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新技術&新製品の取り組み関連:Apple Silicon、TSMC、AMD-Xilinx

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜12日時点、世界全体で4億5426万人に達し、7日前から1124万人増である。金曜11日での新規感染7日移動平均の前週比が、我が国で15%減、世界では7.5%増となっている。コロナ、侵攻のインパクトの覆いの渦中、春の雰囲気が着実に高まってきて、半導体の世界でも今後の有望な新技術&新製品の展開に目を奪われてくる。アップルが、5G対応の廉価版スマホ「iPhone SE」、新PC「Mac Studio」を発表、独自開発の新たな半導体「M1 Ultra」はじめ半導体の重みの一段の高まりを感じさせている。3-nm半導体対応の前倒しが見られるTSMC、そしてXilinxを買収したばかりのAMDの積極的&多彩な取り組みに注目している。

≪中核としての存在感≫

アップルの新製品発表を翌日に控える時点での、何が出てくるか、推定の記事である。

◇Apple M2 chip just leaked ahead of Apple event - what you need to know-Report: Apple tests custom M2 chip, meant for multiple Macs -The M2 chip reveal could be imminent and find a home in multiple Macs (3月7日付け Tom's Guide)
→次の大きなAppleイベントは明日3月8日に開催、新しいApple Siliconの打ち上げが見られるかもしれないと考える十分な理由がある旨。Appleが現在該イベントに先立って新しいM2チップをテストしているという報道を考えると、それは今ではさらに可能性が高いように見える旨。
BloombergのMark Gurman氏の‘Power on’ newsletterによると、“developer source”がアップルが現在新しい半導体をテストしていることを同氏に知らせたとしている旨。

そして、発表当日、矢継ぎ早の報道で混乱しがちになるが、何があらわれたか、落ち着いた時点での記事からまず。

◇Appleが新PC「Mac Studio」、半導体「M1 Ultra」搭載 (3月9日付け 日経 電子版 05:22)
→米アップルは8日、デスクトップ型パソコンの新機種「Mac Studio」を18日に発売すると発表、独自開発した新たな半導体「M1 Ultra」を搭載し、消費電力を抑えながら高い処理能力を実現する旨。パソコンで映像作品や音楽をつくる場面が増えており、制作現場での需要を取り込む旨。

◇Apple「iPhone SE」発表、5G対応、5万7800円から (3月9日付け 日経 電子版 07:15)
→米アップルは8日、廉価版スマートフォン「iPhone SE」の新製品を発表、最先端の機種と同じ半導体を搭載し、高速通信規格「5G」に対応させた旨。価格は429ドル(日本は税込み5万7800円)から。性能を高めた値ごろな機種の投入で買い替えを促し、新興国市場の開拓にもつなげる旨。

発表直後の記事を、半導体「M1 Ultra」搭載の新PC「Mac Studio」、および廉価版スマホ「iPhone SE」を念頭の理解に以下示していく。

◇Apple upgrades low-end iPhone SE with 5G, and high-end Mac Studio computer with faster chip-Opinion: Apple's M1 Ultra chip is the star of new products (3月8日付け Reuters)
→Appleが火曜8日に発売新製品を数多く発表、Apple Siliconの最新のカスタムIC設計である同社のM1 Ultra microchipをベースに2つのM1 Max半導体を組み合わせたMac Studioコンピュータなどの旨。「Appleは、自社の半導体capabilitiesのポートフォリオを拡大して、手頃な価格のiPhone SEから最も強力な製品であるMac Studioまで、より豊富な機器の幅広いセットを動かしている。」と、Counterpoint ResearchのNeil Shah氏。

半導体「M1 Ultra」主体の記事が以下続いていく。アップル社史上最も強力な半導体としてM1 ProとともにM1 Maxが登場したのが昨年、2021年の10月であるが、そのM1 Max半導体を2個、シリコンインターポーザを通して接続するUltraFusion技術を採用とのこと。AMD Ryzenデスクトッププロセッサとのトランジスタ数比較でも、その規模の改めての認識である。

◇Apple's M1 Ultra tapes two M1 Max chips together-"UltraFusion" allows two M1 Max processors to work together on big workloads. (3月8日付け Ars Technica)

