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業界に2つの衝撃&混乱:NvidiaのArm買収 & 米国のHuawei制裁発効

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜18日昼前時点、世界全体で3000万人を超え、1週間前から200万人余り増と勢いが続いている。インドでの急拡大に加え、欧州でも感染者が再び増加しており、1か月余りで1000万人が感染している。半導体業界では、NvidiaによるArmのSoftBankからの買収、そして米国の中国・Huaweiに対する規制厳格化実施が相次いで、衝撃&混乱が引き起こされている。NvidiaはArmの設計技術を取り入れてAI半導体の覇権を狙うとする一方で、Huaweiとのビジネスが止まってしまう波紋が広がっている。新分野牽引を史上最大のM&Aで推し進めるNvidia、そして世界のハイテク覇権死守を図る米国、今後に一層目が離せないところである。

≪覇権掌握に向けた動きへの様々な反応≫

この前の日曜13日の朝にNvidiaのArm買収の本格的な動き第1報12日付けに気づいたばかりであるが、長らく噂されていた件であり、発表の報道関連が以下の通りどっと押し寄せている。

◇Nvidia to buy Arm Limited from SoftBank for $40B in largest-ever chip deal (9月13日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→CEOのJensen Huang氏が率いるNvidia(Santa Clara)が、史上最大の半導体取引、Arm Limitedを$40 billionで買収、Nvidiaのartificial intelligence(AI)の取り組みを強化していく旨。

◇Nvidia is acquiring Arm for $40 billion-SoftBank selling chipmaker Arm to Nvidia for $40B-The deal had been rumored for weeks (9月13日付け The Verge)

◇NVIDIA to Acquire Arm for $40 Billion-NVIDIA to acquire Arm for $40 billion, creating world's premier computing company for the age of AI... (9月14日付け EE Times India)

◇孫氏、「水晶玉」英アーム売却へ、米エヌビディアに -高値提案で戦略転換 (9月14日付け 日経 電子版 00:28)
→ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計、アームを米半導体大手、エヌビディアに売却する方向で最終調整に入ったことが13日、わかった旨。売却額は4兆円規模の見通し。SBGはエヌビディア株を取得するなど売却に株式交換を組み合わせる方向で調整している旨。SBGの孫正義会長兼社長はアームをグループの「未来を見通す水晶玉」と位置づけてきたが、高額の買収提案を受けて戦略転換する旨。

◇ソフトバンクG、英アーム売却発表、米エヌビディアに (9月14日付け 日経 電子版 08:23)
→ソフトバンクグループは14日、傘下の英半導体設計大手、アームを米半導体大手、エヌビディアに売却すると発表、売却額は最大400億ドル(約4.2兆円)。少なくとも215億ドルについて、エヌビディアは自社の普通株式を対価とする計画。ソフトバンクGはグループで約6.7%〜8.1%のエヌビディア株を保有する見通し。

◇ソフトバンクG、投資事業に集中 英アーム売却発表 -MBO(Management Buyout)も検討か (9月14日付け 日経 電子版 11:48)
→ソフトバンクグループが傘下の英半導体設計、アームの売却で米半導体大手、エヌビディアと合意した旨。ソフトバンクGが事業会社も運営する「複合企業」から、純粋な「投資会社」への移行が加速していることを示す旨。
もっとも、肝心の投資事業は停滞し、最近始めた上場株運用などは投資家の理解を得られていない旨。非上場化に向けた議論が再燃するとの見方も浮上している旨。

◇エヌビディア、英アームを買収、AI半導体で覇権狙う、4.2兆円、ソフトバンクGが大株主に (9月15日付け 日経)
→米エヌビディアは13日、ソフトバンクグループ(SBG)から英半導体設計アームを買収すると発表、アームが保有する設計技術を手に入れることで、人工知能(AI)向けの半導体で覇権を狙う旨。買収額は最大400億ドル(約4兆2千億円)で、現金と株式で支払う旨。SBGはエヌビディアの大株主として残る旨。AI分野が半導体業界で主戦場になってきた旨。

この買収の狙いの分析も続いている。

◇It's Official: Nvidia Buys Arm (9月13日付け EE Times)
→Nvidiaは、Armとの該megaビジネス取引を"Nvidia自身のAI computingプラットフォームをArmの広大なecosystemにもってくる"と枠づけの旨。

◇Nvidia To Buy Arm For $40B-Analysis: What's driving the deal, and what to watch for. (9月13日付け Semiconductor Engineering)

◇Nvidia's $40B deal for Arm could affect Apple-Nvidia agreed to pay Arm's current owner, SoftBank Group, $12 billion in cash and $21.5 billion in stock, along with other payments for the chip design firm. (9月14日付け Computerworld)
→Appleが2007年にiPhoneを投入して以降、Armのmade-for-mobile半導体が事実上どのスマートフォンも動かしており、Armのインパクトは非常に大きい旨。

◇Nvidia-Arm $40 Billion Deal Will Upend Entire Chip Industry (9月14日付け Bloomberg Opinion)
→ハイテクリーダー、Nvidiaが計画している一等の半導体設計会社の買収は、同社が半導体業界を一世代で席巻するに必要な最終の手となりそうな旨。

