セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

「出口&再開に向けて:3月半導体販売高、前月&前年比ともにプラス」

新型コロナウイルスの感染者が金曜8日時点で1週間前と比べて、184→187カ国・地域、310超→377万人と拡大する中、以前の姿には戻れないNew Normalに適応しながら、中国・韓国、そして米欧各国それぞれに段階を踏んだ経済再開が図られる一方、我が国では緊急事態が今月末まで延長される方向である。そんな現時点で、恒例の米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から世界半導体販売高の発表が行われ、1-3月四半期が前四半期比3.6%減、前年同期比6.9%増、そして3月が前月比0.9%増、前年同月比6.9%増となっている。COVID-19危機インパクトがまだあらわれない見え方であるが、善戦健闘なのかどうか、今後予想される急激な落ち込みへの反応如何に注目するところである。

≪1-3月の世界半導体販売高;インパクト概況&半導体関連≫

米国・SIAからの今回の発表、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇2020年第一四半期のグローバル半導体販売高が前四半期比3.6%減−3月の販売高は前月比0.9%増、前年同月比6.9%増:COVID-19危機のインパクトが得られる販売高データではまだ捉えられず…5月4日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年第一四半期の世界半導体販売高総計を$104.6 billionと発表、前四半期比3.6%減でこれは代表的な季節的流れに沿っており、2019年第一四半期と比べると6.9%増であった。2020年3月のグローバル販売高が$34.9 billionで、前月比では0.9%増、そして2019年3月の販売高を6.9%上回った。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の95%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「第一四半期のグローバル半導体販売高は2019年第四四半期をいくぶん下回ったが、3月の月次総計は前月比および前年同月比で増加しており、該販売高データではCOVID-19健康危機のインパクトをまだ完全に捉えられていないことを示している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「該大流行からくるマクロ経済の混乱継続で、グローバル半導体市場には向こう数ヶ月は粘りつきそうな大きな不安定性が引き起こされる。」

地域別には、前月比で、Europe(4.0%), Asia Pacific/All Other(2.2%), およびAmericas(1.1%)で増加したが、China(-0.2%)およびJapan(-2.1%)では減少した。前年同月比では、Americas(21.8%), Asia Pacific/All Other(4.6%), China(4.5%), およびJapan(1.0%)で増加したが、Europe(-1.1%)では僅かに減少した。

Americas
前年同月比  21.8%/
前月比  1.1%
Europe
-1.1%/
4.0%
Japan
1.0%/
-2.1%
China
4.5%/
-0.2%
Asia Pacific/All Other
4.6%/
2.2%

 【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Mar 2019
Feb 2020
Mar 2020
前年同月比
前月比
========
Americas
6.05
7.29
7.37
21.8
1.1
Europe
3.43
3.26
3.39
-1.1
4.0
Japan
2.85
2.94
2.88
1.0
-2.1
China
11.03
11.55
11.52
4.5
-0.2
Asia Pacific/All Other
9.26
9.48
9.68
4.6
2.2
$32.62 B
$34.53 B
$34.85 B
6.9 %
0.9 %

--------------------------------------

市場地域
10-12月平均
1- 3月平均
change
Americas
7.53
7.37
-2.1
Europe
3.21
3.39
5.7
Japan
3.05
2.88
-5.6
China
12.77
11.52
-9.8
Asia Pacific/All Other
9.60
9.68
0.8
$36.17 B
$34.85 B
-3.6 %

--------------------------------------

※3月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/05/March-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けた業界各紙の取り上げである。

◇Global Semiconductor Sales Decrease 3.6 Percent in First Quarter of 2020 (5月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semiconductor sales slip in 1Q20, says SIA-SIA: Global Q1 chip sales hit $104.6B, down 3.6% from Q4 (5月6日付け DIGITIMES)

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りそこからの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年後半の折角の戻し加減がコロナウイルス・インパクトにより大きく水を差されて、今後の下振れが避けられないが、少しでも戻していく材料発掘に暇なしでの業界の動き推移への注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %


この1-3月、第一四半期について、半導体サプライヤ・トップ10が、IC Insightsによりあらわされている。なによりHuaweiの半導体部門、HiSiliconが中国のサプライヤとして初、トップ10入り、前年同期第15位からの第10位が目立つところである。

◇HiSilicon First China-Based Semi Supplier to be Ranked in Top-10-Top-10 semiconductor suppliers log strong 16% jump in 1Q20/1Q19 sales (5月6日付け IC Insights)
→IC InsightsのMay Update to the 2020 McClean Reportより、2020年第一四半期の半導体サプライヤ・トップ10:
1. Intel
2. Samsung
3. TSMC
4. SK Hynix
5. Micron
6. Broadcom
7. Qualcomm
8. TI
9. Nvidia
10. HiSilicon

米国6社、韓国2社、台湾および中国各1社。ファブレスが4社(Broadcom, Qualcomm, Nvidia, およびHiSilicon)、専業ファウンドリーが1社(TSMC)。トップ10の第一四半期販売高合計が$72.487 billion、前年同期比16%増。

◇HiSilicon enters semiconductor top-10 rankings-IC Insights: HiSilicon joins the top 10 for Q1 chip sales (5月6日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。ファブレス半導体メーカー、HiSiliconが、2020年第一四半期のグローバル半導体業界のトップ10ランク入り、中国メーカーとして初めての旨。HiSiliconは、2020年第一四半期の販売高が前年同期比54%増、5つランクを上げて第10位。HiSiliconは、Huaweiの半導体設計部門であり、販売高の90%超が親会社向け。