◇Apple、パーソナルコンピュータ向けとして世界で最もパワフルなチップのM1 Ultraを発表−まったく新しいMac Studioで利用できるM1 Ultraは、デスクトップにかつてないパフォーマンスをもたらす (3月8日付け apple.com/jp/)
→Appleが本日、AppleシリコンとMacにとって次の大きな飛躍となるM1 Ultraを発表。かつてないレベルのパフォーマンスと能力を持つSoCを作り出すために、2つのM1 Maxチップのダイを相互接続するAppleの革新的な実装アーキテクチャー、UltraFusionを搭載したM1 Ultraは、業界をリードするワット当たりの性能を維持しながら、新しいMac Studioに息をのむような演算能力をする。

◇Apple's New M1 Ultra Packs a Revolutionary GPU (3月9日付け Extreme Tech)
→昨日発表されたAppleの新しいM1 Ultra SoCは、真のブレークスルーのよう。該新M1 Ultraは2つのM1 Max半導体から作られ、これまで市場に出回っていない新しいGPU統合アプローチを備えている旨。該SoCには2つのGPU(M1 Maxごとに1つ)が含まれているが、Apple M1 Ultraで実行されているゲームとアプリケーションには単一のGPUに見える旨。

◇Appleの新CPU「M1 Ultra」はSiインターポーザ技術で実現 (3月9日付け セミコンポータル 産業分析)
→Appleが独自のCPU「M1 Max」を2チップ搭載した新型SoC「M1 Ultra」を開発したと発表した。このSoCにはM1 Maxの2倍となる1140億個のトランジスタが集積されており、消費電力当たりの性能を高めている。AppleのパソコンMacに使うことを想定しているため、グラフィック性能が高い。
M1 Ultraは、M1 Maxチップを2個、シリコンインターポーザを通して接続しており、同社はUltraFusion技術と呼んでいる。これにより1万を超える信号をチップ間で接続し、2.5TB/秒という超高速のバンド幅でチップ間をデータ転送している。・・・・・

◇Apple's M1 Ultra Shows the Future of Computer Chips-Packaging chip elements together cleverly extends progress even as chipmakers struggle to maintain the pace of Moore's Law. (3月10日付け CNET)
→プロセッサビジネスがどこに向かっているのかを垣間見たい場合は、Appleの新しいM1 Ultraプロセッサをチェックいただきたく。2つのM1 Max半導体を組み合わせることにより、AppleのM1 Ultraは、20個の処理コアと64個のグラフィックスコアを構成する驚異的な114 billion個のトランジスタを提供する旨。比較すると、AMD Ryzenデスクトッププロセッサはその10分の1の数のトランジスタを使用の旨。

半導体「M1 Ultra」については、TSMCとアップルの緊密な関係が以下にあらわれている。

◇TSMC, Unimicron to offer production solutions for Apple M1 Ultra-TSMC produces Apple's M1 Ultra SoC (3月10日付け DIGITIMES)
→AppleのM1 Ultra system-on-a-chip(SoC)デバイスは、Appleが開発し、5-nanometerプロセスで製造しているTSMCが取り入れたUltraFusion実装アーキテクチャーを利用している旨。昨年、AppleはTSMCのウェーハ総売上げの約26%を占め、TSMCに$14.3 billionの売上げをもたらしている旨。

◇Apple orders account for 26% of TSMC 2021 revenue (3月10日付け DIGITIMES)

廉価版スマホ「iPhone SE」関連の記事が以下の通りである。半導体による性能向上とともに量産効果が謳われている。

◇Budget iPhone expected-POSITIVE ESTIMATES: An improved camera and a faster processor arelikely part of the first update in two years, as Apple is said to be looking at first-time iPhone buyers (3月8日付け Taipei Times)

◇Apple's budget 5G iPhone SE expected to outperform in Asia (3月9日付け CNBC)
→*AppleのPeek Performance Eventにて、CEO、Tim Cook氏が、$429から始まる5G互換機器を、新しいiPad Air, Mac Studio computerおよびStudio Displayモニターとともに発表の旨。
 *アナリストは、特にAppleの他のiPhoneのいくつかが高すぎると見なされている発展途上国では、該budget iPhoneが特に売れると予想している旨。

◇Apple、iPhone SEを刷新 存在感増す「黒子」半導体 (3月9日付け 日経 電子版 11:12)
→米アップルがハードウエア端末への独自半導体の搭載を加速させている旨。8日には廉価版スマートフォン「iPhone SE」にも最先端品を搭載すると発表。デスクトップ型パソコンの新商品「Mac Studio」向けには最上位の専用品を開発した旨。性能向上に加え、省電力化や量産効果でコスト引き下げを狙う旨。「黒子」の半導体が競争力の切り札となっている旨。

