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2021年販売高$555.9B史上最高:インテルおよびAMDそれぞれのM&A

新型コロナウイルスによる累計感染者数は木曜17日時点、世界全体で4億1773万人に達し、5日前から996万人増の見え方である。国内の新規感染はピークを越えつつあるが、減少率は海外に比べて鈍く依然課題山積である。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、2021年12月が$50.9 billionと増勢を維持して大台突破、そして2021年年間販売高が$555.9 billionと、これまでの最高、2018年の$468.8 Billionを大きく上回ってこれも$500 billion台半ばに一気に到達である。一方、M&Aの動きが続いており、AMDがXilinxの約$50 billion買収を完了、インテルがTower Semiconductor買収合意に近づいている。

≪不足の中での販売高大台突破≫

米国・SIAからの発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇世界の半導体販売高、出荷数量が、不足の中での業界の生産立ち上げで、2021年に史上最高に到達−業界は2021年に1.15兆個の半導体、総計$555.9 billionを販売し、ともに最高 …2月14日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2021年のグローバル半導体業界販売高が総計$555.9 billionと発表、史上最高の年間販売高であり、2020年の$440.4 billionに対し26.2%増。該業界は、2021年に最高となる1.15 trillion兆個の半導体を出荷、半導体各社がグローバルな半導体の不足の中、高い需要に対応、生産を立ち上げた。2021年12月のグローバル販売高が$50.9 billion、前年同月、2020年12月に対し28.3%増、前月、2021年11月に対し1.5%増。第四四半期販売高、$152.6 billionは、前年同期、2020年第四四半期から28.3%増、前四半期、2021年第三四半期から4.9%増。

月次販売高の数字はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「2021年において、グローバルな半導体の不足が続く中、半導体各社は高い需要にしっかり応えるべく空前の水準に生産を大きく立ち上げた。その結果、最高の半導体販売高および出荷数量となっている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「半導体生産の需要は、半導体が現在および将来の重要な技術にさらに深く組み込まれるようになるにつれて、今後数年間で大幅に増加する見通しである。より多くの半導体の生産と革新が長期的にアメリカにあることを確実にするために、米国政府は超党派の競争力法制化の一環として半導体の研究、設計、および製造へのCHIPS Actの投資に迅速に資金を提供しなければならない。そうすることで、アメリカの経済、国家安全保障、重要なインフラストラクチャ、サプライチェーン、および技術的リーダーシップが大幅に強化される。」

地域別では、Americas市場販売高が2021年最大の伸びで27.4%、中国が依然、27.1%増の販売高総計$192.5 billionで2021年の最大半導体市場であった。2021年の年間販売高は、Europe(27.3%), Asia Pacific/All Other(25.9%), およびJapan(19.8%)での増加した。2021年12月の販売高では、2021年11月に対して、Americas(5.2%), China(0.8%), Europe(0.3%), およびAsia Pacific/All Other(0.1%)と増加したが、Japan(-0.3%)では減少した。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Dec 2020
Nov 2021
Dec 2021
前年同月比
前月比
========
Americas
8.77
11.53
12.14
38.4
5.2
Europe
3.39
4.29
4.30
27.0
0.3
Japan
3.31
3.95
3.94
18.9
-0.3
China
13.28
17.02
17.16
29.2
0.8
Asia Pacific/All Other
10.88
13.31
13.32
22.4
0.1
$39.63 B
$50.09 B
$50.85 B
28.3 %
1.5 %

--------------------------------------
市場地域
7- 9月平均
10-12月平均
change
Americas
10.78
12.14
12.6
Europe
4.03
4.30
6.6
Japan
3.84
3.94
2.6
China
16.86
17.16
1.8
Asia Pacific/All Other
12.97
13.32
2.7
$48.48 B
$50.85 B
4.9 %

--------------------------------------

2021年ではいくつかの半導体製品分野が際立っている。自動車、consumer goods、およびコンピュータで一般に用いられる半導体のアナログが、年間伸長率33.1%で最高、2021年販売高が$74 billionに達している。ロジック(2021年販売高$154.8 billion)およびメモリ(同$153.8 billion)が、販売高で最大の半導体カテゴリーであった。ロジック製品の年間販売高が2020年に対し30.8%増の一方、メモリ製品販売高は同30.9%増であった。
microprocessors(MPUs)が含まれるカテゴリー、micro-ICsの販売高は、2021年$80.2 billionで15.1%増である。non-memory製品すべての販売高合わせて、2021年に24.5%増である。車載ICs販売高が、前年比34.3%増、最高の$26.4 billionとなっている。

