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英Toumazのヘルスケア半導体チップ、米国の病院で効果を実証

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患者の心拍数、呼吸、体温を常に測定するヘルスケアチップが米国の病院で早期治療や早期退院などに効果を上げている。英国のファブレス半導体のToumaz社が開発した低消費電力のヘルスケアチップSensiumVitalsを病院で使い、その有効性を実証したとToumazが発表した。

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図1 Toumazのワイヤレスプラスター 心拍数・呼吸・体温を測り無線でデータを送る
出典:IMEC 2010


このSensiumVitalsが米FDA(Food and Drug Administration:日本の厚生労働省に相当)の認可を得たのは2011年7月。その後、カリフォルニア州サンタモニカのセイントジョンズヘルスセンターにおいて、患者にこのワイヤレスプラスターを装着し、常時、心拍数と呼吸、体温を測定した。このワイヤレスプラスターは、圧力センサや温度センサなどの信号を受け取りA-D変換し、マイコンでデータを管理、無線でデータを医師や看護師のスマートフォンに送るという役割を果たす(参考資料1)。

病院ではこれまで医師による病棟回診していない間に病状が急変するという危険があった。しかし、このワイヤレスモニターを常時装着・常時測定していれば、回診自体が不要であり、いつでも病変に対応できる。これによって早期治療に着手でき、高価な集中治療室に入る必要もないとしている。加えて、入院期間が短縮され、入院費が大幅に削減したという。別のグループがSensiumVitalsがコスト削減にどれだけ貢献したのかを調査しており、その解析によると、この病院で平均6日間入院期間が短縮し、1回の入院費用が9004ドル節約できた。

ToumazのCEOであるAnthony Sethill氏は、「今回のパイロット研究が成功したことで、SensiumVitalsを一般内科外科病棟に使えばもっとコストを節約できる」と述べている。セイントジョンズの最高看護責任者(Chief nursing officer)であるDawna Hendel氏は、「このデバイスを使えばスタッフは患者の病変をいち早く知ることができ有効な手だてが打てます。何よりも4時間おきあるいは6時間おきに回診する必要がないため、早期の変化を見つけることができます」と補足する。しかも、SensiumVitalsワイヤレスプラスターは使い捨てなので、清潔だ。

Toumazは、低消費電力ワイヤレス半導体ソリューションでグローバルリーダーを目指している。2012年8月にはデジタルラジオ/インターネットラジオのメーカーであるFrontier Siliconを買収した。この結果、Toumazグループの2012年の売り上げは前年の230万ポンドから880万ポンドへと急増した。Sethill CEOはヘルスケアと民生のワイヤレス半導体ソリューションを提供する戦略を強力に推し進めていくとしている。これからのチップは、デジタルラジオとワイヤレスヘルスケアチップ、IoT(Internet of Things)へのコネクティビティをコアとして、それぞれをさらに進化させていくと述べている。

参考資料
1. 特集:英国株式会社(6) 医療用半導体信号処理の大学発ベンチャー(2008/03/26)
2. Silicon South West newsletter 2013.06.04
3. Toumazホームページ

(2013/06/05)

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