氏は、リドライバの必要性をスマホやパソコンのプリント基板上でType-CのソケットからAPUまでの距離が離れていると信号は送れなくなるという。

実際、FR4のプリント基板を使って比較すると、12インチの長さまでは伝送品質を評価するアイダイヤグラムは開いており、リドライバで入力へフィードバックしてプリエンファシスなどのイコライズ技術を使うと、出力でははっきり目が開く、すなわちオン・オフの区別がつくことを示している(図3)。


図3 FR4上に形成した配線長が12インチ以内なら10Gbpsで伝送できる 出典:ON Semiconductor

図3 FR4上に形成した配線長が12インチ以内なら10Gbpsで伝送できる 出典:ON Semiconductor


ON Semiconductorが開発中の製品(図1)では、保護回路を集積した高速スイッチや特殊仕様もあり、使い勝手の良い製品を開発していく。すでに製品化したものには大きさがわずか1.2mm×1.3mmのコントローラチップFUSB302は、小型化とスタンバイ電流がわずか5μAとして低消費電力を特長とする。

(2017/09/13)

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