※12月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2022/02/December-2021-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応、取り上げである。

◇Global Semiconductor Sales, Units Shipped Reach All-Time Highs in 2021 as Industry Ramps Up Production Amid Shortage (2月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global chip sales hit record in 2021, will grow 8.8% in 2022 -SIA-SIA: Global chip sales reached a record $556B in 2021 (2月14日付け Reuters)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)発。昨年、2021年の世界components販売高が$555.9 billion、2020年から26.2%増、年間販売高の最高をを更新の旨。SIAは、生産能力の拡大を考えると、microchipsの2022年の販売高は8.8%増加すると予測している旨。

◇Global semiconductor sales top half a trillion dollars for first time as chip production gets boost-Semiconductor sales hit record $555.9B worldwide in 2021 (2月15日付け CNBC)

関連して、中国および台湾に注目した見方があらわされている。

◇China has 16% of world wafer capacity-Knometa Research: 16% of global wafer capacity is in China (2月14日付け Electronics Weekly (UK))
→Knometa Research発。Global Wafer Capacityの最新2022年版では、中国が世界のICウェーハ製造に向けたcapacityの16%を占めている旨。

◇Chip sales hit record; Asia still has 70% of $556 billion market (2月15日付け FierceElectronics)
→米国・SIAによる公式カウント。中国が、2021年世界半導体売上げ全体、$556 billionの3分の1を上回る$192 billionに達し、中国と合わせたアジア諸国全部で全体の70%を占めた旨。

◇Taiwan's semiconductor output hit NT$4 trillion in 2021 for 1st time-Country seeing severe labor shortage in chipmaking as sales grow (2月17日付け Taiwan News)
→台湾の半導体業界からの生産高が、2021年にNT$4 trillion($143 billion)を上回り、史上最高を記録の旨。一方、台湾の半導体業界で人材が不足しており、地元の大学と協力して潜在的な従業員を養成している旨。

SIAの米国議会への半導体強化法案の通過促進を図る動きが、以下はじめ続けられている。

◇Broad Coalition of Business and Labor Groups Urges Congress to Fund CHIPS Act, Enact Strengthened FABS Act to Boost Domestic Semiconductor Research, Design, Manufacturing (2月16日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、他の20の技術、自動車、医療、防衛、その他のビジネスおよび労働団体の幅広い連合とともに、議会に対し書面で、CHIPS Actに向けた$52 billionの資金供給を直ちに施行、国内の半導体の研究、設計、製造を強化するためのFABS Act強化版を実施するよう要請した旨。この手紙の署名者は、アメリカ経済の主要セクターと数百万人の米国労働者を代表している旨。
米国下院が2月4日、America COMPETES Actの一環として、総額$52 billionのCHIPS Actへの投資を可決した旨。

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、2021年が現下の活況を維持してこれまで最高の2018年の年間販売高の更新となるかどうか、以下の販売高の推移の見方を続けてきたところである。先行き不安定性が漂う中、増勢基調を保てるかどうかに注目してきたが、2021年12月も$50.85 billionと増勢を保って$50 billion台に突入、年間販売高最高更新に至っている。この見方も、今回で一区切りであり、今後は2021年と対比しての見方となる。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %
2020年 5月 
$34.97 B
5.8 %
1.5 %
2020年 6月 
$34.53 B
5.1 %
-0.3 %
2020年 7月 
$35.20 B
4.9 %
2.1 %
2020年 8月 
$36.23 B
4.9 %
3.6 %
2020年 9月 
$37.86 B
5.8 %
4.5 %
2020年10月 
$39.03 B
6.0 %
3.1 %
2020年11月 
$39.41 B
7.0 %
1.1 %
2020年12月 
$39.16 B
8.3 %
-2.0 %
$435.56 B
 
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
 
→史上最高更新


次に、前回に続くM&Aの動きであるが、Nvidiaとの明暗対比で前回示したAMDが、FPGAベンダー、Xilinxの約$50 billionの大型買収を月曜14日に完了させている。AMDの宿命のライバル、インテルが、やはりFPGAベンダー、Alteraを約$16.7 billionで買収したのが2015年である。

