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新年、2015年、早々の脈動 …CES、新市場、グローバル市場

新しい年、2015年を迎え、我が国にとっては戦後70年、それぞれに様々な感慨を覚えるところであるが、半導体・エレクトロニクス業界にとっては、特に市場の大きな部分、半導体では60%近くを占めるアジアが今年は2月19日となる旧正月が主となることから、普段と変わりないペース、状況を感じるところがある。そのような中、早々のイベント、International CES(2015年1月6-9日:Las Vegas)、IoTはじめ新市場、そしてグローバルな市場展開と我々から見れば早々の世界を駆け巡る脈動を追っている。

≪年末年始の動き≫

[International CES]

具体的な新製品・新技術のインパクトを与える年初恒例のInternational CESにまずは注目というのが、ここ何年か定番となっている。

今回予想、期待されている全体概要である。

◇Analysts Predict CES Hotspots-IoT, robots, 4K to dominate CES
*More pixels, more problems
*Optimized tablets
*Corralling the Internet of Things
*Robotics abound
*Extra goodies (12月29日付け EE Times)
→International CES(2015年1月6-9日:Las Vegas)について、アナリストおよび業界veteransの期待するものとして、4K ultra-high-definitionテレビ、新しいsmartwatch用途、およびrobotics専用の展示フロア、そしてもちろんこれら技術を支えるシリコン半導体も。

事前のリーク情報、1例である。

◇Qualcomm Hints At New LG Device For CES 2015-Qualcomm teases CES debut of Snapdragon-based smartphone (12月29日付け Ubergizmo.com)
→Qualcomm tweetが、来週のInternational Consumer Electronics Show(CES)(2015年1月6-9日:Las Vegas)にてお目見え予定の新しいLG Electronicsスマートフォンモデルを予告する様相、その写真では、LGのように見えるhandset内のSnapdragon 800-シリーズモバイルプロセッサが示されている旨。

今回お目見えの新製品・新技術のいくつかが、以下の通り先行して紹介されている。

◇Startup Raises Ante in Comms-MagnaCom demos 40% wireless boost at CES-MagnaCom to demo more efficient wireless comm tech (12月30日付け EE Times)
→来週のInternational CES(2015年1月6-9日:Las Vegas)にて、startup、MagnaComが、QAM-16384 modulation相当で今日のシステムのspectral効率を40%高める技術を披露の旨。

◇LG shows off a gaming monitor with ultra-wide screen-LG to debut "UltraWide" gaming monitor with AMD's FreeSync tech (12月30日付け VentureBeat/GamesBeat)
→LG Electronicsが来週のInternational CES(2015年1月6-9日:Las Vegas)にて、Advanced Micro Devices(AMD)のFreeSync技術を用いた34-インチcurved-screen gaming monitorを投入、該UltraWide Gaming Monitorは、21:9のaspect比、16:9 monitorsよりも広い旨。

ロシアからの革新的なスマホの発表である。

◇CES: 2 Displays on Russian Yota Smartphone -Twin-Screens with 100 hour battery life-Russian smartphone can go 24+ hours without a charge (1月1日付け EE Times)
→CES 2015(1月6-9日:Las Vegas)は、あらゆるところからの今後のスマートフォンをお披露目、ロシア政府が一部所有するYota Devicesが、次の第2世代YotaPhoneをE-Inkブースで披露する旨。
 *ほとんど標準に達するソフトウェア(昨年の第1世代は安定性およびアプリに欠けていた)
 *dual画面(背部にE-Ink製)
 *長電池寿命…readingに100時間
      …音楽およびWeb surfingに48時間
      …4GネットワークスでのWeb browsingに24時間
2015年後半米国で投入されるときまでに、該Android-ベースphoneがwinnerになると見る旨。

なんとも薄い大型LCDテレビ画面、反応に注目である。

◇CES: 55" TV Thin as iPad Air-LG showing world's thinnest panels (1月1日付け EE Times)
→CES(2015年1月6-9日:Las Vegas)にて、LG Display(Seoul, Korea)が、世界最薄、Apple iPad Airと同じ薄さのliquid crystal display(LCD)パネル、"Art Slim" line-upを示す旨。
 *55-インチ、7.5mm厚、僅か数mmのbezel(溝ぶち)
 *65-インチ、8.2mm厚
 該軽量、超薄パネルは、画質は十分に良くなっており、2015年の重要なselling pointは設計の魅力にあるというLGの哲学、考え方を強調している旨。