◇iPhone SEは2度売れる、Apple、国内スマホ首位固め (3月10日付け 日経 電子版 02:00)
→米アップルがスマートフォン「iPhone」で約2年ぶりとなる廉価版「SE」の新製品を発売する旨。数年に1度発売されるSEは、発売から1年たってシェア首位に返り咲いたこともある人気製品。毎年秋に発売する通常版で価格上昇が続くため、古い端末を使い続けて安価なSEの新型を待っていたユーザも多い旨。既存ユーザの買い替えを促すとともに、約半分の国内シェアをさらに高める原動力になりそう。

◇アップル、自社半導体で低コスト化、iPhone、5G仕様でも400ドル台 (3月10日付け 日経)
→米アップルがハードウエア端末への独自半導体の搭載を加速させている旨。8日には廉価版スマートフォン「iPhone SE」にも最先端品を搭載すると発表。デスクトップ型パソコンの新商品「Mac Studio」向けには最上位の専用品を開発した旨。性能向上に加え、省電力化や量産効果でコスト引き下げを狙う旨。「黒子」の半導体が競争力の切り札となっている旨。
「Peek Performance」(日本語訳は「最高峰を解禁」)と題し、アップルが8日に開いた2022年最初の新製品発表イベント。主役は「アップルシリコン」と総称する独自設計の半導体だった旨。

次に、量産を控える3-nanometerについて、TSMCもSamsungも、歩留まりの問題含みのくだりがある記事を、2回前、2週間前の本欄で示しているが、TSMCからは、歩留まりは良好に推移、生産計画も約1四半期前倒しとの以下の内容が見られている。

◇TSMC Exceeds 3nm Yield Expectations & Production Can Start Sooner Than Planned (3月4日付け WCCF TECH INC.)
→TSMCが、次世代半導体製造技術の優れた歩留まりを報告している旨。 N3eと呼ばれるこの技術は、TSMCのN3ノードの最初のiterationをアップグレードしたものであり、いくつかのトランジスタ寸法を3-nanometerまで縮小する期待の旨。本日のレポートは、Morgan Stanleyの好意により提供され、"Production yield of N3e is higher than expected; reiterate OW"と題する最新リサーチレポートをリリース、Twitterで共有している旨。

◇TSMC's N3E Will Reportedly Enter Production Ahead of Schedule-Report: TSMC updates schedule for N3E process node production -But do not expect many 3 nm designs shortly. (3月4日付け Tom's Hardware)
→Morgan Stanleyのレポートによると、TSMCがN3E製造技術の生産スケジュールを約1四半期繰り上げている旨。この動きにより、多数の3nm設計の利用可能性が早まるが、それら多くがまもなく利用可能とは期待されない旨。

最先端とともに事業規模の拡大をさらに図るTSMCの関連の動きである。

◇TSMC joins Intel-led chiplet alliance as founding member (3月4日付け Focus Taiwan)
→世界最大のcontract半導体メーカー、TSMCが、インテルが主導する業界コンソーシアム、Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)を共同設立するために協力する主要プレイヤーの1つになっている旨。

◇TSMC to hire over 8,000 people for capacity expansion (3月7日付け Taipei Times)
→TSMCが、地元産業の積極的な能力拡大と熟練労働者獲得の激しい競争の中で、今年8,000人以上のworkers雇用を目指して、土曜5日に国立台湾大学での大規模な就職説明会に参加した旨。

◇TSMC plans price hike for 8-inch foundry services-Sources: TSMC to hike prices in Q3 for 8-inch foundry services (3月9日付け DIGITIMES)
→ICデザインハウス筋発。TSMCが、8インチのファウンドリサービスの10-20%の値上げを計画しており、該新価格は2022年の第三四半期から実施される旨。

この2月15日にFPGAのXilinxを買収したAMDであるが、一体となった早々の積極的な取り組みはじめ、最先端への一層の傾斜の動きが続いている。

◇AMD Allies with Ranovus on Data Center Photonics Module (3月6日付け EE Times)
→Ranovus社とその顧客であるAMD/Xilinxが、前者のOdin Analog Drive CPO 2.0と800Gで動作するXilinxのVersal ACAPを組み合わせたモジュールのデモを行った旨。

