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「COVID-19」インパクト:新たな米中対立、半導体関連市場の見方

世界184カ国・地域に広がっている「COVID-19」感染者、累計310万人を上回る現時点、米国が100万人突破、ロシアも急増してきて10万人を超えている状況である。感染封じ込めの様相の中国、韓国もsocial distancingキープの人出模様、そして経済再開に向け用心深い段階を踏み進める米欧各国、対して緊急事態宣言が1ヶ月程度延長の我が国となっている。混乱の世界経済の渦中、米国が半導体関連など中国に対して新たな輸出制限を課する動きがあらわれるとともに、中国に頼る医療品でも対立が広がってきている。第一四半期についてはAppleも僅かに増収など健闘が見られているが、第二四半期以降は未曽有のインパクトを受けて見通せない各社の反応が続いている。

≪インパクト概況&半導体関連≫

「COVID-19」インパクトが引き続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。手探りで経済再開の糸口を進める米国および欧州の対応はじめ、発信日で示している。

□4月27日(月)

米国から中国へのさらなる輸出制限が週のはじめ早々に打ち出され、半導体関連ということで、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から早々ほどほどにとのステートメントが投げかけられている。

◇U.S. Imposes New Rules on Exports to China to Keep Them From Its Military (The New York Times)
→米国が月曜27日、半導体製造装置などの技術を北京の軍事関係から離すよう中国への新しい輸出制限を課する旨。該新規則では、製品がcivilian用であっても軍事関係をサポートする中国の会社に対してあるitemsを販売するのに米国の会社にはlicensesを必要とする旨。

◇SIA Statement on Export Control Rules (SIA Latest News)
→Export Administration Regulations(EAR)のいくつかのitemsの修正に対するSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident and CEO、John Neuffer氏ステートメント。「軍民融合体(Military Civil Fusion)の流れは理解する一方、これら広い規則が半導体の輸出管理を不必要に広げ、空前のグローバル経済の混乱のときに我々の業界にさらに不安定性を生み出す懸念がある。該規則を見直して、米国国家安全を守るとともにアメリカの半導体leadershipを進めるやり方で実行するよう政権に督促する。」

その米国と中国の新型コロナウイルス感染状況のここまでかという対比である。

◇新型コロナウイルス、新規感染者3人、2人は輸入症例 (新華網 日本語)
→中国国家衛生健康委員会は27日、26日の新型コロナウイルスの感染状況を発表、31の省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団からの報告では、同日に新たに確認された感染者は3人(輸入症例2人、黒竜江省1人)で、新たな死者はゼロ、新たな感染の疑いのある患者は5人(輸入症例4人、北京1人)だった旨。

◇米コロナ感染者、100万人に迫る、経済再開準備も活発に (日経 電子版 06:23)
→米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、米東部時間26日午後4時(日本時間27日午前5時)時点の新型コロナウイルスの感染者数は世界で295万人に達し、大台となる300万人に迫った旨。感染者の拡大が続く一方、増加ペースが落ち着いてきた米国では多くの州が経済活動の再開に向けた準備を活発化させている旨。

□4月28日(火)

HuaweiおよびZTEなどテレコム機器サプライヤから米国で稼働している中国の通信carriersに、米国の矛先が向かおうとしている。

◇US Regulator Prepares to Bar Chinese Telcos (EE Times)
→最初は通信インフラ・サプライヤ、主にはHuaweiおよびZTEであったが、今やアメリカのFCCおよび最も影響力のあるstate departmentsの多くがアメリカで稼働している中国carriersに注意を向けている旨。彼らは自分たちが中国国家に究極的には制御されていないことをFCCに対して30日以内に説得できなければ、これらoperatorsのlicensesを取り下げると迫っている旨。China Telecom Americas, China Unicom Americas, Pacific NetworksおよびComNetなどが対象の旨。

感染の拡大が収まらない世界の状況である。

◇新型コロナ感染者、世界で300万人超、拡大ペース鈍らず (日経 電子版 05:01)
→新型コロナウイルスの感染者数が27日、世界で300万人を超えた旨。米ジョンズ・ホプキンス大学によると米東部時間午後1時(日本時間28日午前2時)時点で約300万2千人となった旨。死者数は20万7千人。感染地域は世界185カ国・地域にまたがり、収まる気配を見せていない旨。
感染地域が医療体制が充実していない発展途上国に広がっていることも懸念材料。3月までは国全体で感染者数が6千人だったブラジルは27日時点では6万3千人。直近で1日約4千人のペースで感染者が増えている旨。インドも1日2千人近く増加。途上国での医療体制を支援し、感染を抑えることも今後の焦点となりそうな旨。
国別の感染者数では最多の米国で約98万人、スペインが23万人、イタリアが20万人で続いた旨。ロシアが8万7千人まで増え、中国(8万4千人)を上回った旨。死者数は米国で5万5千人、イタリアで2万7千人、スペインで2万4千人となった旨。

待ち望む経済再開の動きを受けて上げ基調の米国株式市場となっている。

◇NYダウ続伸、358ドル高、経済活動再開の動きを好感 (日経 電子版 05:11)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比358ドル51セント(1.5%)高の2万4133ドル78セントで終えた旨。米国で段階的に経済活動を再開させる動きが広がっており、米景気が回復に向かい始めると期待した買いが優勢だった旨。
多くの州で新型コロナの感染拡大ペースが鈍化しており、27日までにテネシーやジョージア、サウスカロライナなどの各州がレストランやサービス業の営業再開を許可した旨。感染が深刻なニューヨーク州でもクオモ知事が26日、時期は明示しなかったものの、建設業や製造業を第1段階として徐々に経済を再開させていく方針を示した旨。

