史上最高の11月販売高、あと$32.9 billionで$400 billionの大台に
新年早々、米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、2017年11月について$37.7 billion、前月比1.6%増、前年同月比21.5%増で、史上最高の月次販売高となっている。これで12月を残すのみで2017年の世界販売高が1-11月累計(各月発表時点)で$367.1 billionとなり、$400 billionの大台にあと$32.9 billionとなる。
7月からは$33 billionを越えて増勢基調が続いてきており、大台突破が確実な情勢である。$300 billion台突破のもたもた感とは著しい対照である。
≪2017年11月の世界半導体販売高≫
米国SIAからの発表内容が、以下の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓
〇11月のグローバル半導体販売高が前年同月比21.5%増−史上最高の月次販売高$37.7 billion;前月10月から1.6%増 …1月2日付け SIA/NEWS
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年11月の世界半導体販売高が$37.7 billionに達し、前年同月、2016年11月総計$31.0 billionから21.5%増、前月総計$37.1 billionから1.6%以上の増加と発表した。すべての主要地域市場で11月は前年同月比および前月比ともに販売高が増加し、Americas市場が引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「グローバル半導体業界は11月にさらに重要なmilestoneに達し、史上最高の月次販売高を収めており、年間販売高が初めて$400 billionに達していく様相である。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「グローバル市場の伸びは引き続きメモリ製品の売上げが引っ張っているが、他の主要半導体カテゴリーすべての販売高も11月は前月比および前年同月比ともに増加している。すべての地域市場が11月は伸びており、Americasが引き続き最も力強い伸びを示している。」
地域別では、10月の販売高は以下の通り全部にわたって前年比は大幅、前月比は控え目に増加している。
Americas (前年比 +40.2%/前月比 +2.6%)
China ( +18.5%/ +2.1%)
Europe ( +18.8%/ +1.8%)
Asia Pacific/All Other ( +16.2%/ +0.5%)
Japan ( +10.6%/ +0.3%)
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Nov 2016 | Oct 2017 | Nov 2017 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 6.25 | 8.54 | 8.77 | 40.2 | 2.6 |
Europe | 2.88 | 3.37 | 3.43 | 18.8 | 1.8 |
Japan | 2.90 | 3.20 | 3.21 | 10.6 | 0.3 |
China | 10.04 | 11.65 | 11.90 | 18.5 | 2.1 |
Asia Pacific/All Other | 8.94 | 10.33 | 10.39 | 16.2 | 0.5 |
計 | $31.02 B | $37.09 B | $37.69 B | 21.5 % | 1.6 % |
--------------------------------------
市場地域 | 6- 8月平均 | 9-11月平均 | change |
Americas | 7.55 | 8.77 | 16.1 |
Europe | 3.22 | 3.43 | 6.4 |
Japan | 3.13 | 3.21 | 2.6 |
China | 11.08 | 11.90 | 7.4 |
Asia Pacific/All Other | 9.98 | 10.39 | 4.0 |
$34.96 B | $37.69 B | 7.8 % |
--------------------------------------
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/October%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた業界紙各社の取り上げ、表し方である。
◇Chip Sales Continue Rising (1月3日付け EE Times)
