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MRAMを軸に成長の機会を探る、2nd CIES Tech Forum

「東日本大震災からの復興とは、元に戻すことだけにとどまらない。次への成長を期待できる仕組みを作ることだ」。このような思いを胸に、東北大学は「2nd CIES Technology Forum」3月17〜18日、仙台で開催する。東北大学が進めているスピントロニクス利用のMRAMとその応用を中心とするテーマで、2日間に渡る。

図1 昨年、東京で開催されたCIES Technology Symposiumの様子 出典:東北大学

図1 昨年、東京で開催されたCIES Technology Symposiumの様子 出典:東北大学


今回が第2回となり、第1回は東京で開催された。第2回を仙台で開催する理由は復興という思いがある。さらに、「復興に大学が積極的に関与したいという想いもある」、と本大会の広報部門を務める、東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター 戦略企画部門教授の大嶋洋一氏は述べる。宮城県内の中小企業の持つ優れた技術や技能と、半導体産業が結びついていない部分がある。このため、大学がその中を取り持つ形を採ろうとしている。

大会の初日は、国際シンポジウムとして全て招待講演となっている。元SEMATECHで現在ZeissのRaj Jammy氏は、「デバイスの世界に必要とされるスマート社会と技術革新」と題して講演する。SamsungからはJunho Jeong氏が「MJTのパターニングプロセスの開発状況と、スピントロニクスデバイスを成功させるための汎用の後処理プロセス」について述べる。GlobalFoundriesのDavid Eggleton氏の講演は「eMRAM:技術から応用まで」である。

午後からはSTT-MRAMを中心に技術について、東京エレクトロンのChang-Man Park氏と東北大学の大野英男教授がそれぞれ講演する。午後の後半は、MRAMの応用に関する講演が続く。クルマ用半導体のトップメーカーであるルネサステレクトロニクス、ティア1の部品サプライヤのケイヒン、車載に力を入れているパナソニックの3社の講演がある。MRAMの最も有望な市場は、カーエレクトロニクスであるから、デバイス技術とその応用の講演は面白そうだ。

2日目は、東北大学のCIES(Center for Innovative Integrated Electronic Systems)が進めている産学共同研究や、文部科学省傘下のJST、経済産業省傘下のNEDO、内閣府が進めているImPACTのそれぞれのプロジェクトからの半導体技術の講演がずらりと並んでいる。STT-MRAMだけではなく不揮発性RAMベースのVLSIプロセッサ、組み込みセキュリティ、GaNデバイス、磁気センサなどの講演もあり、盛りだくさんとなっている。

最後に、CIESの研究所に設置された300mmウェーハラインを見学できるツアーコースにも参加できる。MRAM特有の磁界を利用する測定法に関する状況についても公開するとしている。

文字通り、産官学共同作業を通じて、技術とビジネスのギャップを埋める方向に持っていきたいとしている。また、宮城県は半導体に力を入れている県であるが、MRAMに関してまとまった情報を得る機会は少ないため、このテクノロジーフォーラムを通じて、成長のチャンスを捉えてほしいと東北大学は考えている。

(2016/02/29)

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