米中対立の医療品への広がりである。如何に中国に依存しているか、その裏返しでもある。

◇米中対立、医療品にも、政権・議会、コロナ機に輸入依存脱却探る (日経 電子版 19:05)
→米国と中国の対立が医療品に広がってきた旨。新型コロナウイルスの流行を機に、国民の生命に関わる医療品を中国からの輸入に頼る弱みが浮き彫りになっており、トランプ政権や議会は企業に生産回帰を促す政策を検討する旨。知的財産や農産品が焦点だった米中貿易戦争は年明けに「休戦」したが、新型コロナが新たな火種を生んでいる旨。
米国の輸入全体の18%は中国が占めるが、米ピーターソン国際経済研究所の調べでは、医療品に限れば26%に上る旨。個人防護用品(対中依存度は72%)、ゴーグル(同55%)など、国民の生命を左右する医療品の多くは中国製。

□4月29日(水)

米国の第一四半期のGDPがマイナス4.8%と11年ぶりの低水準となっているが、第二四半期は未曽有の落ち込み必至と見込まれている現時点である。

◇US GDP falls 4.8% in worst economic decline since 2008 (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→経済を支えるアメリカの消費者への打撃は、1980年以降最大の低下となった個人消費の7.6%の落ち込みのデータにおいて明らかの旨。

◇US GDP shrank 4.8% in the first quarter amid biggest contraction since the financial crisis -US GDP fell 4.8% in Q1 (CNBC)

◇米GDP4.8%減、1〜3月、11年ぶり低水準 (日経 電子版 21:40)
→米商務省が29日発表した1〜3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で4.8%減少、新型コロナウイルスで3月半ばから経済活動が制限され、約11年ぶりの大幅なマイナス成長となった旨。
4〜6月期は戦後最悪の2桁のマイナス成長が予測され、企業倒産や失業の一段の回避策が求められる旨。
四半期ベースでマイナス成長に転落するのは、2014年1〜3月期(1.1%減)以来。マイナス幅は金融危機だった2008年10〜12月期(8.4%)以来の大きさとなった旨。米景気は2009年7月以降、過去最長の拡大局面にあったが、10年半で途切れそうな旨。

◇NYダウ32ドル安、5日ぶり反落、ハイテク株に利益確定売り (日経 電子版 05:54)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落、前日比32ドル23セント(0.1%)安の2万4101ドル55セントで終えた旨。欧米で経済活動が段階的に再開され、景気回復に向かうとの期待から買いが先行した旨。ただ、主力ハイテク株が軒並み売られ、引け間際に下げに転じた旨。

中国が3月5日に予定していた全人代を延期したが、このほど5月22日開幕を打ち上げている。

◇中国全人代5月22日に開幕、常務委が決定、新型コロナ感染封じ込めアピールか (SankeiBiz 12:00)
→中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は29日、新型コロナウイルスの流行を受けて延期されていた第13期全人代第3回会議を5月22日から北京で開くことを決めた旨。国営新華社通信によると、国政助言機関の人民政治協商会議(政協)も5月21日から北京で開く旨。

□4月30日(木)

以下にも見られる通り、新型コロナへの対応を巡って米国にて中国に対する報復論が浮上している。

◇Trump threatens new tariffs on China in retaliation for coronavirus-Tariffs on China on the table as Trump mulls coronavirus retaliation (Reuters)

◇緊急事態宣言延長へ、政府調整、全国対象に1カ月程度 (日経 電子版 05:15)
→政府は5月6日に期限を迎える新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を延長する方針を固めた旨。全国を対象にして1カ月程度延ばす案を軸に調整する旨。1日に開く専門家会議の意見や感染状況を見極めたうえで最終判断する旨。

◇NYダウ反発、532ドル高、コロナ治療薬に期待感 (日経 電子版 05:33)
→29日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が反発し、前日に比べて532ドル31セント(2.20%)高い2万4633ドル86セントで終えた旨。新型コロナウイルス治療薬の開発に前進が見られ、市場では景気落ち込みへの警戒が和らいだ旨。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、当面ゼロ金利政策を続けると強調したことも、買い安心感につながった旨。

米国・FRBにて、第二四半期への備えが行われている。

◇米、無制限の量的緩和維持、FRB議長は追加策を検討 (日経 電子版 06:26)
→米連邦準備理事会(FRB)は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国債などを制限なく購入する量的緩和政策などの維持を決めた旨。会合後に記者会見したパウエル議長は「経済の大部分が停止し、4〜6月期は過去例のないマイナス成長になる」と指摘。経済復元に向けて「必要な措置をさらに執るだろう」と追加策を検討する考えを強調した旨。

□5月1日(金)

半導体好調では補えない台湾のGDPがうかがえている。

◇台湾、成長1.5%どまり、半導体好調も予想下回る、1〜3月 (日経)
→台湾の行政院(内閣)主計総処は30日、2020年1〜3月期の実質経済成長率が前年同期比1.54%だったと発表、2月前半時点の予想を0.26ポイント下回った旨。新型コロナウイルスの影響で民間消費が想定以上に落ち込んでいる旨。テレワーク(遠隔勤務)など在宅需要の恩恵で電子部品の輸出は伸びたが、全体を補えていない旨。
前期比年率(季節調整済み)では5.91%のマイナス成長。比較対象の2019年10〜12月期が7.76%のプラスと好調だったため、見かけが大きく悪化した面がある旨。

我が国の緊急事態宣言の延長である。

◇首相、緊急事態宣言の延長表明、「日常に戻るのは困難」 (日経 電子版 05:34)
→安倍晋三首相は30日、5月6日に期限を迎える新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を延長する考えを表明、「7日からかつての日常に戻ることは困難だと考える。ある程度の持久戦を覚悟しなければならない」と述べた旨。首相官邸で記者団の質問に答えた。