◇AMD closes record chip industry deal with estimated $50 billion purchase of Xilinx-AMD completes $50B acquisition of Xilinx (2月14日付け Reuters)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、field-programable gate arrays(FPGAs)などコンポーネントの大手ベンダー、Xilinxの約$50 billion買収を完了の旨。「Xilinxは、業界をリードするFPGAs, adaptive SoCs, AI推論エンジンおよびソフトウェアノウハウを提示、AMDには業界での高性能およびadaptive computingソリューションの最強のportfolioが得られ、cloud, edge, およびintelligent機器を巡る約$135 billionの市場opportunityを捉えられる。」と、AMDのCEO、Lisa Su氏。

◇AMD Closes Xilinx Deal: First Products Expected in 2023 (2月14日付け Tom's Hardware)

◇Lisa Su named AMD chair after completing $49B acquisition of Xilinx (2月14日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→AMDが月曜14日、Xilinxの$49B買収を完了、Lisa Su氏がchairmanにも指名された旨。

そのインテルが、ファウンドリー事業の幅を拡げる強化に向けてイスラエルのTower Semiconductorの$5.4 billion買収を発表、TSMCへの対抗などあって業界各紙の取り上げが以下の通り続いている。

◇Tower Is Intel's Latest Acquisition Target (2月15日付け EE Times)
→Intelが、イスラエルを拠点とするファウンドリを買収、これにより、IntelのファブオペレーションがアナログIC市場に多様化し、地理的に拡大するのに役立つ旨。

◇Intel to acquire Tower Semi of Israel for $5.4B in specialty chip bid (2月15日付け FierceElectronics)

◇Intel to pay a hefty premium to buy Tower Semiconductor for $5.4B -Intel to buy Israeli specialty chip business for $5.4B (2月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel(Santa Clara)が、車、医療用センサおよびpower managementで用いられるアナログ半導体を販売するTower Semiconductor買収に向けて約60%のpremiumを支払いの旨。

◇Intel Agrees to $6 Billion Deal to Buy Tower Semiconductor-Intel agrees to acquire Tower, adding foundry capacity -U.S. semiconductor giant continues ambitious push to expand itsmanufacturing operations (2月15日付け The Wall Street Journal)
→Intelが、specialtyファウンドリ、Tower Semiconductorを約$5.4 billion in cashで買収、半導体製造の契約ビジネスに深く引き込む旨。 Towerの本社はイスラエルにあり、Intelにはそこにいくつかの拠点がある旨。 Towerは、イスラエルと日本に加えて、カリフォルニアとテキサスでウェーハ製造拠点を運営している旨。

◇Intel to acquire contract chipmaker Tower Semiconductor for $5.4B (2月15日付け VentureBeat)

◇Intel to buy Tower Semiconductor for $5.4 billion (2月15日付け CNBC)
→該取引により、インテルは、無線周波数や産業用センサなど、タワーセミコンダクターが取り組むspecialty技術におけるより強力な足場を築くことができる旨。

◇米インテル、イスラエル同業を60億ドルで買収へ=関係筋 (2月15日付け ロイター)
→米半導体大手、インテルは、イスラエルの同業、タワーセミコンダクターを約60億ドルで買収することで合意に近づいている旨。事情に詳しい関係筋が14日明らかにした旨。今週中に発表される可能性がある旨。インテルは半導体受託製造ビジネスの強化に力を入れている旨。

◇With Tower Acquisition, Intel Will Take Over Industry's Ninth Largest Pure-Play Foundry (2月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇インテル、同業買収、半導体製造のイスラエル社を6200億円で (2月16日付け 日経)
→半導体大手の米インテルは15日、イスラエルの半導体受託生産会社(ファウンドリー)、タワーセミコンダクターを54億ドル(約6200億円)で買収すると発表、アジア市場向けの半導体製造に強みをもつ同社を買収し、生産能力を増強して半導体需要の高まりに対応する旨。

◇Intel to buy Israel firm as part of plan to take on TSMC (2月17日付け Taipei Times)

