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IoTよりむしろInternet of Everything、クアルコムのジェイコブス氏が強調

携帯電話、スマートフォンなどの通信ネットワークに関する世界最大の展示会といわれるMobile World Congressが2月25日から開催され、初日の基調講演において、世界3位の半導体メーカーに成長したクアルコムのPaul Jacobs氏が講演した。昨年同社はチップで何ができるかの例として、ARやヘルスケア、教育などへの応用を話したが、今年はスマホがもっと身近になることを述べた。

図1 QualcommのCEO兼会長のPaul Jacobs氏

図1 QualcommのCEO兼会長のPaul Jacobs氏


同氏は、モバイル技術を「Enabling Technology in many industries」と定義している。モバイル(スマホ)はあらゆる産業で、これまで不可能なことを可能にする技術であると述べた。スマホは生まれながらに移動可能であり(Born Mobile)、常時インターネットに接続された(Always-on)デバイスである。若い世代はもはやBorn mobileである。この技術を全てのモノに生かすことによって、Internet of Everythingを実現すると語る。これまでは、IoT(Internet of Things)という言い方が一般的だったが、同氏は全て(everything)とさらに強調した。2020年には240億台のデバイスがインターネットにつながるという。

ジェイコブス氏は、「スマホは2012年にパソコンの2倍の台数を出荷した。今やスマホがコンピューティングのプラットフォームになっている」と述べた。だからスマホをさまざまな応用に使うことがこれからの成長を開くことになる。幼児教育用にセサミストリートのワークショップのスクリーン上で音楽のコンセプトを作るとか、健康管理にテレヘルス技術を使って病死を45%減らすことなどに使えるとする。また、タブレットは教室だけでなくどこにいても勉強できる。

同社は、Digital 6 Senseすなわち、人間の第6感に相当する機能をデジタルで表現するというデバイスの実験にも取り組んでいる。例えば、5本指の手袋(指先は外に出ている)に指の動きを検知するセンサ、アルゴリズム、発信器を組み込み、実験している。人間は5本指でモノを検知(センス)し、さらにモノの感触をデジタルでデバイスに伝えて音楽を奏で、楽曲をダウンロードすることができるというものだ。指が楽曲を覚えて、デジタル的にメモリに記憶させている。だから「デジタルシックスセンス」と呼んでいる。
 
クアルコムは現在の携帯の接続性を改善するための試みも展開している。例えばAllJoynという新しいピアツーピアを実現するための仕組みを提案している。これは従来の通信ネットワークだと、近くにいる友達にデータを送る場合、いったん通信ネットワーク公衆網に上げた後に友達に向かってデータを下ろしているが、直接送る方が通信トラフィックに負担をかけないで済む。クアルコムはAllJoynをオープンソースのソフトウエアフレームワークとして作り、SDK(ソフトウエア開発キット)として提供している。

ヘルスケア関係にも力を入れている。今年はAmerican Heart Association(AHA)と共同で心臓病撲滅のため活動していると述べた。米国内での病死の最も多い原因は心臓病だという。基調講演では、AHA CEOのナンシー・ブラウン氏も話しており、心臓病による死亡を2020年までに20%削減する戦略だ。AHAはこのため、Heart 360と呼ぶキャンペーンを展開し、血圧や体温、血糖値などの健康データを測定し、病院へ送り、正しい情報を元に早期治療ができるようにするための活動に取り組んでいる。ヘルスケアデバイスをクアルコムが提供している。ブラウン氏は、テクノロジーのおかげでセンサや半導体が健康状態を測定できるようになったという。今後、グローバルにも活動する。特に発展途上国の健康管理に応用し、医者に診てもらえずに死ぬ割合を2025年までに25%減らす計画だとしている。

端末ではスマホやタブレットの新しさはもはや少ないが、この携帯業界にはこれまで縁の薄かった企業がMWCに続々出展している。インテル、オラクル、SAPといったパソコン用の半導体チップメーカー、企業向けソフトウエアメーカー、製造系のソフトウエアメーカーなどの大企業から、小さなソフトウエア企業やモジュール企業なども参入している。まるで、みんなが携帯に参入する「Everyone Go Mobile」といった状況だ。今回は特に、「Go Mobile」あるいは「Go Wireless」という標語が目立った。

(2013/03/04)
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