実情とかけ離れた4月の米国株式市場があらわされている。

◇NYダウ、4月上昇率は33年ぶりの11%、実体経済と乖離 (日経 電子版 06:58)
→米国株式市場に投資マネーが戻ってきた旨。ダウ工業株30種平均は4月月間で11%高となり、上昇率としては1987年1月以来、約33年ぶりの大きさを記録した旨。米連邦準備理事会(FRB)をはじめ世界の中央銀行が信用不安の封じ込めに乗り出し、投資家がリスクをとりやすくなった旨。米国内総生産(GDP)がマイナス成長に沈み、さらなる悪化が予想されるなか、金融市場と実体経済との乖離が目立つ旨。ダウ平均が月間ベースで上昇に転じるのは、2019年12月以来、4カ月ぶり。

米国の中国に対する報復論があらわれる一方、中国はじめ海外に依存する米国の現状でもある。

◇Covid-19 and America's Vulnerabilities - A Way Forward (EE Times)
→開けるCovid-19危機が、アメリカの大きな経済的およびセキュリティの脆弱性を晒している旨。綿棒、マスク、薬および人工呼吸器からcomputers、先端5Gテレコム製品まで、我々は海外のサプライヤに大方依存している旨。

◇米、コロナで中国に報復論、トランプ氏「関税上げも」 (日経 電子版 12:42)
→トランプ米大統領は4月30日、中国が初期対応を誤った結果、新型コロナウイルスが世界に拡散したとして、同国に報復措置を検討していると明らかにした旨。トランプ氏は関税引き上げに言及したほか、政権は損害賠償金の請求なども検討する旨。米国内の感染拡大の責任を中国に押しつける意図も強いが、対中関係の一段の悪化は米経済・社会の混乱を強めかねない旨。

□5月2日(土)

「徹底した行動変容」がまだまだ求められる我が国である。

◇緊急事態、1カ月程度延長、4日決定を首相表明−専門家会議「長丁場になる」 (日経 電子版 05:40)
→安倍晋三首相は1日、新型コロナウイルスに関する6日までの緊急事態宣言を1カ月程度延長すると表明、全都道府県が対象になる旨。専門家会議が「徹底した行動変容」を続けるよう求めたことを受けた旨。4日に正式決定して記者会見する旨。東京都などは外出や営業の自粛が2カ月近くに延び、経済への影響は甚大になる旨。

5月の声を聞いて、下落に転じた米国株式市場となっている。

◇NYダウ続落、622ドル安、米中関係の悪化懸念で (日経 電子版 05:57)
→1日の米株式相場は続落し、ダウ工業株30種平均は前日比622ドル03セント(2.6%)安の2万3723ドル69セントで終えた旨。下げ幅は一時700ドルに達した旨。トランプ米大統領が4月30日に新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国を批判したのを受け、米中対立の再燃から世界経済を下押しするとの懸念が強まった旨。

シリコンバレーの最新状況が以下の通りである。コロナ禍でのいろいろな切り口での実態があらわれている。

□4月27日(月)

◇Coronavirus update: Stanford Health cuts wages 20% | Stay-home extended | Longtime restaurant closes (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*Palo Alto Weeklyによると、コロナウィルスにより米国ヘルスケアシステムの多くの部分が精一杯働いていながらも、Stanford Health Careが全面的に従業員報酬削減を行っている旨。
 *この日曜日期限であったBay Areaのstay-home指令が延長され、2.5カ月を上回ることになる旨。接客ビジネスの大方閉鎖、何1000もの人々のjobs削減、そして何100万の人々の在宅勤務を強いている旨。

□4月29日(水)

◇Chan Zuckerberg Initiative reveals $13.6M effort to track Covid-19's spread in Bay Area (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOとその妻であるプリシラ・チャン氏の慈善団体、Chan Zuckerberg Initiativeが、Stanford University,University of California at San Francisco, およびChan Zuckerberg Biohubの活動を合わせた$13.6 millionのリサーチでBay AreaにおけるCovid-19の拡がりを見い出す狙いの旨。

□4月30日(木)

◇Coronavirus roundup: Newsom orders only some SoCal beaches closed | New unemployment claims slow (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*California州知事、Gavin Newsom氏が金曜1日、州全体の海岸閉鎖を発表予定であったが、当面はOrange Countyのみ一時的に海岸線を閉鎖するよう命令の旨。
 *木曜30日にリリースされた最新週の失業数が新たに328,000件、前年同期比では大きく上回るが、ここ数週間での記録的な数字からは減少の旨。

□5月1日(金)

◇Coronavirus roundup: Menlo Park budget shortfall | Cities offer to aid county in Covid-19 testing (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→*Menlo Park市(サンフランシスコから南東へ約45km、サンノゼから北西へ約30kmに位置)は今年度大きな予算不足、来年はさらに不足の見込み。
 *市長15人などSanta Clara Countyからの各都市リーダーが、Covid-19 testing拡大への支援に向けたcounty当局へのletterに共同署名。

以上の世界の概況の中、半導体および関連業界におけるコロナウィルス関連の対応&動きについて、以下日々の動きの中からの抽出である。

□4月27日(月)

売上高・利益ともに1〜3月期として過去最高を更新、というIntelの業績発表を前回示したが、加えて今後の未曽有の落ち込み予想へのコメントが見られている。

◇Intel's 2020 Forecast is Grim (EE Times)
→世界最大の半導体メーカー、Intel社が第一四半期について傑出した$19.8 billionの売上げを報告、しかしながら第二四半期については厳しい模様を描いている旨。「同社はかつて見ている最も過酷なときにたぶん突入しようとしているという強力な信号を、managementは送っている。」と、アナリストの1人。

◇Intel Sees Laptop CPU Sales Spike, But PC Slowdown Expected-Intel experiences Q1 spike in laptop chip sales (CRN (US))
→IntelのClient Computing Groupの第一四半期売上げが、前年同期比14%増の$9.8 billion、新型コロナウイルス世界的大流行により多くの人々が在宅勤務となりlaptopおよびnotebookプロセッサ需要が増大の旨。「あるところで不況が始まるインパクトがPCs需要に影響を与えるようになっていく。」と、Chief Financial Officer(CFO)、George Davis氏がアナリストに対し。

