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SIA発表月次販売高、昨年7月から続く前年比減少、反転への取り組み

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの4月についてで前月比1.0%減、前年同月比6.2%減となっている。前年同月比でみると、昨年7月から、すなわち昨年後半以降減少が続く形となっている。合わせて発表された中期予測でも、本年、2016年は販売高が2.4%減と昨年に続くマイナスの見方となり、2017年2.0%増、2018年2.2%増と控え目な伸びが表わされている。世界経済の減速が取り上げられるなか、半導体業界でも反転に向けた取り組みが行われている。

≪4月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表が、以下の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯4月のグローバル半導体販売高が減少;年間販売高が、2016年僅かに減少、2017年、2018年に戻す見通し−販売高業界予測は、2016年2.4%減、2017年2.0%増、2018年2.2%増 …6月7日付け SIAプレスリリース

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2016年4月の世界半導体販売高が$25.8 billionとなり、前月の$26.1 billionから1.0%の減少、前年2015年4月の$27.6 billionからは6.2%減少、と発表した。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいWSTS業界予測では、2016年に年間販売高が減少するのに続いて2017年および2018年では僅かに市場が伸びると見ている。

「グローバル半導体販売高が4月に少しばかり減少、需要軟化および一連のマクロ経済の逆風による市場低迷の最近の流れが続いている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「すべての製品カテゴリーにわたって累積する減少にも拘らず、microprocessors(MPUs)およびアナログ製品の前年比販売高が控え目に増加、たぶんに先々の販売高の強まりを先立って示している。業界の最新予測の示すところ、グローバル販売高は2016年後半にいくぶん戻すが、依然前年の総計には及ばない、となっている。グローバル市場は、2017年および2018年に僅かに伸びる見通しである。」

地域別には、4月販売高の前年同月比で、Japan(+2.2%)およびChina(+0.3%)は増加したが、Asia Pacific/All Other(-8.2%), Europe(-8.6%), およびAmericas(-14.8%)では減少した。前月比では、Japan(+0.2%)およびAsia Pacific/All Other(+0.1%)は僅かながら増加、一方、Europe(-0.8%), China(-1.8%), およびAmericas(-2.2%)では減少した。

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2015
Mar 2016
Apr 2016
前年同月比
前月比
========
Americas
5.61
4.89
4.78
-14.8
-2.2
Europe
2.89
2.66
2.64
-8.6
-0.8
Japan
2.54
2.59
2.60
2.2
0.2
China
7.77
7.93
7.79
0.3
-1.8
Asia Pacific/All Other
8.74
8.02
8.03
-8.2
0.1
$27.56 B
$26.09 B
$25.84 B
-6.2 %
-1.0 %

--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
5.41
4.78
-11.7
Europe
2.70
2.64
-2.4
Japan
2.49
2.60
4.3
China
8.42
7.79
-7.4
Asia Pacific /All Other
7.87
8.03
2.0
$26.89 B
$25.84 B
-3.9 %

--------------------------------------

加えてSIAは本日、WSTSの春季2016年グローバル半導体販売高予測を支持、業界世界販売高が2016年に$327.2 billionと見ており、2015年販売高総計から2.4%の減少となる。WSTSでは、2016年販売高についてすべての市場地域にわたって前年比減少するとしており、Europe(-0.1%), Asia Pacific(-1.2%), Japan(-1.7%), およびAmericas(-7.3%)の内訳である。プラスの側面ではWSTSは、ディスクリート、アナログおよびMCU製品などいくつかの半導体製品カテゴリーについて2016年の伸びを予想している。

2016年から先は、半導体市場はすべての地域にわたって控え目ながら伸びる見込みである。WSTSは、2017年にグローバルの2.0%の伸び(総販売高$333.7 billion)、2018年に2.2%の伸び(同$340.9 billion)を予想している。WSTSでは、グローバル半導体メーカーの広範囲にわたるグループを招集、年2回の業界予測を表で表わし、半導体の流れの正確で時宜を得た指標を供給している。