◇Major advance for co-packaged optics -Co-packaged optics tech to boost AI/ML platforms (3月7日付け New Electronics)
→Advanced Micro Devices(AMD)とRanovusが、artificial intelligence(AI)/machine learning(ML)ワークロード向けのOdin Analog Drive CPO 2.0プラットフォームの開発で協力の旨。 「このCPOのデモンストレーションは、長距離銅線からRanovus Analog-Drive CPO 2.0光学エンジンを直接駆動するまであらゆるものにわたって動作するVersal GTM SERDESの多様性を強調している。」とAMDのvice president, Adaptable and Embedded Computing Group、Dan Mansur氏(前Xilinx)。

◇AMD-Xilinx Debuts First Versal PCIe Accelerator Card-AMD-Xilinx launches a Versal PCIe accelerator card (3月8日付け EE Times)
→1.AMD-Xilinxが、Versal ACAP(adaptive compute acceleration platform) AI Core Seriesのメンバーに基づく最初のData Center Accelerator Cardを発表の旨。ACAPは、AMD-XilinxがFPGA技術ベースの最新SoCsラインを示すのに用いる名前。
 2.Xilinxを買収したばかりのAdvanced Micro Devices(AMD)が、artificial intelligence(AI)/machine learning(ML)、データ分析およびvideo transcodingなどのアプリケーション向けにXilinx VCK5000カードを発表、同社はまた、Ryzen Threadripper Pro 5000 WXシリーズ:OEMワークステーションでの使用を目的としたZen3プロセッサもお披露目の旨。

◇AMD Announces Ryzen Threadripper Pro 5000 WX-Series: Zen 3 For OEM Workstations (3月8日付け AnandTech)

◇AMD touts VCK5000 performance improvements, claims it TOPS Nvidia for AI workloads (3月9日付け FierceElectronics)
→AMDが、データセンターAI向けのVCK5000 Versal開発カードの性能が3倍向上したと主張、AIチップで達成できることを制限する“dark silicon”の問題を事実上排除したとしている旨。
 (注)dark silicon問題
 …半導体素子の集積度が上がるにしたがって生じる問題の一つ。消費電力が増えると発熱して、安定的に電力を供給できない領域が発生し、集積度に応じた性能を発揮できなくなるという問題。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□3月7日(月)

ウクライナ侵攻が激しさを増す中、ロシア制裁&排除に絡む動きが続いている。

◇キャッシュレスでもロシア排除、VISA・マスター決済停止 (日経 電子版 06:31)
→ロシアへの金融制裁の余波が一段と広がっている旨。米カード最大手のビザと2位のマスターカードは5日、ロシアでの業務を停止すると相次ぎ発表、日本のジェーシービー(JCB)も取引を縮小する旨。暗号資産(仮想通貨)の制限案も浮上し、キャッシュレス比率が7割に達するロシアの生活インフラへの打撃は大きい旨。

◇ロシア富裕層、小型機での出国相次ぐ、欧米の制裁強化で (日経 電子版 20:30)
→ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日の前後から、小型ジェット機によるロシア出国が相次いでいる旨。プーチン大統領を支えてきたオリガルヒ(新興財閥)など富裕層が、国内外の資産保全のために逃避した可能性がある旨。米欧はオリガルヒを対象にした制裁を通じ、プーチン政権の権力基盤の弱体化を狙う旨。

□3月8日(火)

◇Biden Bans Imports of Russian Oil, Natural Gas-US reportedly announcing ban on Russian oil imports today-The move could further boost gasoline prices as the Bidenadministration responds to the Ukraine invasion (The Wall Street Journal)
→Biden大統領が、ウクライナ侵攻でのロシア制裁に向けロシアからの石油などエネルギー源の輸入禁止を発表、米国のガソリン価格を記録的な水準に引き上げ、景気回復に圧力を加えている旨。

ウクライナの状況を受けて、原油相場急落の場面で上げた以外は1年ぶりの安値水準近傍で下げが続いた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落797ドル安、今年最大の下げ、1年ぶり安値 (日経 電子版 06:52)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比797ドル42セント(2.4%)安の3万2817ドル38セントで終えた旨。下落幅、下落率ともに今年最大で、昨年3月以来1年ぶりの安値。ロシアへの経済制裁に伴うエネルギー高が世界景気を冷やすとの懸念が広がった旨。ロシアとウクライナの3回目の停戦交渉の成果が乏しかったとされるのも投資家心理の重荷となった旨。

原油価格の波乱の推移が以下にあらわれている。

◇原油、供給不安で140ドル目前、世界需要の4%不足も (日経 電子版 08:35)
→原油価格の高騰が止まらない旨。米欧がロシア産原油の輸入禁止の検討に入り、世界供給が不足するとの懸念が台頭したため。日本時間の7日に原油の国際価格は約13年8カ月ぶりの高値を付けた旨。ロシアからの原油が途絶えれば世界需要の4%に相当する規模の不足に陥りかねない旨。インフレと景気停滞が併存し、世界経済の成長が減速するリスクが一段と高まっている旨。