Intelの感染防止に向けた支援活動がまとめられている。

◇インテル、対コロナに5000万ドル、治療技術の実用化後押し (日経産業)
→米半導体大手のインテルは新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた技術開発に5000万ドル(約54億円)を拠出、技術や資産を提供し、治療技術の早期の実用化や研究活動を後押しするほか、オンライン学習の取り組みも支援する旨。企業や投資家によるESG(環境・社会・企業統治)重視の流れが広がるなか、新型コロナ対策に自社の資金や技術を提供する動きが一段と広がりそうな旨。5000万ドルのうち、4000万ドルを同社が設立する治療技術の開発支援のプロジェクト「COVID-19対策・準備イニシアチブ」と、オンライン学習の普及拡大を後押しする「オンライン学習イニシアチブ」に充当する旨。

□4月28日(火)

上げているメモリ半導体価格である。

◇Memory market performs relatively strong amid coronavirus outbreak-Memory market remains vibrant despite pandemic (DIGITIMES)
→メモリ半導体の契約価格が、スマートフォンなどconsumer electronicsの売れ行き低下にも拘らず、今四半期の間に上昇している旨。

□4月29日(水)

第二四半期業績への厳しい見方が続いている。

◇Samsung warns of second-quarter profit fall as coronavirus hits sales of phones, TVs-Samsung sees Q2 profit dipping on lower smartphone, TV sales (Reuters)
→Samsung Electronics Co Ltdが水曜29日、今四半期の利益について、半導体事業は依然堅調であるが、コロナウィルス関連でスマートフォンおよびTVsの売れ行きが低迷、減少すると見ている旨。

◇Intel Faces a Grim Outlook for 2020-The world's biggest chip maker made $19.8 billion in Q1, but with the Great Lockdown and AMD nipping at its heels, its forecast for Q2 and beyond is troubling. (EE Times India)

Qualcommは、厳しい渦中ながら5G関連は堅調との見方である。5Gスマートフォンは、Samsungが第一四半期の出荷でリードとのデータが見られている。

◇Qualcomm expects phone shipments to drop by 30 percent next quarter due to COVID-19-Qualcomm sees long-term upside for 5G-Even as it beat its revenue expectations in Q2 (The Verge)
→Qualcommは、スマートフォン出荷が近い将来30%減少と予想、継続するコロナウイルス世界的大流行の結果として前四半期にて需要が21%低迷の旨。同社は依然、5G phonesの今年のグローバル出荷が175 million to 225 million台に達すると見ている旨。

◇Qualcomm: The 5G outlook is still good (Light Reading)

◇Samsung tops 5G smartphone shipments in Q1: report (Yonhap News Agency)
→Strategy Analytics発。Samsung Electronics Co.が、第一四半期の5Gスマートフォン出荷で首位、8.3 million台でグローバル市場シェア34.4%。

メモリおよびpower半導体の市場見通しがあらわされている。

◇Memory market peak of 2018 will not be reached again till 2022-IC Insights: 2018's memory sales won't be matched until 2022 (Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。メモリ市場が2018年の最高、$163 billionに達するのは2022年以降、2021年(21%)および2022年(29%)で戻していくと力強い伸びを予測の旨。弱いDRAM市場で2015年および2016年における全体メモリ市場の伸びはダメであったが、2017年および2018年はDRAMおよびNANDフラッシュ市場の伸びが力強く、全体メモリ市場をそれぞれ64%および26%と押し上げた旨。

◇Power Semiconductor Market Set for 6.9 Percent Decline in 2020 as Coronavirus Ravages the Smartphone and Automotive Segments (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdiaがこのほど予測、2020年のpower半導体市場全体が、2019年の$46.3 billionから6.9%減の$43.1 billionになる旨。power半導体市場は、3つの分野、power integrated circuits(ICs), power discretesおよびpowerモジュールから成る旨。

◇UV-C LED Devices in Shortage Amid Coronavirus-Related Demand Surge (EE Times India)
→TrendForce発。疾病予防製品の需要増加で、UV-C LED(波長≦ 280 nm)supply chain全体にわたる不足を生じている旨。

□4月30日(木)

新型コロナ対策に向けて特許など無償提供の動きである。

◇コロナ対策で知財無償提供、トヨタやキヤノン、数十万件 (日経 電子版 15:10)
→トヨタ自動車やキヤノンなど約20社は世界で広がる新型コロナウイルス感染症の対策向けに、日本や海外で持つ特許などの知的財産を広く無償で開放する旨。ウイルスの検査や治療技術、医療機器などの開発を、企業や研究機関などが進めやすいようにする旨。世界経済に深刻な影響を与える新型コロナ感染拡大の早期収束へつなげる旨。

今年のファウンドリー市場および半導体市場の見込みがあらわされている。
今後の見直しにも注目である。

◇5-9% 2020 foundry growth-TrendForce: Foundry revenue to grow 6.8% in 2020 (Electronics Weekly (UK))
→TrendForceの予測。今年のファウンドリー市場が5-9%、medianが6.8%の伸びの旨。

◇Total Foundry Revenue to Undergo Single-Digit Growth in 2020, Owing to Deferred Seasonality from COVID-19 (SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Omdia Slashes 2020 Semiconductor Growth Forecast Amid Coronavirus Fallout (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdia Application Market Forecast Tool(AMFT)レポート。2020年の世界半導体市場は、メモリICsを除いて5%減少の見込み。メモリを含むと、2020年の該全体市場グローバル売上げが$439.3 billion、2019年の$428.5 billionから2.5%増、前回は5.5%増と見ていた旨。

以下に示す≪グローバル雑学王≫では、今回から「サイバー戦争」を取り上げているが、コロナ禍の現時点で一層の理解を要するところと感じている。

◇Stay Cyber-Secure Working From Home Amid Covid-19 (EE Times India)
→新型コロナウイルス世界的大流行および大量の在宅仕事が合わさって生じるサイバー脅威の非常に大きな増大が、ディジタルデータ&通信のセキュリティを脅かしている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Apple関連】