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/April%202016%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
※WSTS春季予測総括表
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/WSTS%20Spring%202016%20Forecast%20Summary%20Table.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これに対する業界各紙の反応である。WSTSを支持する形でのSIAの中期予測は昨年の6月2日付け発表で、2015年3.4%増、2016年3.4%増、そして2017年3.0%増となっていたが、2015年は0.2%減の結果となり、そして今回の表わされ方に至っている。

◇Semiconductor market to ‘grow slightly’ by 2018, says WSTS-Global sales of semiconductors in 2016 are predicted to amount to $327billion in 2016, slightly down from 2015, with growth returning in 2017 and 2018. -Global chip sales seen rising in 2017 and 2018 (6月7日付け New Electronics)

◇SIA Expects Chip Sales to Fall (6月8日付け EE Times)

◇Global semiconductor sales decrease in April, says SIA (6月8日付け DIGITIMES)

◇Global semiconductor sales decrease in April; Annual sales projected to dip slightly in 2016 (6月10日付け ELECTROIQ)

各社の業績で見ても、台湾ファウンドリーについて1-5月累計販売高が以下の通り前年同期比減を示している。

◇UMC May revenues rise 18% on month (6月8日付け DIGITIMES)
→UMCの2016年5月連結売上げがNT$12.71 billion($394.8 million)、前月比18%増、前年同月比1.8%減。2016年1-5月累計がNT$57.87 billion、前年同期比9%減。

◇TSMC posts revenue growth in May-TSMC's May revenue hit $2.3B (6月8日付け DIGITIMES)
→TSMCの2016年5月連結売上げがNT$73.58 billion($2.3 billion)、前月比10.1%増、前年同月比4.9%増。2016年1-5月累計がNT$343.91 billion、前年同期比6.4%減。

TSMCは今後について、以下の通り強気の読みを表わしている。新市場、新分野に重きを置いた盛り返しに注目するところである。

◇TSMC to enjoy full utilization of 16nm capacity through September, says report (6月6日付け DIGITIMES)
→台湾のCentral News Agency(CNA)発。TSMCの16-nmプロセス生産capacityが、non-Apple機器の力強い需要から9月までフル稼働になる見込みの旨。
機関投資家の弁を引用、TSMCは、non-Apple機器で用いられるグラフィックス半導体、モバイルプロセッサおよびvirtual reality(VR)半導体の受注を獲得している旨。

◇TSMC to outgrow global chip industry in 2016, says chairman (6月7日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。不利な市場状況にも拘らず、TSMCは2016年に売上げおよび利益の伸びを達成するようやっていく旨。2015年のグローバル半導体業界はマイナスの影響を受けたが、TSMCは業界平均を上回って売上げが10.6%伸び、NT$306.57 billion($9.15 billion)のnet profitsを記録した旨。2016年の経済状況は依然好ましくなく半導体業界の成長を抑制しているが、TSMCは業界の平均伸長を引き続き上回っていく旨。

最近の業界イベントにおいても、新たな取り組みが強調される基調が見られている。

◇Firms showcase virtual reality at Computex Taipei -Computex exhibitors show off AR/VR technologies (6月3日付け The Taipei Times (Taiwan))
→ARM Holdings, HTCおよびQuanta Computerなどが、先週のComputex show(台北)にて、augmented-reality(AR)およびvirtual-reality(VR)製品を披露、展示していた旨。IDCは9.6 million台のVRハードウェアが2016年に出荷されるとする一方、TrendForceは世界VRハードウェア売上げが今年$4.3 billionに達すると予想している旨。

◇Executive Insight: Lip-Bu Tan-Cadence's CEO looks at what comes after mobile and where the real innovation is happening.-Cadence CEO discusses the state of the chip industry (6月6日付け Semiconductor Engineering)
→Cadence Design Systemsのpresident and CEO、Lip-Bu Tan氏が、第53回Design Automation Conference(DAC:2016年6月5-9日:Austin, Texas)を前に、半導体業界の流れについて。「ハードウェアおよびソフトウェア設計に向けた全体的なシステムアプローチが実際に今起きようとしている。
引き続き拡大していく。シリコンだけ見ていく以外に、システム全体およびエンドユーザを見なければならない。それには5Gおよび車載の波などがある。」