インパクトのほどが端的にあらわされている。

◇Nvidia sends shockwaves through chip industry with Arm deal (9月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Arm HoldingsについてのNvidiaとSoftBankの間の$40 billion取引が、半導体業界のど真ん中に爆弾を落とすに等しい旨。

◇エヌビディアのアーム買収、狙うは「全方位」AI半導体 (9月15日付け 日経 電子版 11:00)
→米エヌビディアはソフトバンクグループから半導体設計大手の英アームを買収すると発表、主力のGPU(画像処理半導体)は大量の計算を素早く行う人工知能(AI)処理の実動部隊だったが、司令塔を担うCPUの技術が加わる旨。演算技術の上流から下流まで押さえ、AI分野で圧倒的な地位を占める狙い。

◇Nvidia Needs to Convince Stakeholders to Close Arm Deal (9月16日付け EE Times India)
→ここ数週間にわたって、欧州の数人の人々が、Nvidia, SoftbankそしてArmの間の話が結構進んでいると述べていた旨。それは、Nvidiaが今やArmの買収がすべてのstakeholdersに良いと業界およびregulatorsに納得させるキャンペーンを始めなければならない、ということであった旨。

この買収が実現&完了すれば、半導体業界最大、とIC Insightsの分析である。

◇Nvidia's $40 Billion ARM Purchase Will Test Current M&A "Ceiling"-Potentially the largest acquisition in semiconductor history faces plenty of obstacles. (9月16日付け IC Insights)

◇Arm-Nvidia is biggest M&A deal in semiconductor industry history-Largest merger in the history of semi industry: Arm-Nvidia (9月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)NvidiaによるArmの買収提案は、完了すれば半導体業界最大額となり、AvagoによるBroadcomの$37 billion買収およびSoftBank GroupによるArmの$32 billion買収を上回る、とIC Insightsが特に言及の旨。該取引の一部として、SoftBankはNvidiaにおける10%を下回る様相のequity stakeをとる見込みの旨。
 2)ARMの技術ライセンス&サービスは2019年に$1.8 billionの売上げ、2020年前半は$1.0 billionを少し越えているが、SoftBankはハイテクstartupsへの投資からの巨額の損失から抜け出るために該事業売却を決定の旨。

半導体IPの中立性についての問題意識が付きまとうところである。

◇[FT]アーム買収が半導体業界に与えた衝撃 (9月17日付け 日経 電子版 12:26)
→英半導体設計大手アームの知的財産グループを率いるルネ・ハース氏は14日、同社が米半導体大手へ売却されると知って不安になった顧客企業の対応に追われた。同氏はソフトバンクグループ(SBG)傘下のアームが、顧客企業を不遇な目にあわせないと説明し続けた。・・・・・
英半導体ベンチャー、エックスモスのマーク・リペット最高経営責任者(CEO)は、アームの顧客が同社の最新の設計を手に入れようとしても、後回しにされてしまうかもしれないと警戒する。「最新のアーム製アーキテクチャーを持って市場に一番乗りするのはエヌビディアになるはずだ」と指摘する。・・・・・

NvidiaのArm本社のある英国への配慮も見られるものの、打撃&懸念が残っていく。

◇ARM: UK-based chip designer sold to US firm Nvidia-Nvidia will buy Arm from SoftBank for $40B (9月14日付け BBC)
→Nvidiaが、ArmのSoftBank Groupからの$40 billion in cash and stockでの買収に合意、該提案取引は約18ヶ月で完了予定、該法制審査プロセスはNvidiaには難しくなる可能性の旨。「Armの本社はCambridgeのまま」と、NvidiaのCEO、Jensen Huang氏。

◇Nvidia vows to invest in Britain as part of Arm deal (9月14日付け Reuters)

◇アームの売却劇、英を翻弄、ハイテク拠点の流出懸念 (9月16日付け 日経)
→ハイテク業界の「宝」と称される英半導体設計アームの売却劇を巡り、英国が翻弄されている旨。親会社のソフトバンクグループ(SBG)は米半導体大手、エヌビディアへの売却を決めた旨。欧州連合(EU)離脱で経済の先行きが不透明になる中、アーム本社が国外に流出することへの懸念も強まっている旨。

この買収に伴う問題そして障壁が挙げられている。

◇Opinion: Nvidia's deal for Arm could mean a real challenge to Intel and AMD, but is likely to face opposition (9月14日付け Market Watch)
→$40 billion買収合意でNvidiaには必要とされるコンポーネントが加わるが、法制上の困難並びにNvidiaと競合するArmの顧客からの反発の可能性に直面する旨。

◇Nvidia acquisition of Arm throws company into tech spat between U.S. and China-How Nvidia's Arm buy becomes part of US-China trade war (9月14日付け Reuters)
→NvidiaによるArm Ltd.の買収提案は、引き続き米中貿易戦争において1つの要素になる、とlawyersおよびアナリストが主張の旨。「米国の会社の利益に向けて業界にさらなる集中をつくり出す何ものも、中国が欲するものとは合っていないと思う。」と、R&P China Lawyers(上海)のdirector、Art Dicker氏。

