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7月半導体販売高/SPIフォーラムから/グローバル雑学王-9

世界半導体販売高、今年1月から7月までの累計は前年比5%増の伸びとなっているとともに、300-mmウェーハが初めて比率が最大に、すなわちcrossoverが見られたとのこと。グローバルな拡大、シフト傾向という市場の様相の一方、支える技術基盤は大きな節目を越えて堅調な進展ぶりを示していると思う。

≪7月半導体販売高≫

米SIAからの世界半導体販売高の月次発表、この7月について以下の内容である。上半期が前年比5.4%増、1月から7月の累計で同5%増ということで、このあたりの伸びでの推移が当面見込まれる情勢ということと思う。

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○7月の半導体販売高、前年比7.6%増…9月2日付けSIAプレスリリース

7月の世界半導体販売高が$22.2 billionで、2007年7月の販売高$20.6 billionから7.6%伸び、前月6月の$21.6 billionからは2.8%伸びている。今年始めから7月までの累積販売高は$148.3 billionとなり、2007年同期間の$141.3 billionから5%の増加である。

「半導体需要の約80%を占めるconsumer electronics、パソコンおよび携帯電話の販売高の伸びが、世界microchip販売高の前年比7.6%増という健全な伸びに貢献している。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「LCD TV台数は今年32%の増加、そしてdigital set top boxesおよびdigital still camerasはともに約20%の増加が見込まれている。約13%のパソコン台数の伸びおよび10%以上の携帯電話の伸びを考慮して、米国における力強い3.3%の第二四半期GDPの伸び、そして世界市場における力強さの持続という恩恵が得られている。」とScalise氏は続ける。

「今年の第二四半期について、300-mmが初めて、ウェーハ製造capacityおよび実際に処理されたウェーハの最大比率を占めるという大きなcrossoverが見られ、全体capacityの44%および処理されたシリコン全体の47%となっている。」とScalise氏は特に言及している。「全体のcapacity稼働率は89%と依然高く、最先端は95%を越えている。」とScalise氏は言う。

DRAMsおよびNANDフラッシュメモリの販売高は、価格低下が止まらない結果として引き続き減少している、とSIAは報告している。「メモリ製品を除く半導体販売高全体は、前年比で11.6%、前月比で3.2%、それぞれ増えている。」とScalise氏は言う。「代表的なパソコンおよび携帯電話のメモリ使用量は引き続き増えている。Micron Technologyによると、2008年の平均的なパソコンのDRAMビット使用量は56%ほど増える一方、平均的な携帯電話のNANDフラッシュ使用量は178%増えていく。」とScalise氏は結んでいる。

※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/gsr_0807.pdf
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半導体業界の年表で振り返ると、ウェーハ関係、次の通りである(SEAJ ポケットブックから)。
 ・・・
 ・200-mmウェーハの量産開始               …1992年
 ・300-mmウェーハ向け装置や搬送系の仕様・運用まとまる  …1997年
 ・・・
 これに以下が加わることになる。
 ・300-mmウェーハ比率が最大に(crossover)         …2008年
  

≪SPIフォーラムから≫

株式会社セミコンダクタポータルのセミナー「グローバル化をどうすすめるか」の前半を聴講、否が応にも半導体市場のグローバルな拡大、シフト傾向が急激に進む中、基本的な課題としてのグローバル化に結果が十分についていっていない現状認識から始まっている。

株式会社 ルネサス テクノロジ、伊藤 会長 & CEOによる
「半導体産業の構造変化とルネサスのグローバルビジネス展開」
から、半導体市場動向の変化についての見方について、以下の受け取りである。