◇HiSilicon First China-Based Semi Supplier to be Ranked in Top-10 (5月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

SEMIの1-3月世界Siウェーハ面積出荷のデータは、前四半期比2.7%増、前年同期比4.3%減と持ち直し加減の見え方である。

◇Global Silicon Wafer Area Shipments Edge Up in First Quarter 2020 Despite COVID-19 Headwinds (5月4日付け SEMI)

◇Global Silicon Wafer Area Shipments Edge Up in First Quarter 2020 Despite COVID-19 Headwinds (5月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のSiウェーハ業界四半期分析。
2020年第一四半期の世界Siウェーハ面積出荷が2,920 million square inches(MSI)、前四半期比2.7%増、前年同期比4.3%減。

Siウェーハ面積出荷の推移(半導体応用のみ)(単位:MSI):

4Q 2018
1Q 2019
2Q 2019
3Q 2019
4Q 2019
1Q 2020
3,234
3,051
2,983
2,932
2,844
2,920

[Source: SEMI (www.semi.org), April 2020]

今年の半導体市場予測も、コロナ・インパクトで各社各様の色合いであるが、メモリが支える内訳があらわされている。

◇Semiconductor market to drop 5% in 2020, says Omdia-Omdia: Global chip market to gain 2.5% to $439.3B in 2020 (5月4日付け DIGITIMES)
→コロナウイルス危機が2020年のグローバル半導体事業の伸びを切り落とし、グローバル低迷のあらわれる脅威が医療分野からの半導体需要増大にも拘らずOmdiaの市場予測の下げを律速の旨。Omdiaによると、2020年の世界半導体市場は今やメモリICsを除いて5%減の見込み、メモリを入れた全体市場の2020年のグローバル売上げ総計は$439.3 billionで2019年の$428.5 billionから2.5%増、これは前回のOmdiaの予測、5.5%増からは大きな下方修正の旨。

◇Semiconductor Downturn to Continue Into 2020 Due to COVID-19 Impact (5月5日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→2020年のグローバル経済は空前の危機からの回復への戦い、IDCは、全体半導体市場が4.2%減と見込む旨。DRAMおよびフラッシュ市場を除くと、半導体は7.2%減と見込まれる旨。

「COVID-19」インパクトが引き続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。経済再開に向けた米国および欧州の足取りはじめ、以下発信日で示している。

□5月4日(月)

米国の中国を強く牽制する動きが続いている。

◇Trump administration pushing to rip global supply chains from China: officials-White House reportedly wants to move supply chains out of China (Reuters)
→Trump政権が、グローバル産業supply chainsを中国から外すinitiativeを加速しており、コロナウイルス爆発的感染の取り扱いで北京を罰する新しい関税を秤にかけている旨。

□5月5日(火)

◇Commerce Department Tightens the Screws on the US Semiconductor Industry (3D InCites)
→商務省が4月28日、米国半導体業界に深くインパクトを与える以下のnews releaseを出した旨。「商務省は本日、兵器、軍用機あるいは監視技術の開発で用いられる米国の技術を民間supply chainsを通して買収する中国、ロシアおよびベネズエラのentitiesによる活動を防ぐために、新しい輸出管理actionsを発表した。」
変更として以下の点:
 Expansion of Military End-Use/User Controls(MEU)
 Removal of License Exception Civil End Users(CIV)
 Elimination of License Exception Additional Permissive Reexports (APR) Provisions

米国株式市場も、米中摩擦が被さる中で働く市場心理による値動きである。

◇NYダウ小反発26ドル高、米中対立懸念もハイテク株に買い (日経 電子版 05:35)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに小反発し、前週末比26ドル07セント(0.1%)高の2万3749ドル76セントで終えた旨。新型コロナウイルスの感染源を巡り米中の対立が激化するとの警戒感から売りが先行した旨。売り一巡後は石油株やハイテク株を中心に買いが強まり、引けにかけて上げに転じた旨。

我が国の緊急事態宣言が、5月31日まで延長されている。

◇「速やかに追加経済対策」、首相、緊急事態の延長で (日経 電子版 05:42)
→新型コロナウイルス対策について首相官邸で記者会見を開き、6日に迎える緊急事態宣言の期限を31日まで延長すると表明、延長による影響をにらみ家賃支援や雇用調整助成金の拡充などの追加経済対策を「速やかに講じる」と述べた旨。

□5月6日(水)

◇NYダウ続伸、133ドル高、経済活動の再開期待で (日経 電子版 06:43)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比133ドル33セント高の2万3883ドル09セントで終えた旨。米経済活動の再開や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から買いが優勢だった旨。米原油先物相場が約1カ月ぶり高値に上昇したのも投資家心理を支えた旨。

□5月7日(木)

米国の労働環境の急激な悪化ぶりである。

◇Jobless claims climb to 33M in seven weeks as nation braces for historic unemployment rate-3.2M filed for unemployment last week; total at 33M in 7 weeks (USA Today)
→コロナウイルス封鎖の打撃、33 millionを上回る人々がここ7週間で給付申請の旨。Labor Department、木曜7日発によると、先週だけで約3.2 millionの人々が失業申請、その前の週の3.8 millionを下回り、3月後半の最高、6.86 millionから低下の旨。

