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半導体事業の成長性の認識が高まる、データ社会をけん引

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最近になって、半導体産業の成長性が見直されている。火を付けたのは米国のバイデン大統領だ。半導体チップを手にしながらその重要性を説いた演説を行い、即Intelが200億ドルの投資で米国に2工場を新設すると発表した。この1週間、半導体投資が活発に行われた。クルマのEV化においても鴻海が部品各社に呼びかけ、1200社のサプライチェーンを揃えた。

Intelの200億ドル投資に関してはすでにセミコンポータルでも報じたが(参考資料1)、200億ドルの投資はほんの序の口。米国および欧州でファウンドリ事業も開始するほか、外部の独立系ファウンドリ(例えばTSMCなど)も利用する。そして、2.5D/3D実装となるタイル方式(AMDはチップレットと呼ぶ)を導入して高集積の専用ICに対応する。

3月29日の日本経済新聞は「オピニオン」というコラムで、ソフトウエアやアルゴリズムだけでは、今後の暮らしや経済を進化させられないとして、半導体なしではソサイエティ5.0もデータ駆動型経済も絵に描いた餅に終わる、とした。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)や国内のAIベンチャーであるプリファード・ネットワークスも独自のAIチップを作っていることを紹介し(もちろんセミコンポータルでは数年前に紹介している)、かつてエネルギーをけん引したオイルに代わり、データ社会をけん引する半導体が主役になることを言及している。

半導体設計を手掛けるデザインハウスを持つ凸版印刷が、静岡大学発の半導体スタートアップの「ブルックマンテクノロジ」を買収、子会社化した、と26日の日経産業新聞が伝えた。ブルックマンはイメージセンサ技術を得意とするベンチャーで、その技術はToF(Time of Flight)法によって、物体との距離を測り、さらに3次元的にスキャンするとLidar(光検出測距)イメージングも可能にする。凸版はLSI設計が得意であり、Lidarと組み合わせて画像認識AIチップとセットで提供できるようになる。

キオクシアは、岩手県の北上工場増設に備え、キオクシア岩手の製造棟の北西部に土地を買収、工場拡張を予定している。これを受け、岩手県と北上市が現在の北上工業団地(127ヘクタール)をさらに16.7ヘクタールに拡張、新たな浄水場を整備して工業用水を確保する、と25日の日経産業が報じた。

こういった半導体デバイスが活発化することを受け、製造装置や材料も投資を活発にすることを明らかにしている。東京エレクトロンは山梨工場に110億円をかけて開発棟を建設すると発表した。半導体需要の拡大を見込み、開発体制を強化する。9月に着工し、2023年春の完成を予定している。

JSRは4年間の中期計画を発表、ArF向けとEUV向けのフォトレジストの生産能力を増強するとしており、半導体材料を強化する。全社的に、半導体の「デジタルソリューション事業」と「ライフサイエンス事業」を成長戦略の中核に据えている。

25日の日経には、ダイフクの下代博社長インタビューが掲載された。同社は、利益率の悪い搬送機器のコスト構造を見直し、デジタルトランスフォーメーションを使って、製品の設計から生産、工事までのコスト削減を図る。クリーンルーム事業の低コスト化によって利益率を改善する。

GAFAMをはじめとするITサービス業者がクルマ、特に電気自動車(EV)を製造する可能性を信じて、EMS(電子機器製造専門請負サービス)の鴻海精密工業はEV製造に必要な部品や部材のサプライチェーンを創るため、1200社以上のサプライヤーが応じた、と26日の日経が報じた。AppleのiPhoneなどのスマホを生産してきた鴻海は、スマホと同様にクルマも生産できる体制を着々と築いている。日本からもモーターの日本電産や、通信モジュールの村田製作所、通信キャリアのNTTなどが名乗りを上げている。海外からは車載半導体のInfineonやクラウド大手のAWSやMicrosoftなども加わったとしている。

単なるEMSサービスだけではなく、GoogleのAndroidのようにプラットフォームサービスにも展開する。最近のクルマはバッテリパックを床一面に敷き詰めるプラットフォーム方式をとっているが(参考資料23)、これと同様のビジネスモデルを指向しており、「アンドロイドカー」を作る計画もある。アンドロイドカーのプラットフォームMIHの仕様を鴻海が準備しており、これをデファクトスタンダードにしようとしている。このプラットフォームの上に車体を被せることでEVベンチャーでも独自デザインのクルマを販売できる。クルマ製造では安全第一の考えが前提にあるため、自動車ビジネスの経験を持つ人間をEV事業のCEOに置いた。EVはモジュール化がますます進むことになりそうだ。


参考資料
1. Intelの200億ドル投資は、製造力強化の序の口 (2021/03/25)
2. EV化でますます進むクルマのモジュール化 (2021/03/29)
3. EVで大きく変わる自動車システムと備える半導体 (2021/03/17)

(2020/03/29)

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