この買収計画発表のすぐ後のTower Semiconductorの業績発表は、予想を上回る利益である。

◇Israel's Tower Semiconductor profit jumps amid pending sale to Intel-Tower Semi posts higher profit ahead of sale to Intel (2月17日付け Reuters)
→Tower Semiconductor(イスラエル)が木曜17日、予想を上回る四半期利益の上昇を発表、Intel社が同社を買収する計画を発表して数日後の旨。

インテルも、当面は最先端微細化半導体の製造をTSMCに頼る状況である。

◇Intel Will Rely on TSMC for its Rebound (2月18日付け EE Times)
→Intelが、売上げを伸ばし、最終的には製造規模と半導体プロセス技術の世界的リーダーとしての優位性を取り戻すために、かつてのライバルである台湾積体電路(TSMC)への依存度を高めている旨。TSMCが今年最新のプロセスを立ち上げる中、IntelはAppleに加わり、TSMCに世界初の3nm半導体を発注の旨。

半導体業界の製造面での景観推移に、引き続き注目するところである。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□2月15日(火)

ウクライナ情勢を受けて下げがほとんどの今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落171ドル安、ウクライナ情勢緊迫でリスク回避 (日経 電子版 06:37)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比171ドル89セント(0.5%)安の3万4566ドル17セントで終えた旨。ウクライナ情勢の緊迫化を警戒した売りが優勢だった旨。下げ幅は一時400ドルを超えたが、前週後半の2営業日で1000ドルあまり下げており、下値では押し目買いも入り下げ渋った旨。

我が国のコロナ禍の現状、ワクチン第3回接種も然り、米欧に後れをとるGDPの回復である。

◇GDP、コロナ前に1兆円弱届かず、回復力で米欧に見劣り (日経 電子版 11:30)
→日本経済は一進一退の状況が続いている旨。2021年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で5.4%増とプラス成長を確保したが、緊急事態宣言で消費が大きく落ち込んだ7〜9月期の反動という側面が大きい旨。米国やユーロ圏のGDPはすでにコロナ前の水準を超えたものの、日本はいまだ届かない旨。感染力の強いオミクロン型の流行に伴い、年明け以降の景気も急減速が避けられない旨。

□2月16日(水)

◇NYダウ反発、422ドル高、ウクライナの緊張緩和期待 (日経 電子版 08:00)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比422ドル67セント(1.2%)高の3万4988ドル84セントで終えた旨。ロシアがウクライナ国境付近からの軍隊の一部撤収を発表、地政学リスクの後退で投資家心理が改善し、幅広い銘柄に押し目買いが入った旨。

□2月17日(木)

◇NYダウ反落、54ドル安、FOMC議事要旨受け下げ幅縮小 (日経 電子版 06:54)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比54ドル57セント(0.2%)安の3万4934ドル27セントで終えた旨。ウクライナ情勢への警戒が続き、一時は346ドル安となったが、午後に下げ幅を縮めた旨。午後2時に米連邦準備理事会(FRB)が1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表。金融引き締めの加速を示唆する新たな情報がなく、買い直された旨。

□2月18日(金)

問われる我が国の魅力度、円の実力が50年ぶり低水準とあらわされている。

◇企業の資金、日本離れ加速、円の実力50年ぶり低水準に (日経 電子版 05:05)
→円の総合的な実力が約50年ぶりの水準に下落した旨。マネーの動きをみると、国内企業による海外への投資資金が戻らず円安圧力につながっている実情が浮かぶ旨。日本の経常収支は海外への直接投資が生み出す収益が支える構図が定着している旨。投資先としての国内の魅力を高めなければ、通貨の実力が下がり続ける可能性がある旨。

◇NYダウ622ドル安、ウクライナ情勢警戒、今年最大の下げ (日経 電子版 07:52)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比622ドル24セント(1.8%)安の3万4312ドル03セントで終えた旨。下落額、下落率とも今年最大。バイデン米大統領が17日、記者団にロシアがウクライナに侵攻する可能性が「非常に高い」と述べた旨。ロシアと欧米の対立が激化するとの見方が強まり、リスク回避の売りが出た旨。

□2月19日(土)