◇NYダウ反落218ドル安、米雇用、米中対立に懸念広がる (日経 電子版 05:26)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、ほぼこの日の安値となる前日比218ドル45セント(0.9%)安の2万3664ドル64セントで終えた旨。米雇用指標の大幅な悪化や米中対立の懸念から売りが優勢となり、ダウ平均は取引終了にかけ一段安となった旨。

ドイツでの経済再開に向けた規制緩和の状況である。

◇ドイツ、コロナ規制を緩和、全商店・プロサッカーを再開 (日経 電子版 05:35)
→ドイツ政府は6日、国内の全商店の営業やプロサッカー「ブンデスリーガ」の再開などを認める経済規制の緩和策を発表、4月20日から小規模の商店に限って営業を認めてきたが、新型コロナへの新規感染者数は減り続けており、さらなる正常化が可能と判断した旨。メルケル首相は記者会見で「少しだけ大胆になれたが、引き続き注意が必要だ」と語った旨。
メルケル首相とドイツの全16州の州首相が電話会議で合意、今後は大規模な家電量販店やデパートなども営業できるようになる旨。飲食店などの営業は州ごとの判断となり、今月から順次営業が始まる見通し。ブンデスリーガは5月後半から無観客で再開される旨。

□5月8日(金)

◇NYダウ反発、211ドル高、米経済再開で景気回復期待 (日経 電子版 05:30)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比211ドル25セント(0.9%)高の2万3875ドル89セントで終えた旨。経済活動の再開が多くの州に広がり、米景気が回復するとの期待から主力ハイテク株を中心に買いが優勢となった旨。

米国の4月の雇用統計が、失業率が14.7%に急増、戦後最悪の状況となっている。

◇US unemployment hits postwar high at 14.7% (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米国労働省、金曜8日発。世界最大の経済を停止させた封鎖を受けて20.5mのアメリカ人が先月仕事を失い、米国の失業率が14.7%に急増、第二次世界大戦以降最高水準の旨。4月の米国非農業部門雇用者数の低下は史上最大の落ち込み、3月の870,000から増大の旨。

◇A record 20.5 million jobs were lost in April as unemployment rate jumps to 14.7% (CNBC)

米中摩擦の増大懸念から、両政府代表メンバーがコロナ感染拡大から初めてのこと、電話協議を行っている。

◇US, China trade negotiators talk about phase one deal as uncertainty looms (CNBC)
→Steven Mnuchin米国財務長官とRobert Lighthizer米国通商代表が、木曜遅く(Eastern time)中国の劉鶴副首相に電話し、1月に双方で調印した“phase one”貿易取引など経済および公共健康に関する問題を協議、米国と中国の間の緊張の高まりを巡る投資家のグローバルな懸念から来ている旨。

◇米中、貿易交渉巡る「第1段階合意」で電話協議−コロナ後に初めて (日経 電子版 22:48)
→米中両国政府は8日、2020年1月に署名した貿易協議の「第1段階合意」を巡って電話で協議、新型コロナウイルスの感染が拡大してから正式協議は初めて。中国が「合意履行に有利な雰囲気と条件をつくるよう努力を」と注文をつけた一方、米国は新型コロナと関係なく輸入目標を達成するよう中国に迫った旨。

□5月9日(土)

◇米失業率、戦後最悪の14%、4月の就業者2050万人減 (日経 電子版 07:29)
→米労働省が8日発表した4月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が戦後最悪となる14.7%に急上昇、就業者数も前月から2050万人減り、過去最大の減少。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動がほぼ停止した影響が響いた旨。米政権は2020年後半からの回復を見込むが、職場復帰が遅れれば経済は長期停滞のリスクがある旨。

◇NYダウ続伸455ドル高、米中対立の懸念和らぐ (日経 電子版 07:31)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比455ドル43セント(1.9%)高の2万4331ドル32セントとほぼこの日の高値で終えた旨。新型コロナウイルスの発生源を巡る米中対立が先鋭化するとの懸念が後退し、市場心理が改善した旨。米国の多くの州で経済活動の制限が緩和され始め、米景気が最悪期を脱したとの見方も買いを後押しした旨。

□5月10日(日)
◇新興国感染、先進国抜く、1日5万人超え新たなリスク (日経 電子版 02:00)
→米欧が経済再開へ動き始めるなか、新興・途上国で新型コロナウイルスの感染が急増している旨。新規感染者数は5月上旬に先進国を逆転し、8日に1日5万人を超えた旨。ロシアは感染者数が連日1万人を超え、ブラジルは1日の死者数が米国に次いで世界2位となった旨。脆弱な医療体制にもかかわらず、貧困層の不満を抑えるため経済再開を急いでおり、感染爆発の懸念が高まっている旨。

シリコンバレーおよびカリフォルニアの最新状況が以下の通りである。コロナ禍でのいろいろな切り口での実態が引き続きあらわれている。

□5月5日(火)

◇Coronavirus update: State begins loosening lockdown restrictions but Bay Area charts its own course (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→California州のGavin Newsom知事が月曜4日、同州がstay-home指令の新たな段階に入り、retailビジネスへの制限を如何に緩和し始めるか説明、しかしBay Areaは少なくとも当面は自らのより厳しい指令のままの旨。

□5月6日(水)