中国の法制承認が得られるかが、立ちはだかるところである。

◇Beijing's concerns loom over Nvidia's $40bn Arm deal (9月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Nvidiaのchief executive、Jensen Huang氏は、同社が中国のregulatorsと相対する予定、承認されるという"あらゆる自信"がある旨。

◇To Avenge U.S. Sanctions against Huawei:China Expected to Oppose Nvidia's Acquisition of ARM-Nvidia's purchase of Arm may be opposed by China (9月16日付け BusinessKorea magazine online)
→米国のHuaweiに対する輸出停止への報復を模索、中国が、世界最大の半導体設計会社、英国のARMの米国GPU最大手、Nvidiaによる買収に反対する様相の旨。

今後の展開について、読みが続いている。

◇Nvidia Begins Campaign to Close Arm Acquisition (9月14日付け EE Times)
→Arm買収に向けてregulatorsを納得させるキャンペーンには時間を要し、たぶん少なくとも1年の旨。

Armのライバルの1社の見方である。

◇Arm rival SiFive says Nvidia deal spurs interest in its technology-New SiFive CEO: The Arm-Nvidia deal is good news for us (9月17日付け Reuters)
→Qualcomm出身のexecutive、Patrick Little氏が、SiFiveのpresident and CEOに指名され、chairman of the boardとして残るNaveed Sherwani氏を引き継ぐ旨。「すでに半導体会社トップ10の6社がSiFiveと協働」とインタビューでLittle氏、Arm-Nvidiaの取引が実際にSiFiveの技術への関心を焚きつけていると特に言及の旨。

険しい先行きが余韻として残るところがある。

◇ソフトバンクG、英アーム売却決定も待ち受ける難路 (9月18日付け 日経 電子版 02:00)
→ソフトバンクグループが半導体設計の英アームを米エヌビディアに売却すると発表、売却額は最大400億ドル(約4兆2000億円)。アームを2016年に約3兆3000億円で買収してから4年。ソフトバンクGは価値を1兆円近く増やした格好だが、無事に取引を完了させるまでの道のりは険しそう。


次に、米国のHuawei制裁発効を9月15日に控えての以下いくつかの論調である。

◇China wants its semiconductor industry to catch up with the U.S. - but that won't be easy-Analysis: China's ambitious chip plans may fall short (9月13日付け CNBC)
→*米国が中国のハイテク大手に対する圧力を高めて、中国は国内半導体業界の立ち上げを図っている。
 *中国の会社の重要コンポーネントへのアクセス、並びに同国半導体メーカーの該半導体をつくる技術を購入する可能性が、米国の制裁により妨害される状況に、中国は直面している。
 *中国に有利に働く要因の1つとして、中国は大規模な人口および広大な機器数から非常に大きな市場であること。

◇中国ハイテク強国に壁、米、ファーウェイ向け規制実施へ (9月14日付け 日経 電子版 02:00)
→米中のハイテク覇権を巡る争いが激烈になってきた旨。15日に米商務省は華為技術(ファーウェイ)への規制を実施し、同社は半導体の調達などが厳しくなる旨。米国は安全保障を脅かす動きを牽制し、ハイテク強国の野望を掲げる中国を封じ込めようとする旨。中国は半導体の国産化で対抗するが、そこに壁となって立ちはだかるのが製造装置。装置企業は米中覇権争いの激しい渦に飲み込まれつつある旨。

◇ファーウェイ禁輸、日本企業に取引先との訴訟リスク (9月14日付け 日経 電子版 11:30)
→米商務省が中国の華為技術(ファーウェイ)に課す規制が15日に実施され、米国の技術に関連する半導体製品の供給が全面的に止まる見通し。電子部品メーカーは製品がファーウェイの手に渡らないどうかの調査義務まで課せられる旨。サプライチェーンは広範囲に及び、電子部品でシェアの高い日本企業は取引先との訴訟リスクを抱えることになる旨。

そして、発効の日を迎えて、さまざまな動き、そして衝撃&動揺である。次の標的の可能性といわれる中国・SMICが、Huaweiへの供給が続けられるよう米国に承認を求めている。

◇China's SMIC applies to renew licence to supply Huawei: state media (9月15日付け Reuters)
→state media outlet、Beijing News火曜15日発。中国・Semiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)が、Huawei Technologies Co Ltdへの供給継続で米国からの承認を求めている旨。

韓国へのインパクトである。

◇U.S. sanctions on Huawei feared to hit S. Korean chip exports to China-Samsung loses Huawei as a customer under US sanctions (9月15日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが、本日発効した米国制裁のもとHuawei Technologies向けた半導体の供給を禁じられた旨。2019年にHuaweiは、韓国から$11 billionの製品を買っている旨。

◇U.S. sanctions could cripple Huawei, help Samsung (9月15日付け JoongAng Daily (South Korea))
→長期的には韓国の会社は、Huaweiへの締めつけ全体から利益を被る様相、Huaweiがスマートフォン市場から締め出されれば、Samsung ElectronicsおよびLG Electronicsがその市場シェアのあるものを得る旨。Samsungは最近、Huaweiが5G装置およびネットワーク技術で席巻しているテレコム市場を目指し始めている旨。