◇NYダウ続落232ドル安、ウクライナ情勢を警戒 (日経 電子版 06:46)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比232ドル85セント(0.7%)安の3万4079ドル18セントで終えた旨。ウクライナ情勢を巡る警戒が続き、株式相場の重荷となった旨。米国は3連休となる週末を控えていたことも、運用リスクを取りにくい地合いにつながった旨。


≪市場実態PickUp≫

【TSMC関連】

TSMCとソニーの合弁、Japan Advanced Semiconductor Manufacturingの熊本新工場に、TSMCが追加投資、そしてデンソーも出資に加わっている。

◇TSMC、熊本工場投資1兆円に拡大、デンソーも出資 (2月15日付け 日経 電子版 18:20)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は15日、ソニーグループとの合弁会社で手掛ける熊本県の新工場に追加投資すると発表、投資額は$8.6 billion(約9800億円)と当初見込みから約2000億円積み増す旨。合弁にはデンソーも400億円を出資する旨。自動運転システムなどで使う車載半導体の安定調達につなげる狙いがある旨。

◇Denso joins TSMC-Sony fab jv (2月16日付け Electronics Weekly (UK))

◇Denso to take stake in TSMC venture-DENSO to invest $350M invest in Sony-TSMC JV -JAPANESE FAB: Denso's CEO highlighted how chips for the automotive industry are important to the partnership, with a new plant to commence operations in two years (2月16日付け The Taipei Times (Taiwan))
→デンソーが、ソニーとTSMCの合弁会社、であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturingに$350 millionを投資、10%を上回る少数株主持分を取得する予定の旨。該合弁のウェーハ製造拠点の建設は今年から始まり、2024年末までに完了する予定の旨。

TSMCの取締役会が、capacity拡大に向けた$21 billionの設備投資予算を承認している。

◇TSMC board approves nearly US$21 billion for capacity expansion-TSMC sets 2022 capex budget at $21B (2月17日付け DIGITIMES)
→TSMCの取締役会が最近、先端技術capacityの設置とアップグレード、および成熟およびspecialty技術の設置に約$20.94 billionの資本を割り当てることを承認した旨。

3年間で$100 billionを上回るTSMCの半導体装置への投資計画、と業界筋の見方である。

◇Fab toolmakers on track to gain big from bold TSMC capex plans-Sources: TSMC will spend $100B+ on IC gear for 3 years (2月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、生産能力を拡大に向けて3年間で$100 billionを上回る半導体装置への投資計画の旨。世界最大のシリコンファウンドリーの同社は、中国、日本、台湾および米国に新しいウェーハ製造拠点を設けている旨。

【Nvidia関連】

Arm買収が挫折したNvidiaであるが、その後の関連の内容&動きを取り出している。

◇From the Beginning, Arm IPO Was Plan A (2月15日付け EE Times)
→先週、ソフトバンクがArmをNvidiaに売却する契約が挫折、Armを公開会社として再上場するというプランBに頼らざるを得なかったよう。しかし、ソフトバンクの孫正義CEOによると、IPOはずっとプランAであった旨。以前にIPOは災難になると規制当局に主張してきたが、Armとソフトバンクは、IPOが理にかなっていることを投資家に納得させる必要がある旨。

◇Nvidia CEO: We gave Arm deal our best shot (2月16日付け VentureBeat)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏が、アナリストとの電話会議で、規制当局はNvidiaが提案した$80 billionのArm買収への反対に譲らない旨。「ベストショットを出したが、逆風が強すぎて、規制当局に取引を承認してもらうことができなかった」とHuang氏。

◇エヌビディア「巨大IT」の看板あらわに、アーム買収断念 (2月17日付け 日経 電子版 13:52)
→米エヌビディアが成長戦略を見直し始めた旨。英半導体設計、アームの買収を断念し、同社との協業を通じたCPUの開発に主軸を移す旨。ソフトウエア事業の拡大にも意欲を示す旨。買収手続きを通じて「巨大IT」の看板があらわになり、当局の警戒が強まるなか、新たな成長機会を模索する旨。

Nvidiaが、自動運転開発に向けてJaguar Land Roverとの連携である。

◇Nvidia, Jaguar Land Rover Partner on AV Development (2月16日付け EE Times)
→Jaguar Land Rover(JLR)およびNvidiaが、2025年モデルから、NvidiaのDRIVE Hyperion 8 AI-ベースのソフトウェアをJaguarおよびLand Roverに取り入れる複数年partnershipを打ち上げの旨。該パートナーは、該コラボが安全な自動運転および駐車システムの提供に役立つと主張の旨。