◇Global semiconductor sales increase 21.5% year-to-year in November (1月3日付け ELECTROIQ)
◇Global Semiconductors Sales In November Rose 21.5% On Year -Trade Body (1月3日付け Nikkei Asian Review)
◇Global semicon sales up 21.5% to US$37.7b in November (1月5日付け The Star Online)
Gartnerによる2017年世界半導体販売高の評価があらわされている。
◇Samsung overtakes Intel as world's biggest chip maker: Study-Gartner: 2017 IC sales at $419.7B; Samsung tops Intel (1月4日付け The Economic Times (India)/Agence France-Presse)
→Gartnerの評価見積もり。2017年の世界半導体販売高が$419.7 billionに達し、2016年から22.2%増、大方はDRAMsおよびNANDフラッシュメモリの値上がりによる旨。Samsung Electronicsの年間半導体販売高が52.6%増の$61.2 billion、一方、Intelは6.7%増の$57.7 billion。
◇Chip Sales Grew 22% in 2017, Gartner Says (1月5日付け EE Times)
→Gartner(Stamford, Conn.)の評価速報。2017年の半導体販売高が22%増の$419.7 billionで史上最高。半導体サプライヤランキング・トップ10、下記参照:
⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1332806&image_number=1
高価格のメモリ半導体絶好調から、韓国の2017年輸出高が次の通り新記録となっている。
◇South Korea Exports Climb to Record in 2017 on Semiconductors-ICs help drive 2017 Korean exports to a new record (1月1日付け Bloomberg)
→韓国・trade ministry発。韓国の2017年の輸出が$574 billionに達し、少なくともここ60年での最高水準となる新記録、半導体、機械装置および石油化学製品の出荷が2016年比15.8%増を推進している旨。12月の輸出は前年同月比8.9%増、economists事前評価を下回った旨。
新年、2018年については、2017年の伸びとはいくまいが、増えていくと以下の見方が表されている。
◇Global sales of semiconductors to rise in 2018 (1月1日付け The Economic Times (India)/Indo-Asian News Service)
◇Global sales of semiconductors to rise in 2018, growth to slow down-2018 forecast: Chip sales to rise, at a slower pace (1月1日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→IHS Markitの予想。今年のDRAMs世界市場は、2017年から16.9%増の$84.4 billion、昨年の74%増は大幅に下回る旨。NANDフラッシュメモリの2018年グローバル販売高については、10%増の$59.2 billionと見ている旨。
一昨年、2016年からの販売高の推移をまとめて次の通りとなる。2017年の年間販売高$400 billionの大台突破にあと$32.9 billionと迫る状況である。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | ||
2016年 1月 | $26.88 B | -5.8 % | -2.7 % | ||
2016年 2月 | $26.02 B | -6.2 % | -3.2 % | ||
2016年 3月 | $26.09 B | -5.8 % | 0.3 % | ||
2016年 4月 | $25.84 B | -6.2 % | -1.0 % | ||
2016年 5月 | $25.95 B | -7.7 % | 0.4 % | ||
2016年 6月 | $26.36 B | -5.8 % | 1.1 % | ||