・半導体市場:急成長産業から成長産業へ
 1971−1988年  CAGR 24%   〜$50B規模に
 1989−2000年  CAGR 13%   $50B〜$200B規模
 2001−2010年  CAGR 4%   〜$300B規模へ
・半導体市場の牽引役が、日米欧から中国を中心とするアジアへ
         CAGR (2004−2010年)
     全体    6.3%
     米国    4.1%
     欧州    3.1%
     日本    4.1%
     アジア   9.5%
 2010年にはアジアが半分に
・新興国の占める市場比率:
     1995年   2010年
 PC    10%    40%
 携帯電話       54%
・アジア半導体市場の構造(2007年)
 日米欧メーカー トランスファー需要(日米欧ほぼ3分の内訳) …半分超
 ローカルメーカー需要                  …残り
・トランスファーマーケット …グローバルに一体化された市場
・トランスファーとローカルが混在するアジア市場:
 プレミアム品   →自前で
 ボリューム品   →ODM
・開発・設計コストの拡大 →ハードウェア、ソフトウェアとも精選されたものを大量に供給できること。
 Winnerとして、Mediatek、Qualcomm。
・従来: ハイエンド→ローエンド市場へ、Learning Curveに沿った技術&市場の展開
 今後: Learning Curve、コストダウンプロセスの移行感覚がなくなり、ハイエンドとローエンド市場が同時発生
      一桁低い価格帯のものにいきなり最先端プロセス適用。携帯電話で最も顕著に。
・10倍以上の価格差が同時発生する二極化市場、サプライチェーンも複雑化。
 セットメーカーに向かう内訳: 
 半導体メーカーから                約5割
 EMS(Electronics Manufacturing Services)から    約3割
 ODM(Original Design Manufacture)から       約2割
・機器市場でのファウンドリー化 →ODMの伸び
・EMS、ODMの半導体需要は2010年には市場全体の約4割に。 

古くは白物家電、この10年くらいのパソコンを例として思い出すが、委託先の仕様に従って製造し納品するOEMから、さらに進化して設計から製造まで手がけるODM(相手先ブランドによる設計・製造)が、半導体市場サプライチェーンで比率を高めてきている、という受け止めである。 


≪グローバル雑学王-9≫

今回も『常識の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 196)から、グローバルになかなか均一にいかない常識の数々を。もっとも以下の内容はごく一般的な傾向であり、どの程度当てはまるかはあるかと思う。それを大きな前提として、こういうこともあろうかという一種の教訓という受け取ることと思う。

○古い常識から新しい常識へ
・時間の守り方:
 エジプトで有名なアラビア語のIBM 
  →インシャアッラー(神の思し召しのままに)
    ボクラ(明日)
    マーリッシ(気にしない)
    ⇒こう言って約束を破ることを皮肉ったもの
      イスラエルでも同じ、「明日」と言われたら「来週」、「来週」なら「来月」、「来月」なら「半年先」くらいの感覚でいなければ身がもたない。
・食卓の文化:
 スペインやフランスでは、食事の時間を大切にして、最低でも二時間。
 エジプトなどのように、外国人に対してある程度寛容な国は別にして、ほとんどのイスラーム圏はアルコールなしの食事。
 ハンガリーやカナダなどでは、食事の場では仕事の話を嫌う。
 アメリカやイギリスでは、Breakfast Meetingというビジネス朝食。
 オランダ人は食事も重要なビジネスの場と考えているが、他人の勘定までは払わない。
・人を採用する場合:
 海外では日本式の履歴書の提出を求めてはならない。面接して、仕事の能力を見極める目を鍛えるか、信頼できる知人のつてに頼るほかはない。
・ドイツ人相手のビジネス:
 客観的な評価に耐えるデータ、具体的な数字を取り揃えておくこと。
・「割り勘」について:
 韓国の辞書にはこの単語はない。一番の年長者が支払うのが当たり前。
 Dutch treat, Dutch lunch, Dutch party, 意訳すればすべて「割り勘」。オランダ人にしてみれば、貸し借りのない関係を保つための習慣。
・イギリス人の衣裳哲学
 背広のボタンは必ず留めなくてはならない。
 ズボンは、ベルトよりサスペンダーで吊る方がよい。
 ズボンの裾があがっても、すね毛が見えないようにすること。
・もとはと言えば:
 トレンチコートの肩飾り →かっては肩章をつけるためのもの
 ボタンダウンのシャツ  →ポロ競技のときに、襟がひらひらするのを抑えるためのもの
・ある種のネクタイのデザインは、特定の集団を象徴
 →特にイギリスではしない方がいいストライプのネクタイ
・ひげと立派な体格を重んじる中東のアラブ諸国
・アメリカ人は、体型にはこだわるが、ヨーロッパ人ほど伝統的な服装にこだわらない。
・米国大リーグでの日本の野球とは違う常識
 せこいプレー(チープ・プレー)の軽蔑
 しなくてはならないのは乱闘に参加すること、味方を見捨てるな!

我が身をもって実感、検証しないと言えることではないかもしれないが、いくつかは思い当たることも事実。さて、我々はどう見られているか、それぞのお国の『常識の世界地図』を見て、襟を正していかなければという気持ちになってくる。

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