1-3月四半期に僅かながら増収とAppleの健闘が評価されているが、今後についてのガイドは与えていないところとなっている。Androidモデルに対抗する価格レンジのiPhone SE、そして今秋見込みの新型iPhonesの動きにも以下注目している。

◇Apple to delay mass production of 2020 flagship iPhones: WSJ (4月27日付け Reuters)
→本件事情通引用、Wall Street Journal発。Apple社が、今年後半にやって来る同社flagship iPhonesの生産立ち上げを約1ヶ月遅らせており、新型コロナウイルス世界的大流行がグローバル消費者需要を弱め、アジアでの製造を混乱させている旨。

◇Apple Plays Defense in Mid-range Smartphone Market with New iPhone SE (4月27日付け EE Times India)
→Appleが最近、公式websiteにてiPhone SE (2020)をRMB3,299-RMB4,599(約USD465.82-USD649.38)でリリース、2016年以降のbudgetモデルについて最低のstarting priceである旨。IDCの見方として、該新iPhone SEには明確な目標audienceがあり、主に現状のiOS集団のユーザを守るよう同じ価格rangeでAndroidモデルに対抗で投入の旨。

◇Apple's sales increase despite store closures (4月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleの第二四半期、1-3月売上げが$58.3bn、前年同期比1%増、アナリスト予想の$54.5bnをかなり上回る旨。net profitsは同2.7%減の$11.25bn。

◇Apple sales inch higher despite coronavirus but CEO Tim Cook sees uncertain future-Apple posts Q1 sales of $58.3B; doesn't guide on Q2 (4月30日付け Reuters)
→Appleが、今年第一四半期についてアナリスト評価平均を上回る業績を発表の旨。「短期的には、向こう60日がどう見えるかフロントガラスに当たるのは困難、visibility不足および不安定性からguidanceは与えていない。」とCEO、Tim Cook氏。

◇Apple reports flat revenue and does not offer guidance because of coronavirus uncertainty (4月30日付け CNBC)

◇アップルが見せた新型コロナへの抵抗力、1〜3月も増収 (5月1日付け 日経 電子版 11:40)
→米アップルが新型コロナウイルスへの「抵抗力」を見せつけた旨。30日に発表した2020年1〜3月期決算は市場の減収予想を覆し、わずかながら増収を確保した旨。主力のスマートフォン「iPhone」は世界規模の直営店の閉鎖などで販売減となったものの、音楽・ゲーム配信やウエアラブル端末など新たな商品・サービス群の伸びで補った旨。

【Armの開発支援プログラム】

Armが、半導体の設計・開発に新たに取り組むstartupsに向けて必要となるIP(知的財産)を無償で開放するFlexible Accessプログラムを以下の通り拡大している。

◇Arm Offers Free Up-Front Access to Small Startups (4月29日付け EE Times)
→Armが、新しいstartupsに向けてFlexible Accessプログラムを拡大、該新initiative, Flexible Access for Startupsでは、$5 million以下の出資の各社に、Armの最も価値あるIPのいくつかへのzero initial costでアクセスが得られる旨。

◇Chip technology firm Arm to ease fees for startups, join incubator-Arm joins Silicon Catalyst program, lowers fees for startups (4月29日付け Reuters)
→大方のスマートフォンにその半導体技術が搭載されている英国の会社、Arm社が水曜29日、startup会社向けfeesを緩和、early-stage半導体会社incubatorには無料のofferings供給の旨。

◇英アーム、半導体開発を支援 (4月30日付け 日経)
→英アームはスタートアップ企業向けに半導体の設計・開発に必要なIP(知的財産)を無償で開放する旨。スタートアップ企業はアームの設計ソフトなどを自由に使って製品を開発できる旨。

【Imagination Technologies関連】

今回も取り上げざるを得ないImagination Technologiesを巡る中国ownersと英国政府のやりとりと論評が、以下の通りである。

◇Blog: Does China Have Imagination? (4月28日付け EE Times India)
→最新のImagination board大失敗を起こしたCanyon Bridgeを責める旨。
Canyon Bridgeが仕立てた買収計画あるいはトップexecutive変更が酸っぱいものになり、当局、顧客、従業員およびメディアからの不要な精査を引き出している旨。

◇Is IPO in China Imagination's Only Possible Exit Path? (4月30日付け EE Times)
→1)来週英国政府が、国家利益に反すると思われるtakeoversから英国の会社を守るために、アメリカのCFIUS (Committee on Foreign Investment in the U.S.)に似た機関の設立を検討する議会hearingを開催する旨。
 このような方策検討に向けた弾みは、Imagination Technologiesがどうなっていくかにある旨。
 2)Imaginationの運命が英国で政治的になってきているが、現実はownershipどうのこうのでなく、同社の生き残り如何にある旨。
 3)Imagination Technologiesは新たな資本注入が必要な様相、あり得る最善の救済策は上海株式市場でのinitial public offering(IPO)の旨。

◇Imagination Remains in Britain: The Saga Continues…-Imagination gets commitment to keep UK headquarters, but is this just a temporary reprieve? (4月30日付け EE Times India)
→Imagination Technologiesの、Canyon Bridgeと英国政府minister、Oliver Dowden氏が先週金曜会って、同社本社は英国のままと確約を与えている旨。

同社の技術サポート活動にも注目している。

◇Imagination supports Google Android GPU Inspector (5月1日付け New Electronics)
→Imagination Technologiesが、Googleのopen-source Android Graphics Processing Unit(GPU) Inspectorグラフィックスprofiling toolをサポート、開発者が単一toolにより機器には関係なくAndroid上で輪郭を描きdebugするのを助ける旨。