2016年 7月 | $27.08 B | -2.8 % | 2.6 % | ||
2016年 8月 | $28.03 B | 0.5 % | 3.5 % | ||
2016年 9月 | $29.43 B | 3.6 % | 4.2 % | ||
2016年10月 | $30.45 B | 5.1 % | 3.4 % | ||
2016年11月 | $31.03 B | 7.4 % | 2.0 % | $303.2 B | |
2016年12月 | $31.01 B | 12.3 % | 0.0 % | ||
2017年 1月 | $30.63 B | 13.9 % | -1.2 % | ||
2017年 2月 | $30.39 B | 16.5 % | -0.8 % | ||
2017年 3月 | $30.88 B | 18.1 % | 1.6 % | ||
2017年 4月 | $31.30 B | 20.9 % | 1.3 % | ||
2017年 5月 | $31.93 B | 22.6 % | 1.9 % | ||
2017年 6月 | $32.64 B | 23.7 % | 2.0 % | ||
2017年 7月 | $33.65 B | 24.0 % | 3.1 % | ||
2017年 8月 | $34.96 B | 23.9 % | 4.0 % | ||
2017年 9月 | $35.95 B | 22.2 % | 2.8 % | ||
2017年10月 | $37.09 B | 21.9 % | 3.2 % | ||
2017年11月 | $37.69 B | 21.5 % | 1.6 % | $367.1 B | |
…前年比21.1%増 |
≪市場実態PickUp≫
【CPU脆弱性問題】
この問題の発端は、次の記事である。
◇Security: Kernel-memory-leaking Intel processor design flaw forces Linux, Windows redesign-Performance hits loom, other OSes need fixes (1月2日付け The Register)
インテルおよびAMD製のMPUsで見られるという2つの脆弱性が明らかにされている。
◇Researchers Discover Two Major Flaws in the World's Computers (1月3日付け The New York Times)
◇Security flaws put virtually all phones, computers at risk-Identified: Chip security flaws in many computers, phones (1月3日付け Reuters)
→cybersecurityの研究者たちがモバイル機器、PCsおよびサーバに搭載されている多くの半導体において2つの脆弱性、MeltdownおよびSpectreを明らかにし、該欠陥はIntelおよびAdvanced Micro Devices(AMD)製のmicroprocessors(MPUs)で見い出される旨。該脆弱性は、ARM Holdingsのintellectual property(IP)ベース半導体でも見られる旨。
インテルがこれに反応、自社半導体に特有ではなく、業界全体で結束、修復を図っていくとしている。
◇Intel Says Security Bug Not Specific to its Processors (1月3日付け EE Times)
→Intelが、同社プロセッサにおける設計不備で搭載computersが新たに見い出されたhackに影響を受けやすくなるという報道に反応、該問題はIntelの半導体に特有ではなく、業界全体で修復を図るよう他のハイテクメーカーと密接に協働している旨。
◇Industry Responds to CPU Security Vulnerability (1月4日付け EE Times/Blog)
→Intel, AppleおよびMicrosoftなどハイテク大手が結束、hackersがcomputers, スマートフォンなどのデータを盗むことを可能にするという研究者たちが同定したプロセッサセキュリティ脆弱性の修復を提示していく旨。
◇インテル:多くの半導体にハッカー攻撃への脆弱性−「バグ」は否定 (1月4日付け msnニュース)
