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通信トラフィックの増加に対処するキャリヤ3社3様の戦略を経営陣が講演

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iPadやiPhoneなどの普及によってインターネットを通るデータのトラフィック量はあまりにも膨大になり、米AT&Tが2010年6月にiPhoneの定額制を廃止したことは記憶に新しい。通信キャリヤにとって頭の痛いトラフィックの増加を、日本の3大キャリヤがそれぞれ独自の方法で対処する。ワイヤレスジャパン2010の基調講演において、各社の経営陣が講演した。

141枚の77インチプラズマパネルで世界のトラフィックをAT&Tが監視・予測

141枚の77インチプラズマパネルで世界のトラフィックをAT&Tが監視・予測


AT&Tは米国ニュージャージー州において構築したGNOC(グローバルネットワークオペレーションズセンター)と呼ぶ、世界中のトラフィック量を管理する巨大なシステムを昨年紹介したが、このGNOCでは77インチのプラズマディスプレイを141枚並べて、世界中の同社のトラフィック量を管理すると同時に予測もできる。AT&Tはこのような巨大なシステムからトラフィックの予測を立て、定額制を廃止したと思われる。

代表取締役社長の山田隆持氏率いるNTTドコモは2010年12月から、いち早くLTE(long term evolution)を導入し高速化に対処する。これにより、ダウンリンク75Mbpsという高速にデータをダウンロードできるようになる。このために2010年の投資額は350億円に膨らみ、当初の3年間で3000億円規模の投資を想定していると述べた。どうせ投資するのなら、ということでHSPAはスキップする模様だ。

NTTドコモはこれによってスマートフォンを夏モデル3機種、冬モデル7機種と拡大していく。2010年度の目標を100万台においている。さらに、携帯にはWi-Fi機能も付けることを考えており、Wi-Fi経由でのインターネット接続によっても3Gトラフィックの混雑解消を図るつもりだ。

一方、LTEには遅延が少ないという特長もあるとして、LTEを使う場合には携帯端末とネットワークとのコラボレーションをやりたいとする。例えば、端末での処理に時間がかかるような応用では、端末側で処理せずにクラウドを通してデータをセンターのコンピュータに送り、そこで高速に処理し、即座に送り返すという応用である。例えば、音声の翻訳、通訳などのサービスは、こういったクラウドコンピュータで行うことが望ましいとする。

KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長は、投資金額があまりにも大きなLTEの実用化時期を早めるのではなく、CDMA20001x EVDO Rev.Aのマルチキャリヤ化によりデータレートを上げる、家庭のような小さな単位の無線基地であるフェムトセル方式にする、一斉配信のMediaFLO(メディアフロー)放送などの方式をとる。LTEは2012年からにするとしている。

もう一つのフェムトセル方式は、ピコ(10の-12乗)の1000分の1という単位のフェムトという言葉を使い、各家庭に1台配置して家庭内のiPhoneやiPadなどのスマートフォン端末とのやり取りをフェムトセルのネットワークで行う。これによって無線を3Gネットワークに直接送るのではなく、固定のブロードバンドネットワークからやり取りするため、ワイヤレスのトラフィックには全く関係しない。無線のブロードバンドは光ファイバを決して代替するものではない、と小野寺氏は強調する。

MediaFLOはテレビなどの放送ではなく、コンテンツの一斉配信だという。IPデータキャストやストリーミングクリップなど、コンテンツを一斉配信することで、通信トラフィックの増加解消を狙う。また、放送という観点からはJ:COMとの提携によって有料放送サービスも視野に入れており、さらにフェムトセルのバックボーンにはJ:COMのケーブルを使いたいとしている。

ソフトバンクの代表取締役副社長の松本徹三氏は、通信キャリヤとはいえ、単なる「つなぎ屋」にはなりたくないとして、強いコンテンツや強いハードウエア商品を持ちたいという気持ちは強い。インターネットの主力はPCからケータイへと流れているからだ。松本副社長は、ミクシーを利用するユーザーはいまやパソコンから携帯電話に移ったという。

当面はHSPAで十分だとして、高額の投資が必要なLTEは2014年でも通信全体の1%にも満たないという資料を見せ、2014年になってもやはりメインはWCDMA/HSPAという予測を示した。

増加するトラフィックに対処するため、Wi-Fiにも力を入れるとする。Wi-Fiを固定の有線とモバイルの両方式に使えるようにやはりフェムトセル方式にも注目している。Wi-Fiはやがてエアコンのようにどこにでも設置されるようになると見ており、ソフトバンクはWi-Fiを備えたコーヒーショップやカラオケショップなどを今以上に広げていく。

これからのビジネスモデルとして、パソコン(特にグーグルのような)の広告モデルと携帯電話の月々の支払いモデルを組み合わせるような2つのビジネスモデルを統合させることが望ましいとしている。元クアルコムジャパンの社長であった松本氏は、ビジネスモデルへの造詣が深く、さらに取引の仲介料など新たな収入の可能性も探るべきだと考えている。モバイルはSNSやツイッターに向いており、携帯機器の画面上に購買意欲をそそる商品を案内し、そのまま購入させるというビジネスモデルだと、クレジットカードではなく月々の支払いで購入するという受け入れやすいモデルになる。

(2010/07/14)

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