[新市場]

IoT、そしてwearableが当面のキーワードとして出てくるが、関連する内容が次の通りである。

◇10 Reasons Why Analytics Are Vital to the Internet of Things (12月29日付け EE Times/Slideshow)
→Internet of Things(IoT)からくるデータを監視、使用できることが、非常に大きなポテンシャルの課題であり、様々なアーキテクチャー&アプローチを用いる様々なプロバイダー、そして様々な半導体および装置ベンダーが異なるやり方で連携している旨。以下の例:
 Wind River at the edge enables Intel analytics
 IBM Watson opens for business
 Lantronix backs Google Analytics
 Microsoft streams its analytics
 Microchip links devices to Amazon Web Services
 Freescale teams with Oracle
 Xively signs up chip makers for analytics
 Jasper does more than you know
 Startups aim to distrupt analytics
 Veteran M2M supplier scales analytics in the cloud

◇IoT in Protocol War, Says Startup-Zigbee fortunes dim in building control (12月30日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)におけるprotocolの戦いには明確な目的が見えていない、と自前の802.15.4 protocolsを開発したbuilding controls startup、Enlightedのchief technologist(CTO)、Tanuj Mohan氏。IoTは多彩な物理層ネットワークとともに働くオープンAPIsおよびprotocols一式を必要とする旨。

ファッションはじめ異業種連携が見られるwearableの動きであるが、Intelはインドでの技術連携を求める以下の内容である。

◇Intel pins hopes on India for wearable technology-Intel looks to India for success in wearables (1月1日付け The Economic Times (India))
→Intelが、wearable electronicsの共同開発に向けてインドで技術パートナーを求めている旨。「この前線でたくさんの活動が行われており、これら市場分野について力強いroad mapをもっている」(Intelの南アジアマーケティング&市場開発director、Sandeep Aurora氏)旨。Juniper Researchは、wearable computing機器の世界出荷が2018年に150 million台、2014年の10倍に拡大すると見ている旨。

[グローバル市場]

年末、そして年初のタイミング、早々にグローバルな波紋、波動を引き起こす動きである。まずは、TSMCの中国fab拠点建設がありやなしやである。

◇TSMC likely to stay key Apple supplier-Analyst: Apple will keep TSMC as a key IC supplier (12月27日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Market Intelligence and Consulting Institute(MIC)のdirector、Chris Hung氏。TSMCが、2015年の間AppleのA9カスタムプロセッサのkeyサプライヤであり続けると見る旨。Samsung Electronicsは、Appleの二次的サプライヤで終わる可能性の旨。一方、中国の国内半導体生産を高める計画から、TSMCは中国に300-丱ΕА璽fab拠点を建設する計画の旨。

出荷数量の飽和傾向が見られるタブレットについて、ハイエンド傾斜の流れが予想されている。

◇Chip vendors to roll out 8-core and 64-bit processors for high-end tablets in 2015 (12月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。brandタブレットベンダーが新しい年に向けて新モデルのハードウェア仕様をアップグレード、チップセットベンダーが2015年にhigh-endタブレット用の8-coreおよび64-bit-enabledソリューション展開に重点化する見込みの旨。brandタブレットベンダーがリリース予定の主流high-endモデルには、ビジネス分野向け12-インチモデルおよび教育/gaming応用向け8-〜10-インチモデルがある旨。

上記のInternational CESにもつながるスマホ展開の見方である。

◇Smartphone industry eyes technological leap-Chips to drive smartphone improvements in 2015 (12月31日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsなど韓国メーカーが、スマートフォンofferings強化に向けて64-ビットプロセッサおよびテレコム半導体高速版を用いる見込み、LG Electronicsは今年、G4およびG Flex 2 handsetsにおいて64-ビット半導体、QualcommのSnapdragon 810プロセッサを採用予定の旨。

本年のDRAM市場、やはりスマホがカギとなる見方である。

◇DRAM sales expected to grow 14 pct in 2015: data -Firm increases its DRAM forecast for 2015, expects 14% growth (12月31日付け The Korea Times (Seoul)/Yonhap News Agency (South Korea))
→DRAMeXchange発。2015年の世界DRAM販売高について、14%増の$52.8 billionと前回の12.6%増から上方修正の旨。スマートフォンが来る新年のkey driverとなる見込みの旨。