□3月9日(水)

◇Oil prices fall most in 2 years as UAE supports output hike-Oil drops amid expectations Russian ban won't hurt supply (Reuters)
→Biden政権がロシアからの石油とガスの輸入を禁止したことで、火曜8日の石油価格が上昇した旨。しかし、投資家は該禁止が供給ショックを悪化させないかもしれないと考えている様相、ブレント原油の価格は今朝5%以上下がって1バレルあたり$121であった旨。

◇NYダウ続落、184ドル安、追加制裁による原油高警戒 (日経 電子版 07:33)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比184ドル74セント(0.6%)安の3万2632ドル64セントと昨年3月以来、1年ぶりの安値で終えた旨。バイデン米大統領が8日、ロシアからの石油や天然ガスの輸入を禁止すると発表、エネルギー需給が逼迫し、インフレが米景気を冷やすとの懸念が強まった旨。対ロ経済制裁がらみの悪材料がひとまず出尽くしたとみて大きく上げる場面もあり、不安定な値動きだった旨。

□3月10日(木)

◇NYダウ反発653ドル高、原油相場急落で買い直し (日経 電子版 07:03)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比653ドル61セント(2.0%)高の3万3286ドル25セントで終えた旨。米原油先物相場の大幅下落でインフレや景気減速への懸念が和らぎ、消費関連など幅広い銘柄が買い直された旨。ダウ平均は前日までの4営業日で1200ドル強下げたため、短期的な戻りを見込む買いも誘った旨。

米国での40年以上ぶりの消費者物価指数急上昇である。

◇Inflation rose 7.9% in February, as food and energy costs push prices to highest in more than 40 years-Inflation hit 4-decade high of 7.9% in Feb. (CNBC)
→米国労働省のデータ。2月の消費者物価指数が1年前から7.9%上昇、1982年1月以来最も速いペースでの上昇の旨。ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー価格が高騰し、食料や住宅の価格も急騰した旨。

□3月11日(金)

◇NYダウ反落、112ドル安、ウクライナ情勢・インフレ警戒 (日経 電子版 06:37)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比112ドル18セント(0.3%)安の3万3174ドル07セントで終えた旨。ロシアとウクライナの外相会談が目立った進展なく終え、投資家心理を冷やした旨。2月の米消費者物価指数(CPI)を受けてインフレ警戒が改めて強まり、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に売りが優勢となった旨。

□3月12日(土)

米国そしてG7協調と、ロシア締め出しが加速している。

◇ロシア産品に高関税、米大統領、G7協調でIMF融資停止 (日経 電子版 05:41)
→バイデン米大統領は11日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対して、主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)と協調して追加制裁に踏み切ると表明、米国はロシアからの輸入品に対して関税を大幅に引き上げるほか、G7としてロシアが国際通貨基金(IMF)や世界銀行からの借り入れをできないようにする旨。
一方、ロシア政府は10日、日米欧などを対象に通信機器や一部木材など200品目以上の輸出を2022年末まで禁じると発表しており、制裁の応酬が激しくなっている旨。

◇NYダウ続落229ドル安、「攻撃拡大」警戒で買い続かず (日経 電子版 06:39)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比229ドル88セント(0.7%)安の3万2944ドル19セントで終えた旨。ロシアとウクライナの対話が停戦に向け前進しているとの期待から買いが先行したが、ロシア軍の攻撃は拡大しているとの報道も出て買いは続かなかった旨。米消費者の景況感悪化も重荷となり、ダウ平均は午後に下げに転じた旨。引けにかけて下げ幅を拡大し、この日の最安値圏で終えた旨。


≪市場実態PickUp≫

【ロシアのウクライナ侵攻関連】

Samsung Electronicsの対ロシア製品出荷停止措置である。

◇Samsung Elec says shipments to Russia suspended, donating $6 mln in aid-Samsung suspends shipments to Russia, donates $6M (3月4日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが土曜5日、ロシアへの出荷は"現在の地政学的展開状況のために"停止されている旨。

◇Samsung suspends chip and cellphone shipments to Russia (3月7日付け Taipei Times)
→Samsung Electronics Coが、現在の地政学的状況展開のためにロシアへの製品出荷を停止、先週のウクライナ侵攻を受けて同国での販売とサービスを停止しているアップル社からマイクロソフト社までの増大する企業リストに加わった旨。