◇Coronavirus roundup: Palo Alto prepares for major budget pain | Pot dispensary touts 400% increase in deliveries (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*Palo Alto市議会が、約$38.8 millionの財出削減を決定、5月11日までにどこでどう削るか選択肢を置く旨。
 *San Joseの大麻dispensary、Airfield Supply Co.が、マリファナの配達400%増に追いつくようoperations拡大の旨。

□5月7日(木)

◇Coronavirus roundup: Santa Clara County wants to trace infection 'at a scale that we've never before done here' (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa Clara Countyが、Covid-19の拡がりを制御する活動に向けてcontact tracingについて新たな重点追加、county health officer、Dr. Sara Cody氏は、contact tracingチームスタッフは1,000人が理想的としており、現在は毎日約75 cases対応の旨。

□5月9日(土)

◇カリフォルニアも経済再開、2カ月ぶり、「第2波」に警戒 (日経 電子版 07:20)
→米国で経済活動を再開させる動きが広がっている旨。テキサス州など約30州に続き、全米最多の4000万人を抱えるカリフォルニア州でも8日、衣料品店など一部の小売店が約2カ月ぶりに店を開けた旨。行動制限の緩和が行きすぎれば感染が再び広がるとの警戒は根強く、再開の判断は郡や市によってまちまち。

以上の世界の概況の中、半導体および関連業界におけるコロナウィルス関連の対応&動きについて、以下日々の動きの中からの抽出である。

□5月4日(月)

4-6月での落ち込みへの警戒感が高まる見方があらわれている。

◇Key Drivers In New Chip Industry Outlook-How the chip industry will fare during the pandemic-CEOs and analysts examine winners and losers and where demand is shifting. (Semiconductor Engineering)
→世界的コロナウイルス大流行の影響が、向こう2-3年に向けて半導体業界に圧し掛かる様相の旨。「明確に低迷が見えており、第二四半期に入って痛もうとしていると思っている。」と、VLSI Researchのchairman and CEO、G. Dan Hutcheson氏。

インドのIT市場におけるコロナ・インパクトである。

◇India's Software Market Growth Down to 4.1% on COVID-19 Impact (EE Times India)
→International Data Corporation(IDC)のWorldwide Black Book Live Edition, March 2020での予測。2020年のインド国内のIT spending(ハードウェア、ソフトウェア, およびサービス)が4.5%落ち込む見込み、2019年は9.1%の伸び。ハードウェア分野が最もこの落ち込みに寄与の旨。2020年のソフトウェアは、COVID-19 pandemicのインパクトから4.1%低下の見込み、2019年は16.7%の伸びであった旨。

□5月5日(火)

Apple社恒例のWWDC(Worldwide Developers Conference)も、オンライン開催になっている。

◇Apple's big developer conference will be virtual this year,another big blow to San Jose's hospitality industry (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Apple社が火曜5日、同社のannual Worldwide Developer Conferenceが今年はonline-onlyで開催、6月22日からの旨。

サーバ需要の高まりで、中国の大手の日本市場参入である。

◇サーバ需要、獲得競争、中国大手が日本に参入 (日経 電子版 05:38)
→テレワークや巣ごもり消費の拡大を背景に増える国内のサーバ需要を取り込もうと、IT企業が動き出している旨。サーバ世界3位の中国企業は日本に本格参入し、データセンター向け販売に乗り出す旨。新型コロナウイルスの感染拡大前と比べデータ通信量が最大5割増え、通信やコンピュータの計算を支えるサーバの増強は不可欠。他の外資系も投資に動き、シェア上位の国内勢も迎え撃つ旨。国内の5千億円市場の勢力図が変わる可能性もある旨。中国のサーバ大手、浪潮集団(インスパー)がこのほど日本法人を設立、まず10億円程度を投じてオフィスや営業体制を整え、高速計算が可能な人工知能(AI)用のサーバを販売する旨。対象はデータセンター運営事業者やゲーム会社、企業の研究所など。

◇東芝、週休3日制へ、来月以降、工場など1万人対象 (日経)
→東芝は6月以降、国内の製造現場で約1万人を対象に週休3日制を導入する方針を固めた旨。年間の労働時間は減らさず、出社した日の勤務時間を増やす旨。出勤者をできる限り減らし新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ旨。半導体大手のルネサスエレクトロニクスも工場を除く約5千人を対象に週休3日制を導入する旨。

□5月6日(水)

ドイツ・Infineonの現下の環境での戦略的対応である。

◇Beating the bug-Infineon CEO lays out strategy during the outbreak (Electronics Weekly (UK))
→Infineon TechnologiesのCEO、Reinhard Ploss氏。同社は、新型コロナウイルス世界的大流行に対する政府命令の封鎖の後でマレーシアの2つの拠点を再開できている旨。「封鎖規制、厳しい原材料供給、限られる航空輸送capacityおよび従業員の検疫などすべての困難にも拘らず、ここ数週間においてsupply chainなど活動の大方を維持できている。」と同氏。

◇Covid-19 Lockdown: How India's Electronics Industry Is Coping (EE Times India)
→インドでは数週間厳しく封鎖され、主要都市では少なくともさらに2週間続く見込み。インドのelectronics業界に向けてその事態が意味するものは何か?

