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IEDM 2021、1nmノード技術ではバルクの電源レールを検討

2021年12月11日(土)のチュートリアルから始まるIEEE主催IEDM(International Electron Device Meeting)の講演概要が固まった。基調講演は12月13日(月)午前中の3件で、各Samsung、Facebook、IBMから発表される。開催はいつものサンフランシスコのヒルトンホテルだが、オンラインとのハイブリッドである。

図1 IEDM 2021が開催されるサンフランシスコの街 撮影筆者

図1 IEDM 2021が開催されるサンフランシスコの街 撮影筆者


今回の基調講演は3件。SamsungのK. Kim氏による「The Smallest Engine Transforming Humanity: The Past, Present, and Future(人類を変える最小のエンジン:過去・現在・未来)」と、FacebookのM. Abash氏の「Creating the Future: Augmented Reality, the next Human-Machine Interface(未来を創造する:AR、次世代のHMI)」、そしてIBMチューリッヒ研究所のH. Riel氏による「Quantum Computing Technology(量子コンピュータ技術)」である。バラエティに富んだトピックスが並んでいる。もっともわかりにくいのがSamsungの講演タイトルで、イメージしにくい。しかも概要は公表されていない。

IEDMで定着したフォーカスセッションは、最近急に注目されている技術(Emerging Technologies)について招待講演が設けられているセッションである。次のセッションが今年のフォーカスセッション;
・セッション3:先端ロジック技術;デバイス、回路、チップのスタック技術−設計、製造、メトロロジーの問題と機会
・セッション14:エマージングデバイスとコンピュータ技術;量子コンピュータのデバイス技術
・セッション25:メモリ技術/先進ロジック技術;メモリ中心コンピュータ技術のSTCOと3D集積
・セッション35:センサ、MEMS、バイオ/光エレクトロニクス、ディスプレイ、イメージング;VR技術とスマートセンサ
・セッション38:エマージングデバイスとコンピュータ技術/光エレクトロニクス、ディスプレイ、イメージング;トポロジカル材料、デバイス、システム

一般講演では、1nm〜2nm技術として、バルクに電源レールを配置し、信号線とレイヤーを別にするBPR(埋め込み電源ライン:Buried Power Rail)に関して、ベルギーimecやASMが、ビア-BPRメタル間、W(タングステン)のBPRスタックによる配線抵抗の低減、WコンタクトとFETのソース/ドレインコンタクト抵抗の調整と平行なW-BPR配線、Mo(モリブデン)BPRの導入など、BPRのさまざまな検討について講演する(22.5)。さらに、imecチームはCadenceやブリュッセル大学と組み、2nmノードにおける裏面配線を利用するLSIを提案し、その配線を使ったSRAMマクロとロジックの設計についても述べる(22.4)。

5nm未満のノードでは3D-ICやチップレットが活躍するようになり、ファブレスのQualcommも深く関わってくる(22.3)。同社はモノリシック2次元(M2D)チップの設計に関してヘテロプロセッサチップやチップレットの集積や、パーティショニングに関して今後必須になるとアブストラクトに記述している。これからはM2Dと3D-ICの集積などシステム性能の最適化が重要になるとしている。

量子アニーリングに使われるIsingモデルは、半導体メモリの形で表現できるが、ITRIと台湾国立大学が開発したインメモリアニーリングユニット(IMAU)チップは、巡回セールスマン問題を2000 TOPS/Wという高い電力効率の性能で計算したという発表を行う(21.3)。

一般講演は、従来のメモリやロジックに関する発表も多く、例えばメモリは韓国勢が多い。変わったところでは、IntelがGaNとSi CMOS回路との集積において、GaN FinFETを試作、最大動作周波数fTが300GHz、fmax400GHzという高周波性能を持つことを示す(11.1)。

IEDMの一般講演は盛りだくさんだ。RAMベースのAIチップなどインメモリコンピューティング技術のチップやデバイスも増えている。

(2021/10/28)
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