【中国半導体市場関連】

中国のDRAMメーカー、CXMTが、米国・Rambusから特許ライセンス供与を受ける動きである。

◇China DRAM startup signs patent license deal with Rambus-Rambus licenses patented IP to ChangXin Memory Technologies (4月28日付け DIGITIMES)
→中国のDRAMメーカー、ChangXin Memory Technologies(CXMT)が、Rambusとの特許license合意に調印の旨。該取引に関するほか詳細は明らかにされていない旨。

STMicroelectronicsがHuaweiと半導体設計でコラボの動きである。

◇ST and Huawei form chip co-development alliance-Report: ST will work with Huawei on chip development-Huawei and ST are collaborating on auto and smartphone IC development, according to the Nikkei. (4月29日付け Electronics Weekly (UK))
→Nikkei発。Huawei TechnologiesとSTMicroelectronicsが、車載およびスマートフォン半導体設計でコラボの旨。ST spokespersonは該報道へのコメントを控えている旨。

Huawei傘下のHiSilicon Technologiesが、第一四半期に中国におけるスマホ用プロセッサの出荷でQualcommを抜いたとの調査データである。

◇Huawei's HiSilicon overtakes Qualcomm as China's top smartphone processor supplier for first time (4月29日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国の市場調査会社、CINNO発。Huaweiの半導体設計部門、HiSilicon Technologiesが、第一四半期の間に22.21 million個のphone半導体を出荷、中国における出荷でQualcommを追い越して、中国のスマートフォン用プロセッサの最大手となっている旨。

【chiplet:チップを構成する部品】

より小さなchipletという部品を複数集め、その集合体をプロセッサにしようというアプローチがこのところ注目されている。組み合わせて接続する技法もノウハウが謳われているが、その市場見込みがあらわされている。

◇Chiplets Promise to Help Reinstate Moore's Law and Generate Nearly $6 Billion in Semiconductor Revenue by 2024 (4月28日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdia発。半導体設計&統合の新しいアプローチ、chipletsを製造プロセスで活用するプロセッサmicrochipsのグローバル市場が、2018年の$645 millionから2024年には9倍の$5.8 billionに拡大する見込みの旨。

◇Chiplets promise to help reinstate Moore's Law-Moore's Law gets a new lease on life with chiplet tech (4月29日付け DIGITIMES)
→プロセッサに向けてsingle diesに頼るのではなくchiplet技術を用いると、Moore's Lawが延長されていく旨。Omdiaの予測では、chiplets搭載プロセッサ市場が2018年の$645 millionから2024年には$5.8 billionに増大する旨。

【最先端微細化の凌ぎ合い】

7-nm以降の微細化を競い合うTSMCとSamsungの現時点の構図となっているが、それぞれのアピールがはたまた目についている。TSMCは2-nmの取り組み、Samsungはoutput改善、とまたさらに具体的な中身を待つところとなる。

◇TSMC Starts 2nm Process Development for Fast, Efficient Chips-TSMC develops 2nm processes as 5nm/3nm chips take hold (4月24日付け Tom's Hardware)
→今年始めにてTSMCは5-nm製造に大きく投資していると聞かれ、その次のステップがTSMCの3-nmプロセスであることは秘密でない旨。同社はその先のプロセスも見据えており、2-nm lithographicプロセスの開発を始めていることが株主に発表されたばかりの旨。

◇Widening Gap with Chinese Semiconductor Companies:Samsung Electronics Enhances Chip Production Efficiency Through Process Improvement-Samsung improves processes for efficient production (4月27日付け BusinessKorea magazine online)
→プロセス改善を通してSamsung Electronicsは昨年、半導体outputを前年比39%高めている一方、およそ同額の資金をシリコンウェーハに充てている旨。同社はまた、extreme ultraviolet(EUV) lithography技術を用いて半導体microfabricationプロセスを早めている旨。


≪グローバル雑学王−617≫

インターネット及びコンピュータ上で行われる戦争行為と定義されるサイバー戦争(cyberwarfare)は、コロナ・インパクトにも通じる見えない脅威を感じるが、その世界で繰り広げられている実態について、

『サイバー戦争の今』
 (山田 敏弘 著:ベスト新書 607) …2020年1月5日 初版第一刷発行

をこれから読み進めていく。著者は、テレビ、週刊誌などメディアで幅広く活動する国際ジャーナリストの方。サイバー攻撃と聞いて、我々が実感できるのは海外からの怪しげなメールくらいのものであるが、現実には、クリックするとパソコンが乗っ取られ、踏み台にして日本の企業や政府関連施設、各種インフラなどが攻撃される可能性が大いにあるとのこと。実際、大手企業の被害を新聞で目にするが、どんな手の口なのか。インターネットが普及、遠隔操作で情報を瞬時に出し入れできるようになると、それを悪用しようとする輩が登場するのは当然のこと、とある。ダークウェブなど深く入った闇の世界のキーワードが現れきている。安上がりのサイバー攻撃、60カ国が専門部隊を運用、アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、北朝鮮の順に実力トップ5との見方があるとのこと。今回、以下、入門編に入っていく。


