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ADI、エネルギーハーベスティング利用IoT電源を提案

Analog Devices(ADI)は、電池の要らないエネルギーハーベスティングを利用したIoTデバイス(端末、あるいはセンサデバイス、センサノードなどとも言う)向けのパワーマネジメントIC、「ADP5091」の詳細を明らかにした(図1)。エネルギーハーベスティングは発生する電力が小さく、しかも変動が大きいのにもかかわらず、送信電力は数十mWと大きい。充電マネジメントも含め、安定な電力をどう供給するか。ここにPMICの腕の見せ所がある。

図1 エネルギーハーベスティング用の電源回路 出典:Analog Devices

図1 エネルギーハーベスティング用の電源回路 出典:Analog Devices


エネルギーハーベスティングは、電池も電線も使わずに自然界のエネルギーだけで電子回路を動かす電源技術である。太陽光のエネルギーを利用するフォトダイオードがソーラーセルだ。この他にも、強誘電体のように力を加えると電気を発生する圧電素子、温度差を電気に変換するゼーベック効果素子を利用する方法もある。周囲を飛び交う電磁波を利用して整流する方法もあるが、全て自然界のエネルギーを電力として利用する。

しかし、いずれも大きな電力を取り出すことは難しい。その中では、ソーラーは大きな面積のパネルいっぱいにフォトダイオードを作り込み、今や手軽に(低価格で)使えるエネルギー源として、一般的に受け入れられている。

IoTデバイスは、温度や湿度、光、加速度、回転などを検出し、そのデータをインターネット上のクラウドに送るというもの。センサで検出しメモリに貯めたデータを送信するのに大きな電流を必要とするため、何分か何時間かおきにデータを送信し、検出しない時はスリープ状態にしておけば、電力消費を抑えられる。データを送信する場合は、大電流を流す能力が要る。電子回路全体は、できる限り低い消費電力で動作させる必要がある。IoTデバイスの寿命はできるだけ長く保ちたいからだ。

工業用のIoTデバイスは、工場の配管や橋梁のワイヤなど常に応力のかかっている、劣化しやすい部分に設置し、10年程度は取り換えずに使うことが前提になっている。このため長寿命であることが欠かせない。

エネルギーハーベスティング用のパワーマネジメントICは、DC-DCコンバータのような通常の電圧レギュレータ機能だけではない。ソーラーや振動などで発生した電力を蓄える電池やコンデンサを外付けする必要があり、その充電状況を管理する必要がある。またエネルギーハーベスティングの発電能力が小さいため、通常の動作電圧3.3Vや5Vまで昇圧する回路も要る。しかも、電源から供給するメインの回路は通常はスリープ状態で数十μWと低い電流を、データの送信には数十mAと高い電流を供給しなければならない。ADIのADP5091はこれらの回路を全て集積し、さらに蓄電用のコンデンサや電池が空になった場合に備えて予備電池を用意し、それを管理するための回路も集積した。

昇圧回路にはスイッチングレギュレータを用い、電源電圧を上げていくが、波形をスムーズにするため、LDOでならしている。出力はLDOを経て出ていく。

同社は、このチップの機能を確認するため、発電用のソーラーパネルや蓄電用の大容量のキャパシタを実際に外付けし、レギュレータ特性やデータ送信時の電力状況をモニターするデモを行った(図2)。

図2 ソーラーパネル利用のIoT端末のデモ 右端の白いボックスのソーラーセルが緑の回路基板を被せて電源とする。マイコンとセンサを外付けしてIoT動作を確認できる。

図2 ソーラーパネル利用のIoT端末のデモ 右端の白いボックスのソーラーセルが緑の回路基板を被せて電源とする。マイコンとセンサを外付けしてIoT動作を確認できる。


エネルギー源として、フジクラの単セル型(0.5Vの色素増感太陽電池を用い、充電池としては太陽誘電の40Fのリチウムイオンキャパシタを用いた。色素増感型の単セルの発電能力が1〜1.5mWと大きかったためだ。また、コンデンサは一般にµFを基本単位としているが、このリチウムイオンキャパシタは、Fを単位にするほど巨大なキャパシタである。自己放電が少なく、内部抵抗(ESR)が150 mΩと小さい。だからこそ、ショートさせないように注意する必要がある。40Fのキャパシタと、それ以外の候補として、330µFを 3個並列にしたセラミックコンデンサ、30mFのスーパーキャパシタとも比較した。この結果、セラミックコンデンサは3分、スーパーキャパシタは24分でそれぞれ放電したが、40Fのキャパシタは1時間以上保持した。

さらに、バッテリが空になった状態から充電を始めるコールド・スタートの立ち上がりシーケンスを提案している。さらに出力電圧と充電電圧の設定も行い、満充電・自然放電・再充電といった安定出力でのタイミングに関しても使い方を提案している。

(2016/09/28)

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