とは言っても、依然半導体販売高を比率的には引っ張るパソコン、モバイル機器であるが、まずパソコンは、パイの縮小が続く見方となっている。

◇IDC Cuts PC Shipment Forecast (6月10日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)(Framingham, Mass.)の改定予測。本年、2016年のグローバルPC出荷が約256 million台、2015年から7%以上減る見込みと前回より下方修正の旨。第一四半期の出荷は前年同期比12.5%減であった旨。

スマートフォンについては、IC Insightsの見方で、本年は5%増の15億台と飽和傾向が表わされている。この1-3月のスマートフォン販売数量によるトップ12社が、以下の通り激しい変化の中身となっている。

◇China-based smartphone suppliers held 8 of Top 12 spots in first quarter ranking (6月9日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのUpdate to its 2016 IC Market Drivers Report発。2016年第一四半期の実際のスマートフォン販売数量によるトップ12社を、2016年全体の出荷数量予測とともに一覧にまとめた表、下記参照。
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2016/06/chinese-ic-suppliers-fig-1.png

・トップ12社のうち中国メーカーが8社、インドのMicromaxが初めて本表入り。
・トップ12社のうち7社が2016年伸長予測が6%以下、一方、他の5社は29%以上
・スマートフォン市場の成熟を反映、トップ2のSamsungおよびAppleは2016年出荷が僅かに落ちる見込み
・2015年に比べて2016年トップ12ランキングでは、Sony, Microsoft, およびCoolpad(中国)の3社が外れる見込み

◇China Dominates Smartphone Suppliers List (6月10日付け EE Times)

後退しているレノボの巻き返しが、以下の通り見られている。

◇レノボ、新型スマホ3機種発表、拡張現実を体験 (6月10日付け 日経 電子版)
→中国レノボ・グループが9日、スマートフォン3機種を発表、CG(コンピュータグラフィックス)映像を現実に重ねてみせる拡張現実(AR)の世界を体験したり、スピーカーやプロジェクターなどの別売りのモジュール、「モトモッズ」を合体させたりできるのが特徴の旨。米グーグルから買収したモトローラ・モビリティーの技術力やブランド力をテコに、苦戦するスマホ事業の立て直しを急ぐ旨。

各社の反転攻勢による今後の市場推移に引き続き注目である。


≪市場実態PickUp≫

【DAC 2016】

Design Automation Conference(DAC:2016年6月5-9日:Austin, Texas)が第53回の開催を迎え、新しい基軸への転換を模索する半導体業界の現況のもと、以下目に入ったいくつかである。

◇imec, partners develop Wi-Fi HaLow radio solution for IoT applications (6月6日付け ELECTROIQ)
→今週のDesign Automation Conference(DAC 2016:6月5-9日:Austin, Texas)にて、nanoelectronicsリサーチセンター、imec, imecとTNOが起こしたHolst Centre, およびWi-Fi IPプロバイダー、Methods2Bussinessが、完全なWi-Fi HaLow radioソリューションをプレゼン、この新しい低電力、長距離radioソリューションは、市場最先端をいくorthogonal frequency division multiplexing(OFDM) radioソリューションに対し消費電力が10分の1以下の旨。Internet of Things(IoT)関連の広範囲の応用に用いられ、最新ワイヤレスnetworking protocol, IEEE 802.11ahに準拠する旨。

◇DAC: Coventor Adds Electrical Analytics-Coventor's MEMS design tool now does electrical analytics (6月7日付け EE Times)
→Design Automation Conference(DAC:2016年6月5-9日:Austin, Texas)にて、Coventor(Cary, NC)のSEMulator3Dについて。
microelectromechanical systems(MEMS) 3-D設計ツールとして始まったものが、形を変えて3-D半導体設計ツールとなっている旨。