→米半導体メーカーのインテルが3日、同社製プロセッサにはハッカー攻撃に対して脆弱な面があることを認めた旨。ただ、他社製プロセッサもそうした影響を同様に受けやすいと指摘した旨。インテルは業界全体で解決に取り組むため、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やアーム・ホールディングス、コンピューター基本ソフト(OS)を提供する企業と協力していると説明。この問題は幅広い種類の製品に影響する恐れがあり、同社はセキュリティ上の弱点を軽減するためのソフトウエアの提供を始めた旨。コンピューターの速度が遅くなるかどうかは、実施されているタスクに左右され、平均的なユーザへの影響は「大きくはならない見込みで、徐々に軽減される」とした旨。この問題はテクノロジー関連のウェブサイト、ザ・レジスターが2日に伝えたもので、コンピュータのメモリでパスワードなどを保護するために確保されている部分への一部ソフトウエアによるアクセスを可能にする「バグ」の存在を指摘。過去10年にインテル製プロセッサを搭載した全てのコンピュータが影響を受けているもようだとした旨。
AMDからはインテルを譴責する反応も見られている。
◇AMD rebukes Intel, says flaw poses 'near-zero risk' to its chips (1月4日付け CNBC)
新年早々、この問題の波紋、インパクトが続いている。
◇インテル「産業全体の問題」、脆弱性報道受け、株価急落 (1月4日付け 日経 電子版)
→米インテルのCPUにセキュリティ上の脆弱性が見つかったとする英メディアの報道の余波が広がっている旨。3日の米市場でインテルの株価は一時6%下落。3日午後にはインテルが「当社の半導体の欠陥ではなく、産業全体で取り組んでいた問題」との声明を発表した旨。
◇「CPU安全性に穴」波紋、インテル製などリスク、IT機器全体に懸念、グーグルやアームも対策 (1月5日付け 日経)
→全てのスマートフォンやパソコンの「頭脳」にあたるCPUの安全性問題が波紋を広げている旨。情報を読み取られる懸念があり、CPUはIT機器の基幹部品であるだけに潜在的なリスクの深刻さを指摘する声は多い旨。米インテルやグーグルなどIT各社は対策を急いでいる旨。問題の発端は、英技術メディアのザ・レジスターがインテル製CPUに設計上の欠陥があると2日夜に報じたことの旨。
◇CPU脆弱性問題、アップルも対策公表 (1月5日付け 日経 電子版)
→CPUに起因するセキュリティー上の脆弱性が明らかになった問題で、米アップルが4日に対策状況を公開の旨。主にインテル製のCPUで指摘されている「メルトダウン」というバグについては基本ソフト(OS)「iOS」や「macOS」の最新版で対策済み。アーム・ホールディングスの設計をベースにしたCPUでも懸念されている「スペクター」というバグは、「今後(ブラウザーの)『サファリ』の更新で対応する」と説明した旨。
【Samsungの10-nmモバイルプロセッサ】
Samsung Electronicsが10-nmモバイルプロセッサ、Exynos 9810を新年1月4日に打ち上げ予定、Consumer Electronics Show(2018年1月9-12日:Las Vegas)を間近に控えたタイミングとなっている。
◇Samsung's next Exynos chip will be launched on January 4th (12月29日付け Android Authority)
◇Samsung will launch next-gen Exynos chip on January 4, likely to power the Galaxy S9-Samsung will unveil its next-generation Exynos chip on January 4, merely a few days ahead of the annual Consumer Electronics Show (CES) in Las Vegas.-Samsung to debut new Exynos chipset this week (12月31日付け The New Indian Express (India))
→Samsung Electronicsが木曜4日、10-nmプロセスで作られたExynos 9810モバイルプロセッサを投入する計画、該次世代チップセットは、今年のGalaxy S9およびGalaxy S9+スマートフォンモデルに広く入っていく見込みの旨。
【TSMC関連】
中国のartificial intelligence(AI)関連半導体設計メーカー大手すべてが、その製造をTSMCに託している状況である。
◇China major AI chipmakers maintain parterships with TSMC-China's AI chip designers team with TSMC (1月2日付け DIGITIMES)
→中国のartificial intelligence(AI)半導体設計大手がすべて、それら半導体、主にapplication-specific integrated circuits(ASICs)およびneural processing unitsの製造でTSMCに向かっている旨。Huaweiの半導体設計部門は昨年、AI capabilitiesを備えるKirin 970 system-on-a-chip(SoC)デバイスをTSMCの10-nm FinFETプロセスで作っている旨。
