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IntelとMicron、クロスポイント型不揮発性メモリをサンプル出荷へ

IntelとMicron technologyは共同で、DRAMとNANDフラッシュをつなぐ新型メモリを開発した(図1)。3D XPoint(スリーディークロスポントと呼ぶ)技術と名付けたこの不揮発性メモリは、ストレージクラスメモリである。NANDよりも3ケタ速く、DRAMよりも10倍高密度で、NANDよりも書き換え回数が1000倍多いという。

図1 3D XPointテクノロジーを使った128Gビットのメモリ 出典:Intel、Micron Technology

図1 3D XPointテクノロジーを使った128Gビットのメモリ
出典:Intel、Micron Technology


このようなストレージクラスメモリは、DRAMとNANDフラッシュのようなストレージデバイスを埋めるためのメモリである。これまでのコンピュータアーキテクチャでは、プロセッサとデータを絶えずやり取りするDRAMは、本当は大容量を組むことでコンピュータシステムを高速化できるが、システムが高価になってしまう。しかし、DRAM容量が限られていると、プロセッサはストレージとやり取りせざるを得なくなり、アクセスは非常に遅くなる。このため、DRAMとストレージをつなぐ安価なメモリが求められている。

現在のNANDフラッシュなら、レイテンシは数十μsと遅いが、この新型メモリでは数十nsとNANDよりも3ケタ速い。このため、DRAMとNANDフラッシュとの間の速度ギャップを埋めることができる。もちろん、NANDフラッシュでさえ、HDD(ハードドライブ)と比べると3ケタ高速だから、ストレージデバイスは一般にHDDからNANDフラッシュアレイへ移行しつつある。今回の3D XPointメモリはHDDよりも6ケタ速くなる。

高速で安価なストレージクラスメモリができるようになると、データを数十nsでアクセスできるようになり、例えば小売り業者は、商品との取引での偽のIDパターンを即座に見破ることができる。ヘルスケア研究者は、膨大なデータをリアルタイムで処理・解析できるようになり、遺伝子解析や伝染病の追跡などが高速にできるようになる。


図2 クロスポイントアーキテクチャの3D XPointメモリ 出典:Intel、Micron

図2 クロスポイントアーキテクチャの3D XPointメモリ 出典:Intel、Micron


メモリ構造はクロスポイントアレイ構造で、図2のオレンジ部分を選択デバイス、緑部分をメモリセルとして使う。トランジスタレスだとしている。選択デバイス、メモリセルともどのような材料でできており、どのような原理で動作するのかについては明らかにしていない。PCRAMかSTT-MRAMかさえ、明かしていない。

アクセスする場合は、上のワード線と下のビット線に電圧をかけオレンジ色の選択デバイスを通してメモリセルに書き込み読み出しする。このクロスポイントアレイは、図2のようにアレイ面を2段に積み重ねて容量を増やすことができる。DRAMではトランジスタをメモリセルの横に配置していたが、3D XPointではトランジスタはなく、選択デバイスをメモリセルに縦積みできるため、メモリ容量をDRAMの10倍にできるという。

すでに現在量産可能なプロセス技術で、128Gビットの試作品を生産しており、今年の後半にはサンプル出荷を始める予定だ。この技術はIntel、Micronからそれぞれ製品として販売することになる。

(2015/07/30)

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