Huaweiの現況である。

◇ファーウェイ、スマホ出荷7割減も、米規制きょう発効 (9月15日付け 日経 電子版 05:13)
→中国の華為技術(ファーウェイ)に対する米政府の新たな輸出規制が15日に発効、ファーウェイは各国・地域からの半導体調達が事実上できなくなる旨。部品在庫の減少に伴いスマートフォンなどの生産も減り、2021年のスマホ出荷台数は2020年見込みを7割下回るとの予測もある旨。
「ファーウェイ向けスマホの生産ラインはもう一部が閑散としている。半導体がないから作れない」。11日に広東省深セン市にある台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の工場を訪れると、ファーウェイ向けの担当だという社員はこう話した旨。

我が国への影響である。

◇ファーウェイ向け半導体、出荷停止相次ぐ、米の規制発効 (9月15日付け 日経 電子版 13:30)
→米商務省による中国の華為技術(ファーウェイ)に対する半導体輸出規制が15日に発効され、ソニーや半導体メモリ大手のキオクシア(旧東芝メモリ)など日本の半導体メーカーが相次ぎファーウェイ向け出荷を停止した旨。
日本企業のファーウェイ向け部品供給は約1兆1000億円あるとされ、大口顧客への供給停止で経営への影響は避けられない情勢。

台湾では駆け込み特需が生まれている。

◇台湾IT、ファーウェイ向け駆け込み特需、8月売上高最高に (9月15日付け 日経)
→台湾のIT企業が活況。8月の主要19社の売上高は前年同月比9%増え、同月として過去最高の1兆913億台湾ドル(約4兆円)となった旨。中国の華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁強化で駆け込み特需が生まれ、テレワークの拡大や「5G」本格化の追い風も強く吹く旨。
製品では半導体の伸びが特に大きく、8月の輸出全体の36%を占めた旨。

Huaweiのflagshipスマホの価格高騰である。

◇Huawei phone prices rise in China on fears of chip shortage-Prices increase for Huawei phones over chip supply (9月16日付け Reuters)
→中国の消費者が、Huawei Technologies製スマートフォンのpanic買いに陥っており、特に同社のcustom Kirinプロセッサ搭載モデル、米国のHuaweiとのビジネス遂行禁止措置に照らしての旨。Huaweiのflagship、Mate 30 phoneのPorsche設計モデル流通価格は、1月以降40%高の$2,067の旨。

SEMIからは、SMICのブラックリスト入りに反対する立場があらわされている。

◇Chip group to warn Trump administration against blacklisting China's SMIC: document-SEMI warns against proposed US blacklisting of SMIC (9月16日付け Reuters)
→半導体分野に洗練された高価な装置を供給する各社が、Trump政権の中国のトップ半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)をブラックリストに入れる提案に対し警告する運び、米国業界に"有害"となる旨。

韓国における中国向け半導体輸出の大きさを改めて知るところである。

◇[Monitor] China biggest semiconductor market for Korea-China leads Korea's semiconductor exports in 2020 -Korea's semiconductor exports by country (9月16日付け The Korea Herald (Seoul))
→Korea International Trade Association(KITA)発。今年1-7月について韓国から輸出されたmicrochipsの41.1%が中国の顧客向けの旨。最新の米国の半導体輸出管理は、結果としてSamsung Electronics, SK Hynixなど韓国の会社にとってのビジネス見込みを抑える可能性の旨。

我が国で問われる新たな対応である。

◇ファーウェイ規制、部品出荷影響1兆円規模、国内企業、供給先の開拓急ぐ (9月16日付け 日経)
→米中のせめぎ合いが企業経営に飛び火してきた旨。15日に発効された米政府による中国の華為技術(ファーウェイ)への規制対応で、国内半導体メーカーが供給先や製品用途の開拓を急いでいる旨。違反すると制裁も受けるだけに法令対応も急務。米中の技術分断(デカップリング)が深刻化するなか、企業に新たなリスク管理が問われている旨。

発効当日での中国におけるイベントでの状況である。

◇中国、米IT囲い込み、重慶での博覧会にインテルなど参加、巨大市場を吸引力に (9月16日付け 日経)
→中国政府は15日、内陸部の重慶市で「中国国際スマート産業博覧会」を開いた旨。米中ハイテク競争が先鋭化するなか、クアルコムやインテル、HPといった米国企業の幹部が参加した旨。中国側にはこうした企業を囲い込む狙いがあるよう。


NvidiaのArm買収、そして米国のHuawei制裁強化発効のインパクトは、引き続き目が離せないところである。


コロナ禍のもと、経済再開への当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□9月14日(月)

TikTok買収の1件が、新たな局面を迎えている。

◇ByteDance picks Oracle as partner to try to save TikTok U.S (Reuters)

◇Microsoft、TikTok買収交渉離脱、Oracle唯一の候補に (日経 電子版 09:29)
→米マイクロソフトは13日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の買収を巡り、ティックトックを運営する中国のIT企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)から「マイクロソフトには売却しない」と伝えられたと発表、米メディアは米オラクルが唯一の候補になるとしているが、米中対立が深まるなかで交渉の行方はなお不透明。