半導体の不足にさらに拍車との見方である。

◇Toshiba Concerned Chip Crisis May Deepen After Ukraine Invasion-Toshiba sees chip shortages continuing for another year (3月6日付け BNN Bloomberg (Canada))
→重要なコンポーネントにおけるサプライチェーンの課題は少なくとも12か月続き、ロシアのウクライナ侵攻による追加の影響が生じる可能性があると、東芝executive、Hiroyuki Sato氏。「金属などのさまざまな投入物の価格が上昇し始めてから1年、その傾向がいつ逆転するかはまだ見通せない。」とSato氏。

対ロシアの製品販売そしてロシア事業の停止、と大手各社の対応が急速に拡がっている。

◇Impact of Ban on Tech Sales to Russia Likely to Spread-Tech companies halt supplies to Russia. What's the impact? (3月8日付け EE Times)
→TSMC、アップルなどの企業が、ロシアのウクライナとの紛争が続いている間、ロシアの顧客への製品の販売を制限している旨。Gina Raimondo米国商務長官は、ロシアは"我々の制裁と輸出規制を回避するために、他の国々に確実に求めにいく"と述べている旨。

◇ソニー、ロシアでPS5など出荷停止…「プレイステーションストア」も (3月10日付け 讀賣新聞オンライン 13:08)
→ソニーグループでゲーム事業を手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は10日、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」やゲームソフトなどの出荷をロシアで停止するとともに、インターネット上でゲームソフトなどが購入できる「プレイステーションストア」の運営も停止したと発表した旨。

◇日立製作所、ロシア事業を停止、ウクライナ副首相が要請 (3月10日付け 日経 電子版 13:13)
→日立製作所は10日、ロシア事業を原則停止すると発表した。ロシアでは建設機械の生産・販売などを手掛けており、ウクライナ政府がロシア事業停止を要請していた旨。日本企業のロシア事業に対する経営判断は欧米に比べて遅れているが、日立の動きを受けて追随する企業が出てきそう。

◇ウクライナ侵攻の影響は 三菱電機、ロシア事業を停止 (3月10日付け 日経 電子版 17:41)
→日立製作所と三菱電機は10日、ロシア事業を原則停止すると発表、日本企業の間でもロシア事業を停止したり、縮小したりする動きが広がってきている旨。

我が国政府の半導体はじめ対ロ輸出禁止措置である。

◇日本、半導体の対ロ輸出禁止、ハイテク57品目、米欧と協調 (3月11日付け 日経)
→政府は18日から、ウクライナに侵攻したロシアに対するハイテク製品の輸出を原則禁止する旨。半導体や通信装置など57の物品や技術を対象とする旨。米欧と協調し、ロシアの軍事や造船、航空宇宙などの分野に打撃を与えることを狙う旨。

半導体関連生産へのインパクトについての見方である。

◇ウクライナ侵攻が半導体生産に影、原材料不足の懸念 (3月11日付け 日経 電子版 02:00)
→ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、世界の半導体生産のサプライチェーン(調達・供給網)を揺さぶっている旨。半導体生産に必要なレアガス(希ガス)やレアメタル(希少金属)など原材料の一部にロシアやウクライナへの依存度が高いものがあるため。長期化している世界的な半導体不足に拍車をかける新たな要因となりかねない旨。

◇Russia-Ukraine conflict causing raw material prices to skyrocket-Sources: Raw material prices rise in Russia-Ukraine conflict (3月11日付け DIGITIMES)
→業界筋発。プリント回路基板の製造に使用されるニッケルやその他の原材料の価格が、ロシアのウクライナ侵攻の結果として上昇していると考えられている旨。この状況は台湾を拠点とするPCB装置のメーカーに重くのしかかっている旨。

米国・SIAは、ロシア自体の半導体市場規模は非常に小さいとしている。

◇Russian chip makers face uncertainty as war drags on-Russian chip makers face uncertainty as war drags on-Sanctions work, who knew? (3月11日付け The Register)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は、ロシアへの半導体の輸出禁止が長期的に半導体市場に影響を与えるとは予想していないと述べた旨。SIAによると、ロシアは世界の半導体購入の0.1%弱止まり、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの数字を引用。

【米国政府の動き関連】

米国国内の半導体製造強化に向けて$52 billion割り当てが政府内で推進されているが、前工程主体でいいのか?組立&テストの後工程はやっていけるか、と繰り返される問題意識ではある。