□5月7日(木)

世界モバイル通信サービス市場へのインパクトが予測されている。

◇Coronavirus Crisis Deals A $51 Billion Blow to The Global Mobile Communications Industry Outlook-Mobile revenue to drop 4.1 percent worldwide; regional impact to vary... (EE Times India)
→Omdia発。今年の世界モバイル通信サービス市場売上げが$749.7 billion、前回予測$800.3 billionにコロナウイルス世界的大流行の経済的インパクトが加わる旨。2019年は$781.5 billionで、今年の売上げは4.1%減、$31.8 billion減少する旨。

コロナ禍でのWi-Fi 6半導体の伸びが見込まれている。

◇Wi-Fi 6 chip vendors bullish on rising end-market device demand-Sources: Demand rises for Wi-Fi 6 chips (DIGITIMES)
→業界筋発。stay-at-home経済が、Wi-Fi 6としても知られる802.11ax仕様準拠半導体搭載connectivity需要を引っ張っていく旨。MediaTek,RichWaveおよびRealtek SemiconductorのWi-Fi 6半導体出荷が、大方はaudio, gaming, learningおよびremote work応用で奏功、今四半期の間に大きく増える見込みの旨。


≪市場実態PickUp≫

【M&A 3件】

Intel社が、イスラエルのMobility-as-a-Service(MaaS)プラットフォーム開発のMoovit買収を進めている。

◇Intel in talks to buy Israel's Moovit public transit app for $1 billion: media -Report: Intel seeks to acquire Moovit for $1B (5月3日付け Reuters)
→financial news website、Calcalist、日曜3日発。Intel社が、イスラエルの公共交通app developer、Moovitを$1 billionで買収する協議を進めている旨。Moovitは、Intel, BMW iVenturesおよびSequoia Capitalなどの投資家から$133 millionを調達の旨。

◇Intel buys mobility startup for $900M in latest move into autonomous driving (5月4日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Moovitは、世界中3,100都市におけるurban mobilityを簡単にする公共交通およびnavigationデータを供給するモバイル応用で最もよく知られるMobility-as-a-Service(MaaS)プラットフォームの会社。

Nvidiaが立て続けの買収の発表、こんどはopen networkingソフトウェアプロバイダー、Cumulus Networks(Mountain View, California)である。

◇Nvidia Plans To Buy Cumulus Networks In Networking Software Play-Nvidia sets sights on Cumulus acquisition (5月4日付け CRN (US))
→Nvidiaが、open networkingソフトウェアプロバイダー、Cumulus Networks(Mountain View, California)を買収する計画、NvidiaがMellanox Technologiesの約$7 billion買収を完了後ほんの数日の発表の旨。該2社を傘下にして、Nvidiaはenterprisesおよびcloudプロバイダーに高性能computingおよびmachine learningに向けた多種多様なtoolsを出していく旨。

◇Nvidia acquires Cumulus Networks (5月4日付け TechCrunch)

コロナ禍の環境でのビデオ会議台頭であるが、そのサービスのZoomが、懸案のセキュリティ対応で初めての買収である。

◇Zoom's first M&A deal aims at shoring up security (5月7日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→cloud-ベースchat事業のZoom Video Communications社(San Jose)が、25人の暗号messaging startup、Keybase社(New York)を買収、同社初めての買収、Covid-19危機の渦中、Zoom video callsを通して行われた取引の旨。

◇Zoom、暗号化技術の米社買収、安全性の懸念に対応 (5月8日付け 日経 電子版 07:52)
→ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは7日、通信データの暗号化技術を持つ米新興企業のキーベースを買収したと発表、25人の従業員を引き入れ、従来と比べて秘匿性が高いビデオ会議の開発を進める旨。買収額は公表していないが、ズームにとって初の企業買収となる旨。

【第一四半期スマホ出荷】

この1-3月四半期のスマートフォン出荷関連のデータが、以下の通りである。世界市場そして中国市場での落ち込みがあらわされる一方、5Gスマートフォンの初期段階の上がりっぷりである。

◇Worldwide Smartphone Market Suffers Its Largest Year-Over-Year Decline in Q1 2020 Due to COVID-19 (5月1日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→International Data Corporation(IDC) Worldwide Quarterly MobilePhone Trackerからの速報データ。2020年第一四半期の世界スマートフォン出荷が、前年同期比11.7%減の275.8 million台。

◇China smartphone sales nosedive in 1Q20, says Digitimes Research (5月4日付け Digitimes Research)
→Digitimes Research発。2020年第一四半期の中国市場におけるスマートフォン販売が近年最低四半期水準で、前四半期比51.9%減、前年同期比38.9%減、新型コロナウイルス世界的大流行および季節性のインパクトによる旨。

◇Samsung Leads in 5G Smartphones in Q1 2020-Samsung & Huawei Capture 68 Percent Share of Global 5G Smartphone Shipments in Q1 2020... (5月5日付け EE Times India)
→Strategy Analytics発。2020年第一四半期のグローバル5Gスマートフォン出荷が24.1 millionに増大、2019年出荷すべての18.7 million台を上回った旨。5Gスマートフォンの需要は、Covid-19 epidemic発生にも拘らず特に中国で力強いが、韓国、米国および欧州でも伸びている旨。ベンダー別には、Samsungが8.3 million台で首位、S20 5GおよびS20 Ultra 5Gが人気モデルの旨。Huaweiが2位、ほとんどすべてが中国への出荷。

【Imagination Technologies関連】

今回も注目せざるを得ないが、中国ownersとなっているImagination Technologiesを巡って英国議会が同社現旧CEOsに対する聴聞会を行った関連が以下の通りである。英国国産のintellectual property(IP)保護のあり方が論点と思われる。