シリコンバレーでの現時点である。Appleのイベントは、以下の≪市場実態PickUp≫にて取り上げている。

◇Coronavirus roundup: Faith, business groups to call for reopening | Apple's big reveal goes virtual (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*現地のビジネスおよび宗教リーダーが、Santa Clara Countyに対し経済を安全に再開する方法を見い出すよう望んでいる旨。
 *AppleのCEO、Tim Cook氏が、同社最新gadget披露をvirtualで行う旨。

□9月15日(火)

◇Coronavirus roundup: How does California compare to other states for Covid restrictions? (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→coronavirusの制限が最も少ない州に注目の最新ランキング、Californiaはトップ近辺に見当たらない旨。

米国株式市場は、NvidiaそしてTikTokの動きで上げ基調が見られたが、後になって下げに転じている。

◇NYダウ続伸、327ドル高、M&Aやワクチン開発好感 (日経 電子版 05:37)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前週末比327ドル69セント(1.2%)高の2万7993ドル33セントで終えた旨。大型M&A(合併・買収)のニュースが相次ぎ、市場心理の改善につながった旨。コロナワクチンの開発を巡る好材料も相場上昇を支えた旨。
画像処理半導体のエヌビディアは13日、ソフトバンクグループ(SBG)から英半導体設計のアームを買収すると発表。ITのオラクルはスマートフォンの動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を引き受けるとの観測が強まった旨。これを受け、エヌビディアは6%高、オラクルは4%高となった旨。

EUも対中スタンスを修正し始めている。

◇EU、対中関係を軌道修正、香港情勢など懸念表明、自由への脅威問題視 (日経)
→欧州連合(EU)が対中関係を軌道修正し始めている旨。香港国家安全維持法などEUが尊重する自由や民主主義が脅かされる事態が相次いでいるため。14日開催したEUと中国首脳によるテレビ会議では、EUは中国に香港問題などに懸念を表明した旨。一方、中国はこうした問題では譲らなかったとみられる旨。

□9月16日(水)

米国経済が本当に好転か、これも今後に注目である。

◇Fed upgrades expectations for pandemic-hit economy-Fed revises forecast to reflect 3.7% contraction in 2020 (Axios)
→Federal Reserve(FRB)が今年のアメリカ経済について、6月時点の-6.5%からこのほど-3.7%と予測の旨。「ここ60日あたり、該経済は予想より早く回復している。それが続くか否か、わからない。」と、Jerome Powell議長。

◇NYダウ続伸、2ドル高、一時200ドル超上昇も伸び悩む (日経 電子版 05:44)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前日比2ドル27セント高の2万7995ドル60セントで終えた旨。米中の経済指標の改善が好感され、朝方は200ドル超上げる場面があった旨。ただ、買いが先行したスマートフォンのアップルが午後に一時下げに転じると市場心理の重荷となり、相場は伸び悩んだ旨。

□9月17日(木)

◇Coronavirus roundup: San Mateo County approves aid program for small landlords (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→10月までに、San Mateo Countyの小規模家主が、Covid-19 pandemicの結果としての収入損失を埋める助けになる助成を申請できる旨。

◇NYダウ36ドル高、FOMC声明好感、一時360ドル高も失速 (日経 電子版 05:53)
→米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文発表を受けた16日の米国株式市場では、主要株価指数が不安定な動きをみせた旨。「2023年までゼロ金利が続く」との見通しを好感し、ダウ工業株30種平均の上げ幅は一時、360ドルを超えた旨。ところが取引終了時間にかけて利益確定売りが優勢となり、前日比36ドル高で終えた旨。

□9月18日(金)

◇NYダウ反落、130ドル安、主力ハイテク株に売り (日経 電子版 05:45)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、前日比130ドル40セント(0.5%)安の2万7901ドル98セントで終えた旨。米連邦公開市場委員会(FOMC)を16日に通過し、それまで様子見を続けていた投資家が相対的に割高感が強い主力ハイテク株に売りを出した旨。

◇Coronavirus roundup (updated): Despite improving employment, poor outlook remains for California workers and jobs (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→全体の追加jobsおよび失業申請低下から経済の様相は改善されてきているが、economistsはすでに失われたjobsの型における脅威潜在を警告の旨。

□9月19日(土)

TikTokの件、ダウンロード禁止の措置が発表され、今後の交渉如何にかかる状況である。

◇TikTokとWeChat、20日からダウンロード禁止、米商務省発表 (日経 電子版 05:21)
→米商務省は18日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での提供を20日に禁止すると発表、新規のダウンロードや更新を禁じる旨。米事業の売却交渉で譲歩を引き出すために圧力をかけた旨。11月12日までに米政府と合意できなければ全面禁止のより厳しい措置をとる旨。

◇NYダウ続落244ドル安、ハイテク株が下げ主導 (日経 電子版 06:08)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落、前日比244ドル56セント(0.9%)安の2万7657ドル42セントで終えた旨。スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株への売りがやまず、相場を下押しした旨。追加経済対策の成立が遅れ、景気を冷やしかねないとの懸念も重荷となった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Apple関連】

新型iPhoneがどうなるか、事前の注目を集めたAppleの新製品イベントが、Huawei制裁発効と同じ9月15日に行われたが、血中酸素を測れる「Apple Watch」と新型「iPad」が披露され、新型iPhoneは10月になりそうとのこと。該「iPad」を動かすA14 Bionicプロセッサは、TSMCの5-nmプロセス製造とされている。

