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Altera、14nm FinFETプロセス採用の初SoC製品Stratix 10を発表

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AlteraがIntelの14nm FinFETプロセスで生産する新しいSoCチップ、Stratix 10について、その技術内容をようやく発表した。このSoCは、CPUにARMの64ビットプロセッサCortex-A53を集積、独自機能を持たせるために周辺回路にFPGAを用いている。64ビット製品が汎用の組み込みシステムに搭載される時代に突入する。

図1 14nm FinFETプロセスで生産するStratix 10 SoC製品 出典:Altera

図1 14nm FinFETプロセスで生産するStratix 10 SoC製品 出典:Altera


FPGAがあまりにも複雑になるため、全てハードワイヤードロジックで回路を組むのではなく、CPUを混在させ、基本的な制御にはCPU、差別化回路にはFPGA、というアーキテクチャへと変わってきている。FPGAの弱点は、ソフトウエアがそのままカスタム回路であるから、ソフト資産を残せないこと。流用もできない。CPU方式だと、回路ではなく機能を実現するためのコードであるから、コードを流用できる形に直しやすい。

この最新SoC、Stratix 10は、クワッドコアCortex-A53を集積しただけではなく、浮動小数点演算可能な10Tera FLOPSのDSP、1GHzで動作するFPGAも集積している(図1)。CPUとDSPというヘテロなプロセッサをOpenCLでプログラミングできる開発ツールSoC EDSも提供する。

Cortex-A53は、クワッドコアまでサポートできる64ビットプロセッサコアで(図2)、1GHzで動くCortex-A9と比べ性能は6倍だという。加えて32ビット命令も備え、ソフトウエアの下位互換性を持ち、仮想化構成も可能だとしている。


図2 ARM Cortex-A53 CPU 出典:Altera

図2 ARM Cortex-A53 CPU 出典:Altera


Alteraは顧客の要求とマッチするSoC向けのCPUとしてCortex-A53を選んだ。さらに高性能なARMのCortex-A57を採用しなかった理由を、AlteraのSoC製品マーケティング担当シニアディレクタであるChris Balough氏(図3)は次のように述べた。「コアをシリコンに集積した場合の面積がA57はA53の3倍もあり、消費電力も大きい。さらにロイヤルティ価格も高い」、などを挙げている。ヘテロなプロセッサを集積したSoCのプログラミングを容易にするためのコンソーシアムであるHSA(Heterogeneous System Architecture)Foundation(参考資料1)にはAlteraは加わっていない。その理由を同氏は、「HSAの対象とするSoCはハイエンドのコンピューティングパワーを最大限に発揮する用途を狙ったものであり、AlteraのSoCはそれを狙ったものではない。だからHSAには参加していない」


図3 Altera SoC Product Marketing、Senior DirectorのChris Balough氏

図3 Altera SoC Product Marketing、Senior DirectorのChris Balough氏


このSoCの用途は、データセンターや通信インフラ(基地局)、レーダーシステムなどを想定しているが、ここでのデータセンターは計算能力を追求するものではなく、限られた面積のビル内に設置され、24時間稼働し続け、空冷で動作するシステムを想定している。

もともとAlteraは、プログラマブルロジックを中心としたICを扱ってきて、次にメモリを集積、トランシーバ回路なども集積してきて、最近ようやくCPUも搭載するようになった企業だ。IntelやAMDなどはCPUの性能を追求してきたプロセッサメーカーであり、彼らはCPUを中心にロジックやGPUなどのプロセッサを集積してきた。ここに違いがある。だからAlteraはHSAへ加入をせず、データセンターとしても計算機能力を重視するところを狙っているわけではない。このStratix 10は計算能力で勝負するハイエンド製品ではなく、汎用的なハイエンドを狙った製品と言える。

14nm FinFETプロセスを使うファウンドリとしてIntelを選んだ理由はすでに報道した(参考資料2) が、この先TSMCはどうなるのか。それについても聞いた。「これまで20nmまではTSMCを使ってきた。将来のポートフォリオについてはTSMCとよく話し合っている。この先についてもTSMCを使うという選択肢に変わりはない。ただ、14nm FinFETの最初の製品を生産委託する場合、Intelのプロセスレベルが最も高く、現実的な14nm FinFETプロセスで生産できるファウンドリはIntelしかいない。最初に出荷した22nmの第1世代のFinFET搭載製品はすでに1億個の出荷実績がある。14nmは第2世代のFinFETプロセスとなるが、やはり相対的にIntelが有利だろう」。

契約について、Intelの14nm FinFETプロセスは独占契約(エクスクルーシブ)だという。ただし、他の競合するFPGAメーカー(XilinxやLatticeなど)に対してのエクスクルーシブであり、先行しているTabulaなどのベンチャーには適用されないとしている。

Stratix 10製品のテープアウトは2014年第1四半期を予定している。サンプル出荷時期は明確にしていないが、通常は12~16週後になるとする。

参考資料
1. 複雑なSoCを簡単に設計するためのツールを標準化しよう−HSAが呼びかけ (2013/09/13)
2. Altera、14nmのIntelファウンドリ、55nmフラッシュ、ロードマップを語る (2013/05/02)

(2013/10/30)

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