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「日本発のLSIが日本と世界にもたらす価値に関する調査研究」
財団法人機械振興協会 経済研究所

株式会社セミコンダクタポータル(委託) 2009年3月発行


日本半導体産業は、国内外に渉る企業・事業の再編が喫緊課題となり、海外勢と同様に厳しい状況にある。しかし、異常な競争環境であるからこそ、人材蓄積を活かした、日本発LSIが世界に挑戦する好機でもある。

セミコンダクタポータルは(財)機械振興協会経済研究所から委託された本調査では、日本の半導体産業がロジックLSIにおける競争力・再編問題をなお抱える中、いかに世界市場を狙って、システムやセットの基幹性能を規定する日本発の枢要デバイスを打ち出し、世界やアジアに対していかなる価値をもたらし得るか、広義のシステムLSIに焦点を絞り、日本の半導体産業のシステムLSI事業を概観し、次にLSIのアプリケーションを探り、分野毎の課題や好機を分析した。

実施内容
まず、日本のシステムLSIの現状、課題と今後の流れについては、世界のロジックLSI市場、企業分析、地域分析、価格競争力、チップコストシミュレーション、OEM半導体消費動向などについて、特定関心事項に関連した資料を発注、購入して調査分析を進めた。他方、ロジックLSIメーカ、日本が世界をリードする、あるいはリードすると期待される半導体の応用の中から、次世代自動車用LSI、リハビリテーション・介護福祉機器、高品質高機能携帯端末、サービスロボット、三次元画像・立体TVの分野の学識経験者等16名からなる委員会を設置し、4回の委員会を開催して、課題抽出、対策提案、具体的方策について議論を仰いだ。
最終的には資料に基づいた分析と、委員会での議論や提案に基づき、受託者におけるチームが分析、整理し、報告書にとりまとめた。

成果
(1)調査研究により明らかになったこと
DRAMからの撤退後、日系半導体メーカはシステムLSIに注力し、その中心となったのがASICである。ASICでは日本は世界市場の60%近くを占める。しかし、2007年〜2012年にかけて4.4%の平均年成長率が期待されるASSPでは、世界市場の13.8%のシェアのみを有するだけで、欧米メーカが圧倒的に優位である。


Logic IC


グローバルデファクトとなるASSPシステムLSIが実現できない、世界トップクラスのセットメーカに主流として採用されるようなチップをあまり実現できていないという点が、日本のシステムLSI事業の決定的弱点である。
この問題を、応用分野における日本の競争力から分析した。
携帯電話端末、PC、など、LSIを最も大量に使う分野で、日系セットメーカが世界的にみて圧倒的劣位であり、日系LSIメーカもまた、これらの分野で弱い。
一方、AV機器、ゲーム機、自動車など、日系セットメーカが、世界トップクラスに位置する分野である。ここでは、日系LSIメーカの地位は、そうでない前記分野よりは強い。つまり、セットメーカの世界的地位は、当該地域のLSIメーカの競争力に重大な影響を与えると見なさねばならない。
本報告書では、日本がリードすると期待しうる、半導体の応用分野を抽出して、その応用分野における振興政策の提言を試みた。議論したのは、
1)次世代自動車用LSIに求められる、世界トップクラス水準の通信・画像処理・システム制御・センサ技術やソフトのチップ化による自動車の製品競争力強化
2)脳科学の進展とトップレベルのロボット工学を結びつけることによるリハビリテーション・介護福祉機器、
3)高品質高機能の端末へのニーズと連携したケイタイの水平分業化・オープン化の潮流、
4)コミュニケーションロボットや介護ロボットを中心に数兆円規模市場が期待されるサービスロボット、
5)多視点映像処理専用のASICやASSP、高密度ダイオードアレイや演算コアを持ったLSIや超高速空間光変調器などのデバイスを必要とする三次元画像・立体TV
などであり、振興策とともに日本で開花していくアプリケーション分野は大きな可能性を秘めており、これらの分野への産業施策が期待される。
但し、一方で、LSI産業にとって必要なことは、アプリケーション振興策の中から好機を敏感に察し、食らいついてアプリケーションに組み込まれるようなLSIを開発していくプロアクティブな取り組みである。チップ側での取り組みについて、車載チップ等の特定アプリケーションに関し、LSI側からのソリューション提案が検討されている中、実際にはユーザー側からの情報開示が得られにくい等、障害も多く、政府等第三者の介入が有効なことも示唆した。

(2)調査研究結果による効果
日本の将来の半導体産業の強化を考える際、グローバル市場に通用する応用分野での積極的な展開が必至である。このことを念頭におきながらも、半導体の応用分野における日本の強みを明確化することで、その分野における日本の半導体メーカのポジションを維持することが一方では必要である。明確化した分野における日本の競争力維持を政策提言したことの効果は大きい。
他方、日本の半導体メーカが国際競争力の低い商品分野、設計力、マーケティング力を明確化し、事業戦略展開を図ることを示唆することによって、今後のグローバル展開への指標とした。

今後の検討課題
日本の半導体産業の強化策を検討するにあたり、応用分野との関係から分析と対策を検討したが、日系セットメーカであれLSIメーカであれ、グローバルデファクトにいたる「技術」を開発するよりも、むしろ、グローバルデファクトへと導く「事業の転がし方」を掌握しているかという課題がある。その意味では、セットもLSIも、強い分野と弱い分野がどういう特質の違いを持ち、どういう経緯で強弱がついたのか深い分析が必要となる。また、マイクロプロセッサのように、技術開発には参画しながらも事業展開ができなかったということもありうる。これは内在的な重大問題と思われるが、分析も対策も容易ならざる「質的」問題であるため、今回は調査の対象範疇には入れなかったが、技術強化とともにマーケティング強化策への展開が望まれる。

フルレポートは
財団法人機械振興協会経済研究所の下記URLにて入手可能
http://www.eri.jspmi.or.jp/

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