◇Apple Announces 5nm A14 SoC - Meagre Upgrades, Or Just Less Power Hungry? (9月15日付け AnandTech)

◇Apple widens watch and iPad ranges to lure customers (9月15日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇New chip from Taiwan's TSMC boosts Apple iPad Air performance by 40%-A14 the first processor in industry to use TSMC's 5 nanometer process technology-Apple's A14 Bionic chip improves iPad Air performance (9月16日付け Taiwan News)
→Appleが火曜15日に投入したiPad Airタブレットは、TSMCが5-nanometerプロセスで製造したcustom system-on-a-chip(SoC)デバイス、A14 Bionicプロセッサを特徴としている旨。Appleは、該SoCがWindows-ベースlaptops, AndroidタブレットおよびChromebooksより該iPad Airを著しく高速にする、としている旨。

◇Apple、血中酸素測れるWatch発表、iPhoneは登場せず (9月16日付け 日経 電子版 07:46)
→米アップルは15日、腕時計型端末「Apple Watch」とタブレット端末「iPad」の新機種を発表、Watchの最新機種には血中酸素の濃さを測れる機能を持たせた旨。健康意識の高まりなど、新型コロナウイルスで変化しつつある消費者心理をとらえる狙い。
次世代通信規格「5G」に対応するスマートフォン「iPhone」は15日に発表しなかった旨。米メディアによると、10月の発表を予定している旨。

「Apple Watch」のSiP基板は、台湾メーカーの供給である。

◇Taiwan makers to supply all SiP substrates for new Apple Watch-New Apple Watch drives demand for SiP substrates (9月17日付け DIGITIMES)
→業界筋発。新しいApple Watchモデルに向けたcoreプロセッサおよび周辺コンポーネント処理に採用のSiP基板が、すべて台湾メーカー3社、Unimicron Technology, Nan Ya TechnologyおよびKinsus Interconnectによる供給の旨。

「Apple Watch」の発売がすでに始まっている。

◇新アップルウオッチ、あす発売、デジタル、戦場は「健康」 (9月17日付け 日刊工業)
→スマートウオッチをめぐり、「健康」をキーワードとした競争が加速しそう。最大手の米アップルは16日、新製品「アップルウオッチシリーズ6」を18日に発売すると発表、センサで血中酸素の濃度を測定する新機能が特徴でフィットネスや体調管理目的での利用を見込む旨。競合メーカーも健康管理や運動に役立つ製品の拡充を急いでいる旨。

【Intel & AMD関連】

Intelが、開発コード名、「Tiger Lake」ことノートPC向け「第11世代Coreプロセッサ」を披露、AMDのRyzen 4000に対抗である。

◇Intel coyly revealed an 8-core Tiger Lake CPU to fight AMD's Ryzen 4000-An 8-core 11th-gen Tiger Lake could give Intel the one feature it  needs to beat Ryzen 4000. (9月13日付け PCWorld)

◇Intel Tiger Lake laptops will get 8-core CPUs to take on AMD Ryzen 4000-Intel reveals 8-core Tiger Lake chips for laptops-More cores please… (9月14日付け TechRadar)
→Intelが、同社の新しいlaptops用Tiger Lakeプロセッサの8-core版の提示を確認、Advanced Micro Devices(AMD)からのRyzen 4000製品ラインとの競争力がより高められる動きの旨。

AMDのCEO、Dr. Lisa Su氏が、今年のRobert N. Noyce Awardを受賞している。

◇AMD CEO Dr. Lisa Su to Receive Semiconductor Industry's Top Honor (9月15日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)、本日発。AMDのpresident and CEO、Dr. Lisa Su氏が、SIAの最高栄誉、Robert N. Noyce Awardの2020年受賞者とする旨。

◇AMD CEO Dr. Lisa Su to Receive Semiconductor Industry's Top Honor (9月15日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

Su氏についてもう1つ、年初恒例のCES 2021もvirtual開催とのこと。ここで基調講演を行う運びである。

◇AMD teases high-performance CPU and GPU hardware for CES 2021-AMD to debut CPU and GPU hardware at virtual CES 2021 (9月16日付け TechRadar)
→coronavirus pandemicによりvirtualイベントとなるCES 2021にて、Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su氏が基調講演を行う旨。同氏は該講演で次期CPUsおよびgraphics processing units(GPUs)に注目する見込み、とConsumer Technology Association発表の旨。

【Qualcomm関連】

Qualcommの次期5Gチップセット、Snapdragon 875が、Samsungの5-nmプロセッサで製造、韓国、中国のメーカーからのhigh-end 5Gスマートフォンで用いられる予定である。

◇A Contract Worth US$1 Bil.:Samsung Electronics to Produce Qualcomm's Snapdragon 875 APs-Samsung will make Qualcomm's Snapdragon 875 AP (9月14日付け BusinessKorea magazine online)
→Qualcommが、次期Snapdragon 875 applicationプロセッサの製造にSamsung Electronicsを選択、5-nanometerプロセスで製造、5Gスマートフォン向けの旨。