◇Reshoring Chip Industry Risks Failure With Just More Fabs-More fabs in the US are good, but IC assembly/test needed (3月7日付け EE Times)
→1.米国は、IC産業を支えるために$52Bを割り当てる予定、しかし、長期的なゲームプランがない場合、そのお金が使われた後はどうなるか?
 2.米国議会がより多くの国内ウェーハ製造拠点のための連邦資金を推進している一方、米国はまた、IC組立&テストcontractorsの米国のエコシステムを構築する必要がある旨。「北米でIC基板を製造したことは一度もない。」と、global electronics association IPCのchief technologist、Matt Kelly氏。「これは持ち帰りの話ではない。」

本割り当て法案の最終可決が督促されている。

◇More than 140 U.S. lawmakers urge speedy action on chips funding-140+ lawmakers call for support US chip subsidies (3月8日付け Reuters)
→140人以上からなる超党派の米国議員グループが火曜8日、議会の指導者たちに半導体の製造と研究に対する政府の補助金$52 billionを承認するよう督促の旨。

Biden米国大統領が半導体の不足打開、supply chain強化に向けて業界はじめ関係者とWhite Houseでmeetingを開催、以下関連の内容である。

◇White House Meeting Highlights Need for Investments in Domestic Semiconductor Technology (3月9日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、米国の半導体製造、研究、およびサプライチェーンを強化するためのイニシアチブを推進する重要性について、ホワイトハウスでの本日の会議に関するSIAのPresident and CEO、John Neuffer氏からの声明をリリースの旨。該会議には、Biden大統領、知事、および半導体業界および半導体に依存する主要業界の上級管理職が参加した旨。

◇Biden Holds Talks with Global IT Giants, including Samsung Electronics-Biden talks with Samsung, Micron, other tech firms (3月10日付け KBS (Korea))
→Joe Biden米国大統領が、世界的な半導体不足とそれらをどのように軽減できるかについて、いくつかの企業のリーダーと話し合った旨。テキサスに別のウェーハ製造拠点を建設することを計画しているサムスン電子は、Cummins, Medtronic, HPおよびMicron Technologyのexecutivesとともに該会議に出席した旨。

◇Micron CEO says chip shortage improving, but could last into 2023-Micron CEO: Chip shortages are waning, but may spill into 2023 -A partnership between the U.S. government and the private sector would be key to the U.S. being a leader in the chip sector, Sanjay Mehrotra says (3月11日付け Fox Business)
→多くの業界にインパクトを与えている半導体の不足は来年に続く可能性、とMicron Technologyのpresident and CEO、Sanjay Mehrotra氏が木曜10日、FOX Businessに対し。同氏は、supply chainsおよび競合についてのBiden大統領とのWhite House meetingに出席した旨。

【サイバー攻撃関連】

ウクライナ侵攻の渦中、はたまたロシアか、それとも中国か、などサイバー攻撃の源の観測が流れる情勢は、もう1つの戦いの様相を感じさせている。半導体関連でも、GlobalWafers、Samsung、そしてNvidiaと、以下の通りの被害である。

◇Silicon Wafer Giant GlobalWafers Resumes Production Days After Hack Attack-Cyberattacks strike GlobalWafers production -Operations at its Japanese factory were suspended on Monday. (3月4日付け Tom's Hardware)
→GlobalWafers(台湾)の日本子会社が、サイバー攻撃により一時的に停止した後、シリコンウェーハの生産を再開している旨。日本の4つの工場は、同社の12インチシリコンウェーハ生産最大の旨。

◇Samsung confirms hackers stole Galaxy source code-Hackers secure 200GB of sensitive data from Samsung-The same group behind a recent Nvidia hack has claimed responsibility (3月7日付け The Verge)
→以前にNvidiaを攻撃したLapsus$ hacking organizationが、Samsungから約200ギガバイトの機密データを取得したとしている旨。Samsungはハッカーの身元を確認していないが、個々のの従業員や顧客のデータが盗まれていないことを保証している旨。

◇Samsung confirms data breach after hackers leak internal source code (3月7日付け TechCrunch)

◇Samsung says hackers breached company data and source code for Galaxy smartphones (3月7日付け CNBC)

◇Hack of Nvidia ‘A National Disaster’ (3月10日付け EE Times)
→ハッカーが、世界最大のGPUメーカー、Nvidiaからデータを盗み、そのデータの身代金を保持している旨。Washington D.C.の研究グループによると、まだ特定されていない"脅威アクター"が中国での同社の競争を助けている可能性がある旨。先週、Nvidiaはハッカーのグループに専有情報を失った旨。