◇Imagination Previews Shifting Views Prior to UK Hearing (5月5日付け EE Times)
→Londonにて火曜5日朝、現在および旧のImagination Technologiesの幹部が、英国・Foreign Affairs Committeeにより同社の計画について質問を受ける旨。

◇Is a Possible IPO Imagination's Right Exit Strategy?-The fate of Imagination has turned political in the UK, but the reality is not related to ownership, but more about the company's survival... (5月5日付け EE Times India)

◇Imagination Inquiry Exposes Wider Risk of IP Sales to China-IP sales to China -- good for business, or bad? (5月6日付け EE Times)
→1)Imagination Technologiesの4人の中国投資家をexecutive boardに加えるという今はない計画が、英国で痛いところを突かれ、本格的な政府査問会につながる一連のイベントを起こしている旨。英国議会のforeign affairs committeeを前にした3時間の聴聞で、旧および現在、3人のImagination CEOsが、該IP開発メーカーの遺産を維持する公開の戦いで厳しく問われた旨。該論争では、Imaginationのowner、Canyon Bridge Partnersの新しい中国人の取締役をboardに加える数週間前の試みの適合性、および英国国産のintellectual property(IP)を保護する上での英国政府の役割があれば、に中心が置かれた旨。
 2)英国議会のforeign affairs committeeが、英国でintellectual property(IP)をまかなうImagination Technologiesの将来に関する最近のあいにくな出来事を受けて、中国の顧客へのIP licensingについての聴聞会を開催の旨。venture capital(VC)会社、Canyon Bridge PartnersがImaginationを所有、中国政府が支える投資ファンド、China Reform Holdingsが出資の旨。

◇Imagination May Face Wider Risk of IP Sales to China-Imagination Technologies' now-defunct plan to add four Chinese investors to its executive board has touched a raw nerve in the UK... (5月8日付け EE Times India)

【メモリ半導体価格】

今年の世界半導体市場を占う上で注目するメモリ半導体価格であり、DRAMが4月上昇かと思うと、5月出だしのスポットが安値と、激変が見込まれる環境下、いっそう目が離せないところである。

◇Memory looking solid-DRAMeXchange: Memory chip prices increased in April-April server DRAM contract prices rose 18% m-o-m, says DRAMeXchange. (5月5日付け Electronics Weekly (UK))
→DRAMeXchange発。4月のDDR4 8GB PCDRAMの価格が前月比11%高の$28.30、一方、DDR4 32GBサーバDRAM価格が18%高の$143.15。64Gb MLC NANDフラッシュメモリデバイスの価格は$3.24のままで、3月から比較的変わっていない旨。

◇DRAM、1割安、5月上旬スポット (5月8日付け 日経)
→DRAMのスポット(随時契約)価格が下落している旨。指標となるDDR4型の4ギガビット品は、5月上旬時点で1個2.03ドル前後。1カ月前に比べ1割程度安い旨。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大でスマートフォンなど最終需要が鈍り、先行き不安が強まっている旨。

【台湾業況関連】

この3月に上場来最高の販売高を記録したTSMCに関する動きが、以下の通りである。最先端微細化を推進する意気込みがうかがえている。

◇TSMC raises salaries by at least 3% (4月30日付け Focus Taiwan)
→TSMCが、COVID-19のビジネスインパクトにも拘らず、今月から従業員の給与を5年連続で3-5%上げた旨。

◇April fall for TSMC-TSMC posts April revenue of $3.21B, down 15.4% from March (5月8日付け Electronics Weekly (UK))
→TSMCの4月売上げが$3.21 billion、前月比15.4%減、前年同月比28.5%増。
1-4月累計が$13.4 billion、前年同期比38.6%増。第二四半期売上げが$10.1〜$10.4 billion、2020年通年では14-19%の売上げ増を見ている旨。

◇TSMC Expected to Rebound in 2021 on AMD Gains (5月8日付け EE Times)
→Wedbush Securitiesのsenior vice president、Matt Bryson氏。AMDなどファブレスメーカーがIntelから市場シェア獲得、TSMCが来年から力強く上げていく様相の旨。

Apple対応&多角化推進のFoxconnも、4月としては最高の売上げを記録している。

◇Foxconn posts increased April revenues-Foxconn reports $12.72B in April revenue, a company record (5月7日付け DIGITIMES)
→Foxconn Technology Group(Hon Hai Precision Industry)の2020年4月連結売上げがNT$380.93 billion($12.72 billion)、前月比9.6%増、前年同月比0.3%増、4月の新記録となる旨。2020年1-4月累計ではNT$1.31 trillion、前年同期比8.74%減。

半導体のテストについて、現在の混乱する環境を受けて世界各国のIDMsから台湾の会社に委託する流れの高まりである。

◇IDMs gearing up to outsource IC test business amid pandemic-Sources: IDMs outsource IC test services to Taiwan OSATs (5月7日付け DIGITIMES)
→業界筋発。欧州、米国および日本のIDMsが、該地域および東南アジアおよび南アメリカの工場が新型コロナウイルス世界的大流行による封鎖からの生産の混乱に苦しんで、operations, 特にbackend IC testingを台湾のOSAT会社に外出しするよう熱心に動いている旨。台湾のbackend testing specialists、King Yuan Electronics, ArdentecおよびSigurd Microelectronicsにおいて、RFデバイス, センサ, power amplifiersおよび受動コンポーネントに向けたIDMsからの半導体probingおよび最終テスト受注が今や増えている旨。