◇Samsung to make 5G Qualcomm chips with 5 nm technology (9月14日付け Korean Investors)
→Samsungが、最先端5-nanometer技術を用いてQualcomm Technologies社の5Gチップセット、Snapdragon 875をつくる旨。12月展開の運びのQualcommの最新プロセッサは、Samsungおよび中国のhandset-makers、XiaomiおよびOppoがつくるhigh-end 5Gスマートフォンで用いられる旨。

Qualcommのartificial intelligence(AI)推論プロセッサ、Cloud AI 100ラインが、来年前半お披露目の運びである。

◇Qualcomm Cloud AI 100 Promises Impressive Performance per Watt for Near-Edge AI (9月16日付け EE Times)
→QualcommのCloud AI 100シリコンは、3つの異なるカードで来年出荷され、各々5Gインフラ, edgeデータセンターおよび自動運転向けに傑出した性能/Wが約束される旨。

◇Qualcomm's Cloud AI 100 aims for first half 2021 deployments-Qualcomm sees 2021 deployments for Cloud AI 100 chips-Qualcomm's bet that it can use 5G to bring AI inferencing closer to edge compute nodes may be about to pay off. (9月16日付け ZDNet)
→Qualcommが、同社artificial intelligence(AI)推論プロセッサ、Cloud AI 100ラインについて来年の前半6ヶ月の間に運用の期待の旨。同社は、その期間にCloud AI 100 siliconをサンプル配布、そして2021年10月に同社Edge Development Kitをサンプル配布の旨。

◇AI Accelerators Promise Power Efficient for Near-Edge Computing-Qualcomm's Cloud AI 100 silicon will ship next year on three  different cards, each… (9月18日付け EE Times India)

【ゲーム機市場】

Sony、Microsoftおよび任天堂と、巣ごもり需要で年末に向けて活況が見込まれる中、それぞれの市場への備えが以下の通りである。任天堂の「スイッチ」に対し、SonyおよびMicrosoftは新型機で並ぶ形である。

◇PCB shipments for new game consoles to ramp up through 4Q20-Sources: New game consoles to drive Q4 PCB business (9月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。SonyおよびMicrosoftによる新しいゲーム機に向けたsupply chainsの台湾のPCBメーカーの出荷が、IC基板あるいはrigidメインボードであろうと、少なくとも本年第四四半期を通して力強さを維持していく旨。

◇任天堂「スイッチ」、生産最多の2500万台、2020年度 【イブニングスクープ】 (9月14日付け 日経 電子版 18:00)
→巣ごもり消費を追い風にゲーム機市場の活況が続いている旨。任天堂の主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の2020年度の生産台数は期初計画から2割増の2500万台規模と、過去最大になる見通し。ソニーなども年末商戦向けに新型機を発売する旨。半導体・電子部品メーカーは、注力してきた車載向けが振るわない中、好調なゲーム向けで補いたい考え。

◇Sony Cuts PlayStation 5 Forecast by 4 Million Due to Chip Woes-Report: Sony's PS5 SoC issues force 4M units cut in forecast (9月15日付け Bloomberg)
→Bloomberg発。PlayStation 5 consoleに向けたsystem-on-a-chip(SoC)デバイス設計の問題で、SonyがPS5の生産を4 million台削減の旨。該custom SoCが生産削減の背景にある、と本件事情通筋。

◇Chip woes prompt Sony to cut PlayStation 5 production forecast by millions-Sony is reportedly having trouble with its custom SoC design. (9月15日付け ZDNet)

◇Sony cuts PS5 forecast by 4m due to chip woes (9月16日付け Taipei Times)

◇ソニーのPS5、4万9980円で11月12日発売、Xboxと並ぶ (9月17日付け 日経 電子版 07:37)
→ソニーは17日、新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」を11月12日に発売すると発表、通常版の価格は499.99ドル(日本は4万9980円)で、米マイクロソフトの「Xbox」の新型機と同じ価格帯に設定した旨。ディスクドライブを省いた機種は399.99ドル(同3万9980円)。7年ぶりのゲーム機の大型商戦が幕を開ける旨。

【市場価格から】

Huawei制裁発効を控えてDRAMのスポット価格が上昇しているが、これは同社による調達の一時的なものか、このところでは需要に一服感があって下落見込みのメモリ価格となっている。一方、各国のコロナ給付金でテレビの売れ行きは好調とのこと。

◇DRAM、7%上昇、スポット、米禁輸目前、ファーウェイ調達か (9月12日付け 日経)
→DRAMのスポット(随時契約)価格が急上昇している旨。指標品は直近底値の9月初に比べ7%ほど高い旨。米国が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に米技術を使う製品の輸出を事実上、禁止する規制実施が目前に迫る旨。「同社が駆け込みで調達している」(半導体商社)旨。

◇メモリ、需要一服で下落、液晶パネル、TV好調で上昇 (9月16日付け 日経産業)
→7〜9月の電子部品価格は、半導体メモリと液晶パネルで動向が大きく異なりそう。メモリはDRAM、NAND型フラッシュメモリいずれも下落見通し。データセンターのサーバ向け投資が一服、在宅勤務の広がりによるパソコン需要も一巡する旨。一方、新型コロナ対策による各国の給付金を追い風にテレビ販売は好調で、液晶パネルの価格は上昇しそう。