Samsungと激しく競合している7-nmプロセス量産であるが、2018年の展開に向けてTSMCが確実に先行する現状がうかがえている。
◇TSMC to outpace Samsung in 7nm volume production in 2018 (1月3日付け DIGITIMES)
→TSMCが、2018年における7-nmプロセス量産の競争でSamsung Electronicsに対して確実に勝利する備えであり、モバイル通信、高性能computingおよびAI(artificial intelligence)応用向け先端プロセス半導体製造で40超の顧客から受注獲得の旨。AppleおよびQualcommともにTSMCの主要顧客に入っており、業界筋によるとTSMCは2018年次世代iPhone機器用A12プロセッサ半導体すべての製造を契約している旨。
【中国勢の台頭】
ここでもと驚かされるところであるが、アップル社製品の電子部品のサプライヤ国別内訳での中国勢の台頭である。以下の中国の数値は5年前の約2倍となっている。
◇アップル受注、中国勢躍進、電子部品の技術力示す (1月5日付け 日経)
→米アップル製品の生産需要がアジア企業の成長を促している旨。日本経済新聞の調べでは、「iPhone」などの生産に携わる約100社の純利益の合計は、2017年7〜9月期に前年同期比8割増の約4兆5千億円と過去最高を更新。日米台を中心に多彩なサプライヤが技術を競いながら成長している旨。さらに次の通り中国勢の躍進で顔ぶれに変化も生じてきた旨。
アップルが毎年公表するサプライヤーリストから、2017年国・地域別:
台湾 52社
米国 44社
日本 41社
中国 19社
韓国 12社
【2018年の展望分析】
完全自動運転に向かう自動車の高度自動化を担うセンサ技術について、強み&弱み分析の切り口項目である。
◇The Outlook for Robocar Sensors in 2018 (1月2日付け EE Times)
→高度に自動化された車がその周囲回りを追尾するために、たくさんのセンサに頼らなければならず、カメラ、レーダ、超音波、GPSアンテナおよび光パルスにより距離を測るlidar機器などがある旨。各々のセンサには強みおよび弱みの持ち合わせがある旨。以下の切り口:
Intel buys Mobileye
Lidar: ‘the hottest place to be’
Millimeter wave radar
Analog beam-forming
Imaging data for machine consumption
Localization
Sensing - Fusion
2018年のInternet of Things(IoT)に注目する上での10社が挙げられている。
◇10 IoT Companies to Watch in 2018-Some old companies are embracing the new-Mind the gap in the channel (1月3日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)について全般あるいは戦略的な部分のバロメーターとして注視する価値がある10社:
General Electric
Schneider Electric
ARM
Robert Bosch
The Channel
Riot Micro
zGlue
ETA Compute
Bebop Sensors
TrackNet
≪グローバル雑学王−496≫
1960年代から1970年台にかけて、アメリカというとベトナム戦争、日本でもそれに対する反戦運動、学生運動への展開と、青春を謳歌していた時代における数々の場面が浮かんでくる一方、中国では毛沢東を巡る動きから文化大革命と近くて遥かに遠い別世界に映る激動を思い起こすが、
『国際法で読み解く戦後史の真実 −文明の近代、野蛮な現代』
(倉山 満 著:PHP新書 1116) …2017年10月27日 第1版第1刷
より、ともに繰り返してはならない経緯を辿っていく。ベトナム戦争ではアメリカが自国・各国のマスコミに叩かれたとあるのに対して、中国では世界から隔絶した壁の中での権力闘争と、動きが瞬時に世界中に伝わる現在とはいくつも昔に遡る話ではあるが、貧困、格差そして核兵器と世界平和に向けて根絶すべきものにいまも変わりなしと文脈の流れから改めて感じるところである。
第4章 キューバ危機・ベトナム戦争・文化大革命 …後半
□「いつ始まったか」の説明が難しいベトナム戦争
・ベトナム戦争とは、まさに国際法が時代を象徴する紛争
→「いつ始まった」戦いで、「誰と誰が敵味方で、中立だったのか」を説明することはできない