◇Immersive tech ushers in new era, AMD exec says-AMD exec hails advent of virtual-reality era in DAC keynote (6月8日付け American City Business Journals/Austin, Texas)
→Advanced Micro Devices(AMD)のsenior vice president of technology and engineering、Mark Papermaster氏のDesign Automation Conference(DAC:2016年6月5-9日:Austin, Texas)での基調講演。半導体業界は、PCおよびモバイルの時代から様々な応用に向けたhead-mounted displays(HMD)を特徴とする新たな期間に移ってきている旨。immersive computingがその変曲点であり、我々の生活の構造に本当に織り込まれていく旨。その世界は偉大な製品の猛攻撃の態勢にある旨。

【2016年第一四半期の世界半導体製造装置市場】

SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)とSEAJ(Semiconductor Equipment Association of Japan)が共同でまとめる世界半導体製造装置市場のこの第一四半期のデータについて、特にbillingsの前年同期比13%減という低下に注目している。

◇Fab Tool Billings Fall 13% in Q1 (6月7日付け EE Times)
→SEMI発。第一四半期のグローバル半導体装置billingsが前年同期比13%減、欧州が約50%、米国および韓国が30%以上の急減が引っ張っている旨。

◇SEMI reports first quarter 2016 worldwide semiconductor equipment figures; billings $8.3B (6月7日付け ELECTROIQ)

◇Global 1Q16 semiconductor equipment billings fall 13%, says SEMI (6月7日付け DIGITIMES)
→SEMIとSEAJがグローバル装置メーカー195社超からの月次データを共同でまとめた2016年第一四半期の世界半導体製造装置市場:
 billings $8.3 billion  前四半期比 3%増 前年同期比13%減
 bookings $9.4 billion  前四半期比 5%増 前年同期比 2%減

【IntelおよびAMDの発表】

Intelの高性能computingに向けた先端プロセッサが以下の通り発表されている。

◇Intel's Xeon Tackles Real Time-E7v4 minimizes analytics latency (6月6日付け EE Times)
→Intelが本日6日、第4世代high-end Xeonプロセッサ、Xeon E7-8800/4800 version 4(E7v4)を発表、他のすべてのIntelプロセッサに比べて限界を尽くしたfeature set、高速性およびメモリ空間拡大の力でビジネスでのreal-time analytics問題の打開を狙っている旨。22-nm E7v3 Haswell microarchitectureと比べて、新しい14-nm E7v4 Broadwell microarchitectureからは"時間当たり最大2倍の質問に答えられるscalable性能"が得られる、とdatacenter performance marketing manager、Frank Jensen氏。

◇Intel's next monster 24-core chip is made for high-performance computers-Intel aims at HPC applications with a new 24-core processor (6月6日付け Network World/IDG News Service)
→Intelが、銀行、証券会社などの業界により用いられる高性能computing用の24-core半導体、Xeon E7-8890 v4プロセッサを投入の旨。DellおよびLenovo Groupなどサーバメーカー約20社が、51モデルで該Xeon E7-8890 v4を取り入れている、とIntelのData Center Group、general manager of enterprise IT solutions、Pat Buddenbaum氏。
このような最先端を作っているIntelのfab拠点を見学した記事が見られている。

◇How Intel Makes a Chip -The development of a microprocessor is one of the riskiest, costliest, and most technically complex feats in business.-Inside Intel's D1D development fab in Ore. (6月9日付け Bloomberg)
→Bloomberg Businessweekの記者が、12-インチシリコンウェーハでmicroprocessors(MPUs)を作っているIntelのD1Dウェーハfab拠点(Hillsboro, Ore.)を見学する機会を得た旨。サーバ用Xeon E5 v4プロセッサには7.2 billion個のトランジスタがあり、Intelは最先端プロセッサには最大10 billion個のトランジスタを収めている旨。

対するAMDも、パソコン市場のさらなる追求に向けてAPU(Accelerated Processing Unit)の最新世代を発表している。

◇AMD Details Next-Gen APUs-Bristol Ridge, Stony Ridge target wide range of market segments (6月8日付け EE Times)
→AMDは依然PCsにあるとして、該市場に向けた第7世代A-seriesプロセッサを最近発表、コード名Bristol RidgeおよびStony Ridgeの該プロセッサは、生産性を高め、multimediaを強化、そしてエネルギー効率を改善するよう設計されている旨。

