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面白い電池がいろいろ

第7回二次電池展では、リチウムイオン電池だけではなく、超薄型や固体電解質、電力貯蔵のためのパワー、災害時に水を電解液に用いる電池など、さまざまな電池が展示された。この中からいくつか紹介する。

図1 ICカード内にe-インクのディスプレイを組み込み極薄電池で動かす FDKは1次電池を全て販売中

図1 ICカード内にe-インクのディスプレイを組み込み極薄電池で動かす FDKは1次電池を全て販売中


FDKは、クレジットカードに実装できる薄さのリチウム1次電池を実用化してきたが、充電可能な2次電池も開発中だ。スイカやパスモなどのICカードは、高周波電波を受けて電源回路を動かし、電子回路に電源を供給、電子回路からIDなどの情報を送信している。エネルギーハーベスティングそのものなので、電池は入っていない。FDKが実用化しているカード用の電池は、カードに埋め込んだe-インク表示(図1)を動かすためだ。カード内の残高情報や、クレジットカードに含まれるPIN番号を変えられるようにする。この1次電池の厚さは最大0.45mm。固体電解質ではなく、封止法や材料の工夫により液状の電解質を用いたとしている。

このクレジットカード応用では、電子ペーパーに情報を表示させ1日平均2〜3回切り替えるという用途を想定して5年程度の電池寿命があるとしている。FDKは同様な2次電池を現在開発している。厚さは1次電池と同じ0.45mmで、容量は15mAh、もう少し厚い0.55mmの2次電池も開発中だという。1次電池と比べて、2次電池の容量は1/2〜2/3程度に減る。薄型にしている強みは非接触充電である。回路的な工夫とアンテナの工夫で非接触充電は可能である。現在は、カードではなく、ハードウエアの開発キット(図2)で評価中である。


図2 厚さ0.5mm程度のカード組み込み2次電池の開発キット FDK製

図2 厚さ0.5mm程度のカード組み込み2次電池の開発キット FDK製


日立造船は、薄くすることが目的ではなく、むしろ安全性の観点から固体の電解質を用いたリチウムイオン電池のシリーズを開発している(図3)。負極層、固体電解質層、正極層の構造で、全体の厚さが300µm、大きさが20mm×20mm、50mm×50mm、100mm×100mmの範囲で基本単位としている。基本電圧は全て3.6Vだが、電流容量はそれぞれ8mAh、50mAh、200mAhである。50mm×50mmのサイズでは、7セル直列で電圧を25.2V、電流容量50mAhの電池や、100mm×100mmのサイズでは、10並列で電圧は3.6Vだが、電流容量が2000mAhと大きい。これでも厚さは10mm程度で収まっているという。

図3 固体電解質を使った2次電池を日立造船が開発中

図3 固体電解質を使った2次電池を日立造船が開発中


固体電解質は液漏れがないため、安全性が高く、釘を中まで十分に刺した状態での実験も行っている。電池温度は60℃まで急上昇したが、その後はゆっくりと30℃程度まで下がるという特性を示し、発煙や発火、破裂は起こらなかったとしている。

安全性だけではなく、固体だからこそ仕様温度範囲が広いことも特長。液体だとせいぜい-10℃くらいまでしか使えないが、固体電解質は-40℃にも耐える。信頼性寿命に関しても、Liイオンしか動かないため、副作用が抑制され、室温で充放電を250回繰り返しても容量維持率は98%だったという。1日1回の充放電サイクルでは90%の容量維持率を10年間保つとしている。日立造船は、2016年サンプル提供、2018年に評価用大型パッケージサンプル提供、20年以降に量産開始、というロードマップを立てている。

住友電工は、ソーラーシステムなどの再生可能エネルギーシステムと組み合わせることを狙った、大電力用のバナジウム電池を提案した。これは、酸化・還元を利用するレドックスフロー(Redox Flow)電池と呼ばれ、V(バナジウム)イオンを充放電させる。負極、正極にそれぞれに電解液を用意し、ポンプでそれぞれの極に電解液を送り込む。リチウムイオンと比べ重量エネルギー密度は低いが、充放電サイクルが1万回以上、とほぼ半永久的といえるほど長い。正極ではバナジウムの5価から4価、負極では3価から2価という放電を行うだけで、析出も溶解もしないためだ。さらに大容量化しやすく、充電残量が正確に測定できるというメリットもある。最も小さな研究用で2kW、非常用電源用となると4MWと大出力のバッテリをすでにさまざまな事業所に導入している。ソーラーや風力などの発電の大きな変動を平滑化するのに向くことを訴求していた。

古河電池は、電解液として一般の水道水を利用する方式の電池を展示した。特に災害時に水を1.5リットル入れるだけで電池として使えるようになる。マグネシウム空気電池と呼び、Mg負極、酸素を吸い込む炭素の正極に、水を電解液として使う。平常時は、水を入れないで保存しておく。電池は、最大電気量300Whで、その大きさは233mm(幅)×226mm(奥行)×226mm(高さ)である。バッテリ容量1500mAhを持つスマートフォンなら20回充電できる容量だとしている。出力は5.0V、最大1.2Aで1次電池になる。

(2016/03/08)

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