【silicon photonics】

半導体微細加工技術を用いてシリコン基板上に発光素子や受光器、光変調器といった素子を集積する技術の研究と応用を追究する分野、silicon photonicsへの取り組みが、以下の通り見られてきている。

◇Marvell targets cloud data centers with silicon photonics platform-Marvell debuts silicon photonics for cloud data centers (3月4日付け EE Times)
→1.Marvell Technologyが、クラウドベースのサービスをサポートするデータセンターで使用するための400G DR4シリコンフォトニクスプラットフォームを発表の旨。「シリコンでできることは、標準的なシリコン業界のツールセットを活用すること。200-millimeterウェーハからこれらのものを構築でき、重要となるスケールが得られる。」と、Marvellのsenior VP and CTO of the optical and copper connectivity group、Radha Nagarajan氏。
 2.Marvell Technologyの最新のクラウド最適化400G DR4 silicon photonicsプラットフォームは、増大する帯域幅の需要に対応すると同時に、より低いコストとより優れた電力の提供を狙っている旨。

◇Cadence working with GlobalFoundries to advance photonics IC design (3月8日付け New Electronics)

◇GF announces next-gen silicon photonics solutions-Cadence, GF launch next-gen silicon photonics IC designs (3月8日付け DIGITIMES)
→Cadence Design Systemsが、GlobalFoundriesと協力、次世代のGF Fotonix silicon photonicsプラットフォームをサポートの旨。目標は、5G通信、hyperscale computingおよびinternet of things(IoT)などさまざまな応用向けsilicon photonics microchipsを開発することである旨。

◇GlobalFoundries' GF Fotonix meets increasing need for silicon photonics - Gold (3月10日付け FierceElectronics)
→今週発表されたGlobalFoundriesの新しいモノリシックGF Fotonix silicon photonics製造プラットフォームは、大規模半導体システム上の複数のボードとバックプレーン間の高速接続の必要性が高まっているときにやってきている、とJ. Gold Associatesのprincipalアナリスト、Jack Gold氏。

◇Ayar Labs announces additional traction for silicon photonics-Ayar Labs teams with Lumentum for silicon photonics tech (3月11日付け DIGITIMES)
→Ayar Labs(California)が、Lumentum(San Jose, CA)と協力、CW-WDM MSA(Continuous-Wave Wavelength Division Multiplexing Multi-Source Agreement)準拠の外部レーザー光源を開発の旨。「従来の銅配線に代わるパッケージ化された光ファイバーは、業界で広く認識されている大規模な新しい市場機会」と、Lumentumのsenior VP and GM of datacom、Walter Jankovic氏。

【東芝関連】

3社分割から2社分割に切り換える動きが見られたのが約1ヶ月前であるが、来たる3月24日の臨時株主総会で票決される運びの2社分割も、以下の通り反対する反応が見られている。

◇Opposition to Toshiba break-up grows as top shareholder, proxy firm speak out-Toshiba's breakup plan is opposed by outside parties (3月10日付け Reuters)
→東芝の大株主であるシンガポールを拠点とするEffissimo Capital Managementが、2つの会社に分割するという東芝の計画、3月24日の臨時株主総会で投票に託される動きに公然と反対している旨。顧問会社、Institutional Shareholder Servicesも、提案された分割計画に反対している旨。

◇U.S. advisory company opposes Toshiba divestment plan-Institutional Shareholder Services also asks investors to nixshareholder proposal (3月10日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇東芝分割計画、米議決権行使助言会社ISSが反対推奨 (3月10日付け 日経 電子版 12:59)
→東芝が24日に開く臨時株主総会を巡り、議決権行使助言会社の米Institutional Shareholder Services(ISS)が、会社が提案する分割計画の実施に関する議案について株主に反対を推奨したことがわかった旨。企業価値向上策の再検討などを求めるもう一つの株主提案についても反対を推奨した旨。

◇Major Toshiba shareholder Farallon calls on it to solicit buy-out offers-More opposition arises to Toshiba's proposed breakup plan (3月11日付け Reuters)
→東芝の株式を6%以上保有する米国のヘッジファンド、Farallon Capital Managementが、東芝を2社に分割するという東芝の提案に反対する株主に同調の旨。該ヘッジファンドは、東芝の問題を解決するために"民営化ソリューションが両方とも最も価値を最大化する代替手段である"と述べた旨。

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