【MediaTekの動き】

台湾のMediaTekのこの4月、5月と販売高が最高を更新しており、業界低迷のなか目立っている。

◇MediaTek May revenues hit record for 2nd straight month (6月7日付け DIGITIMES)
→IC design house、MediaTekの2016年5月連結売上げがNT$24.64 billion($762.8 million)、前月比約7%増、前年同月比60.9%増、2ヶ月連続で月次最高を更新の旨。

上にも述べた中国の急伸するスマートフォンサプライヤ向けの出荷増と思われるが、一方では以下の通り、中国メーカーとの連携について台湾の政府当局への働きかけが見られている。

◇MediaTek reportedly lobbying officials for a closer tie with China firm (6月7日付け DIGITIMES)
→中国語のLiberty Times発。MediaTekが、合弁設立並びに中国の台湾lC design housesへの投資禁止解除など最近発表された中国のディジタルmappingサービスプロバイダー、NavInfoとの協力の承認に向けて、台湾のMinistry of Economic Affairs(MOEA)でのofficialsに働きかけを行なっている旨。

【微小レーザ on シリコン】

シリコン上に直接微小レーザを作るという、30年以上にも及ぶ半導体業界にとっての懸案に対して以下の通り、米国と香港の科学者が風穴をあけて注目されている。

◇Tiny lasers enable faster, less power-hungry next-gen microprocessors (6月3日付け ELECTROIQ)
→米国と香港の科学者グループが、Applied Physics Lettersで発表。シリコン上に直接微小レーザを作ることが可能に、半導体業界にとって非常に大きなブレイクスルーである旨。30年以上の間、シリコンおよび代表的なレーザ材料の結晶格子は一致できず、今までこの2つの材料を統合するのは不可能とされている旨。

◇Engineers Construct Tiny Lasers on Silicon for Faster Microprocessors-Researchers speed up processors with little lasers (6月4日付け Electronics360)
→米国と香港の科学者(Hong Kong University of Science and Technology, University of California, Santa Barbara, Sandia National LaboratoriesおよびHarvard University)が、gallium arsenide(GaAs)レーザをsilicon-ベースICsと融合、シリコン上に直接微小なレーザを作る新しい方法を発見、photonic computersの考え方を進める可能性の旨。

◇Tiny lasers on silicon means big things for electronics (6月5日付け Gizmag)


≪グローバル雑学王−414≫

企業のオーナーの立場に立って、事業承継、M&Aを効果的に行うための視点、論点を、

『M&Aの「新」潮流』
 (山本 貴之 著:エネルギーフォーラム新書 036) …2016年1月15日 第一刷発行

より見ていく。特に独自固有技術を有する中小の存続の重みから事業承継の重要性の高まりに注目、事業承継の定義と承継先別の分類、そしてM&Aによる事業承継における論点をまとめている。ちょうど同じ問題意識の以下の記事に注目したばかりである。
◇中小企業 2030年に消滅? 社長の年齢、14年後80歳前後に−世代交代で利益率改善も (6月6日付け 日経 電子版)
→日本経済を支える中小企業が「消滅」の危機を迎えるかもしれない。経営者の中心年齢は2015年に66歳となり、この20年で19歳上がった。円滑な事業承継や若者の起業が進まなければ2030年には80歳前後に達し、いまの男性の平均寿命とほぼ並ぶ。早く手を打たないと厳しい未来が現実になってしまう。


第7章 事業承継とM&A

【中堅中小規模企業の現状と事業承継の重要性の高まり】

・我が国における中小企業の社数は全国で約170万社
 →大企業を含めた社数の99%以上を占める
・高い技術やノウハウを有する中小企業の円滑な事業の存続は、我が国経済の成長のためには不可欠
 →事業が円滑に承継される方策を模索していくことが重要
・本章では、特にオーナー企業の円滑な事業承継において、M&Aが効果的に機能するための論点を整理