≪グローバル雑学王−618≫

コンピュータで扱われる情報が行き交って作り出す情報網(ネットワーク)や、そこから生まれる社会やコミュニティ、文化などが広がっている世界、すなわち「サイバー空間」において生じている問題の現在までの状況を、

『サイバー戦争の今』
 (山田 敏弘 著:ベスト新書 607) …2020年1月5日 初版第一刷発行

より見ていく。司令官殺害を受けてイランがイラクにある米軍基地を攻撃したのが今年早々のことであるが、遡る10年前のこと、米国がイランの核施設にマルウェアを仕込み、遠隔操作で破壊した作戦、これこそ実際に起きた世界で最も有名なサイバー攻撃、とある。かつての映画「007」シリーズに接した感じ方があるが、サイバー領域は、2011年以降、米国の安全保障において陸・海・空・宇宙に次ぐ第五の領域とみなされているとのこと。単に技術的観点のみならず国際政治、各国の選挙、市場権益(国際公共財)、知的財産、安全保障、軍事作戦、国の危機管理体制などの各分野に跨る問題の側面を合わせ持っているサイバー空間の問題のいくつかの事案に、いずれも初めて知らされる受け止めで迫っている。


第2章 2019年サイバー問題
 −サイバーセキュリティの現在地

◆イランの核施設にマルウェアを仕込み、遠隔操作で破壊してみせた
・実際に起きた世界で最も有名なサイバー攻撃事案
 →2010年に発覚したイランのナタンズ(Natanz)核燃料施設を破壊した「オリンピック・ゲームス作戦」
 …2009年、米国が巧妙なサイバー攻撃で、イランの厳重な核施設を秘密裏に爆破した作戦
 →複雑なマルウェア(悪意ある不正プログラム)、「スタックスネット(Stuxnet)」を作成して核施設をサイバー攻撃で破壊、イランの核開発を遅らせることに成功
 →米国の情報機関、NSA(米国家安全保障局)が、イスラエル軍に属するサイバー部門、8200部隊の協力を得て、実施したもの
・該サイバー攻撃の内容
 →外部のインターネットから遮断・隔離されていたナタンズのシステムに、スタックスネットを持つパソコンまたはUSBドライブを何らかの方法で持ち込み、インストール
 →そして、スタックスネットは施設内部でウラン濃縮作業を行う遠心分離機の動作を管理する独シーメンス社製の中央制御装置を乗っ取る
 →多くの遠心分離機を不正操作して破壊
・スタックスネットは、メンテナンスで出入りする関係者のパソコンに記録した内部の運用情報ファイルを勝手にコピー
 →NSA関係者はその内部情報を精査し、より正確に攻撃を遂行できるよう、さらにスタックスネットをカスタマイズ
 →出入りする関係者のパソコンにアップデート版を感染させ、ナタンズの内部に送り込む
 →長時間かけてじっくりと遠心分離機を破壊、機能停止の方向に導いた
・シーメンス社製の制御装置が攻略されてしまった事実
 →世界中の核関連施設などがスタックスネットのようなマルウェアなどで破壊される可能性があることを示唆
 →シーメンス社に限らず、ディジタル化された核施設などの制御装置が、サイバー攻撃に晒されるリスクがあることも露呈
・特筆すべきは、この映画にでも登場しそうな複雑なサイバー攻撃が実施されたのが、今から10年も前ということ
 →現在、国家が絡むサイバー工作ではどんなレベルの攻撃が実現可能になっているのだろうか
・今、サイバー空間で行われている攻撃
 →何年も前、スパムと呼ばれるメール
  →見ず知らずの会社などからメールが一方的に送り込まれ、そこにあるリンクなどをクリックすることでマルウェアに感染
 →DDos(ディードス)攻撃
  →標的のサーバなどに大量のデータを送りつけて負荷を高めることで、機能を不全にさせてしまう攻撃
 →フィッシングメール
  →攻撃者は一般のユーザに多くの偽メールを送り、偽のリンクをつけるなどしてパスワードなどを不正に獲得して悪用する攻撃
 →ランサムウェア
  →2018年に世界中で猛威、いわゆる身代金要求型ウイルス
  →欠陥があるパソコンに感染、勝手に乗っ取って暗号化して使用できなくしてしまい、元に戻したければカネを支払うよう要求する形
 →スピアフィッシング・メール
  →さらに巧妙になったフィッシングメール
  →実在する企業や人物を装ったメールで標的を騙し、パスワードなどを盗み出す
  →貼り付けてあるリンクをクリックなどすれば、攻撃者がパソコンに侵入できる
 ・ここで紹介した攻撃は、万国共通
 →毎日、まさにこの瞬間も、世界ではこうしたサイバー攻撃が繰り広げられている