・ベトナムは19世紀にフランスの植民地に
→ベトナムの独立を指導したのは、1930年代にコミンテルン主導のもとに組織されたインドシナ共産党のホー・チ・ミン
・当初は、フランスとホー・チ・ミン率いるベトナム民主共和国とが衝突、1946年から全面戦争に
・1954年7月にスイスのジュネーブで休戦協定締結、フランスはインドシナを撤退
→ベトナム、カンボジア、ラオスの3ヶ国の独立が認められた
・ベトナムについてはホー・チ・ミンの北ベトナム(ベトナム民主共和国)とフランスが残した南ベトナム(ベトナム国)の南北に分断されることに
□残虐極まりない戦いにならないわけがない
・1955年、CIAの手引きでゴ・ディン・ジェムが反対派を一掃、南ベトナムに新たに国を樹立
→アメリカは軍事的にも全面的なバックアップ開始
・ジェムは政権を握ると、徹底的な共産主義者弾圧を始めた
→次第にジェムと、それを支援するアメリカに強い反発が持たれるように
・ついに1964年、「北爆」が開始、1965年には米軍がベトナムに上陸
→最新兵器を持ったアメリカ軍に、ただの民間人が挑む格好
→残虐極まりない戦いにならないわけがない
・南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)・北ベトナム軍は平服で攻撃を仕掛け、まったく識別できない
→疑わしきを殺した場合、アンチプロパガンダされるリスクは当然に
→アメリカは自国のメディアも含め、世界中からのバッシング
□「宣戦布告なしの戦争は憲法違反ではないか」
・国際法とは
→「人は殺してはいけません。まして惨たらしく殺してはなりません」という価値観を持つことができる文明国どうしの決闘のルール
・欧米列強がダブル・スタンダードで力任せに他国を虐げてきたことのツケが、このベトナム戦争で回ってきたということもできるのでは
・「宣戦布告」の有無や「戦争」かどうかにこだわるアメリカ人
→戦争であれば兵士に手当てがつく
□左派勢力と結びついたメディアのプロパガンダ
・1960年代後半、新聞、映画に加え、テレビメディアが参入、世界が戦闘の現場を目の当たりにするように
→ベトナム戦争ではアメリカが自国・各国のマスコミに叩かれるように
→アメリカで激化した反戦運動
・当時の東海岸のメディアは共産主義者との結びつきも深く、アメリカの国益に反することをやりまくっている
→実際に武力攻撃を行うだけが戦争ではなく、プロパガンダを使った宣伝戦も巧みに利用
□中国の核兵器開発と中ソ対立
・ベトナム戦争と同時並行、ソ連と中国との間の対立、「中ソ論争」
・1959年、毛沢東は農業国から工業国への転身を図る大躍進政策を実行
→農業の労働力が不足、食糧事情が急激に悪化
→そこに、大飢饉が追い打ち
・毛沢東は、ソ連国内でフルシチョフに対する転覆計画が起きた時にフルシチョフ支持を表明
→念願だった核兵器を手に入れることに成功
・1969年、中ソ国境線で武力紛争発生、中国はソ連との対決姿勢を鮮明に
□ニクソン訪中でも日本は失敗を重ねた
・毛沢東もここで、北ベトナムと対話の糸口をつかみたいアメリカのニクソン政権と利害が一致
→覇権国家であるアメリカにとって、挑戦者のソ連がいま以上に力を持つことは許せないこと
・この時期、日本は高度経済成長を経て経済大国となりつつあった
→実はニクソンは当初、中国ではなく、日本との関係を強化して対ソ戦略に当たろうと考えたが、当時の佐藤栄作首相が袖に
→日本は、「主権国家=プレーヤー」に戻る絶好のチャンスを、またまた棒に
・毛沢東は、ついに国連で「中国を代表するのは中華人民共和国だ」と承認させることに成功
□衝撃のプロレタリア文化大革命
・大躍進政策が失敗、責任を問われた毛沢東
→1959年に国家主席の座を劉少奇に譲り、1962年には自己批判を迫られる
・1966年、毛沢東は「プロレタリア文化大革命」を始めて自らの絶対化を図り、粛清対象を徹底的に追い詰めた
→全国規模に拡大した文化大革命の勢いは止まらず、毛沢東の死去後の1977年まで続いた
→毛沢東が死ぬまでの間に命を奪った人の数は7000万から8000万人以上と伝えられる
□ポル・ポトのカンボジアに侵攻したベトナムは悪なのか?
・1973年1月にパリ和平協定が成立、同年3月にアメリカがベトナムから撤退
→北ベトナム政府によってベトナムの南北統一が果たされた
・ベトナムの隣国、カンボジアでは、クメール・ルージュと呼ばれるカンボジア共産党のポル・ポトの独裁政権に
→極端な共産主義支配
→1978年にベトナムがカンボジアに侵攻、1979年には首都、プノンペンを制圧
・ベトナムは、ベトナム人虐殺を理由に侵攻
→ベトナムに亡命していた反ポル・ポトのヘン・サムリンによるカンボジア人民共和国が成立
・ベトナムは、反米・反中
→日本はアメリカと同盟国であり、このとき、ポル・ポトを支援して、ベトナムに経済制裁
→アメリカについていったというだけでの結果