◇Jaguar Land Rover, Nvidia ally in vehicle software arms race (2月16日付け Reuters)

【欧州の半導体の取り組み】

「欧州半導体法案」を前回取り上げたが、域内に我が国同様最先端の工場はなく、有力プレイヤーに頼らざるを得ない現実が以下あらわされている。TSMC誘致の出遅れも指摘されている。

◇Europe wants to become a leader in chips. But it's going to need help (2月10日付け CNBC)
→*European Union(EU)が、世界の半導体生産におけるヨーロッパのシェアを高めることを目的として、チップへの投資を増やす新しい法律を提案した旨。
 *しかし、最先端の半導体を製造できるヨーロッパの企業はなく、EUは、Intel、台湾のTSMC、または韓国のSamsungに工場を建設するよう説得する必要がある旨。
 *該法律の提案は、将来的に半導体の供給を脅かす可能性のある別の半導体不足と地政学的問題を緩和するためのEUによる試みである旨。

◇TSMC誘致、欧州出遅れ、半導体の域内増産に暗雲 (2月14日付け 日経 電子版 17:00)
→世界的な需給逼迫が続く半導体を巡り、台湾と欧州が牽制し合っている旨。米国や日本は台湾積体電路製造(TSMC)の工場誘致を決めて対応策を打ったが、主要地域で唯一、欧州はいまだ誘致を決定できずにいる旨。欧州は焦るが、世界の半導体産業の主導権を握る台湾側は、中国と関係が深いドイツを警戒するなど慎重姿勢。誘致の遅れは欧州の今後の半導体戦略に影響を与えそう。

【中国・SMIC】

中国の半導体最大手、SMICの生産能力増強に向けて、中国政府の後押しである。

◇SMIC、生産能力2倍、中国政府、半導体自給率向上へ後押し (2月12日付け 日経)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は半導体の生産能力を現状の2倍に増やす旨。北京市、上海市、広東省深セン市に建設中の新工場のフル稼働で実現する方針で、3年前後かかるもよう。米中対立を受けて半導体の国内自給率向上をめざす中国政府の後押しを受けて生産能力の拡大を急ぐ旨。

SMICの2021年売上高伸び率が、TSMCの2倍を上回り、中国国内市場が支えとあらわされている

◇SMIC Outpaces Rivals on Strong Local Demand (2月13日付け EE Times)
→中国最大の半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が、2021年に39%の成長を記録し、強い内需で他のファウンドリーをリードした旨。同社の2021年の売上高は$5.4 billionで、前年比39%増、台湾積体電路(TSMC)などトップランクのファウンドリーの18.5%の成長の2倍を上回る旨。SMICは、世界最大かつ最も急成長している半導体市場である中国での強い需要の恩恵を受けている旨。

【ウクライナ・インパクト】

今時点最も世界の目が集まるロシアのウクライナ侵攻如何であるが、半導体へのインパクトとして露光工程で使用されるエキシマレーザーガスの原料の1つであるネオンとのこと。ウクライナが約90%を生産とのこと。以下の関連記事である。無事結末を祈るばかりである。

◇Russia could hit U.S. chip industry, White House warns-White House warns chip industry on Russian supply chain (2月11日付け Reuters)
→ウクライナへの侵攻があって、ロシアが米国の輸出規制に対して報復した場合、半導体業界はneonやpalladiumなどの重要な材料へのアクセスを失う可能性がある旨。 市場調査会社、Techcetは、今月初めにその潜在的な問題について報告し、White Houseは該警告を増幅している旨。

◇Ukraine-Russia tensions have limited impact on Taiwan's semiconductor industry: ITRI-ITRI doesn't see Taiwan chip problems over Ukraine-ITRI consulting director sees low impact on Taiwan's semiconductor industry due to bargaining power, level of exposure to critical materials (2月14日付け Taiwan News)
→台湾の工業技術研究院(ITRI)が、ロシアとウクライナの間で起こりうる戦争が台湾の半導体業界にほとんど影響を与えないと予想している旨。 ウクライナは、高度なマイクロチップの製造に使用されるneonの約90%を生産している旨。

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