◆IoTを利用してDDos攻撃を仕掛けるマルウェア「Mirai」とは
・2017年2月、英国家犯罪対策庁(NCA)は、英国とイスラエルの二重国籍者(30才)を逮捕
 →西アフリカのリベリアにある通信会社セルコムから依頼を受け、ライバルである通信会社ローンスターへのDDos攻撃を実施
・IoT機器をハッキングして支配するための「Mirai(ミライ)」という有名なマルウェアが使われた
 →攻撃があまりにも強力だったために、リベリア国内のインターネットの大部分が機能不全に陥った
 →1人のハッカーが一国家のサイバー空間をほぼ遮断してしまった
・Mirai
 →日本のTVアニメ『未来日記』から取ったもの
 →作成したのは、20才が2人と21才が1人の3人の若者
・Miraiのメカニズム
 →購入時のままで使われているIoT機器を世界中のネット上で探す
 →検知した大量のディジタル機器に感染し、所有者に知られることなく支配下に置き、DDos攻撃に使うためのIoTの機器群(ボット・ネット:Botnet)を作る
・デバイスを探し始めてから20時間で6万5000個のディジタル機器に感染
 →攻撃者の指示を受ければ、こうした機器は一斉に指定されたサーバなどにデータを送りつける
・世界で最初のDDos攻撃は、イタリアの「ハクティビスト(ハッカーとアクティビスト[活動家]を足した言葉)」
 →1995年に世界初の攻撃
・ある米国の調査では、民間企業の80%以上が1年間に何らかのDDos攻撃を受けている
 →損失額は1時間で30万ドル超
・米金融機関では「シェルタード・ハーバー(Sheltered Harbor)」と呼ばれる取り組みが2017年から
 →参加している他のメンバーである金融機関が顧客データなどをシェアし、代わりに扱えるようにするもので、リスクが拡散できる
 →現在、米国の金融機関がもつ口座の7割ほどがこの「シェルタード・ハーバー」に守られている計算
・IoT機器は2030年には5000億個を超えるとも言われている
 →歓迎されるべきだが、同時にリスクも高まることを忘れてはいけない
・今、DDos攻撃は、闇ウェブに行けば時間貸しでレンタルできるようになっている
・ライバルに対する攻撃は以前から起きている
 →企業間などの競争にもサイバー攻撃が使われることがある

◆JALも騙されたビジネスメール詐欺、被害額は3億8400万円
・2016年6月、(筆者は)シンガポールの国際警察機構(ICPO=インターポール)のサイバー犯罪対策部門を訪ねた
 →「ビジネスメール詐欺(BEC:Business Email Compromise)」という「いわゆる電子メールの『背乗り』のサイバー犯罪が増えている」との指摘
 →民間企業に多大な金銭的損害を与え、表沙汰になれば評判を著しく貶めるサイバー犯罪
・米FBI(連邦捜査局)によれば、BECは、2016年12月から2018年5月までに、世界で125億ドルの被害
 →この犯罪では、攻撃者らはまず周到にターゲットとなる企業について様々な方法でリサーチを行う
 →フィッシングメールなどによって、マルウェアを仕掛けるケースもある
 →ターゲット企業内のシステムに入り込み、上司や取引先企業になりすます
・ひとつ忘れてはいけないのは、BECは金銭が目的の攻撃であるが、攻撃者はBECのためにターゲットのシステムに侵入できていること
 →何だってやり放題、その気になればシステムを破壊することも可能
・BECのケースは日本でも
 →2017年9月、日本航空(JAL)に取引先の担当者を装った人物からの偽メール
 →「サプライチェーン攻撃」というサイバー攻撃にも当てはまる
  …ビジネスにおけるサプライチェーンを狙う攻撃
  …出入りしたり、取引をしているセキュリティ対策の甘い企業などにまずサイバー攻撃をして侵入してから、大手企業を狙っていく手法
・米国では、2013年に米大手量販店TARGETが被害に
 →2017年には、米信用調査会社エクイファックスへの大規模サイバー攻撃
・特に最近サイバーセキュリティ関係者たちが懸念しているのは、クラウドサービスへのハッキング
 …インターネット上で個人や企業の情報の保存や処理、共有などが行えるサービス
 …グーグルのグーグルドライブなど
 →クラウドサービスがサイバー攻撃に遭って攻撃者に侵入されてしまったら、そこを利用しているユーザ(個人や企業)の情報が一斉に盗まれる可能性がある

◆TV局がハッキングされ番組中に緊急速報、「死者が墓場からよみがえった!」
・最近よく耳にするようになった「流行り」のサイバー攻撃に、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)
 →2018年3月、メリーランド州ボルチモアで、周辺地域の911システムや311システムが利用できなくなった
 →米国の911…日本でいうところの110番
 311…市民が自治体に行政に絡む苦情や通報、質問などを知らせられる
 →同時期に、ジョージア州アトランタでも攻撃が確認された
 →結局、犯人としてイラン人ハッカー2人が起訴された
・最近、こうした攻撃が米地方自治体や公共機関を次々と襲っている
 →2018年3月、ジョージア州ジャクソン郡の役所は、40万ドルの「身代金」を支払い、パソコンを暗号から解くことができた
 →2013年、モンタナ州グレートフォールズにて、シカゴ警察の警官だったタレントが司会をする午後のトーク番組中
 →突然、画面の上部に緊急警報システムのメッセージ
 …「・・・、死者が墓場からよみがえっており、生きている人々を襲っているよう・・・」
 →結局、何者かによってハッキングされていたことが判明
 →今も犯人は捕まっていない
・ネットワーク化され、便利になる今の世の中では、思いがけないところにサイバー攻撃の落とし穴がある
 →欧州諸国でも2016年には1日4000件以上のランサムウェア攻撃が発生(欧州委員会の調査)
・世界のサイバー攻撃事情
 →世界各地の選挙を襲うサイバー攻撃
 →サイバー工作によるスパイ活動
 →インフラ施設への妨害工作
 →有事に向けたサイバー工作
 →国家が乗り出している金銭目的のサイバー攻撃

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2020 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.