大気汚染が問題の中国はじめアジアに向けて、今年は"環境センサの年"と、IoTに留まらないセンサの伸びにこれも注目である。

◇2015: Year of the Air-Quality Sensor (1月1日付け EE Times)
→IHS社(Englewood, Colo.)発。2015年は"環境センサの年"の可能性、中国が引っ張る方向性の旨。カギとなる材料は大気品質を測定するガスセンサの追加であり、大気品質についての規制が手ぬるいアジア諸国の人々には大きな関心事である旨。


≪市場実態PickUp≫

【世界最高速スマホ】

世界最高速と銘打ってあるが、サムスンが、世界初の異なるネットワーク帯域を束ねることで下り(ファイルなどをダウンロードしたり、リンクを開くときの速度)最大300Mbpsまで高速通信が可能なTri-Band Carrier Aggregation(3CC CA)対応を一番の特徴とするギャラクシースマートフォン「Galaxy Note 4 S-LTE」を発表している。LTE-A Category 9 にも対応、2015年中に下り最大450Mbpsまでの高速通信が可能になる予定とある。

◇New Samsung Galaxy Is Android World's Fastest Smartphone-Samsung's new LTE-A Galaxy deemed fastest Android phone (12月29日付け Forbes)
→Samsung Electronicsが、Galaxy Note 4 LTE-Advanced tri-bandスマートフォンを展開、carrier aggregation技術により300 megabits/secのダウンロード速度に到達の旨。韓国のSK Telecomが月曜29日、該Samsung phoneによるLTE-A tri-bandサービスの先陣を切っている旨。

◇Samsung Intros Faster Galaxy Note 4 Smartphone (12月29日付け eWeek)

◇SK Telecom, Samsung Turn on Tri-Band LTE-A (12月29日付け Light Reading)

【Xiaomiの資金調達】

中国の急成長しているスマホメーカーの1つ、Xiaomiが、$1.1 billionの資金を以下の通り集めている。

◇China's Xiaomi raises $1.1 billion from investors at $45 billion valuation (12月29日付け Reuters)

◇Mobile Internet Strategy Fuels Xiaomi's IoT Ambitions (12月30日付け EE Times/Blog)
→今週始め、中国のXiaomiが最新資金調達roundで投資家から$1.1 billion獲得を発表の旨。

【UMC関連】

UMCについて2つ。28-nm生産歩留まりが改善し、2015年の28-nm販売高が倍増するとの見方がある。一方、中国のファウンドリーへの投資が懸案になっていたが、台湾政府の認可が得られている。

◇UMC sales from 28nm process technology to double in 2015 (12月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。UMCの28-nmプロセス技術からの販売高が2015年は倍になる見込み、28-nm生産歩留まりが改善、Qualcomm, Broadcom, MediaTekおよびMarvellから28-nm半導体受注を得ている旨。

◇Taiwan approves United Microelectronics investment in China chip venture-UMC gets Taiwan go-ahead for fab in China (12月31日付け Reuters)
→UMCが、Xiamen(厦門), Chinaに建設するウェーハfab拠点への$710.64 millionの投資について、台湾の経済部投資審議委員会(Investment Commission)から許可を得た旨。UMCは、ファウンドリー建設および設備装備で現地政府およびFujian Electronics & Information Groupと連携、この工場には5年にわたり最大$1.35 billionが使われる計画の旨。

【Qualcommを巡る知財関係】

Qualcommの特許licensingビジネスについて、中国は巨額の罰金を科し、ロイヤリティの値下げを求める動きも伝えられているが、欧州および米国の通商関係機関からも調査が始められているとのこと。新年、2015年の知財関係で引き続き注目のアイテムとなっていく情勢である。

◇For Qualcomm, China settlement may be just the beginning-China antitrust case settlement could damage Qualcomm (12月28日付け Reuters)
→中国の国家発展改革委員会(National Development and Reform Commission)がQualcommの特許licensingビジネスの公正取引調査を締めくくり、同社は世界中の他のregulatorsからの法的精査の高まりに直面している旨。European Commission(EC)およびFederal Trade Commission(FTC)がすでに公正取引調査をQualcommに向けて始めている旨。

【IBMの新たな取り組み】

IBMの新技術開発に向けた取り組み2件である。人間の頭脳に近づける試みの中でのphase-change memory、およびcognitive computing技術による皮膚がんの検出自動化のアプローチである。

