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MEMS加速度センサで周波数11kHzまで使える振動ピックアップ

いろいろな機械の中の歯車や軸受けの振動を検出するのにMEMSの加速度センサが使えることがわかった。このほど、10kHzまでの振動周波数を計測できるAnalog Devices社のMEMS加速度センサ「ADXL1002」を、IMV社が実装し、振動ピックアップとして製品化(図1)した。

図1 振動をキャッチするピックアップ 出典:IMV

図1 振動をキャッチするピックアップ 出典:IMV


これまで、機械設備の診断には圧電式の振動ピックアップが使われていた。従来のMEMS加速度センサでは10kHzまでの高周波振動を正確に計測できなかったからだ。圧電式の振動ピックアップは高い製品だと1個20万円近くするため、高価な試験機にしか使われなかった。

機械の振動周波数は、振動するモノによって周波数が違う(図2)。例えば、風力発電やタービンのような大きな機械システムでは、周波数は10Hz〜1kHz程度と低いため、いろいろな加速度センサが使えた。ところが、機械の中にある歯車や軸受けの振動周波数はもっと高く、歯車や軸受けの故障を察知することができなかった。IoTやIndustry 4.0などで異常を検出して故障を予知するためには、周波数のもっと高い加速度センサが必要だった。


ADXL1002採用のポイント

図2 振動周波数が高ければ歯車や軸受けの異常を検出できる 出典:IMV


IMV(旧国際機械振動研究所)社のエンジニアとADIのエンジニアが2013年に出会い、IMVが必要なセンサの要求を伝えると、その3年後にはADIは高周波対応の加速度センサ「ADXL 100X」シリーズを紹介した。さらにその半年後の2017年5月にADIは「ADXL 1001/1002」をリリースした。

ADXL 1001/1002は、1軸方向の振動を検出する加速度センサで、いずれも応答できる周波数はDC〜11kHzと広い。計測できる加速度の範囲はADXL 1001が± 100g、振動雑音が30µg/ √ Hz以下、ADXL1002は± 50g、同25µg/ √ Hz以下である。IMVが使ったのはADXL 1002である。ここで、gは重力加速度を示す。

IMVは、開発されたADXL 1002をプリント回路基板に実装し(図3)、振動させると、基板上で共振が起こり使える周波数が狭くなり、5kHzにピークが見られた。プリント基板の振動周波数が5kHzだった。そこで、基板をねじ止めする支持点近くにMEMSセンサを実装するなどの対策を施すことによってプリント基板の共振を止めることができ、新製品振動ピックアップ「VP-8021A」を開発できた。


センサだけでは解決できない問題

図3 プリント回路基板への実装には共振に注意 出典:IMV


小型で高周波数振動も測定できる振動ピックアップ(センサ)を製品化したことでIMVは、IoTを使ったいろいろな機械設備の診断に使えるようになると期待は大きい。例えば、産業機械で使われるPLC(Programmable Logic Controller)の振動センサとして販売しようとIMVは考えている。食品機械にも予知保全のセンサが付けられるようになり、振動センサとしての用途は極めて広がると期待する。

振動センサのコアとなる1軸加速度センサADXL 1001/1002の価格は1000個購入の場合で29.61米ドルなので、振動センサ1個の価格は未定だが、1〜3万円なら普及できるとIMVは自信満々である。

(2019/07/30)

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