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スマホの出荷台数がPCの5倍に成長した2015年

スマートフォンの出荷量が鈍化しているという向きもあるが、2015年は前年比14.4%増の14億2390万台になった。パソコンが8%減の2億8874万台だったから、スマホの出荷台数はパソコンのほぼ5倍となった。これは米調査会社のGartnerが発表したもの(参考資料1)。

図1 2015年のスマホの出荷台数とシェア 出典:Gartnerの発表した数字を元にセミコンポータルが加工

図1 2015年のスマホの出荷台数とシェア 出典:Gartnerの発表した数字を元にセミコンポータルが加工


スマホ市場はもう期待できないという声がアナリストの間から聞こえてくるが、実際には2015年に14.4%も成長していた。もちろん、従来の数十%という驚異的な数字ではないが、今の時代に2桁成長は極めて大きい。

Gartnerはパソコンの世界出荷台数についても発表しているが(参考資料2)、その数字は2014年が3億1368万台で、2015年には8%減の2億8874万台に下がった。2013年2月のMWC(Mobile World Congress)の基調講演において、当時QualcommのCEOだったPaul Jacobs氏が「2012年のスマホの出荷台数がパソコンのそれの2倍になった。スマホはもう、コンピューティングのプラットフォームになったと言ってよい」と語っていた(参考資料3)。スマホはこれまでの間、着実に成長してきた。2012年がパソコンの2倍で、2013年が3倍、2014年は4倍、2015年は5倍で推移してきた、これらの数字は同氏の言葉を裏付けている。

現実に、例えばインターネット広告は新聞や雑誌、放送など既存メディアの広告をとっくに抜いているが、インターネット広告の中でもパソコンのブラウザをベースにした広告がスマホをベースにしたモバイル広告に抜かれた、という調査も米国では出ている。ネット社会の中でもスマホの勢いは非常に強いといえよう。

日本はどうか。2015年第4四半期のスマホの出荷量の伸びは前年同期比9.7%増に下がっている。確かに直近は鈍化している。だからといってスマホの未来が暗くなるかとは結論付けられない。総務省の平成26年度情報通信白書(参考資料4)によると、日本のスマホ普及率は、米国、英国、フランス、韓国、シンガポールという先進国の中で最低の53.5%に留まっている。反面、ガラケー(フィーチャーフォン)の普及率は28.7%とこれらの国の中で最も高い。パソコンやタブレットに関しても同様で、共にこの先進国の中の最低の保有率になっている。総じて、日本は情報機器の後進国なのかもしれない。だからこそ、日本だけでスマホの未来を議論しても全体が見えなくなる恐れがある。

参考資料
1. Gartner Says Worldwide Smartphone Sales Grew 9.7 Percent in Fourth Quarter of 2015 (2016/02/18)
2. Gartner Says Worldwide PC Shipments Declined 8.3 Percent in Fourth Quarter of 2015 (2016/01/12)
3. IoTよりもむしろInternet of Everything、クアルコムのジェイコブズ氏が強調 (2013/03/04)
4. 平成26年度情報通信白書、総務省編

(2016/02/26)
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