◇New Form of Memory Could Advance Brain-Inspired Computers-A new kind of computer memory could help make more capable computer chips that function more like biological brains, say IBM researchers. -Researchers develop memory with 900+ neurons, 165K synapses (12月30日付け MIT Technology Review online)
→IBMのAlmaden Research Centerおよび韓国のPohang University of Science and Technology(浦項工科大学校)の研究。人間の脳が如何に機能するか真似られる900以上のneuronsおよび165,000のsynapsesを擁するphase-change memoryを開発、イメージ認識技術などcomputing領域を進める期待の旨。これまでのneuromorphic(神経派生型)システムは100以下のsynapsesであった旨。

◇IBM applies cognitive computing to skin cancer diagnosis -IBM leverages cognitive computing tech to detect skin cancers (12月31日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IBMがMemorial Sloan Kettering Cancer Centerとコラボ、cognitive computing技術を用いて皮膚がんの検出自動化を図っている旨。


≪グローバル雑学王−339≫

平成元年生まれの若者の世界に挑むエネルギーを、

 『ゆとり世代の愛国心 −世界に出て、日本の奇跡が見えてきた』
   (税所 篤快[さいしょ あつよし] 著:PHP新書 941) …2014年9月1日 第一版第一刷発行

より読み取っている。世界に出て知る教訓、事態には、新たに認識するもの多々であるが、なにしろ、この著者の場合、バングラデシュを主の舞台として、今回も、インド、ヨルダン、そして終わらない戦闘の渦中にあるパレスチナとイスラエルを訪れており、視野を押し広げられるような受け止め方が随所に出てきている。

第2章 世界が僕にくれたホンモノの愛国心

◇日本人が来たことのない村で
・2008年8月、2人の友人とともに、バングラデシュのダッカにあるグラミン銀行にアポなしで突入
 →運よく3日間の現場体験ツアーに参加
 →グラミン銀行の懐の深さに驚き
・バングラデシュの農村部のICT(情報通信技術)化に取り組む九州大のアシル・アハメッド教授にコンタクト
 →グラミン銀行内にある同氏のラボ「グローバル・コミュニケーション・センター」(GCC)のインターン生として働かせてもらうことに
 →2009年1月、再びグラミン銀行へ
・バングラデシュで最も貧しいとされる北部クリグラム県のチリマリという村を訪問
 →1日30人を目標に、至るところで声がけ
 →確かに経済レベルは低いものの、みな、自分たちの生活を力強く営んでいる
 →バングラデシュの携帯電話会社、グラミンフォンによる普及活動
 →今では多くの人々が携帯電話を所持
・先進諸国の「豊かさ」の尺度で物事を見ることの愚かさをまざまざと痛感

◇「何かをしてあげる」は驕りである
・自分たちなりに工夫、まずは現地の挨拶で話しかけ
・数日間のチリマリでの体験
 →大学の1年間よりも多くの学び
 →「何かをしてあげる」というメンタリティが驕りであると知っただけでも
・2009年5月、GCCのコーディネーターに日本人としてはじめて就任
 →大学生100人を現地に送って調査活動を行うプログラム(GCMP=Global Change Makers Program)を仲間とともに設立
 →最初の夏休みに108人から応募、20人を選抜して村に送り込んだ

◇ハムチャー村の奇跡
・GCCのコーディネーターとして最初に訪れたアクラスプールという村
 →聞き取り調査を行い、教師、パソコン、理科室が足りないとのこと
・「村にネット回線を引き、村人にプログラムを書いてもらうことで、ニーズを全世界にアピールする」という案
・同行した友人が次々と日本に帰るなか、一人現地に残ってプロジェクトを開することに
・2009年8月、アクラスプールと東京学芸大の研究室をネットでつなぎ、「シャボン玉のつくり方」の実験の模様を放送
・手応えをつかんで、グラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁を直撃
 →「e-Education Project」は動き出した
・ダッカ大学の前でビラを配り、聞き取り調査
 →事業パートナーとなる大学生、アブドラ・モティン・セイク、通称「マヒン」との出会い
・バングラデシュは日本以上の学歴社会
 →ダッカ市内には数多くの受験予備校
 →お金持ちの子供しか通えない
・マヒンとともに、2010年6月、彼の故郷、ハムチャー村で最初の予備校を開校
 →2010年11月、ついにハムチャー村から一人のダッカ大学合格者が誕生
 →手探りから始まったプロジェクトは、初年度で大輪の花

◇あらかじめ決まった答えがない解放感
・ここまでの経過から、とにかく実行してみなければ始まらないこと、実感
 →人に話を聞いて、ニーズを掘り起こし、問題解決のアプローチを考え、実際に行動するプロセス
・あらかじめ決まった答えは何もない、バングラデシュのプロジェクト
 →これからの日本に必要な「ゼロから価値をつくりだす人材」は、こうした環境からしか生まれないと確信