≪まえがき≫
・2019年7月18日、ダークウェブ(闇ウェブ)で掲載されたメッセージ
 →「日本企業を攻撃してくれればカネを払う」
・ある欧米の情報機関関係者
 →2019年に入ってから特に、韓国人と思われるハッカーたちが活動を活性化させている
 →日韓の間の対立、最近になって特に悪化
・そもそも韓国は、以前からサイバー空間で日本に対して「怪しい」動き
 →日本の公安当局者:「韓国の情報機関である国家情報院はユーザのメッセージを見放題だ」
・韓国が日本に対してサイバー攻撃を激化させている
 →ダークウェブでも、韓国人ハッカーたちが日本を標的にすべく動いている
 →冒頭のポストの発信者は、「韓国陸軍の関係者」の可能性が非常に高いことがわかったという
 →日本企業は受けた攻撃を公表しない傾向が強いため、その顛末は見えてこない
・今回発覚した韓国陸軍関係者のメールで、特に気になるポイント
 →韓国軍の個人による依頼とは考えにくい
 →背後にはより大きな何者かが存在している可能性
 …韓国の政府や軍、政府に近い企業
・今、インターネットなどネットワーク化されたディジタル世界、すなわちサイバー空間では、こうした工作が至る所で行われている
 →ビジネスでは、企業を狙ったサイバー攻撃が日常的に
 →安全保障の面では他国への選挙介入や核施設へのサイバー工作など
 →サイバー攻撃なくして戦闘で勝利はないという時代になっている
・本著は、サイバー戦争の実態を関係者などへの取材から浮き彫りにし、「サイバー空間」という人類の歴史におけるまったく新しい領域が、世界中の人々にどんな影響を与えるのかについて読み解いていく
 →サイバー空間では、犯罪も、戦争も、スパイ工作も、手段はそう変わらなくなっている
 →パソコンやネットワークに侵入し、内部のシステムを不正に操作する
・これからますます進むディジタル化やネットワーク化、AIによるオートメーション(自動)化
 →日本はそうした世界に向かう準備はできているのだろうか
・サイバー領域で繰り広げられているサイバー戦争の実態が、本著を読めば余すことなく理解してもらえるはず

第1章 イントロダクション
 −サイバー攻撃とは何か?

◆東京オリンピックを前に活発化するスピアフィッシング・メールの無差別ばらまき
・2018年冬、都心にあるオフィスの会議室にて、(著者が)欧米の諜報機関でサイバースパイ(工作員)を指揮していた人物と向き合い
 →この人物は、日本が受けているサイバー攻撃について次々と事例を挙げた
・2018年9月から、日本人17万4000人ほどに、ある奇妙な電子メール
 →「東京2020ゲーム無料チケットとギフト」
 →日本人が見れば、あまりにも下手な日本語の文面
 →約17万4000人のうち、実に9258人もの人たちがリンクをクリックしてしまった
 →まんまとサイバー攻撃の餌食に
 →多くの人たちが自覚のないままに事実上パソコンを乗っ取られる事態に発展
・これは「スピアフィッシング(spearfishing)・メール」と呼ばれるサイバー攻撃
 →リンクなどをクリックさせることでマルウェア(悪意ある不正プログラム)を感染させ、パスワードや個人情報などを詐取する手口
 →乗っ取られたパソコンは、新たな攻撃や犯罪行為の踏み台にされてしまうケースが少なくない
 →被害者のパソコンが、別の攻撃の加害者となってしまう可能性がある
 →この手のメール攻撃は、政府系サイバー攻撃者(ハッカー)による工作にも広く使われている
・「(上記の)東京五輪に絡めたメールによる工作は、中国政府系ハッカーによるサイバー攻撃キャンペーンの一環」(欧米の元サイバースパイ)
 →日本の評判にダメージ、レピュテーション・ダメージ(評判の失墜)を与えることに絞られた目的
・次々と日本に対するサイバー攻撃の実態が語られる中で、(著者は)暗澹たる気持ちに
 →日本では一切報じられていないにも拘らず、この欧米の元サイバースパイは、日本が受けている被害について詳細に語っている
・中国政府系ハッカーの真の目的は、金銭よりもターゲット企業などの信用を貶めること
 →政府などに雇われてカネで動いているため、金銭的には困っていない
・この元サイバースパイは、また別のケースについて話を始めた
 →上記のメールから10日後、今度は日本人46万人に対して送られた「無料チケットオリンピック」というタイトルの怪しいメール
 →このメールは、46万人中3万人以上がクリック、マルウェアに感染したことが判明
・世界中でありとあらゆるサイバー攻撃が起きており、間違いなく、数多くの被害が出ている
 →機密情報の漏洩;知的財産を盗むスパイ工作;金銭目的の大規模犯罪;
  他国への選挙介入工作;インフラ施設や軍事関連施設への破壊工作;
  ……

◆どこからでも核攻撃できるように整備されたインターネット
・2011年、(著者が)初めて国際情報誌ニューズウィークの日本版でサイバー戦争の特集記事を執筆
 →そもそも、いったいどういう定義のものか
 →サイバー(Cyber)
  …「コンピュータや情報技術、仮想現実の文化の特徴、またはそれらに関係すること」(英オックスフォード英語辞典)
 →「サイバー空間」
  …コンピュータで扱われる情報が行き交って作り出す情報網(ネットワーク)や、そこから生まれる社会やコミュニティ、文化などが広がっている世界
・アメリカ人SF作家のウィリアム・ギブスン(William Ford Gibson)
 →1982年に発表した小説でサイバースペースという言葉を初めて使用
 →人々によって合意された「幻想世界」だと説明
・サイバー空間には国境がない
 →データの通信回線さえあれば、誰でも利用できる公共の空間
 →このサイバー空間で、私たちが日常的に使っている通信網(ネットワーク)がインターネット
・インターネットのはじまり
 →1962年8月、米国・MITのJ・C・R・リックライダー(Joseph Carl Robnett Licklider)が思いついたコンセプト、「Galactic Network」
 →米国国防総省の研究機関、DARPA(米国防高等研究計画局)でコンピュータ研究部門の初代リーダーに
・同時期、米シンクタンク、ランド(RAND)研究所(カリフォルニア州)のポール・バラン(Paul Baran)
 →核兵器の時代にコンピュータネットワークを作って指揮系統を分散させるべきという趣旨の提案
・このように西海岸と東海岸で別々の研究者が、同時期に同様のコンセプトに行き着いたのはまったくの偶然
 →その後、大学などのコンピュータが接続され、ARPANET(米高等研究計画局ネットワーク)が始まった
 →インターネットの誕生
・今では、爆発的に普及、日常生活または経済活動になくてはならないもの
 →ただ便利なものにはリスクが付いてくる
 →遠隔操作で情報を瞬時に出し入れできるようになると、それを悪用しようとする輩が登場するのは当然のこと
・そうした工作は、今では誰でも耳にしたことがある「サイバー攻撃」と呼ばれる
 →サイバーセキュリティ(安全対策)が不可欠に

