日立、フィジカルAIビジネスを開始、ロボット体験できるスタジオ設置
IT(Information Technology)とOT(Operational Technology)を強みとする日立製作所がフィジカルAIのビジネスを開始した。まず第1段階として、フィジカルAI体験スタジオを東京駅に隣接するサピアタワーに4月1日に開設する。同日、世界的なフィジカルAIの使い手を目指すためのフィジカルAI推進センターを設立する。フィジカルAI技術ではAIモデルをいくつか開発、学習させ産業用ロボットなどに組み込み賢くしていく。
図1 日立のフィジカルAI体験スタジオの一部
フィジカルAI体験スタジオ(図1)ではフィジカルAIを体験できるデモスペースを設置、体験させ、コンサルティングサービスとして顧客の相談に乗りビジネスへと発展させていく。これまで日立社内の各事業部で、ロボットを製作すると共に、自律的に学習するような仕組みを作り確認していく。各事業部で得られた知識をロボットやシステムに組み込み、それらの物理的な機器をAIで賢くするという実績を元に顧客の望むシステムを賢くしていく。
日立の強みはOTと呼ばれる現場力だ。元々電力機器をはじめ鉄道システムを構築してきただけに、製造現場が社内中にある。一方、10年前に産業用のITビジネスを強化するコンピュータ基盤「Lumada(ルマーダ)」を構築しており、その上でまず社内の事業部でのフィジカルなロボットを賢くしていく。
フィジカルAIの作り方(図2)としては、現場で使っているロボットをクラウド上のコンピュータで初期的な能力を学習させておく。それをベースにしてロボットが動く想定作業をデジタルツインで現場でのロボットの動作をシミュレーションさせる。ロボットの初期的な想定作業を数百〜千程度のパターンをデジタルツインで覚えさせておき、今度はシミュレーションでありとあらゆる想定内、想定外のパターンもシミュレーションで作っておく。シミュレーションさせたパターンを数億あるいは数十億に増やすことも可能だ。ここで用いるシミュレーションは、NvidiaのOmniverseと呼ばれるシミュレーションソフトウエア。

図2 フィジカルAIの作り方 出典:日立製作所
それを実際のロボットに実装しロボットはその学習パターンをベースに推論する。推論が正しくなければ、追加学習という形で学習し直す。そしてデジタルツインのデータとして新たにパターンを追加する。このループを繰り返すことによって、ロボットはどんどん賢くなっていく。まるで自分で学習しているように見えるのだ。
このスタジオには、日立が作った体験用のロボットが置いてあるが、これは柔らかい配線をフックで止めたり再配線したりする(図3)。ロボットの指先で配線を持って配線し直すことにできるロボットで、指の近くにもカメラを設置しており、拡大した配線を写すことができる。もちろん頭の前方にもカメラがある。

図3 柔らかい配線を使って再配線するロボット
自立的に学習するロボットもある上に、センサグローブもある(図4)。センサグローブは圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、音を感知するマイクロフォンなどを備えている。手の動きを各種のセンサと同期させながらセンサからの電気信号を観察、解析することでロボットの手の感触のデータとする。

図4 5つのセンサ信号を同期しながら手の動きを解読する
ロボットは基本的にはエッジAIであるため、初期的な学習データはクラウドを利用するが、追加学習などはエッジ側で学習する。
同社AI CoE HMAX & AI推進センター本部長の吉田順氏(図5)によると、日立はこの体験スタジオを通じて潜在顧客と相談しながら顧客の要求を満たすフィジカルAIに仕上げていくというビジネスを展開する。フィジカルAIとは何か、実際にロボットに触れてみて、体験しながら理解していくという初心者も歓迎する。さらに潜在顧客の会社で使うために必要な案件をコンサルティングしながら理解しソリューションを提供していく。

図5 日立製作所AI CoE HMAX & AI推進センター本部長の吉田順氏
AIは究極の少量多品種製品であり、コンサルティングから入り顧客のニーズをつかみながら進めていくことになる。全て自社で組むのではなく、NvidiaやGoogle共協力しながら、フィジカルAIビジネスを推進していく。


