2桁成長したNANDフラッシュのランキングをTrendForceが発表

図1　2021年第2四半期におけるNANDフラッシュメモリの販売額　出典： TrendForce

このランキングを発表したのは台湾の市場調査会社TrendForce（参考資料2）。四半期比では、10.8%増となりNANDフラッシュにようやく勢いが見えてきた。2020年全体でのNANDフラッシュ市場は、足踏み状態であったが、2021年第1四半期（1Q）は前四半期比5.1%増、今回の2021年2Qは同10.8%増と勢いを増してきた（図2）。

図2　NAND市場は2021年第2四半期に前四半期比10.8%、と2桁成長（単位は百万ドル）　出典：TrendForceのデータをセミコンポータルがまとめた

2020年の4Qには、華為科技への出荷が止まり、前四半期比でマイナス成長だった。特にキオクシアは前四半期比-11.4%と大きく落ち込み、華為への出荷停止時期とリンクしている。これに対してSamsungは-3.4%、Western Digitalは-2.1%、SK Hynixは-0.2%に留まっており、その他のメーカーはプラス成長であったから、キオクシアの一人負けとなっていた（参考資料3）。

TrendForceは今回の回復の動きを、データセンターでの企業向けSSDの在庫調整が終わり、調達を再開したからだと見ている。IntelとAMDがデータセンター向けのプロセッサ最新版を出荷、同時にSSDの容量に4/8TB（Terabytes）を採用したためにNANDフラッシュの出荷数量が上がったという。ビット需要は前四半期比9%成長であるから、単価も少し上昇し始めている。

次の3Qに対して、データセンターが大容量SSDの調達を確保するため、やはりNANDフラッシュのドライバーとなるとTrendForceは見ている。また、単価が値上がり傾向を見せているが、ノートPC需要はフラットが続いているため、急に大きく伸びるほどではなさそうだ。

Samsungはビット出荷が前四半期比8%成長したが、パソコンと企業向けSSDの需要が効いている。ASP（平均単価）は前四半期比5%値上げしたため、売上額は同12.5%成長し2位のキオクシアとの差を広げた。

キオクシアは、ノートパソコンと企業向けSSDで潤った。スマートフォン分野の顧客が再びNANDフラッシュの調達を増やしたため、同8.5%成長となった。ビット出荷量は前四半期比で7%成長したが、買収したLiteonの SSD部門の業績や為替レートの影響が出たため売上額が大きく伸びなかったとTrendForceは見ている。

キオクシアと同じ工場でNANDフラッシュを製造しているWestern Digitalは、企業向けSSDの売上額が同39%増と好調で、ノートPCや第2世代のNVMe仕様のSSDなどが堅調で、同11.2%増の売上額になった。

SK Hynixは、ビット出荷を前四半期比で3%しか伸ばせなかったが、ASPを同8%値上げしたことによって売上額は同10.8%増加した。スマートフォンのストレージがSKの強みで、ノートPC需要も取り込めたとしている。

MicronもデータセンターとノートPCの需要が強く、ビット出荷は7%伸びた。特にQLC（4ビット/セル）方式のSSDがPC分野で大きく伸ばしたという。またSSD市場の不足によってASPは同3%値上がりし、売上額は同9.8%増となった。

参考資料
1. 「2020年2QのNANDフラッシュは前四半期比6%増、キオクシアは3%減に」、セミコンポータル (2020/09/01)
2. "NAND Flash Revenue for 2Q21 Rises by 10.8% QoQ Due to Strong Notebook Demand and Procurements for Data Centers, Says TrendForce", プレスリリース、 (2021/08/26)
3. 「NANDフラッシュの世界ランキング、キオクシアは大打撃受けるも2位を維持」、セミコンポータル (2021/03/04)