◆京アニ襲撃犯も使っていたダークウェブ「トーア」
・サイバー攻撃の手口
 →「攻撃」という視点から、大きく分けて3つの種類
 →1)サイバー犯罪…金銭や知的財産などを盗むための経済的動機
  2)国家の安全保障に関わるサイバー攻撃
  3)ハクティビズム…ハクティビスト(ハッカーとアクティビスト[活動家]を足した言葉)が行う政治的な主義主張を訴える攻撃
・サイバー攻撃者は次の3つの層に分けられる
 →一番上の層:国家系のハッカー
 →国家系ハッカーの能力は高く、基本的に、この攻撃者たちは無視してもいい
 →一番下の層:技術力の低い個人ハッカーたち
 →きちんと基本的な安全対策さえ施しておけば、無視をしてもいい相手
 →最も厄介なのは、真ん中の層
 →能力の高いハッカーなどを集め、組織立って主に経済的な目的で、世界中で犯罪行為を繰り広げている
 →ロシアや中国に数多くいる
・こうしたハッカーたちが情報を交換・共有している場所
 →普通のインターネットではアクセスできないダークウェブ(闇ウェブ)と呼ばれるネットワーク
 →匿名性が高いインターネット空間
 →サイバー犯罪などを語る上で決して無視できない存在
・その闇ネットワークにアクセスするには、「Tor(トーアと発音)」ブラウザといった特定のソフトウェアが必要
 →誰でも簡単にダウンロードすることができる
 →ほかに「I2P」といったサービスも
・通常、ユーザがウェブサイトに接続すると、サイト側にはIPアドレスのログ(記録)が残るようになっている
 →だがトーアのブラウザを経由すれば、誰がアクセスしているのかがわからなくなる
 →トーアのブラウザは、すべて自動的にやってくれる
・トーアには2通りの使い方
 →I:トーアのブラウザを使って匿名のまま、私たちが普段使うインターネットのサイトなどに接続する方法
 →II:トーアのブラウザの中だけに存在する闇サイトを利用する方法
・実際にトーアを使ってみると、闇サイトには私たちが慣れ親しんでいるのとは別のネットワーク、つまり闇のインターネット世界が広がっていることがわかる
 →匿名性が確保されていることを悪用、違法な取引が横行
・このトーアという匿名サービスは、実は日本に暮らす私たちの生活にもすでに黒い影
 →2012年、他人のパソコンを遠隔操作、航空機の爆破予告や殺人予告などを行った遠隔操作ウイルス事件
 →誤認逮捕まで起きた
 →2018年1月、日本の仮想通貨交換業者コインチェックから580億円分の仮想通貨が盗まれた事件が発生
 →犯人はトーアのブラウザでアクセスする闇ウェブで換金に成功
 →2019年7月、京都アニメーションの第1スタジオに男性がガソリンを撒いて火を放った事件
 →前年からスタジオ宛てに殺人予告のような脅迫メールが大量に
 →そのメールの送信にトーアが使われていたことが判明
 →愛知県で2019年8月から開催された国際芸術祭の「あいちトリエンナーレ2019」
 →企画展「表現の不自由展・その後」の展示品が賛否を呼び、中止に追い込まれる事態に
 →トリエンナーレ事務局や教育委員会に対して、メール750通以上が送信
 →トーアが使われていた
・2018年2月、ダークウェブで日本人の電子メールとパスワードが、データ量2.6ギガバイトも売りに出されていた
 →日本の捜査当局はこのケースについて把握、現在までにメディアなどで公表はされていない
 →売り出したのはウクライナ在住のハッカー、結局、中国人がそのデータを購入
 ・2017年に発生、ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)の「WannaCry(ワナクライ)」
 →世界150ヵ国で30万台以上のコンピュータが被害に遭い、米英政府はこの攻撃が北朝鮮による犯行と断言
・このように、とにかくサイバー攻撃にはダークウェブが絡んでいる場合が多い
・トーアという技術の開発が始まったのは1995年のこと
 →ワシントンDCにある米海軍研究試験所(NRL)が、インターネットなどを使った諜報活動や捜査などを秘匿する目的で研究開発を進めた
 →その技術はその後にトーアとなり、非営利団体のプロジェクトとして米軍の研究所から民間に引き継がれた
 →運営は個人からの寄付や、グーグルといった大手企業、米国務省などの資金提供で成り立っている
 →あくまでインターネットにおける通信の自由を確保することに主眼が置かれている
 →いつの間にか、サイバー犯罪や政府系ハッカーなどが巣食う闇のスペースとなってしまっている

◆予想外の方向に動く「ブラック・スワン理論」
・本著では、日本で発生しているサイバー攻撃だけでなく、日本ではあまり報じられない世界中で起きている数多くのサイバー攻撃の実態に触れる
 →国境のないサイバー空間では、国外で起きている攻撃も、すぐそばにある身近な脅威だと言っていい
・サイバー空間には「ブラック・スワン理論」が当てはまる
 …自然発生的に、または人間の手によって生み出される現象や出来事が、誰も予想し得なかった方向に世界を変えてしまうこと
 →昔、存在しないと思われていた黒い白鳥が発見されたことからきている
 →例:大規模な金融パニックや感染病
・ブラック・スワン理論は、興隆するサイバー領域を語る上で避けることはできないもの
 →現実には、サイバー攻撃が国家を大規模な混乱に陥れ、大きな人的被害を生むことも可能
 →そのインパクトは、国際政治や軍事的な均衡ばかりでなく、歴史そのものを変化させてしまう可能性も孕んでいる

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