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Infineon、パワー半導体でもプラットフォーム戦略、リード拡大へ

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Infineon Technologiesは、パワー半導体においても顧客が差別化できるソリューションを提供するプラットフォーム「iMOTION」の詳細を明らかにした。パワー半導体で世界シェアトップのInfineonは、パワーエレクトロニクスの顧客の要望を熟知しており、システムの小型・高集積化・カスタム化に対応するもの。

図1 Infineon Technologies社Industrial Power Control部門プレジデントのPeter Wawer氏

図1 Infineon Technologies社Industrial Power Control部門プレジデントのPeter Wawer氏


プラットフォーム戦略はVLSIでは当たり前になりつつあるが、パワー半導体にも適用しているメーカーはInfineonが最初だ。このほど来日した同社Industrial Power Control (IPC) 部門のプレジデントであるPeter Wawer氏(図1)は、パワーICもデジタルやアナログICと同様、高集積化に向かっているが、それは顧客の要望に従うものだとしている。iMOTIONは、モータ制御向けソリューションであるが、ここにハードウエアもソフトウエアも搭載することでカスタム化を低コストで対応しようとするコンセプトである(図2)。


iMOTION Scalable integration of HW and SW

図2 iMOTIONはソフトとハードの集積(コントローラ)から、コントローラとゲートドライバとの集積、さらにパワー半導体までの集積も選べる 出典:Infineon Technologies


パワー半導体という分野は、IGBTやSiC、GaNなどのディスクリートトランジスタが注目されるが、ユーザーはトランジスタだけに注目しているわけではない。パワーシステムそのものの小型・高機能・低コスト化に注目しているのだ。このためパワートランジスタを動かすドライバ、そのドライバを動かすコントローラ(マイコンなど)まで見ながらシステムを最適化することが小型・高機能・低コストを達成するカギとなる。例えば、トランジスタだけを見ていればSiC MOSFETはいつまでたってもSiのIGBTよりもいまだに10倍も高い。だから使われない、とあきらめるのではなく、システムあるいはサブシステム全体で見れば、トランジスタの価格が高くてもシステム全体が安くなれば良い。そのためにはシステムを熟知している必要がある。Infineonの強みはここにある。

Infineonのモータ制御ソリューションiMOTIONの考え方は、顧客ごとにカスタマイズしたチップセットを提供するわけだが、チップ1個が高くてもシステム全体のコストが安くなるようにチップの集積度を上げる。これは図3にみられるように、InfineonがこれまでディスクリートのIGBT+Di(ダイオード)のような従来の低集積IC(図3左)から、コントローラを搭載しながらもパワーICとは分離されたサブシステム(図3中)、さらにIGBT+コントローラを1パッケージに集積したサブシステム(図3右)へと高集積化の方向に向かってきた。


IPC's digital control strategy enables customers to shrink their system

図3 IPMではIGBT+Di(左)、コントローラは別チップだが小型化(中)、iMOTION Smart IPMはパワートランジスタも集積 出典:Infineon Technologies


iMOTIONは、モータ制御専用エンジン(MCE 2.0)と高集積ICを用いることで、カスタム化に対応するというコンセプトだ。MCE 2.0は汎用マイコンとは異なり、モータ制御に必要な機能を予め集積しているため、ソフトウエア開発の手間を削減できる。MCE 2.0には永久磁石モータのセンサレス磁界方向制御(FOC)のアルゴリズムを搭載しているため、広い範囲の速度に渡り高信頼でスムーズが動作を可能にしている。さらに高集積ICは外付け部品を削減し、プリント基板のスペースを広げる。この結果、システムコストを削減できると共に、市場に出す期間を短縮できる。

Wawer氏は、SiC MOSFETについても言及し、InfineonはSiCダイオードでは先行したが、MOSFETでは後発組。しかし、性能の優れたトレンチ構造のMOSFETで最初から製品化するため、遅れはさほど感じないとしている。SiCの応用分野はソーラー用のインバータ分野であり、損失とコスト、高い周波数によってインダクタやコイルをSiのIGBTよりも小型にできるため、システムコストではむしろ、安くなるとみている。加えて小型・軽量になるため、パワーシステムにとって、設置のしやすさや、倉庫でのフォークリフト不要などのロジスティクスのコストメリットもある。

SiCのクルマへの応用では、Siと比べそれほど大きなメリットはない。鉄道の車両ではエアコンの電源は20%も小型にできるためメリットが大きいとしている。また無停電電源(UPS)でもIGBTよりもSiCの方メリットは大きいため、使われているという。風力発電には現在IGBTが使われているが、ここでは周波数が低くてすむため、SiCのメリットは少ないので、使われないだろうとみている。

参考資料
1. 新製品の数で勝負する電子部品商社Mouser (2015/10/14)

(2018/07/05)

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