【事業承継の定義と承継先別の分類】

・オーナー企業の事業承継においては、「誰が運営するか」はもちろん重要
 →「誰が所有するか(株主となるか)」も同時に念頭に置いて検討することが重要
・3通りの大別
  〇丗などの親族への承継
 ◆仝従の役職員への承継
  第三者(例えば同業の運営経験がある人材)への承継

■子息など親族への承継
・その企業を取り巻く個別の事情・状況により限界

■役職員への承継
・MBO(Management Buyout)の手法
 …役職員が出資する形で資金を集め、対象会社の株式を買い取る仕組み
 →広義のM&A
・今後株式の所有も含め経営を継続する意思のある役職員が存在するか
 (=経営の資質・意欲があるか)、株主になるための十分な財源が確保できているか、という課題をクリアすることが重要

■第三者への承継
・全く別の個人に譲渡する場合と企業に譲渡する場合との2通り

【事業承継を促進する手法としてのM&A】

■なぜ事業承継にM&Aが有効か
・M&Aを通じて他の企業に事業承継する場合
 →相対的に個人で負担できる規模より資金力は高く、企業の事業価値を適正に反映したオーナー変更ができる可能性が高くなる

【M&Aによる事業承継における論点】

・オーナー企業の事業承継に固有のいくつかの論点が存在

■譲渡の検討段階
1)オーナー自身が引退しても運営可能な状況になっているか(権限委譲)
 →役員や部門長を含め、十分な権限委譲と役割分担を行い、社長自身が経営の一線から退いても企業活動に致命的な影響が出ないよう予め体制を整えておく必要
2)既存株主の所在は明らかで対話が可能か、分散していないか、株券は紛失していないか
 →株主名簿のアップデートと株主との定期的なコミュニケーションが継続できていることが必要
3)取引先など外部環境への影響の見積もり
 →事業承継によってオーナーが退く場合の影響を予め見積もっておく、あるいは影響がありそうな場合、影響を最小限に抑えられる候補先に絞るといった対応も必要に
4)現状の事業、損益状況・財務状況から見て、譲渡候補先にとって魅力があるか
 →事業の承継を検討する場合、現在の事業の状況が譲渡候補先にとってより魅力的であることが重要
5)デューディリジェンスに耐え得る書類・規程類・制度面での対応ができているか
 →適法性や手続き遅延がないかといった検証に耐え得る体制が必要に
 →具体的には、事業に必要な認可の(更新)期限切れ、各種社内規程の整備、勤怠管理、取締役会の定期的開催および議事録の作成などが一般的に話題に
6)譲渡対価の目線の設定
 →現状および将来の損益状況・財務状況の見通しから一定の幅が算出
 →オーナー目線の判断材料として整理しておくこと
7)譲渡対価と税務上の留意点
 →第三者への譲渡を想定した場合
  (1)譲渡対価が適当な水準か
  →受贈益課税、寄付金課税の対象になり得るという議論
  (2)譲渡対価は退職金で受領するか株式の譲渡対価として受領するか
  →退職金に対する課税と株式譲渡による譲渡益に対する課税では税率が異なる
  (3)自己株式として買い取りする場合のみなし配当課税
  →価格の妥当性について議論
8)親族、役職員への譲渡との比較も踏まえた譲渡の意思の決定、どんな会社に運営してもらいたいか(方針の確定)
 →ひとたび第三者への譲渡を模索し始めると、後戻りすることは非常に困難に

■譲渡の実行段階
・譲渡を実行する段階では、特に次の留意点
1)情報の管理
 →情報の管理は社内においてもメンバーを限定的に行うといった工夫が必要に
2)候補先の選定
 →一つは、対象会社に関心を持ってもらえそうな候補先をいかに探索するか
 →もう一つは、情報管理を意識した対応が必要となる点
3)役職員への安心感・その後の処遇の確保
 →役職員に対する情報開示のタイミング、二つの方向性
  →一つは、譲渡候補先との交渉がまとまるまで秘匿しておくやり方
  →もう一つは、譲渡候補先の交渉可能性について予め一定程度開示しておくやり方
4)十分な情報開示体制の確保
 →譲渡後の理解不足等に起因する損害賠償等を回避することにつながり、十分な対応が必要

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