≪グローバル雑学王−637≫

研究開発の成果が実用化され、製品に結びつく間の困難な時期、「死の谷」を乗り越えるために、世界をリードする産学共同研究所を、と

『次世代半導体素材GaNの挑戦−22世紀の世界を先導する日本の科学技術』
(天野 浩 著:講談社+α新書 825-1 C) …2020年4月13日 第1刷発行

より熱い思い、のみならず具体的な実現に向けた行動&成果に2回にわたって触れていく前半である。より高いレベルで世界の研究を牽引する研究者やイノベーションをリードする企業人、あるいは新たな知の社会実装を主導する起業家の育成を目的として文部科学省の「卓越大学院プログラム」が、まず紹介されており、修士課程と博士後期課程を合わせた計5年間のコースに入学することが前提とのこと。そして、理工系の大学の学生のキャンパスライフの今が、あらわされている。後半に取り組みの全容が示されていく。


第四章 世界をリードする産学共同研究所を …前半

■「死の谷」を乗り越えるために
・研究の結果はイノベーションにつなげなければならない
 →私の信念
・「死の谷」…研究開発の成果が実用化され、製品に結びつく間の困難な時期
 →現在の日本は、諸外国と比較して、この「死の谷」を乗り越える力強さに欠けるとしばしばいわれている
・研究者が開発に成功し、それを産業として世の中に普及させるためには、大きな「資源」が必要
 →リスクを取り、継続的な研究開発を続けるための資金、人的資源、そしてプロトタイプの製作を行う環境など
・2016年5月、政府は「地球温暖化対策計画」を閣議決定
 →2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す
 →担うのは私たちの世代ではなく、いまの若者たち
 →オープンイノベーションを通じ、若い研究者たちを育てることが必須

■卓越大学院プログラムとは何か
・ビジネス感覚を持つ工学系の若手人材を育てる試み、「卓越大学院プログラム」
 →文部科学省が2018年10月に開始した事業
 →この事業によって支援を得ようと、日本全国の大学が応募
・日本では、修士課程で卒業してしまう学生が多いのが特徴
 →企業が修士課程を修了した学生を新卒者採用の主な対象にしている背景
・卓越大学院プログラムでは、より高いレベルで世界の研究を牽引する研究者やイノベーションをリードする企業人、あるいは新たな知の社会実装を主導する起業家の育成を目的
 →修士課程と博士後期課程を合わせた計5年間のコースに入学することが前提
・企業は研究能力に加え、もう1つ異なる視点で高い知識とスキルを持つ人材を求めている
 →従来の博士課程の論文執筆とは別に、社会実装を前提にした研究開発に取り組んでもらうことに
 →他国の研究者と英語で議論ができる会話力の習得
  →広い視野を持った人材を育成する場
 →自律的に目標を見つけて行動する、そんな人材になってもらうことを目指す

■世界を変える人材教育の場を
・卓越大学院プログラムでは、まずは博士として研究する能力を身に付けてもらう
 →加えて以下のどれか1つを極めてもらう
  …「(知の社会実装を主導する)起業家」
  …「(イノベーションをリードする)生産技術者」
  …「(世界の学術研究を牽引する)研究者」
 →異なる専門領域を背景にした学生が同じ場で議論することで、新しい視点で研究やプロジェクトを進めてくれることを期待
 →ビジネスプランの構築から生産工程のことまで分かる人材を育成することが目的
・卓越大学院プログラムの協働から、世界を変えるイノベーションを起こすようなスタートアップ企業が数多く生まれることを期待

■理工系のキャンパスライフ
・最近の大学では、どのような大学生活を送っているか
【学部1〜2年生】
*共通教育科目、昔でいうところの教養教育が中心に
*英語に加えて第2外国語も勉強
 →最近は、中国語を選ぶ学生が増えているよう
*十数年前から、1年生の春学期に「電気電子工学概論」のような学科全体を俯瞰するリレー講義を取り入れ
*大学の講義は、予習を前提にし、あるいは講義では重要なポイントしか説明しない
 →最初は苦しむが、それを乗り越えると、自ら進んで勉強するように
*大学を卒業するためには130単位を集める必要
【学部3年生】
*専門科目が中心
*かなり高度な実験演習が始まる
*当該分野の技術者や研究者として活躍するための素地が徐々に整っていく
【学部4年生】
*研究室に配属
*大学院生や研究員、そして教員と本格的な最先端研究に従事する経験
*大多数の学生は、大学院の修士課程(2年コース)への進学を考えている
*教科書は日本語と英語の半々、論文はほとんどが英文
*大学院入試が終わると、いよいよ卒業研究をスタート
*「研究に打ち込む」という研究の醍醐味の一端を経験、数十ページの卒業論文を執筆して卒業研究発表
・昔から理工系は、ハードなわりに社会に出ても収入が少ないといわれていた
 →最近では、そんなことはない

【コラム4】無線を通じて工学に目覚める
・中学生のとき、私はアマチュア無線に夢中に
 →無線が私と工学を結ぶきっかけになったような気
・大学に入学、「学問とは人のために尽くすものである」と考えるように

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