◇日本の王道コースから外れる覚悟
・プロジェクトに取り組むにあたっては、もちろん数々の葛藤
 →心にのしかかったのが、日本の就職制度
 →自分だけが宙ぶらりんな立場に留まっている
・2008年末、米倉先生のインド出張に「カバン持ち」として同行
 →日本社会がおかしいと思うのなら、自分が率先して変えていけばいい。
  先生の言葉に背中を押される

◇愛国心を感じる瞬間が訪れた
・2009年1月、本来なら成人式に参加しているはずの日
 →インドのコルカタ、マザー・テレサが建てたボランティア施設、「死を待つ人の家」に
・施設で働くシスターたちには、心から感動
 →この施設で担当したポジションは「ピンセットマスター」
 →患者の傷口に湧いたうじ虫をひたすらピンセットで取り除く作業
 →光景に頭をガツンと殴られたような思い、メンタルがすっかり疲弊
・コルカタには、一方、富裕層もうじゃうじゃ
 →この街の混沌に頭の中がパンクしそうに
・日本で両親にはたらいてきた数々の無礼が思い出され、感謝の気持ちとあいまって、涙に
 →〈日本に生まれて僕は幸せだ〉
 →川原で一人、大泣きしたかと思えば大笑いしている日本人
 →このとき、心から日本という国を愛するように
・日常から離れないかぎり、当たり前の恩恵に気づき、感謝しようとすることはない

◇最初の地ヨルダン
・2012年からは「e-Education」の仕組みを世界五大陸に広げる活動を開始
 →最初に足を運んだのは中東のヨルダン
・ヨルダンでのパレスチナ難民キャンプ
 →いまではコンクリートの建物が連なるアンマンの一郊外といった風情
 →想像していた生活レベルよりもはるかに上
・途上国について議論するときは、イメージではなく、つねに現実をベースに

◇人々を封じ込めるための壁
・隣国、イスラエルのガザ地区
 →同じ難民キャンプでも、大きく異なる様相
  →高さ10メートル近い威容の防護壁、人々の暮らしを封じ込める建築
・「封鎖都市」ガザに入るために、通過しなければならない最も管理が厳しいエレツ検問所
 →厚さが何十センチもある鉄の門扉
 →そこから左右と上部を金網で囲まれた刑務所の回廊のような道を、なんと1キロ弱
・国連のランドクルーザーに乗車して市内へ、もちろんその窓は防弾ガラス

◇ガザで見つけたホンモノの愛国者
・エレツ検問所を抜けて20分、イスラム原理主義組織のハマスが設けている検問所も通過、ガザ市内へ
 →「ハマス」、実際のところは「中東の片田舎のおっちゃんたち」
・分離壁に閉じ込められた人々のセーフティーネットを一手に担っている国連
 →ガザでの最終日、日本人の国連関係者数名と囲んだ石狩鍋
  →人知れぬ地域で命を賭けて働く彼らのような存在こそが、日本人への尊敬を確固たるものに
 →真の愛国心をもって世界に貢献している日本人と思う

◇パレスチナ西岸で経験したホンモノの卵
・イスラエルが建造した分離壁には大きく二つ
 →ガザを封じ込める「ガザ分離壁」
 →パレスチナ・ヨルダン川西岸を封じ込める「西岸地区の分離壁」
・随所にイスラエル政府への反抗を示す落書きやアート
・村上春樹氏がエルサレム賞を受賞した際の有名なスピーチ「壁と卵」
 →「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私はつねに卵側に立つ」
 →この分離壁がモチーフ
・このスピーチを知った半年後、まさに卵が壁にぶつかっていく様をパレスチナで目撃

◇世界は「見えない壁」で覆われている
・失業率が3割を超えるパレスチナ自治政府内
 →若者たちの鬱憤がガスのように充満
・パレスチナ人の若者の古典的な「投石」に対し、イスラエル軍兵士たちは自動小銃に催涙弾ランチャーで完全武装
 →「壁と卵」は確かめるまでもなく、ここに存在
・「e-Education」が挑むのは、世界の教育格差という見えないチャンスの壁
 →何よりそもそも人間は、壁を生み出すことの名手
 →「壁と卵」は、中東の遠い国の話ではない。いつだって僕たちの前に

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